物理学Ⅰ

科目基礎情報

学校 北九州工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 物理学Ⅰ
科目番号 0076 科目区分 専門 / 必修
授業形態 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 生産デザイン工学科(電気電子コース) 対象学年 3
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 「新・基礎 力学 (ライブラリ新・基礎物理学)」 永田 一清(サイエンス社)
担当教員 小城 左臣

到達目標

1. ニュートンの運動の3法則を対象となる物体の状況に適用してその運動を方程式として記述することができる。
2. 微分・積分を用いて運動に関する物理量を導き出し、その意味を説明できる。
3. 各物理量、法則を用いて対象となる物体の運動・作用を説明、式として記述することができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1ニュートンの運動の3法則を、複合的条件を有する物体に適用してその運動を方程式として正しく記述することができる。ニュートンの運動の3法則を、基本的な条件を有する物体に適用してその運動を方程式として正しく記述することができる。ニュートンの運動の3法則の理解が不十分であり、また対象となる物体の条件に正しく適用することができず、方程式を立てることができない。
評価項目2微分・積分を用いて、授業で扱う全ての運動に関する物理量を正しく導き出し、その意味を正しく説明できる。微分・積分を用いて運動に関する重要な物理量を導き出し、その意味を説明できる。微分・積分を用いて運動に関する重要な物理量を導き出すことができない、あるいはその意味を正しく説明できない。
評価項目3各物理量、法則を用いて対象となる複合的な物体の運動・作用を説明、式として記述することができる。各物理量、法則を用いて対象となる基本的な物体の運動・作用を説明、式として記述することができる。対象となる物体の運動・作用を説明する各物理量、法則を正しく用いることができない、あるいは式として正しく記述することができない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 A① 数学・物理・化学などの自然科学、情報技術に関する基礎を理解できる。
学習・教育到達度目標 A② 自主的・継続的な学習を通じて、基礎科目に関する問題を解くことができる。

