総合物理Ⅱ

科目基礎情報

学校 北九州工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 総合物理Ⅱ
科目番号 0106 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 生産デザイン工学科(物質化学コース) 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 「高専の応用物理 (第2版)」 宮本 止戈雄, 大野 秀樹, 竹内 彰継, 小暮 陽三 (森北出版株式会社), 「総合物理2」植松恒夫 他(啓林館)
「セミナー物理基礎+物理」 第一学習社編集部 第一学習社
担当教員 油谷 英明

到達目標

総合物理IIの前半では、電子、原子に関する物理を系統的、論理的に考えていく能力を身に付けることを目指し、以下の項目を到達目標とする。
・古典物理では説明することができない、電子・原子・原子核等のミクロな世界における物理の基礎がわかり,式、図表を用いて説明できる。
・電子・原子における波動と粒子の二重性がわかり,式、図表を用いて説明できる。

後半では、これまでに学んだ質点、剛体の並進運動と回転運動を、微分積分を用いて学び、更に理解を深める。
・質点系と剛体における並進運動、回転運動における各物理量の定義、基礎を理解し、式、図表を用いて説明できる。
・微積を用いた速度、加速度、位置の表記、運動方程式を理解し、質点・剛体における基本的な力学問題を解く事が出来る。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
電子・原子の基本事項、基本法則 の理解電子・原子に関する基本的事項、各法則を歴史的発展、関連と共に理解している。複合的場合においても、それらを適用して、論理的に説明することができる。電子・原子に関する基本的事項、各法則を理解し、基本的な問題に適用して、説明することができる。また、複合的場合においても、概ね考え方を示すことができる。電子・原子に関する基本的事項、各法則の理解が十分でなく、それらを用いて基本的な電子・原子の現象についても説明することができない。
質点系、剛体の基本事項、並進、回転運動の理解と数学的理解力学に関する基本的事項、各定理、法則をその関連と共に理解している。複合的問題の場合においても、それらを適用して説明し、微積を用いて解くことができる。力学に関する基本的事項、各定理、法則をその関連と共に理解し、基本的な問題に適用して、微積分等を用いて説明することができる。また、複合的問題の場合においても、概ね考え方を示すことができる。力学に関する基本的事項、各定理、法則の理解が十分でなく、それらを用いて基本的な問題にを解き、説明することができない。
理論、数式の論理的展開 電子・原子、力学に関する物理量を各式を展開して正しく導き出し、その意味を正しく説明できる。複合的場合においても、適切に理論、式をあてはめ論理的に展開することができる。 電子・原子、力学に関する物理量を各数式に当てはめて導出することができ、その意味を正しく説明できる。また、複合的場合においても、概ね考え方を示すことができる。電子・原子、力学に関する数式の物理的意味の理解が十分でない。各事象についてそれらを記述する数式を選択、展開することができない。
各現象、定義の図表による記述と理解図表による電子・原子、力学に関する複合的現象の記述、表現を的確に読み取り、説明することができる。また、複合的現象を図表を用いて数値、数式を含めて的確に説明することができる。 図表による電子・原子、力学に関する現象の記述、表現を的確に読み取り、説明することができる。また、現象を図表を用いて的確に説明することができる。図表による電子・原子、力学に関する現象の記述、表現を的確に読み取るり、説明することができない、また、図表を用いての表現が十分ではない。
前期量子論(量子力学誕生前)の発展と古典物理の問題点の理解前期量子論における波動と粒子の二重性、原子の構造など、古典物理の問題点を理解し、それらの事項を説明することができる。また、量子力学誕生へのつながりを説明することができる。前期量子論における波動と粒子の二重性、原子の構造など、古典物理の問題点を理解し、それらの基礎事項を説明することができる。前期量子論における波動と粒子の二重性、原子の構造など、古典物理の問題点の理解が十分でなく、説明することができない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 A① 数学・物理・化学などの自然科学、情報技術に関する基礎を理解できる。
学習・教育到達度目標 A② 自主的・継続的な学習を通じて、基礎科目に関する問題を解くことができる。

教育方法等

概要:
前半は、電子の発見から始まる、前期量子論、電子・原子等のミクロな世界における物理現象の基礎を、その発見の歴史、理論、実験方法応用を含む多角的視点から学ぶ。
後半は微分、積分を用いて微分方程式等を用いて質点系・剛体の並進運動と回転運動の力学を学ぶ。
授業の進め方・方法:
前半は前期総合物理Iで学んだ、電気・磁気を基礎に、電子・原子における物理を学ぶ。そのため、電気・磁気の各現象、法則、数式の確認と復習を行う。
授業では実験教材等を多用して視覚的、直感的に電磁気的現象、電子・原子のミクロな世界の物理法則が理解できるようにする。
後半(中間試験以降)では微積を用いた力学について学ぶため、数学的な準備も必要となる。
注意点:
・多くの事項を学ぶので、予習、復習を欠かさず行うこと。特に、後半の力学では1,2年時の学習内容を確認しておくことが重要である。
・授業で課せられる演習問題、課題を期限以内に提出すること。
・授業ノートを取り、疑問があれば質問をすること。また、質問の前に自分で調べ、考える事、クラスメートと議論することが重要である。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス
電子・光子
・電子の特徴について理解し,説明できる.
2週 電子・光子 ・電子の電荷と質量を理解し,トムソンの実験・ミリカンの実験について説明できる.
3週 光の粒子性 ・光電効果を説明できる.
・光量子仮説を説明でき,光電子の運動エネルギを計算できる.
・X線について説明できる.
・コンプトン効果について説明できる.
4週 X線
粒子の波動性
・X線の特徴について説明できる.
・ド・ブロイ波(物質波)について説明できる.
・波動と粒子の二重性について説明できる.
5週 原子モデル ・原子核の構造について説明できる.
・原子の発光について説明できる.
・ボーアの水素原子モデルについて説明できる.
・定常状態でのエネルギー準位について説明できる.
6週 原子核と放射線 ・放射線とその性質について説明できる.
・放射線の利用について説明できる.
7週 核分裂と核融合
素粒子
・核分裂について説明できる.
・半減期について説明できる.
・核融合について説明できる.
・素粒子について説明できる
・ビッグバン理論について説明できる.
8週 中間試験 ・既習領域の問題を解くことができる.
4thQ
9週 試験内容について解説
物体の運動(力学)
・試験内容を理解する.
・物体の変位,速度,加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる.
10週 物体の運動(力学) ・物体の運動に関して,微分・積分を用いて相互に計算することができる.
11週 質点(力学) ・質点系における力のモーメントや角運動量を計算することができる.
12週 剛体(力学)
・一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる.
13週 剛体(力学) ・一様な板などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる.
14週 剛体(力学) ・剛体の簡単な回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる.
15週 剛体(力学) ・剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる.
16週 定期試験 ・既習領域の問題を解くことができる.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理物理物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。3後1,後2
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。3後1,後2
角運動量を求めることができる。3後3
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。3後3
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。3後4,後5
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。3後6,後7

評価割合

試験課題・演習合計
総合評価割合7030100
基礎的能力7030100
専門的能力000
分野横断的能力000