技術者倫理・哲学（前期）

科目基礎情報

学校	北九州工業高等専門学校	開講年度	令和05年度 (2023年度)
授業科目	技術者倫理・哲学（前期）
科目番号	0179	科目区分	一般 / 選択
授業形態		単位の種別と単位数	履修単位: 1
開設学科	生産デザイン工学科（知能ロボットシステムコース）	対象学年	5
開設期	前期	週時間数	2
教科書/教材	『科学技術の倫理学Ⅱ』（勢力尚雅編著、梓出版社、2015年4月）
担当教員	安部 力,清末 もも

到達目標

1:人間の生涯における青年期の意義と自己形成の課題を理解し、これまでの哲学者や先人の考え方を手掛かりにして、自己の生き方および他者と共に生きていくことの重要性について考察できる。
2:現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。
3:社会や自然環境に調和し、人類にとって必要な科学技術のあり方についての様々な考え方について理解できる。

ルーブリック

	理想的な到達レベルの目安	標準的な到達レベルの目安	未到達レベルの目安
人間の生涯における青年期の意義と自己形成の課題を理解し、これまでの哲学者や先人の考え方を手掛かりにして、自己の生き方および他者と共に生きていくことの重要性について考察できる。	人間の生涯における青年期の意義と自己形成の課題を理解し、これまでの哲学者や先人の考え方を手掛かりにして、自己の生き方および他者と共に生きていくことの重要性について考察し説明できる。	人間の生涯における青年期の意義と自己形成の課題を理解し、これまでの哲学者や先人の考え方を手掛かりにして、自己の生き方および他者と共に生きていくことの重要性について考察できる。	人間の生涯における青年期の意義と自己形成の課題を理解し、これまでの哲学者や先人の考え方を手掛かりにして、自己の生き方および他者と共に生きていくことの重要性について考察できない。
現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。	現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から理解し展望できる。	現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。	現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できない。
社会や自然環境に調和し、人類にとって必要な科学技術のあり方についての様々な考え方について理解できる。	社会や自然環境に調和し、人類にとって必要な科学技術のあり方についての様々な考え方について理解し説明できる。	社会や自然環境に調和し、人類にとって必要な科学技術のあり方についての様々な考え方について説明できる。	社会や自然環境に調和し、人類にとって必要な科学技術のあり方についての様々な考え方について説明できない。

教育方法等

概要:

本授業は、技術者として備えるべき意識や、技術と社会の関係について、哲学(倫理) 的思索を深めることを目的とする。価値観が多様化している現代社会において、人は自由に自己の価値観を選択し、構築出来る。そのような状況の中、「人として」「技術者として」生きていく上で何が必要なのか。様々な哲学思想・宗教の思考様式を紹介しながら、それを自己のものとして理解し、活用できることを目指す。

授業の進め方・方法:

哲学における様々な思考様式を用い、「現代社会における倫理的問題」について考察し、討論する。毎時間配付する資料と教科書を事前に読み、論点を把握した上で授業に参加することを必要とする。また、授業ではグループワーク形式によるディベート・プレゼンテーションなどを行うため、「開かれた思考」と主体的な参加姿勢、また他者の意見を傾聴する社会的素養を求める。

注意点:

「自己の意見」の表現を必ず行う機会を設けるため、普段から身の回りや社会の動きなど時事問題に関心を持って、授業に臨むこと。また、自己と他者の価値観の根拠や、その相違をみつめた上で、自己の方向性を創出できること。そのために必要な問題意識や様々な思考方法を理解し、身に付けていることも求める。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング

