物質化学実験Ⅰ

科目基礎情報

学校 北九州工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 物質化学実験Ⅰ
科目番号 0044 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 生産デザイン工学科(物質化学コース) 対象学年 3
開設期 前期 週時間数 4
教科書/教材 続 実験を安全に行うために 化学同仁編集部編
担当教員 大川原 徹,園田 達彦,竹原 健司,石井 宏幸

到達目標

1. 実験の基礎知識(安全防具の使用法、薬品、火気の取り扱い、整理整頓)を持ち、安全かつ効率的に実験が出来る。
2. ガラス器具を正しく扱うことができる。
3. 加熱還流、蒸留、抽出、再結晶、吸引ろ過、薄層クロマトグラフィーなどの基本操作ができる。
4. 収率の計算ができる。
5. 実験内容について事前に予習レポートとしてまとめることができる。
6. レポート作成の手順を理解し、指定された期限内にすべての本レポートを作成・提出できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
安全、作業効率安全に注意して効果的に実験を行うことができる。安全に注意して実験を行うことができる。安全に実験を行うことができない。
ガラス器具の取り扱いガラス器具の名称を理解しそれらの扱い方を理解できる。ガラス器具の名称を理解できる。ガラス器具の名称を理解できない。
有機化学実験の基本操作加熱還流、蒸留、抽出、再結晶、吸引ろ過、融点測定、クロマトグラフィーなどを組み合わせて有機化学実験ができる。加熱還流、蒸留、抽出、再結晶、吸引ろ過、融点測定、クロマトグラフィーの基本操作ができる。加熱還流、蒸留、抽出、再結晶、吸引ろ過、融点測定、クロマトグラフィーの基本操作ができない。
収率計算収率を計算し、考察することができる。収率を計算することができる。収率を計算することができない。
予習レポート実験書の内容を理解するとともに、文献を参照しながら予習し、レポートにまとめることができる。実験書の内容を予習し、レポートにまとめることができる。実験書の内容を予習し、レポートにまとめることができない。
本レポート全ての実験についてレポートを書いて、期限までに提出するとともに、客観的なデータと自分の考えを織り交ぜながら考察することができる。全ての実験についてレポートを書いて、期限までに提出することができる。1つでも実験レポートを提出できない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程の教育目標 B① 専門分野における工学の基礎を理解できる。
準学士課程の教育目標 B② 自主的・継続的な学習を通じて、専門工学の基礎科目に関する問題を解くことができる。
準学士課程の教育目標 C① 実験や実習を通じて、問題解決の実践的な経験を積む。
準学士課程の教育目標 C② 機器類(装置・計測器・コンピュータなど)を用いて、データを収集し、処理できる。
準学士課程の教育目標 C③ 実験結果から適切な図や表を作り、専門工学基礎知識をもとにその内容を考察することができる。
準学士課程の教育目標 C④ 実験や実習について、方法・結果・考察をまとめ、報告できる。
準学士課程の教育目標 E② 日本語で論理的に記述し、報告・討論できる。

教育方法等

概要:
1、2年次に履修した「化学」と「工学基礎実験I、II」を基礎とし、3年次履修科目である「分析化学」、「有機化学」の基本事項について実験を通して学習することを目的とする。分析化学分野では、化学反応の量的関係、濃度計算物質収支について理解を深める。有機化学分野では加熱還流、蒸留、抽出、再結晶、吸引ろ過、クロマトグラフィーなどの基本操作を学習するとともに有機化合物の基本的性質、反応機構の記述方法について理解を深める。また、各種合成実験を通してものづくりの基礎を学ぶ。
授業の進め方・方法:
理論の解説と実験を交互に行うことで理解を深める助けとする。データ整理のためにノート、電卓、定規が必要な場合があるので準備しておくこと。
注意点:

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス 物質化学実験Iの内容について理解できる。ガラス器具の正しい取り扱いについて理解できる。
2週 有機化合物の性質(1) 有機化合物の物理的、化学的性質について理解できる。
3週 有機化合物の性質(2) 有機化合物の物理的、化学的性質について理解できる。有機化合物の分析ができる。
4週 光合成色素の分離(1) 有機化学実験の基本操作(カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー)ができる。
5週 光合成色素の分離(2) 光合成色素の分離実験について理解できる。
6週 有機化合物の抽出分離(1) 有機化学実験の基本操作(抽出)ができる。有機化合物の分析ができる。
7週 有機化合物の抽出分離(2) 有機化合物の酸塩基反応について理解できる。
8週 合成実験(1) 有機化学実験の基本操作(加熱還流、ろ過、再結晶)ができる。収率の計算ができる。
2ndQ
9週 合成実験(2) 有機化学実験の基本操作(加熱還流、蒸留、抽出、吸引ろ過)ができる。収率の計算ができる。
10週 合成実験(3) 反応機構の記述方法について理解できる。
11週 融点測定と混融試験 有機化学実験の基本操作(融点測定)ができる。
12週 総まとめ実験(1) 合成実験の計画を立てられる。
13週 総まとめ実験(2) 物質化学実験Iで学習した基本的な実験操作、原理、化学反応を実践できる。
14週 総まとめ実験(3) 物質化学実験Iで学習した基本的な実験操作、原理、化学反応を実践できる。
15週 工場見学 見学した企業の概要について理解できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学実験化学実験実験の基礎知識(安全防具の使用法、薬品、火気の取り扱い、整理整頓)を持っている。3
事故への対処の方法(薬品の付着、引火、火傷、切り傷)を理解し、対応ができる。3
測定と測定値の取り扱いができる。3
有効数字の概念・測定器具の精度が説明できる。3
レポート作成の手順を理解し、レポートを作成できる。3
ガラス器具の取り扱いができる。3
基本的な実験器具に関して、目的に応じて選択し正しく使うことができる。3
試薬の調製ができる。3
代表的な気体発生の実験ができる。3
代表的な無機化学反応により沈殿を作り、ろ過ができる。3
工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。3
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。3
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。3
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。3
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。3
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。3
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。3
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。3
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。3
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。2
代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造から名前、名前から構造の変換ができる。2
σ結合とπ結合について説明できる。2
混成軌道を用い物質の形を説明できる。2
誘起効果と共鳴効果を理解し、結合の分極を予測できる。2
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。2
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。2
共鳴構造について説明できる。2
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。2
芳香族性についてヒュッケル則に基づき説明できる。2
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。2
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。2
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。2
代表的な反応に関して、その反応機構を説明できる。2
電子論に立脚し、構造と反応性の関係が予測できる。2
反応機構に基づき、生成物が予測できる。2
分析化学光吸収について理解し、代表的な分析方法について説明できる。2
Lambert-Beerの法則に基づく計算をすることができる。2
溶媒抽出を利用した分析法について説明できる。2
分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】有機化学実験加熱還流による反応ができる。4
蒸留による精製ができる。4
吸引ろ過ができる。4
再結晶による精製ができる。4
分液漏斗による抽出ができる。4
薄層クロマトグラフィによる反応の追跡ができる。4
融点または沸点から生成物の確認と純度の検討ができる。4
収率の計算ができる。4

評価割合

安全面への配慮基本技術の習得レポート合計
総合評価割合62470100
基礎的能力6006
専門的能力0247094