物理I

科目基礎情報

学校 北九州工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 物理I
科目番号 0013 科目区分 一般 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 4
開設学科 生産デザイン工学科(情報システムコース) 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 4
教科書/教材 「総合物理1」 植松恒夫 他(啓林館),「セミナー物理基礎+物理」 第一学習社編集部 (第一学習社)
担当教員 鎌田 慶宣,中村 裕之,菊地 真吏子,宮内 真人

到達目標

物理学の学習を通じて,自然現象を系統的,論理的に考えていく能力を養い,広く自然の諸現象を科学的に解明するための物理的な見方,考え方を見につけさせる.さらに,物理学は工学を学ぶための極めて重要な基礎であり,多くの分野において科学技術の発展に欠かせない知識であることを認識させることを基本目標とする.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1物理学の理論にそって自然現象を説明できる物理学の理論にそって自然現象を考えることができる物理学の理論にそって自然現象を考えることができない
評価項目2数式の物理的意味を説明できる数式の物理的意味を知っている数式の物理的意味を知らない
評価項目3物理量を正しく求めることができる物理量の求め方を知っている物理量の求め方を知らない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
物理学の学習を通じて,自然現象を系統的,論理的に考えていく能力を養い,広く自然の諸現象を科学的に解明するための物理的な見方,考え方を見につけ去る.さらに,物理学は工学を学ぶための極めて重要な基礎であり,多くの分野において科学技術の発展に欠かせない知識であることを認識させる.
授業の進め方・方法:
全員が理解する事を基本方針とする.そのために検定教科書を用いた講義により物理的な内容の理解に努め,問題演習,実験,小テストを折り込みながら講義を進める.また,講義内容に対して現実感を持たせるため,教員による模範実験(デモンストレーション)を随時織り込むほか,数回の一斉実験も行う.
注意点:
・授業で課せられる演習問題課題への提出が求められる.
・1日2問ノート,夏期課題,冬期課題を課します.提出日に遅れないようにして下さい.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
運動の表し方,平均の速度
・物理量のMKS単位系を使い分けることができる.
・時刻と位置の関係を表すことができる.
・平均の速さと瞬間の速さの違いを述べることができる.
2週 加速度,等速度,等加速度直線運動 ・加速度を求めることができる.
・物体の位置や速度の計算ができる.
・道のりなどを求めることができる.
3週 平面内の運動,相対速度 ・平面内を移動する質点の運動を位置の変化として表すことができる.
・速度ベクトルを表現することができ,合成速度を求めることができる.
・相対速度を求めることができる.
4週 落体運動,放物運動
小テスト(1)
・自由落下運動・鉛直投射した物体の位置や速度に関する計算ができる.
・水平投射した物体の位置や速度に関する計算ができる.
・斜方投射した物体の位置や速度に関する計算ができる.
・既習領域の問題を解くことができる.
5週 力の働きとつりあい,いろいろな力
実験:摩擦力と力のつりあい
・物体に作用する力を図示することができる.
・合力を求めることができる.
・釣り合いの状態の力を求めることができる.
・重力・弾性力・摩擦力・張力・浮力・圧力などのいろいろな力について計算ができる.
・測定データを適切に処理し報告書を書くことができる.
6週 運動の3法則,運動方程式の立て方, ・運動の3法則について説明できる.
・力が作用する物体の運動について,運動方程式を立てて解くことができる.
・互いに力を及ぼし合う物体の運動について,運動方程式を立てて解くことができる.
7週 剛体に働く力,力のモーメントのつりあい,物体の重心とつりあい ・質点・剛体について説明することができる.
・力のモーメントの釣り合いについて理解し,計算することができる.
・物体の重心について説明することができ,物体の重心とつりあいの状態にある力を求めることができる.
8週 中間試験 ・既習領域の問題を解くことができる.
2ndQ
9週 試験内容について解説
運動量と力積,運動量保存の法則
・試験内容を理解する
・物体の質量と速度から運動量を求めることができる.