授業計画

		週	授業内容	週ごとの到達目標
前期
	1stQ
		1週	ガイダンス：哲学・倫理学の問題意識、視座について把握する。：近代的な科学技術を生む知性の特徴や科学技術を取り巻く思想について把握し、批判的に考察することができる。	人間の生涯における青年期の意義と自己形成の課題を理解し、これまでの哲学者や先人の考え方を手掛かりにして、自己の生き方および他者と共に生きていくことの重要性について考察できる。
		2週	技術者倫理の射程①:第一章　科学技術をめぐる知性とエートス：近代的な科学技術を生む知性の特徴や科学技術を取り巻く思想について把握し、批判的に考察することができる。	人間の生涯における青年期の意義と自己形成の課題を理解し、これまでの哲学者や先人の考え方を手掛かりにして、自己の生き方および他者と共に生きていくことの重要性について考察できる。
		3週	技術者倫理の射程②:第二章　科学技術を用いる者が今から考えるべきことは：科学と社会の関係についての哲学的問題を、科学技術者としての観点から批判的に考察できる。	人間の生涯における青年期の意義と自己形成の課題を理解し、これまでの哲学者や先人の考え方を手掛かりにして、自己の生き方および他者と共に生きていくことの重要性について考察できる。
		4週	科学技術と社会①:第三章　科学技術化した社会の責任主体：科学と社会の関係についての哲学的問題を、科学技術者としての観点から批判的に考察できる。	人間の生涯における青年期の意義と自己形成の課題を理解し、これまでの哲学者や先人の考え方を手掛かりにして、自己の生き方および他者と共に生きていくことの重要性について考察できる。
		5週	科学技術と社会②:第三章　科学技術化した社会の責任主体（プレゼンテーション）：科学と社会の関係についての哲学的問題を、科学技術者としての観点から批判的に考察できる。	自己が主体的に参画していく社会について、基本的人権や民主主義などの基本原理を理解し、基礎的な政治・法・経済のしくみを説明できる。
		6週	科学技術と環境①:第四章　リスク化する「自然」―技術は未来をどのように変えるのか？：環境と技術をめぐる哲学的問題を、科学技術者の観点も用いながら批判的に考察できる	環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。
		7週	科学技術と環境②第四章　リスク化する「自然」―技術は未来をどのように変えるのか？（プレゼンテーション）：環境と技術をめぐる哲学的問題を、科学技術者の観点も用いながら批判的に考察できる	環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。
		8週	中間試験
	2ndQ
		9週	科学技術と技術者①:第五章　弱さを認めて強くなる：科学技術者の倫理について徳倫理学の観点からの主張を理解し、批判的に考察できる。	現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。
		10週	科学技術と技術者②:第五章　弱さを認めて強くなる（プレゼンテーション）：科学技術者の倫理について徳倫理学の観点からの主張を理解し、批判的に考察できる。	現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。
		11週	科学技術と技術者③:第六章　科学から科学技術へ、科学技術から「人間の学」へ：三木清の環境と技術に関する主張を理解し、批判的に考察できる。	現代社会の具体的な諸問題を題材に、自ら専門とする工学分野に関連させ、技術者倫理観に基づいて、取るべきふさわしい行動を説明できる。
		12週	科学技術と技術者④:第七章　人は人を生み、技術は自然を模倣する：アリストテレスの環境と技術者に関する主張を理解し、批判的に考察できる。	現代社会の具体的な諸問題を題材に、自ら専門とする工学分野に関連させ、技術者倫理観に基づいて、取るべきふさわしい行動を説明できる。
		13週	科学技術と技術者⑤:第八章　現状を批判的に捉え直し改善していくために：科学技術と人間の関係について、哲学的に考察できる。	技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を認識している。
		14週	第九章「人間の科学」のかたちを探して―ファシリテーションとは何をすることか：全講義を通して、科学技術者の観点から科学技術との関係について哲学的かつ批判的に自ら考察できる。	技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を認識している。
		15週	まとめ：全講義を通して、科学技術者の観点から科学技術との関係について哲学的かつ批判的に自ら考察できる。	社会における技術者の役割と責任を説明できる。
		16週	定期試験	レポート整理期間

評価割合

	試験	演習・レポート	合計
総合評価割合	40	60	100
基礎的能力	40	60	100
専門的能力	0	0	0
分野横断的能力	0	0	0