1. 有機化合物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明でき、それらの化合物についてIUPACの命名法に基づき名前と構造の相互変換ができる 。
2. 混成軌道に基づく結合様式の種類や分子の構造について説明できる。
3. 分子の三次元的構造がイメージでき、構造異性体や幾何異性体、立体配座が説明できる。
4. アルケン・アルキンに関する性質および代表的な反応が説明できる。
5. アルケン・アルキンの反応に関して、その反応機構を説明できる。
概要:
プラスチック、医薬・農薬、香料、燃料等として利用され、また生命科学の現象を理解するための基礎となる有機化合物の構造とその性質・反応について、系統的に学習する。前学期の「有機化学Ⅰ」で学んだ原子軌道や結合の概念、有機化合物の基本構造と IUPAC の命名法、酸と塩基に関する考え方を基にして、有機化合物の立体構造、一般的な有機反応の進み方、不飽和炭化水素(特にアルケン類)の構造と物性および代表的反応を学習する。
授業の進め方・方法:
「有機化学Ⅰ」の続きを講義する。内容の理解を深め、理解度を自己評価させるために、授業中に演習・小テスト (確認テスト) を実施する。WebClass上に講義資料、自習問題や演習解答等を置くので自学自習の助けにして欲しい。
注意点:
基本的に放課後はいつでも質問を受け付けます。授業中の質問も歓迎します。講義資料と演習問題はWebClassまたはメールで配布するので、常に使用できるように準備をしておいてください。
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
講義ガイダンス アルカン 有機化合物の性質(6)シクロアルカン(命名とシス-トランス異性) |
講義の目標と概要について把握できる。 シクロアルカンについて、シス-トランス異性も含めて命名できる。
|
2週 |
アルカン 有機化合物の性質(7) シクロヘキサンの立体配座 |
シクロヘキサンのいす形立体配座を理解し、図示できる。アキシアル結合とエクアトリアル結合を区別できる。
|
3週 |
アルカン 有機化合物の性質(8) いす形シクロヘキサンの環反転 |
シクロヘキサンの環反転を理解し、図示できる。その相対安定性について比較し、説明できる。
|
4週 |
アルケン 有機反応の性質(1) 命名法と性質および構造 |
アルケンのIUPAC名と構造式の相互変換ができ、そのシス-トランス異性について理解できる。
|
5週 |
アルケン 有機反応の性質(2) 順位則、有機反応の種類 |
順位則を用いてアルケンにE,Z命名法を適用できる。一般的な有機反応の種類を挙げ、区別できる。
|
6週 |
アルケン 有機反応の性質(3) 有機反応の機構、反応の表し方 |
反応機構の意味を理解し、巻矢印を用いて電子の動きを記述できる。 反応の進み方を反応エネルギー図を用いて表すことができる。
|
7週 |
アルケンの反応(1) HXの付加とMarkovnikov則 |
アルケンのHX付加反応を理解し、その生成物をMarkovnikov則に従って予測できる。
|
8週 |
中間試験 |
|
2ndQ |
9週 |
アルケンの反応(2) カルボカチオン中間体、水和、ハロゲン化 |
カルボカチオンの構造と安定性を説明できる。アルケンの水和およびハロゲン化の反応機構に基づき生成物を予測できる。
|
10週 |
アルケンの反応(3) 水素化(還元)、酸化 |
アルケンの水素化及び酸化の生成物を予測できる。
|
11週 |
アルケンの反応(4) 共役ジエンの構造と求電子付加反応 |
共役ジエンと非共役ジエンを区別できる。共役ジエンの求電子付加の特徴を説明できる。
|
12週 |
アルケンの反応(5) アリル型カルボカチオンの共鳴と共鳴構造の書き方 |
共役ジエンの求電子付加反応におけるアリル型カルボカチオン中間体とその共鳴構造を記述でき、反応機構を示すことができる。
|
13週 |
アルキンの構造 炭素-炭素三重結合を持つ化合物の構造と命名 |
アルキンの構造を電子的、分子軌道的に説明できる。 いくつかのアルキンに対して、構造式とIUPAC名の相互変換ができる。
|
14週 |
アルキンの反応(1) アルキンへの求電子付加反応 |
アルキンへの求電子付加反応の生成物を予測できる。
|
15週 |
アルキンの反応(2) アルキンへの求電子付加反応 |
アルキンへの求電子付加反応の生成物を予測できる。
|
16週 |
定期試験 |
|
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 有機化学 | 有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。 | 4 | 前1 |
代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造から名前、名前から構造の変換ができる。 | 3 | 前4,前5,前13 |
σ結合とπ結合について説明できる。 | 3 | 前4,前5 |
混成軌道を用い物質の形を説明できる。 | 3 | 前4,前5,前9 |
誘起効果と共鳴効果を理解し、結合の分極を予測できる。 | 3 | 前10,前11 |
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。 | 3 | 前4,前5 |
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。 | 3 | 前9,前11 |
共鳴構造について説明できる。 | 3 | 前9,前10,前11,前12 |
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。 | 3 | 前1,前13 |
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。 | 3 | 前3 |
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。 | 3 | 前1,前3 |
化合物の立体化学に関して、その表記法により正しく表示できる。 | 3 | 前2,前3 |
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。 | 3 | 前7,前9,前10,前11,前12,前14,前15 |
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。 | 3 | 前7,前9,前10,前11,前12,前14,前15 |
代表的な反応に関して、その反応機構を説明できる。 | 3 | 前6,前7,前9,前10,前11,前12,前14,前15 |
反応機構に基づき、生成物が予測できる。 | 3 | 前6,前7,前9,前10,前11,前12,前14,前15 |