・運動量の差が力積に等しいことに関する計算ができる.
・運動量の保存則を用いて,2物体の衝突問題を解くことができる.
10週 反発係数,斜め衝突 ・反発係数を用いて,衝突問題を解くことができる.
11週 仕事,運動エネルギー,位置エネルギー ・仕事や仕事率を求めることができる.
・位置エネルギーに関する計算ができる.
・運動エネルギーに関する計算ができる.
12週 力学的エネルギー保存の法則
小テスト(2)
・力学的エネルギー保存の法則を用いて,様々な物理量の計算に利用できる.
・既習領域の問題を解くことができる.
13週 熱と温度,ボイル・シャルルの法則,エネルギーの変換と保存の法則
実験:比熱の測定
・温度は熱運動の激しさを表す物理量であることがわかり,セルシウス温度を絶対温度への変換ができる.
・ボイルの法則・シャルルの法則を理解し,物質の状態変化の計算ができる.
・熱量・熱容量・比熱の違いがわかり計算ができる.
・エネルギーの変換と保存の法則を理解し,物体の比熱を求めることができる.
・測定データを適切に処理し報告書を書くことができる.
14週 気体分子の運動 ・気体の分子運動が,気体の状態を変化させ,気体の状態方程式を用いて計算できる.
15週 期末試験
・既習領域の問題を解くことができる.
16週 試験内容について解説
気体の状態変化
・試験内容を理解する
・気体の状態変化に対して,理想気体を説明できる.
・理想気体の状態方程式を用いて,状態の変化を計算できる.
・既習領域の問題を解くことができる.
後期
3rdQ
1週 等速円運動の角速度・速度・加速度 ・等速円運動をする物体の角速度,速度,加速度に関する計算ができる.
2週 向心力・慣性力・遠心力
円錐振り子
・等速円運動をする物体の周期,回転数,向心力に関する計算ができる.
・円錐振り子の物理的な意味を説明でき,計算ができる.
3週 ケプラーの法則 ・惑星の運動を理解し,ケプラーの法則を用いて計算することができる.
4週 万有引力と重力,万有引力の位置エネルギー ・万有引力を求めることができる.
・万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる.
5週 第1宇宙速度と第2宇宙速度
小テスト(3)
・第1宇宙速度,第2宇宙速度を理解し,計算により速度を求めることができる.
・既習領域の問題を解くことができる.
6週 単振動の速度・加速度,復元力 ・単振動における周期,振動数,速度,加速度,力の関係を求めることができる.
・単振動の位置,速度,加速度のグラフを書くことができる.
7週 ばね振り子
単振り子
単振動の力学的エネルギー
実験:単振り子の実験
・バネ振り子や単振り子の周期を求めることができる.
・単振動の力学的エネルギーを求めることができる.
・測定データを適切に処理し報告書を書くことができる.
8週 中間試験 .既習領域の問題を解くことができる.
4thQ
9週 試験内容について解説
波の性質,横波と縦波,
・中間試験の内容を理解する.
・波の波長,周期,振動数,速さについて説明できる.
・横波と縦波の違いについて説明できる.
10週 正弦波の式 ・正弦波の式を説明できる.
・波形のグラフを書くことができる.
11週 波の重ね合わせ
定常波・反射・屈折・干渉
ホイヘンスの原理
小テスト(4)
・波の重ね合わせを理解し,合成波形を作図できる.
・波の反射の法則について説明できる.
・2つの波の干渉によって,互いに強め合う条件と弱め合う条件を説明できる.
・定常波の振動の特徴を説明できる.
・ホイヘンスの原理によって屈折の法則と回折を説明できる.
・既習領域の問題を解くことができる.
12週 音の性質・反射・屈折・回折・干渉・うなり
弦の振動
・音の性質について説明できる.
・弦の長さと,弦を伝わる波の速さから,弦の固有振動数を求めることができる.
・共鳴,共振現象について具体例を上げることができる.
13週 気柱の共鳴
実験:気柱共鳴の実験
・気柱の長さと音速から,閉環・開館の固有振動数を求めることができる.
・開口端補正を求めることができる.
・測定データを適切に処理し報告書を書くことができる.
14週 ドップラー効果
ヤングの干渉,ニュートンリング
・ドップラー効果を説明することができる.
・ドップラー効果から,計算により速度,音速を求めることができる.
・自然光と偏光の違い位について説明できる.
・ヤングの干渉実験,回折格子について説明できる.
・屈折の法則に関する計算ができる.
・波長の違いによる分散現象によってスペクトルが生じることを理解している.
15週 定期試験 ・既習領域の問題を解くことができる.
16週 定期試験内容について開設 ・定期試験の内容を理解する

