有機化学Ⅱ

科目基礎情報

学校 北九州工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 有機化学Ⅱ
科目番号 0006 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 生産デザイン工学科(物質化学コース) 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 「マクマリー有機化学概説(第6版)」John McMurry著、東京化学同人/ 「『有機化学』ワークブック」奥山 格著、丸善出版
担当教員 竹原 健司

到達目標

1. 有機化合物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明でき、それらの化合物についてIUPACの命名法に基づき名前と構造の相互変換ができる 。
2. 混成軌道に基づく結合様式の種類や分子の構造について説明できる。
3. 分子の三次元的構造がイメージでき、構造異性体や幾何異性体、立体配座が説明できる。
4. アルケン・アルキンに関する性質および代表的な反応が説明できる。
5. アルケン・アルキンの反応に関して、その反応機構を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1IUPACの命名法に基づき、授業で学習していない有機化合物の名前と構造の相互変換ができる。IUPACの命名法に基づき、学習した有機化合物の名前と構造の相互変換ができる。有機化合物の名前と構造の相互変換ができない。
評価項目2混成軌道に基づく結合様式や分子の三次元的構造について説明できる。混成軌道に基づいて結合様式を説明できる。混成軌道に基づく結合様式や分子の構造について説明できない。
評価項目3分子の三次元的構造がイメージでき、構造異性体や幾何異性体、立体配座が説明できる。構造異性体や幾何異性体、立体配座を区別できる。構造異性体や幾何異性体、立体配座を区別できない。
評価項目4アルケン・アルキンに関する性質や代表的な反応の生成物を示すことができ、その違いや理由を説明できる。アルケン・アルキンに関する性質や代表的な反応の生成物を示すことができる。アルケン・アルキンに関する性質や代表的な反応の生成物を示すことができない。
評価項目5アルケン・アルキンの反応に関して、その反応機構を記述でき、電子論に基づいて説明できる。アルケン・アルキンの反応に関して、その反応機構を記述できる。アルケン・アルキンの反応に関して、その反応機構を示すことができない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程の教育目標 A① 数学・物理・化学などの自然科学、情報技術に関する基礎を理解できる。
準学士課程の教育目標 A② 自主的・継続的な学習を通じて、基礎科目に関する問題を解くことができる。
準学士課程の教育目標 B① 専門分野における工学の基礎を理解できる。
準学士課程の教育目標 B② 自主的・継続的な学習を通じて、専門工学の基礎科目に関する問題を解くことができる。

教育方法等

概要:
 プラスチック、医薬・農薬、香料、燃料等として利用され、また生命科学の現象を理解するための基礎となる有機化合物の構造とその性質・反応について、系統的に学習する。前学期の「有機化学Ⅰ」で学んだ原子軌道や結合の概念、有機化合物の基本構造と IUPAC の命名法、酸と塩基に関する考え方を基にして、有機化合物の立体構造、炭化水素の構造と反応および物性を理解するための誘起効果と共鳴効果について講義する。
授業の進め方・方法:
 基本的に講義形式で進めるが、授業中質問をしながら理解の様子を確認する。必要に応じてPowerPoint資料、分子模型を使用する。内容の理解を深め、理解度を自己チェックさせるために、授業中に演習・小テスト を実施し、長期休暇時にはレポートを課す。WebClass上に自習問題や演習解答、講義資料等を置くので自学自習の助けにして欲しい。
注意点:
 基本的に放課後のいつでも質問を受け付けます。授業中の質問も歓迎します。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 講義ガイダンス
基礎事項の確認と復習
講義の目標と概要について把握できる。
既習事項の理解度について自己チェックできる。
2週 有機化合物の性質 アルカン(3)
シクロアルカンの命名と立体化学
シクロアルカンのIUPAC名と構造式の相互変換ができ、そのシス-トランス異性について理解できる。
3週 有機化合物の性質 アルカン(4)
シクロアルカンの立体配座
シクロアルカン特にシクロヘキサンの立体配座と安定性について説明できる。
4週 有機反応の性質 アルケン(1)
命名法と性質および構造
アルケンのIUPAC名と構造式の相互変換ができ、そのシス-トランス異性について理解できる。
5週 有機反応の性質 アルケン(2)
順位則、有機反応の種類
順位則を用いてアルケンにE,Z命名法を適用できる。一般的な有機反応の種類を挙げ、区別できる。
6週 有機反応の性質 アルケン(3)
有機反応の機構
反応機構の意味を理解し、巻矢印を用いて電子の動きを記述できる。
7週 有機反応の性質 アルケン(4)
反応の表し方
反応の進み方を反応エネルギー図を用いて示すことやその意味を理解することができる。
8週 中間試験 1〜7週までの内容を網羅した試験により、授業内容の理解 度を評価する。
4thQ
9週 中間試験内容についての解説
アルケンの反応(1)ハロゲン化水素化とマルコウニコフ則
中間試験の内容を振り返り、より深く理解できる。ハロゲン化水素化生成物をマルコウニコフ則に従って予測できる。
10週 アルケンの反応(2)カルボカチオン中間体、水和、ハロゲン化 カルボカチオンの構造と安定性を説明できる。アルケンの水和およびハロゲン化の反応機構に基づき生成物を予測できる。
11週 アルケンの反応(3)水素化(還元)、酸化 アルケンの水素化及び酸化の生成物を予測できる。
12週 共役ジエンの反応(1)共役とは、求電子付加反応 共役ジエンと非共役ジエンを区別できる。共役ジエンの求電子付加の特徴を説明できる。
13週 共役ジエンの反応(2)アリル型カルボカチオンの共鳴と共鳴形の書き方 共役ジエンの求電子付加の中間体とその共鳴形を記述でき、反応機構を示すことができる。
14週 アルキンの反応(1)命名法と反応 アルキンのIUPAC名と構造式の相互変換ができ、その反応の生成物を予測できる。
15週 定期試験 8〜14週までの内容を網羅した試験により、授業内容の理 解度を評価する。
16週 定期試験内容についての解説 定期試験内容を振り返り、より深く理解できる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。3
代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造から名前、名前から構造の変換ができる。3
σ結合とπ結合について説明できる。3
混成軌道を用い物質の形を説明できる。3
誘起効果と共鳴効果を理解し、結合の分極を予測できる。3
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。3
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。3
共鳴構造について説明できる。3
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。3
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。2
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。2
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。2

評価割合

試験小テストレポート態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合701515000100
基礎的能力0000000
専門的能力701515000100
分野横断的能力0000000