物質化学実験Ⅱ

科目基礎情報

学校 北九州工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 物質化学実験Ⅱ
科目番号 0045 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 生産デザイン工学科(物質化学コース) 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 4
教科書/教材 続 実験を安全に行うために 化学同仁編集部編
担当教員 大川原 徹,園田 達彦,竹原 健司

到達目標

1. 実験の基礎知識(安全防具の使用法、薬品、火気の取り扱い、整理整頓)を持っている。
2. 滴定、抽出、再結晶、吸引ろ過、撹拌、電圧測定、吸光度測定などの基本操作ができる。
3. レポート作成の手順を理解し、レポートを作成できる。
4. 試薬の調製ができる。
5. 実験内容をよく理解し、正しい操作で信頼できる結果を求められる。
6. 実験経過を観察し、観察結果をわかりやすくノートにまとめられる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
安全、作業効率安全に注意してかつノートをこまめに記録するなど効果的に実験を行うことができる。安全に注意して実験を行うことができる。安全に実験を行うことができない。
金属イオンの分析未知の金属イオンの混合物を系統分析できる。金属イオンの系統分析ができる。金属イオンの系統分析ができない。
中和滴定中和滴定の基本操作ができ、未知試料のモル濃度を計算できる。 中和滴定に関する詳細な考察ができる。中和滴定の基本操作ができ、未知試料のモル濃度を計算できる。中和滴定の基本操作ができない。
重量分析重量分析の基本操作ができ、未知試料のモル濃度を計算できる。 重量分析に関する詳細な考察ができる。重量分析の基本操作ができ、未知試料のモル濃度を計算できる。重量分析の基本操作ができない。
キレート滴定キレート滴定の基本操作ができ、未知試料の濃度を計算できる。 詳細な考察ができる。キレート滴定の基本操作ができ、未知試料の濃度を計算できる。 基本的な考察ができる。キレート滴定の原理が理解できない。
吸光分析吸光分析の基本操作ができる。 データの定性的、定量的な解析ができる。 詳細な考察ができる。吸光分析の基本操作ができる。 データの定性的、定量的な解析ができる。吸光分析の基本的な操作ができない。
化学電池ダニエル電池の起電力を測定できる。 詳細な考察ができる。ダニエル電池の起電力を測定できる。 原理に基づいた基本的な考察ができる。化学電池の基本的な原理が理解できない。
数値の取り扱い(有効数字、測定誤差、再現性、信頼性)有効数字の概念を理解し、測定値に適用できる。 実験で得られた測定値を使って、測定誤差、再現性、信頼性の説明ができる。有効数字の概念を理解し、測定値に適用できる。 測定誤差、再現性、信頼性の概念を理解できる。有効数字の概念が理解できず、測定値に適用できない。 測定誤差、再現性、信頼性の概念を理解できない。
レポート客観的なデータと自分の考えを織り交ぜながら考察することができる。全ての実験についてレポートを書いて、期限までに提出することができる。全ての実験レポートを提出できない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程の教育目標 B① 専門分野における工学の基礎を理解できる。
準学士課程の教育目標 B② 自主的・継続的な学習を通じて、専門工学の基礎科目に関する問題を解くことができる。
準学士課程の教育目標 C① 実験や実習を通じて、問題解決の実践的な経験を積む。
準学士課程の教育目標 C② 機器類(装置・計測器・コンピュータなど)を用いて、データを収集し、処理できる。
準学士課程の教育目標 C③ 実験結果から適切な図や表を作り、専門工学基礎知識をもとにその内容を考察することができる。
準学士課程の教育目標 C④ 実験や実習について、方法・結果・考察をまとめ、報告できる。
準学士課程の教育目標 E② 日本語で論理的に記述し、報告・討論できる。

