応用生物工学Ⅰ

科目基礎情報

学校 北九州工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 応用生物工学Ⅰ
科目番号 0108 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 生産デザイン工学科(物質化学コース) 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材
担当教員 川原 浩治

到達目標

1.生物工学で利用される基本技術を理解し、説明できる。
2.生物工学の歴史的な背景と現代の技術との相関を理解し、説明できる。
3.生物生産や分析手法などの実際の産業技術とのつながりを理解し、説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1細胞の構造、生体物質の種類と特徴を図を書いて説明できる。細胞の構造や生体物質の種類と特徴を事例を元に説明できる。細胞の構造、生体物質の種類や特徴が説明できない。
評価項目2DNAの発見や遺伝子組み換え技術の発明から医薬生産まで技術、産業の流れを説明できる。DNAの発見や遺伝子組み換え技術の意義は説明できる。DNAの発見や遺伝子組み換え技術の発明などが説明できない。
評価項目3具体的な生物生産の事例や方法を生物種などを含めて説明できる。生物生産方法や生産品のいくつかを説明できる。生物生産方法や生産品の事例を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程の教育目標 B① 専門分野における工学の基礎を理解できる。
準学士課程の教育目標 B② 自主的・継続的な学習を通じて、専門工学の基礎科目に関する問題を解くことができる。
専攻科課程教育目標、JABEE学習教育到達目標 SB① 共通基礎知識を用いて、専攻分野における設計・製作・評価・改良など生産に関わる専門工学の基礎を理解できる。
専攻科課程教育目標、JABEE学習教育到達目標 SC① 専門工学の実践に必要な知識を深め、実験や実習を通じて、問題解決の経験を積む。
専攻科課程教育目標、JABEE学習教育到達目標 SF② 工業技術と社会・環境との関わりを理解し、社会・環境への効果と影響を説明できる。
専攻科課程教育目標、JABEE学習教育到達目標 SF③ 技術者としての役割と責任(倫理観)を認識し、説明できる。

教育方法等

概要:
先端的なバイオテクノロジーの世界を、その基本原理や基盤技術を通して学習する。この際、バイオの産業化について重点を置きながら学習する。企画、研究開発、設計、製造、品質管理の流れを追いながら、自分の学習する技術の内容やバイオ製品にどのように適用していくのか、また、その開発背景などを理解し、多面的に生物工学分野を捉え理解することを目指す。
授業の進め方・方法:
生物工学の基本は、ウイルス、微生物、動植物細胞の構造と機能である。したがって、生物化学の知識を整理、理解しておくことは必要不可欠である。また、生産技術を学ぶため、化学工学の基本的な知識を理解しておくこと。
注意点:

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ・ガイダンス
・生物工学の概要
・シラバスから科目の重要点のとらえ方を理解する。
・生物工学とは何か、具体的な事例から役割を理解する。
2週 ・生物工学の歴史
・種々の細胞の構造と機能
・生物工学が大きく発展してきた節目の発見、発明を理解する。
・種々の細胞の構造と機能を図を書いて説明できる。
3週 ・細胞の増殖特性 ・細胞周期と時間との相関を理解する。
4週 ・細胞培養機器と技術 ・細胞培養に必要な機器の原理を説明できる。
5週 ・細胞培養機器と技術 ・培養培地について説明できる。
・汚染と滅菌について説明できる。
6週 ・タンパク質の合成 ・遺伝子からタンパク質が合成される過程を詳細に理解する。
7週 ・分子生物学の基礎と技術 ・遺伝子組み換え技術について説明できる。
8週 ・中間試験 ・前期1〜7週までの内容を網羅した試験により、授業内容の理解の定着を図る。
2ndQ
9週 ・試験内容についての解説
・中間試験の内容を理解する。
10週 ・分子生物学の基礎と技術 ・遺伝子増幅、解析技術について説明できる。
11週 ・微生物による食品生産 ・発酵食品を中心に微生物の種類と生産物を説明できる。
12週 ・微生物による医薬生産 ・抗生物質の発見、意義、種類について理解する。
13週 ・食品や医薬生産の生産規準 ・HACCPやGMPの生産規準の概念を理解する。
14週 ・バイオリアクター ・バイオリアクターの利点、代表的システムと種類を説明できる。
15週 ・期末試験 ・前期9〜14週までの内容を網羅した試験により、授業内容の理解の定着を図る。
16週 ・期末試験内容についての解説 ・期末試験の内容を理解する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野基礎生物原核生物と真核生物の違いについて説明できる。4
核、ミトコンドリア、葉緑体、細胞膜、細胞壁、液胞の構造と働きについて説明できる。4
葉緑体とミトコンドリアの進化の説について説明できる。4
代謝、異化、同化という語を理解しており、生命活動のエネルギーの通貨としてのATPの役割について説明できる。4
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。4
光合成及び呼吸の大まかな過程を説明でき、2つの過程の関係を説明できる。4
DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。4
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。4
染色体の構造と遺伝情報の分配について説明できる。4
細胞周期について説明できる。4
分化について説明できる。4
ゲノムと遺伝子の関係について説明できる。4
細胞膜を通しての物質輸送による細胞の恒常性について説明できる。4
フィードバック制御による体内の恒常性の仕組みを説明できる。4
情報伝達物質とその受容体の働きを説明できる。4
免疫系による生体防御のしくみを説明できる。4
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。4
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。4
単糖と多糖の生物機能を説明できる。4
単糖の化学構造を説明でき、各種の異性体について説明できる。4
グリコシド結合を説明できる。4
多糖の例を説明できる。4
脂質の機能を複数あげることができる。4
トリアシルグリセロールの構造を説明できる。脂肪酸の構造を説明できる。4
リン脂質が作るミセル、脂質二重層について説明でき、生体膜の化学的性質を説明できる。4
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。4
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。4
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。4
タンパク質の高次構造について説明できる。4
ヌクレオチドの構造を説明できる。4
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。4
DNAの半保存的複製を説明できる。4
RNAの種類と働きを列記できる。4
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。4
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。4
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。4
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。4
解糖系の概要を説明できる。4
クエン酸回路の概要を説明できる。4
酸化的リン酸化過程におけるATPの合成を説明できる。4
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。4
各種の光合成色素の働きを説明できる。4
光化学反応の仕組みを理解し、その概要を説明できる。4
炭酸固定の過程を説明できる。4
生物工学原核微生物の種類と特徴について説明できる。4
真核微生物(カビ、酵母)の種類と特徴について説明できる。4
微生物の増殖(増殖曲線)について説明できる。4
微生物の育種方法について説明できる。4
微生物の培養方法について説明でき、安全対策についても説明できる。4
抗生物質や生理活性物質の例を挙げ、微生物を用いたそれらの生産方法について説明できる。4

評価割合

試験課題相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80200000100
基礎的能力0000000
専門的能力80200000100
分野横断的能力0000000