概要:
化学の基礎は物理にあるといってもよい。これから学ぶ多くの化学的な知識や現象は広く物理化学を基礎とし、時として現象だけではなく、数字や数式で表現される。この演習科目では、多くの化学系科目の基礎となる単元のうち、物理量を表現するための単位およびその換算、さまざまなエネルギーの形態に関する定義や物理的意味、気体の状態方程式、そして熱力学のもっともベースとなる内部エネルギーやエントロピーについて、さまざまな演習問題を通して理解を深める。
授業の進め方・方法:
授業時間の1~3割を前回の復習、2~3割を要点の解説、残りを演習問題の解答に充てる予定である。演習問題は授業時間と放課後学習ならびに自宅学習により完答し、次の授業で提出するものとする。演習の解答中は教員もしくは学友とのディスカッションを認める。
注意点:
数学や物理の基礎的な内容も各自で補完しながら理解を深めて欲しい。化学の面白さは科学的な基礎を積み重ねることでおのずと見えてくるものである。
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 有機化学 | 有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。 | 4 | |
代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造から名前、名前から構造の変換ができる。 | 4 | |
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。 | 4 | |
高分子化合物がどのようなものか説明できる。 | 3 | |
代表的な高分子化合物の種類と、その性質について説明できる。 | 3 | |
無機化学 | 価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。 | 3 | |
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質を説明できる。 | 3 | |
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。 | 3 | |
イオン結合と共有結合について説明できる。 | 3 | |
基本的な化学結合の表し方として、電子配置をルイス構造で示すことができる。 | 4 | |
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比など基本的な計算ができる。 | 3 | |
水素結合について説明できる。 | 4 | |
代表的な元素の単体と化合物の性質を説明できる。 | 3 | |
分析化学 | 酸化還元滴定についての原理を理解し、酸化剤及び還元剤の濃度計算ができる。 | 4 | |
物理化学 | 気体の法則を理解して、理想気体の方程式を説明できる。 | 3 | |
気体の分子速度論から、圧力を定義して、理想気体の方程式を証明できる。 | 3 | |
実在気体の特徴と状態方程式を説明できる。 | 3 | |
混合気体の分圧の計算ができる。 | 3 | |
熱力学の第一法則の定義と適用方法を説明できる。 | 3 | |
エンタルピーの定義と適用方法を説明できる。 | 3 | |
化合物の標準生成エンタルピーを計算できる。 | 3 | |
エンタルピーの温度依存性を計算できる。 | 3 | |
内部エネルギー、熱容量の定義と適用方法を説明できる。 | 3 | |
反応速度の定義を理解して、実験的決定方法を説明できる。 | 3 | |
電池反応と電気分解を理解し、実用例を説明できる。 | 3 | |
化学工学 | SI単位への単位換算ができる。 | 3 | |