物理CⅡ

科目基礎情報

学校 北九州工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 物理CⅡ
科目番号 0108 科目区分 専門 / 必修
授業形態 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 生産デザイン工学科(機械創造システムコース) 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 「総合物理2」植松恒夫 他(啓林館),「セミナー物理基礎+物理」 第一学習社編集部 第一学習社,
物理実験書(自作教材)
担当教員 宮内 真人,油谷 英明,井上 昌信,坪田 雅功,伊藤 慎太郎

到達目標

物理学は工学を学ぶための極めて重要な基礎であり、科学技術の発展に欠かせない。
物理CIIでは電子、原子に関する物理を系統的、論理的に考えていく能力を身に付けることを目指し、以下の項目を到達目標とする。
・前半)電子、原子に関する各現象、法則、基本事項を理解し、それらの説明と標準的な問題を解くことができる。
・後半)これまで学んだ、力学、電気・電磁気、光と電子・原子分野の実験を安全に行い、実験結果の適切な報告と、実験の内容の説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
電子・原子の基本事項、基本法則の理解電子・原子に関する基本的事項、各法則を歴史的発展、関連と共に理解している。複合的場合においても、それらを適用して、論理的に説明することができる。電子・原子に関する基本的事項、各法則を理解し、基本的な問題に適用して、説明することができる。また、複合的場合においても、概ね考え方を示すことができる。電子・原子に関する基本的事項、各法則の理解が十分でなく、それらを用いて基本的な電子・原子の現象についても説明することができない。
理論、数式の論理的展開電子・原子に関する物理量を各式を展開して正しく導き出し、その意味を正しく説明できる。複合的場合においても、適切に理論、式を適用し、論理的に展開することができる。電子・原子に関する物理量を各数式に当てはめて導出することができ、その意味を正しく説明できる。また、複合的場合においても、概ね考え方を示すことができる。電子・原子に関する数式の物理的意味の理解が十分でない。各事象についてそれらを記述する数式を選択、展開することができない。
各現象の図表による記述と理解図表による電子・原子に関する複合的現象の記述、表現を的確に読み取り、説明することができる。また、複合的現象を図表を用いて数値、数式を含めて的確に説明することができる。図表による電子・原子に関する現象の記述、表現を的確に読み取り、説明することができる。また、現象を図表を用いて的確に説明することができる。図表による電子・原子に関する現象の記述、表現を的確に読み取る り、説明することができない、また、図表を用いての表現が十分ではない。
実験準備と内容の理解準備を十分行い、各実験を理論にそって説明するができる。誤差の要因を含め、実験の実施状況と得られた結果を説明、考察できる。結果と照らし合わせて適切な自主考察、自主研究を考え、行うことができる。 準備を十分行い、各実験を理論にそって概ね説明するができる。得られた結果が十分であるか判断することができ、必要な考察などを考えることができる。実験準備を十分せず、物理学の理論にそって実験テーマの内容を説明することができない。
実験における理論、数式、論理展開実験に必要な数式の物理的意味を理解し、実験結果を議論できる。考察などで必要な更なる理論、数式を論理的に展開使用することができる。実験に必要な数式の物理的意味を理解し、実験結果にあてはめ、議論することができる。数式の物理的意味の理解が十分でなく、それらを説明することができない。
実験の遂行、実験ノート、実験レポートの作成と提出実験を安全かつ精度よく遂行し、実験ノートに結果等を適切に記録することができる。必要事項を満たし、結果に対する考察が十分なレポートを提出できる。実験を安全に遂行し、実験ノートに結果等を適切に記録することができる。必要事項を満たしたレポートを提出できる。 実験を遂行することができない、あるいは、実験ノートへの記録、報告レポートを作成・提出することができない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 A① 数学・物理・化学などの自然科学、情報技術に関する基礎を理解できる。
学習・教育到達度目標 A② 自主的・継続的な学習を通じて、基礎科目に関する問題を解くことができる。
JABEE SA① 数学・物理・化学などの自然科学、情報技術に関する共通基礎を理解できる。
JABEE SA② 自主的・継続的な学習を通じて、共通基礎科目に関する問題を解決できる。

