到達目標
1. 実験の基礎知識(安全防具の使用法、薬品、火気の取り扱い、整理整頓)を持っている。
2. 滴定、抽出、再結晶、吸引ろ過、撹拌、蒸留、融点測定などの基本操作ができる。
3. レポート作成の手順を理解し、レポートを作成できる。
4. 試薬の調製ができる。
5. 実験内容をよく理解し、正しい操作で信頼できる結果を求められる。
6. 実験経過を観察し、観察結果をわかりやすくノートにまとめられる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
安全、作業効率 | 安全に注意してかつノートをこまめに記録するなど効果的に実験を行うことができる。 | 安全に注意して実験を行うことができる。 | 安全に実験を行うことができない。 |
有機化合物の分離 | 有機化合物の極性を考慮してクロマトグラフィーの流出順を説明できる。 | クロマトグラフィーによる有機化合物の分離ができる。 | クロマトグラフィーができない。 |
有機化合物の合成 | 再結晶、吸引ろ過、撹
拌、蒸留などの基本操作を組み合わせて有機化学反
応が行えることを理解
できる。 | 再結晶、吸引ろ過、撹
拌、蒸留などの基本操作ができる。 | 再結晶、吸引ろ過、撹
拌、蒸留などの基本操作ができない。 |
キレート滴定 | キレート滴定の基本操作ができ、未知試料の濃度を計算できる。
詳細な考察ができる。 | キレート滴定の基本操作ができ、未知試料の濃度を計算できる。
基本的な考察ができる。 | キレート滴定の原理が理解できない。 |
吸光分析 | 吸光分析の基本操作ができる。
データの定性的、定量的な解析ができる。
詳細な考察ができる。 | 吸光分析の基本操作ができる。
データの定性的、定量的な解析ができる。 | 吸光分析の基本的な操作ができない。 |
化学電池 | ダニエル電池の起電力を測定できる。
詳細な考察ができる。 | ダニエル電池の起電力を測定できる。
原理に基づいた基本的な考察ができる。 | 化学電池の基本的な原理が理解できない。 |
数値の取り扱い(再現性、信頼性) | 実験で得られた測定値を使って、再現性、信頼性の説明ができる。 | 再現性、信頼性の概念を理解できる。 | 再現性、信頼性の概念を理解できない。 |
レポート | 客観的なデータと自分の考えを織り交ぜながら考察することができる。 | 全ての実験についてレポートを書いて、期限までに提出することができる。 | 全ての実験レポートを提出できない。 |
学科の到達目標項目との関係
準学士課程の教育目標 B① 専門分野における工学の基礎を理解できる。
準学士課程の教育目標 B② 自主的・継続的な学習を通じて、専門工学の基礎科目に関する問題を解くことができる。
準学士課程の教育目標 C① 実験や実習を通じて、問題解決の実践的な経験を積む。
準学士課程の教育目標 C② 機器類(装置・計測器・コンピュータなど)を用いて、データを収集し、処理できる。
準学士課程の教育目標 C③ 実験結果から適切な図や表を作り、専門工学基礎知識をもとにその内容を考察することができる。
準学士課程の教育目標 C④ 実験や実習について、方法・結果・考察をまとめ、報告できる。
準学士課程の教育目標 E② 日本語で論理的に記述し、報告・討論できる。
教育方法等
概要:
1、2年次に履修した「化学」と「工学基礎実験I、II」を基礎とし、3年次履修科目である「分析化学」、「無機化学」、「有機化学」の基本事項について実験を通して学習することを目的とする。基本操作の一部は「物質化学実験I」で履修したことを繰り返し学習する。分析化学分野では、化学反応の量的関係、濃度計算と物質収支、機器分析実験について理解を深める。無機化学分野では、錯体の合成、化学電池について理解を深める。有機化学分野では抽出、撹拌、再結晶、吸引ろ過、蒸留などの基本操作を学習するとともに有機化合物の基本的性質について理解を深める。
授業の進め方・方法:
実験操作、理論の説明と実験を交互に行うことで理解を深める助けとする。データ整理のためにノート、電卓、グラフ用紙が必要な場合があるので準備しておくこと。
注意点:
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
ガイダンス |
物質化学実験IIの内容について理解できる。
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2週 |
光合成色素の分離実験(1) |
カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーの基本操作ができる。
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3週 |
光合成色素の分離実験(2) |
カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーについて理解できる。
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4週 |
臭化ブチルの合成(1) |
加熱還流、抽出、蒸留ができる。
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5週 |
臭化ブチルの合成(2) |
ハロゲン化アルキルの反応について理解できる。
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6週 |
風邪薬・湿布薬の合成(1) |
加熱還流、抽出、蒸留、再結晶ができる。
