分析化学Ⅰ

科目基礎情報

学校 北九州工業高等専門学校 開講年度 平成29年度 (2017年度)
授業科目 分析化学Ⅰ
科目番号 0001 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 生産デザイン工学科(物質化学コース) 対象学年 3
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 「基礎からわかる分析化学」加藤正直、塚原聡共著、森北出版, 「新版 基礎分析化学演習」菅原正雄著、三共出版
担当教員 園田 達彦

到達目標

1.酸、塩基の各種平衡について理解し、酸、塩基、塩の水溶液および緩衝溶液のpHが計算できる。B①
2.中和滴定について原理を理解し、滴定曲線が書ける。B①
3.溶解度・溶解度積について理解し必要な計算ができる。B①
4.沈殿滴定について原理を理解し、溶液中に存在する化学種の濃度計算ができる。B①
5.沈殿による物質の分離方法について理解し、化学量論から沈殿量の計算ができる。B①

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1酸、塩基の複雑な平衡を平衡反応式で示すことができる。酸、塩基、塩が混ざった複雑な水溶液のpHを計算できる。酸、塩基の基本的な平衡を平衡反応式で示すことができる。基本的な酸、塩基、塩の水溶液および緩衝溶液のpHを計算できる。酸、塩基の各種平衡について理解できず、酸、塩基、塩の水溶液および緩衝溶液のpHが計算できない。
評価項目2中和滴定の原理を理解し、複雑な系においても滴定曲線が書ける。中和滴定の基本的な原理を説明でき、滴定曲線が書ける。中和滴定について原理を理解できず、滴定曲線が書けない。
評価項目3複雑な系においても溶解度・溶解度積に関する計算ができる。溶解度・溶解度積に関する基本的な計算ができる。溶解度・溶解度積について理解できず、必要な計算ができない。
評価項目4沈殿滴定について十分に理解し、溶液中に存在する化学種の濃度計算ができる。沈殿滴定について、溶液中に存在する化学種の濃度計算ができる程度に原理を理解できる。沈殿滴定について原理を理解できず、溶液中に存在する化学種の濃度計算ができない。
評価項目5沈殿による物質の分離方法について十分に理解し、化学量論から沈殿量の計算ができる。沈殿による物質の分離方法について、化学量論から沈殿量の計算ができる程度に理解できる。沈殿による物質の分離方法について理解できず、化学量論から沈殿量の計算ができない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程の教育目標 B① 専門分野における工学の基礎を理解できる。

教育方法等

概要:
代表的な2つの化学反応(酸塩基反応、沈殿溶解反応)を通して、化学平衡についての基本的な理論を学び、平衡定数、物質収支、電荷収支から水溶液中の化学種濃度を計算する方法を理解させる。また、容量分析(中和滴定、沈殿滴定)、および重量分析の原理を理解させる。
授業の進め方・方法:
教科書に沿って講義を行う。原理の説明が中心となる。授業のみでは演習量が不足しがちなので、定期的に自学自習用の課題を課す。同時期開講の物質化学演習Iでも演習を行う。
注意点:
1、2年生で履修したモルおよびモル濃度の概念、化学反応式の書き方、化学反応の量的関係およびルシャトリエの平衡移動の法則について、よく復習しておくこと。また、連立方程式の解法を理解しておくこと。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 濃度について(平衡濃度と分析濃度、濃度の表記方法)
化学平衡の基礎
平衡濃度と分析濃度を区別できる。
様々な定義で濃度を表現できる。
平衡状態、ルシャトリエの原理、平衡定数と平衡濃度の関係式を理解できる。
2週 酸塩基の定義
水の解離反応とpH
酸、塩基の定義を理解できる。
水の解離反応およびpHを理解できる。
3週 強酸・強塩基の水溶液のpH
電荷均衡(電荷収支式)
電荷均衡(電荷収支式)を理解し、式を立てられる。
強酸・強塩基の水溶液のpHを計算できる。
4週 弱酸・弱塩基の水溶液のpH
質量均衡(物質収支式)
質量均衡(物質収支式)を理解し、式を立てられる。
弱酸・弱塩基の水溶液のpHを計算できる。
5週 弱酸の塩の水溶液のpH
弱塩基の塩の水溶液のpH
弱酸の塩、または弱塩基の塩の水溶液のpHを計算できる。
6週 弱酸とその塩を含む水溶液のpH
緩衝溶液
弱酸とその塩を含む水溶液のpHを計算できる。
緩衝溶液の性質を理解できる。
7週 多塩基弱酸の水溶液のpH
多酸弱塩基の水溶液のpH
多塩基弱酸の塩の水溶液のpH
多塩基弱酸または多酸弱塩基の水溶液のpHを計算できる。
多塩基弱酸の塩の水溶液のpHを計算できる。
8週 中間試験 1~7週までの内容を網羅した試験により、授業内容の定着を図る。
2ndQ
9週 弱酸の解離度
多塩基酸組成のpH依存性
弱酸の解離度、多塩基酸組成を理解し、各化学種の存在割合とpHの関係をグラフで表現できる。
10週 中和滴定と酸塩基指示薬 中和滴定の滴定曲線を計算できる。
酸塩基指示薬の検出原理を説明できる。
11週 沈殿平衡と溶解度積 沈殿平衡を理解し、溶解度積から難水溶性物質の溶解度を計算できる。
12週 分別沈殿 分別沈殿を理解し、溶解度積から分別沈殿が可能な沈殿剤の濃度範囲を計算できる。
13週 沈殿滴定と指示薬 沈殿滴定の滴定曲線を計算できる。
指示薬の検出原理を説明できる。
14週 重量分析 重量分析の原理を理解し、化学量論から沈殿量の計算ができる。
15週 期末試験 9~14週までの内容を網羅した試験により、授業内容の定着を図る。
16週 期末試験内容についての解説 期末試験の内容を理解する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野分析化学電離平衡と活量について理解し、物質量に関する計算ができる。3前1
溶解度・溶解度積について理解し必要な計算ができる。4前12
沈殿による物質の分離方法について理解し、化学量論から沈殿量の計算ができる。4前14
強酸、強塩基および弱酸、弱塩基についての各種平衡について説明できる。4前4
強酸、強塩基、弱酸、弱塩基、弱酸の塩、弱塩基の塩のpHの計算ができる。4前7
緩衝溶液とpHの関係について説明できる。4前6
陽イオンや陰イオンの関係した化学反応について理解し、溶液中の物質の濃度計算(定量計算)ができる。4前13
中和滴定についての原理を理解し、酸及び塩基濃度の計算ができる。4前10
物理化学平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる。3前1
諸条件の影響(ルシャトリエの法則)を説明できる。3前1

評価割合

試験課題相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合75250000100
基礎的能力0000000
専門的能力75250000100
分野横断的能力0000000