教育方法等

概要:
電子の発見から始まる、前期量子論、電子・原子等のミクロな世界における物理現象の基礎を、その発見の歴史、理論、実験方法応用を含む多角的視点から学ぶ。
後半ではこれまでに学んだ、力学、電気・電磁気、光、電子・原子の分野の実験を行い、これら現象の理解を深める。
授業の進め方・方法:
前半は前期物理CIで学んだ、電気・磁気を基礎に、電子・原子における物理を学ぶ。そのため、電気・磁気の各現象、法則、数式の確認と復習を行う。
授業では実験教材を多用して視覚的、直感的に電磁気的現象、電子・原子のミクロな世界の物理法則が理解できるようにする。
後半(中間試験以降)では力学,電気・電磁気,光,電子・原子分野の実験を行い、理論とともに実験手法、データ解析等についても学ぶ。
注意点:
・授業で課せられる演習問題、課題を期限以内に提出すること。
・授業ノートを取り、疑問があれば質問をすること。また、質問の前に自分で調べ、考える事、クラスメートと議論することが重要である。
・後半はグループ単位で実験を行い、レポートを作成、提出する。(期限内に提出できない場合は、減点対象となる)
・物理実験は、各テーマを十分理解して実験に臨み、機器の取り扱いに関する注意事項を守り、安全に実験を遂行すること。
・実験ノートを各自準備して、実験結果を適切に記録することが重要である。
・各実験テーマの実施状況等から前後することがある。また、機器トラブルなどがある場合は別のテーマに置き換えられることがある。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス
電子・光子
・電子の電荷と質量を理解し,トムソンの実験・ミリカンの実験について説明できる.
2週 電子・光子 ・電子の電荷と質量を理解し,トムソンの実験・ミリカンの実験について説明できる.
3週 光の粒子性 ・光電効果を説明できる.
・光量子仮説を説明でき,光電子の運動エネルギを計算できる.
・X線について説明できる.
・コンプトン効果について説明できる.
4週 粒子の波動性
原子モデル
・ド・ブロイ波(物質波)について説明できる.
・波動と粒子の二重性について説明できる.
・原子核の構造について説明できる.
・原子の発光について説明できる.
・ボーアの水素原子モデルについて説明できる.
・定常状態でのエネルギー準位について説明できる.
5週 放射線と原子核 ・原子核の構成について説明できる.
・放射線とその性質について説明できる.
・放射線の利用について説明できる.
6週 核分裂と核融合 ・核分裂について説明できる.
・半減期について説明できる.
・核融合について説明できる.
7週 素粒子 ・素粒子について説明できる
・ビッグバン理論について説明できる.
8週 中間試験 ・既習領域の問題を解くことができる.
4thQ
9週 試験内容について解説
物理実験のガイダンス
試験内容を理解する.
実験実施上の諸注意を理解する
(安全な器具の取扱、実験報告書の内容と形式、実験準備、データの記録)
10週 力学分野:剛体の回転運動 ・剛体の回転運動(剛体振り子と重力加速度gの測定、様々な振り子)を理解し、説明できる
11週 電気・電磁気学分野:交流回路とオシロスコープによる波形観察 ・RLC直列共振回路を理解し、オシロスコープによる波形観測ができる
12週 追実験、実験レポート中間評価 未実験者の追実験。実験レポートをブラッシュアップし、完成度を高める
13週 電子・原子分野:光電効果/分光とスペクトル測定 ・光電効果(光子のエネルギー測定)/分光とスペクトル測定(プリズム、回折格子による分光)を理解し、説明できる
14週 電子・原子核:放射線測定
(放射線)
・放射線測定(霧箱、ガンマ線測定、放線遮蔽)の基本を理解し、説明できる
15週 追実験、実験レポート作成 未実験者の追実験。実験レポートをブラッシュアップし、完成度を高める
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理物理剛体における力のつり合いに関する計算ができる。3
重心に関する計算ができる。3
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。3
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。3
物理実験物理実験測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。3
安全を確保して、実験を行うことができる。3
実験報告書を決められた形式で作成できる。3
有効数字を考慮して、データを集計することができる。3
力学に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3
光に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3
電磁気に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3
電子・原子に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3
工学基礎工学実験技術工学実験技術物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。3
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。3
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。3
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。3
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。3
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。3
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。3
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。3
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。3
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。3

評価割合

試験(中間試験)実験実施・レポート作成課題・演習合計
総合評価割合305020100
基礎的能力305020100
専門的能力0000
分野横断的能力0000