1. 物理化学実験で取扱う物理化学の基礎理論を理解する。
2. 実験手法、データ整理・解析法を修得し、実験結果の考察ができること。
概要:
物質の状態やエネルギー、反応速度や化学平衡などを理論的・解析的に取り扱う物理化学は、物質・材料化学や化学工学の分野でその基礎となる非常に重要な科目である。本実験では、講義で学習した物質の挙動や物性値(熱力学データ)を実際に観測、測定し、解析して値を求めることによってその内容の理解を深めることを目的とする。また、身近な材料である高分子(プラスチック)の合成、液晶(光学の基礎を含む)および自然放射線の測定(安全教育を含む)に関する実験も行う。
授業の進め方・方法:
11テーマの実験を10班(2人組を2組で1班)のローテーションで行う。毎回実験を始める前には予習状況を点検し、実験中には内容に関して適宜質問を行う。実験終了後、各班の実験結果の点検と試問を行い、実験内容の理解を確認する。実験結果と考察を含むレポートを1週間以内に提出すること。レポートの内容に不備が認められる学生には、再レポートを課す。各レポートの受理により各実験の終了とする。最終週では実験に関する試験を行う。
注意点:
式や用語の丸暗記ではなく、物理化学で現れる式や概念の持つ物理的意味を理解できていること。
全ての実験を行い、適切なレポートを全て提出すること。
各実験の達成目標に対する理解度をレポート、口頭試問及び試験で総合評価し、60 点以上を合格とする。
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。 | 3 | |
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。 | 3 | |
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。 | 3 | |
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。 | 3 | |
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。 | 3 | |
専門的能力 | 分野別の工学実験・実習能力 | 化学・生物系分野【実験・実習能力】 | 物理化学実験 | 温度、圧力、容積、質量等を例にとり、測定誤差(個人差・器差)、実験精度、再現性、信頼性、有効数字の概念を説明できる。 | 4 | |
各種密度計(ゲールサック、オストワルド等)を用いて、液体および固体の正確な密度を測定し、測定原理を説明できる。 | 4 | |
粘度計を用いて、各種液体・溶液の粘度を測定し、濃度依存性を説明できる。 | 4 | |
熱に関する測定(溶解熱、燃焼熱等)をして、定量的に説明できる。 | 4 | |
分子量の測定(浸透圧、沸点上昇、凝固点降下、粘度測定法等)により、束一的性質から分子量を求めることができる。 | 4 | |
相平衡(液体の蒸気圧、固体の溶解度、液体の相互溶解度等)を理解して、平衡の概念を説明できる。 | 4 | |
基本的な金属単極電位(半電池)を組み合わせ、代表的なダニエル電池の起電力を測定できる。また、水の電気分解を測定し、理論分解電圧と水素・酸素過電圧についても説明できる。 | 4 | |
反応速度定数の温度依存性から活性化エネルギーを決定できる。 | 4 | |