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7週 |
風邪薬・湿布薬の合成(2) |
カルボン酸誘導体とアルコールの反応について理解できる。
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8週 |
融点測定と混融試験 |
融点測定、混融試験について理解できる。
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4thQ |
9週 |
キレート滴定と吸光分析(1) |
キレート滴定による溶液内の金属イオン濃度の計算ができる。 吸光度測定による分析ができる。
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10週 |
キレート滴定と吸光分析(2) |
再現性、信頼性の概念を理解できる。
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11週 |
化学電池(1) |
ダニエル電池の構造、反応について理解できる。起電力が測定できる。
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12週 |
化学電池(2) |
再現性、信頼性の概念を理解できる。
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13週 |
工場見学 |
見学した企業の概要について理解できる。
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14週 |
定量分析総まとめ実験(1) |
物質化学実験I、IIで履修した内容をもとに、定量分析の実験計画を立案できる。
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15週 |
定量分析総まとめ実験(2) |
物質化学実験I、IIで履修した内容をもとに、定量分析の実験計画に沿って実験を行い、結果について検証できる。
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16週 |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 化学実験 | 化学実験 | 実験の基礎知識(安全防具の使用法、薬品、火気の取り扱い、整理整頓)を持っている。 | 3 | |
事故への対処の方法(薬品の付着、引火、火傷、切り傷)を理解し、対応ができる。 | 3 | |
測定と測定値の取り扱いができる。 | 3 | |
有効数字の概念・測定器具の精度が説明できる。 | 3 | |
レポート作成の手順を理解し、レポートを作成できる。 | 3 | |
ガラス器具の取り扱いができる。 | 3 | |
基本的な実験器具に関して、目的に応じて選択し正しく使うことができる。 | 3 | |
試薬の調製ができる。 | 3 | |
代表的な気体発生の実験ができる。 | 3 | |
代表的な無機化学反応により沈殿を作り、ろ過ができる。 | 3 | |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 分析化学 | 錯体の生成について説明できる。 | 4 | |
キレート滴定についての原理を理解し、金属イオンの濃度計算ができる。 | 4 | |
光吸収について理解し、代表的な分析方法について説明できる。 | 4 | |
Lambert-Beerの法則に基づく計算をすることができる。 | 4 | |
分野別の工学実験・実習能力 | 化学・生物系分野【実験・実習能力】 | 有機化学実験 | 加熱還流による反応ができる。 | 4 | |
蒸留による精製ができる。 | 4 | |
薄層クロマトグラフィによる反応の追跡ができる。 | 4 | |
融点または沸点から生成物の確認と純度の検討ができる。 | 4 | |
分析化学実験 | キレート滴定を理解し、錯体の濃度の計算ができる。 | 4 | |
物理化学実験 | 温度、圧力、容積、質量等を例にとり、測定誤差(個人差・器差)、実験精度、再現性、信頼性、有効数字の概念を説明できる。 | 4 | |
各種密度計(ゲールサック、オストワルド等)を用いて、液体および固体の正確な密度を測定し、測定原理を説明できる。 | 4 | |
粘度計を用いて、各種液体・溶液の粘度を測定し、濃度依存性を説明できる。 | 4 | |
熱に関する測定(溶解熱、燃焼熱等)をして、定量的に説明できる。 | 4 | |
分子量の測定(浸透圧、沸点上昇、凝固点降下、粘度測定法等)により、束一的性質から分子量を求めることができる。 | 4 | |
相平衡(液体の蒸気圧、固体の溶解度、液体の相互溶解度等)を理解して、平衡の概念を説明できる。 | 4 | |
基本的な金属単極電位(半電池)を組み合わせ、代表的なダニエル電池の起電力を測定できる。また、水の電気分解を測定し、理論分解電圧と水素・酸素過電圧についても説明できる。 | 4 | 後11 |
反応速度定数の温度依存性から活性化エネルギーを決定できる。 | 4 | |
評価割合
| 安全面への配慮 | 基本技術の習得 | 実験計画の立案・実行・検証 | レポート | 合計 |
総合評価割合 | 6 | 24 | 10 | 60 | 100 |
基礎的能力 | 6 | 0 | 0 | 0 | 6 |
専門的能力 | 0 | 24 | 10 | 60 | 94 |