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。3前2
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。3前2
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。3前3
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。3前3
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。3後1
平均の速度、平均の加速度を計算することができる。3前1,前2
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3前4
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3前1,前4
物体に作用する力を図示することができる。3前5
力の合成と分解をすることができる。3前5
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。3前5
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。3前5
質点にはたらく力のつりあいの問題を解くことができる。3前5
慣性の法則について説明できる。3前6
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。3前6
運動方程式を用いた計算ができる。3前6
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。3後1
運動の法則について説明できる。3前6
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。3前5,前6
最大摩擦力に関する計算ができる。3前5,前6
動摩擦力に関する計算ができる。3前5,前6
仕事と仕事率に関する計算ができる。3前11,前12
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。3前11,前12
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。3前11,前12
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。3前11,前12
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3前11,前12
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。3前9
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。3前9
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3前9
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。3後1,後2
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。3後1,後2
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。3後1,後2
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる.3後3,後4,後5
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。3後3,後4,後5
力のモーメントを求めることができる。3前7
角運動量を求めることができる。3前7
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。3前7
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。3前7
重心に関する計算ができる。3前7
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。3前7
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。3前7
原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。3前13,前14
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。3前13,前14
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。3前13,前14
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。3前13,前14
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。3前13,前14
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。3前13
気体の内部エネルギーについて説明できる。3前13,前14
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。3前16
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。3前13,前16
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。3前13,前16
熱機関の熱効率に関する計算ができる。3前13,前16
波動波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。3後9
横波と縦波の違いについて説明できる。3後9
波の重ね合わせの原理について説明できる。3後1,後9
波の独立性について説明できる。3後9
2つの波が干渉するとき、互いに強めあう条件と弱めあう条件について計算できる。3後9
定常波の特徴(節、腹の振動のようすなど)を説明できる。3後9
ホイヘンスの原理について説明できる。3後11
波の反射の法則、屈折の法則、および回折について説明できる。3後11
弦の長さと弦を伝わる波の速さから、弦の固有振動数を求めることができる。3後12
気柱の長さと音速から、開管、閉管の固有振動数を求めることができる(開口端補正は考えない)。3後13
共振、共鳴現象について具体例を挙げることができる。3後13
一直線上の運動において、ドップラー効果による音の振動数変化を求めることができる。3後14
自然光と偏光の違いについて説明できる。3後14
光の反射角、屈折角に関する計算ができる。3前1,後14
波長の違いによる分散現象によってスペクトルが生じることを説明できる。3後14
物理実験物理実験測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。3前5,前13,後7,後13
安全を確保して、実験を行うことができる。3前5,前13,後7,後13
実験報告書を決められた形式で作成できる。3前5,前13,後7,後13
有効数字を考慮して、データを集計することができる。3前5,前13,後7,後13
力学に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3後7
熱に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3前13
波に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3後13
光に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3前1,後14
工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。1前5,前13,後7,後13
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。1前5,前13,後7,後13
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。1前5,前13,後7,後13
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。1前5,前13,後7,後13
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。1前5,前13,後7,後13
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。1前5,前13,後7,後13
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。1前5,前13,後7,後13
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。2前5,前13,後7,後13
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。2前5,前13,後7,後13
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。2前5,前13,後7,後13
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。2前5,前13,後7,後13

評価割合

試験発表相互評価態度演習・レポートその他合計
総合評価割合70000300100
基礎的能力0000000
専門的能力70000300100
分野横断的能力0000000