教育方法等

概要:
物理は各技術分野の基本となる学問である。2年次で学んだ力学の部分に対して微分積分、ベクトルを用いて数学的物理的 意味を明らかにすることで物理現象のより 本質的な理解と考察を目指し、電子の運動から天体の移動など様々な運動について学ぶ。
授業の進め方・方法:
物理現象の記述における数学の重要性と各物理量、保存量の導出過程を数式を用いながらその物理的意味を解説する。多 くの物理量がベクトルとして扱われ、微分積分を用いるので数学的理解を深めておくことが重要である。
注意点:
補助教材として動画資料やグループ学習用大判プリント教材(LSH)、課題などを活用しながら継続的に学習していくことが重要である。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス、物理と専門工学とのつながりについて、物理でのスカラー量とベクトル量の数学的取り扱いについて 力Fや質量mなど物理で扱う諸物理量についてスカラー量とベクトル量の分類ができ、その数学的取り扱いについて説明できる。専門工学(電気電子工学)における物理の考え方を理解して、その代表的な事項を説明できる。
2週 物理における微分積分と物理量 :運動の記述:位置、速度、加速度、躍度について、各運動の種類と分類について 微分積分の考えに基づき運動を記述する位置、速度、加速度、躍度について式を用いて説明、ある量から他量を求めることができる。これらの物理量から物体の運動を分類し、説明することができる
3週 運動方程式と基本法則:ニュートンの運動の3法則について、運動方程式と微分積分の利用について 第1、第2法則における微分としての考え方、第3法則における2体間の作用・反作用に基づき取り扱う各運動についてニュートンの運動の3法則を説明でき、微分方程式として運動方程式を記述できる。
4週 運動の考察と運動方程式:重力ある場合の各運動、座標系のとり方について 自由落下、放物運動など重力のある場合の運動について、運動方程式からその運動を説明できるとともに座標の取り方を変え、別の視点から運動を記述説明できる。空気抵抗がある場合に落下においても、微分方程式として運動方程式を解き、その運動を説明できる。
5週 運動の考察と運動方程式:滑車・糸でつながれた複数の物体に運動、互いに作用反作用を及ぼす場合の運動、摩擦力と互いに作用反作用を及ぼす場合の運動について 滑車・糸でつながれた複数の物体、互いに作用反作用を及ぼす場合の運動、摩擦力と互いに作用反作用を及ぼす場合の運動についての基本的な問題を学んだ事項を用いて解き、その運動・状態を説明できる。
6週 位置エネルギー、運動エネルギーと仕事について:位置エネルギー・運動エネルギー、運動方程式からの運動エネルギーの変化と外力の成す仕事の導出と利用 運方程式からの運動エネルギーの変化と外力の成す仕事の関係を導出することができ、重力による位置エネルギーが関係する基本的な問題で、運動方程式を使わずに位置の変化から速度の変化、またその逆の過程で運動を説明できる。
7週 運動の考察と運動量・力積について:運動量、運動方程式からの運動量の変化と力積の導出、電子の運動についての適用 運動量の定義を理解し、運動方程式からの運動量の変化と力積の関係を導出することができる。基本的な問題についてベクトルとしての運動量の変化と力積を説明して、解くことができる。また電界下における固体中の自由電子の運動について適用して、平均緩和時間、平均自由行程、ドリフト速度について説明できる。
8週 中間試験 試験範囲となった物理現象の説明と、関連する問題を解くことできる。また、理解が不足している点を確認して次の学習に結び付けることが出来る。
2ndQ
9週 運動量保存と分裂、衝突及びその種類、保存される量、及び運動の考察における利用について 運動量保存則を理解して、現象としての分裂、衝突における物体の運動について、保存される量とともに説明できる。衝突をその特徴・はねかえり係数の式から 分類して、それぞれの場合の運動を説明できる。
10週 運動量保存と衝突・分裂;1次元、2次元の衝突、工学的な利用について 1次元、2次元の場合の運動量保存と衝突・分裂について、基本的な事象、工学的な応用例の説明とそれらの問題を解いて物体の運動を説明ができる。
11週 質量中心・重心位置:工学における重心の重要性と図形、積分を用いた導出について 質量中心・重心位置の定義式を示し、工学における重心の重要性を説明できる。また基本的な形状の物体の重心位置を図形として、質量が連続して分布している物体(棒など)場合の重心位置を積分を用いて求めることが出来る。
12週 運動量保存、質量中心・重心を用いた物体の運動の考察:質量中心・重心位置を用いる物体の運動の記述について 静止状態から相互作用を及ぼし合いながら移動する物体の運動を運動量保存、質量中心・重心を適用して、(運動方程式を解かずに)説明することが出来る。
13週 運動量と重心速度 2体問題の考え方:換算質量、相対位置、重心運動から互いに作用反作用を及ぼす2つの物体の運動、地球と月の運動について 作用反作用を及ぼす2つの物体の運動方程式を換算質量、相対位置、重心運動を用いて記述し、それぞれの運動を求める式を導出できる。これらの概念、式を地球と月の運動に適用し、その運動を説明できる。
14週 問題演習I:前期中の学習事項の振り返りと演習(グループ学習)
学習した物理現象の説明、関連する問題を解くことできる。また、理解が不足している点を確認して次の学習に結び付けることが出来る。
15週 問題演習II:前期中の学習事項の振り返りと演習 学習した物理現象の説明、関連する問題を解くことできる。また、理解が不足している点を確認して次の学習に結び付けることが出来る。
16週 定期試験 試験範囲となった物理現象の説明と、関連する問題を解くことできる。また、理解が不足している点を確認して次の学習に結び付けることが出来る。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。3前1,前2
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。3前1,前2
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。3前2
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。3前2
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。3前2,前3
平均の速度、平均の加速度を計算することができる。3前2
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3前4
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3前4
物体に作用する力を図示することができる。3前4
力の合成と分解をすることができる。3前4
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。3前4,前5
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。3前4,前5
質点にはたらく力のつりあいの問題を解くことができる。3前4,前5
慣性の法則について説明できる。3前2
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。3前3
運動方程式を用いた計算ができる。3前3,前4
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。3前4
運動の法則について説明できる。3前3,前4
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。3前5
最大摩擦力に関する計算ができる。3前5
動摩擦力に関する計算ができる。3前5
仕事と仕事率に関する計算ができる。3前6
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。3前6
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。3前6
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。3前6
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3前6
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。3前6,前7,前9
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。3前7,前9,前10
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3前7,前9,前10
重心に関する計算ができる。3前11,前12,前13

評価割合

試験小テスト等演習・レポート発表相互評価合計
総合評価割合7003000100
基礎的能力7003000100
専門的能力000000
分野横断的能力000000