教育方法等

概要:
1、2年次に履修した「化学」と「工学基礎実験I、II」を基礎とし、3年次履修科目である「分析化学」、「無機化学」の基本事項について実験を通して学習することを目的とする。基本操作の一部は「物質化学実験I」で履修したことを繰り返し学習する。分析化学分野では、金属イオンの定性分析や化学反応の量的関係、濃度計算と物質収支、機器分析実験について理解を深める。無機化学分野では、錯体の合成、化学電池について理解を深める。また、最後に総まとめ実験を準備し、ここまでに学習した内容を実験の計画、立案に結び付ける能力の育成を図る。
授業の進め方・方法:
実験操作、理論の説明と実験を交互に行うことで理解を深める助けとする。データ整理のためにノート、電卓、グラフ用紙が必要な場合があるので準備しておくこと。
注意点:
すべての実験についてレポートを提出しなければ単位を取得できないので注意すること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス 物質化学実験IIの内容について理解できる。
2週 1, 2属金属イオンの系統分析(1) 金属イオンの化学的性質に基づく分離、同定ができる。
3週 1, 2属金属イオンの系統分析(2) 金属イオンの化学的性質に基づく分離、同定ができる。
4週 1,2属金属イオン未知試料の系統分析 金属イオンの化学的性質に基づく分離、同定ができる。
5週 中和滴定(1) ビューレットを用いた中和滴定の基本操作ができる。
6週 中和滴定(2) 中和滴定を用いて未知試料の濃度を計算できる。有効数字、測定誤差の概念を理解できる。
7週 重量分析(1) 重量分析の基本操作ができる。
8週 重量分析(2) 重量分析から未知試料のモル濃度を計算できる。
4thQ
9週 キレート滴定(1) キレート滴定の基本操作ができる。
10週 キレート滴定(2) キレート滴定による溶液内の金属イオン濃度の計算ができる。
11週 化学電池と吸光分析(1) ダニエル電池の構造、反応について理解できる。起電力が測定できる。
吸光度測定による分析ができる。
12週 化学電池と吸光分析(2) 再現性、信頼性の概念を理解できる。
13週 工場見学 見学した企業の概要について理解できる。
14週 定量分析総まとめ実験(1) 物質化学実験I、IIで履修した内容をもとに、定量分析の実験計画を立案できる。
15週 定量分析総まとめ実験(2) 物質化学実験I、IIで履修した内容をもとに、定量分析の実験計画に沿って実験を行い、結果について検証できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学実験化学実験実験の基礎知識(安全防具の使用法、薬品、火気の取り扱い、整理整頓)を持っている。3
事故への対処の方法(薬品の付着、引火、火傷、切り傷)を理解し、対応ができる。3
測定と測定値の取り扱いができる。3
有効数字の概念・測定器具の精度が説明できる。3
レポート作成の手順を理解し、レポートを作成できる。3
ガラス器具の取り扱いができる。3
基本的な実験器具に関して、目的に応じて選択し正しく使うことができる。3
試薬の調製ができる。3
代表的な気体発生の実験ができる。3
代表的な無機化学反応により沈殿を作り、ろ過ができる。3
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野分析化学いくつかの代表的な陽イオンや陰イオンの定性分析のための化学反応について理解できる。4
錯体の生成について説明できる。4
中和滴定についての原理を理解し、酸及び塩基濃度の計算ができる。4
キレート滴定についての原理を理解し、金属イオンの濃度計算ができる。4
光吸収について理解し、代表的な分析方法について説明できる。4
Lambert-Beerの法則に基づく計算をすることができる。4
分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】分析化学実験中和滴定法を理解し、酸あるいは塩基の濃度計算ができる。4
キレート滴定を理解し、錯体の濃度の計算ができる。4
陽イオンおよび陰イオンのいずれかについて、分離のための定性分析ができる。4
代表的な定性・定量分析装置としてクロマト分析(特にガスクロ、液クロ)や、物質の構造決定を目的とした機器(吸光光度法、X線回折、NMR等)、形態観察装置としての電子顕微鏡の中の代表的ないずれかについて、その原理を理解し、測定からデータ解析までの基本的なプロセスを行うことができる。3
物理化学実験温度、圧力、容積、質量等を例にとり、測定誤差(個人差・器差)、実験精度、再現性、信頼性、有効数字の概念を説明できる。4
基本的な金属単極電位(半電池)を組み合わせ、代表的なダニエル電池の起電力を測定できる。また、水の電気分解を測定し、理論分解電圧と水素・酸素過電圧についても説明できる。4後11

評価割合

安全面への配慮基本技術の習得実験計画の立案・実行・検証レポート合計
総合評価割合6241060100
基礎的能力60006
専門的能力024106094