化学工学Ⅰ

科目基礎情報

学校 北九州工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 化学工学Ⅰ
科目番号 0141 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 生産デザイン工学科(物質化学コース) 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 4
教科書/教材 化学工学会監修 多田豊編 「化学工学 改訂第3版 -解説と演習-」朝倉書店
担当教員 前田 良輔

到達目標

1. 単位換算、収支、燃焼計算を理解できる。
2. 管内を流れる流体の特性の基礎を理解できる。
3. 伝導伝熱、対流伝熱、放射伝熱の基礎が理解できる。
4. 熱交換器の設計の基礎が理解できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1単位換算、物質収支、燃焼計算など化学工学の基礎を理解し、計算による評価ができる。単位換算、物質収支、燃焼計算など化学工学の基礎を理解できる。単位換算、物質収支、燃焼計算など化学工学の基礎を理解できない。
評価項目2レイノルズ数や圧力損失など管内を流れる流体の特性の基礎を理解し、計算による評価ができる。レイノルズ数や圧力損失など管内を流れる流体の特性の基礎を理解しできる。レイノルズ数や圧力損失など管内を流れる流体の特性の基礎を理解しできない。
評価項目3伝導伝熱、対流伝熱、放射伝熱の基礎を理解し、計算による評価ができる。伝導伝熱、対流伝熱、放射伝熱の基礎を理解できる。伝導伝熱、対流伝熱、放射伝熱の基礎を理解できない。
評価項目4熱交換器の設計の基礎を理解し、計算による評価ができる。熱交換器の設計の基礎を理解できる。熱交換器の設計の基礎を理解できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 B① 専門分野における工学の基礎を理解できる。
学習・教育到達度目標 B② 自主的・継続的な学習を通じて、専門工学の基礎科目に関する問題を解くことができる。
専攻科課程教育目標、JABEE学習教育到達目標 SB① 共通基礎知識を用いて、専攻分野における設計・製作・評価・改良など生産に関わる専門工学の基礎を理解できる。
専攻科課程教育目標、JABEE学習教育到達目標 SC① 専門工学の実践に必要な知識を深め、実験や実習を通じて、問題解決の経験を積む。

教育方法等

概要:
化学産業において、その物質生産の上で基本となる化学プロセスにおける要素、単位操作を学習する。主に、物質収支やエネルギー収支などの量的関係、配管内の流体輸送、熱の伝わり方における基礎的な理論と計算方法を学ぶ。この科目は企業で化学品製造工場での生産技術を担当していた教員が、その経験を活かし収支などの化学工学の基本に始まり、流動や伝熱といった移動現象について講義形式で授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
教科書に沿って重要な箇所の解説を行い、重要な関係式を導出する。それを用いた例題、演習を多く取り入れ理解を深める。
注意点:
数学や物理化学などの一般的な化学の基礎が必要である。例題や演習問題を通して基本的な計算方法を理解すること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 化学工学とは(ガイダンス)
単位換算
化学工学の基本的な成り立ちを理解し、化学産業等におけるコアとなる工学であることが理解できること。続いて、単位はSI単位系だけではなく、国や業界によって様々な単位系が存在するため、これらの換算ができること。
2週 物質収支
エネルギー収支
巨大なプラントから小さな反応容器まで、その基本は物質およびエネルギーの収支にある。このような物質およびエネルギーの出入りに関する量的な考え方が理解できること。
3週 燃焼計算
Newtonの粘性の法則
ものを加熱する場合、化石燃料を燃やしてエネルギーを得る。その熱量の計算ができること。続いて、流体の流れの基礎であるNewtonの粘性の法則が理解できること。
4週 層流と乱流
円管内の速度分布
流体の流れにおける層流と乱流を理解し、それらの重要性および判定法を理解できること。続いて、円管内の速度分布を層流と乱流の場合について理解できること。
5週 Fanningの摩擦係数
Bernoulliの式
Fanningの摩擦係数を用いて圧力損失の計算ができること。続いて、流体輸送におけるエネルギー収支式であるBernoulliの式が理解できること。
6週 輸送管のエネルギー収支 Bernoulliの式に基づく輸送管のエネルギー収支をもとに、流体輸送に必要な動力の計算ができること。
7週 マノメーターによる圧力測定および流量、流速の測定 流体輸送における圧力、流量、流速の測定原理を理解し、これらの計算ができること。
8週 中間試験
2ndQ
9週 答案返却と解説
さまざまな伝熱機構
伝導伝熱(平板・円筒・球殻)
伝導、対流、放射の各伝熱機構を理解できること。続いて、平板、円筒、球殻に対する伝導伝熱の基礎を理解し、伝熱量を計算できること。
10週 伝導伝熱(多重平板・多重円筒) 多重平板および多重円筒における伝導伝熱の基礎を理解し、伝熱量を計算できること。
11週 対流伝熱 対流伝熱の基礎を理解し、境膜などを考慮した伝熱量が計算できること。
12週 熱貫流
総括伝熱係数
熱貫流と総括伝熱係数の関係を理解し、熱交換器設計に重要な総括伝熱係数を計算できること。
13週 放射伝熱 放射伝熱の基礎を理解し、伝熱量を計算できること。
14週 熱交換器の設計(1) 熱交換器の設計の基礎を理解し、単純な二重管式熱交換器の伝熱面積などを計算できること。
15週 熱交換器の設計(2) 熱交換器の設計の基礎を理解し、多管式熱交換器の伝熱面積などを計算できること。
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野化学工学SI単位への単位換算ができる。4
物質の流れと物質収支についての計算ができる。4
化学反応を伴う場合と伴わない場合のプロセスの物質収支の計算ができる。4
管径と流速・流量・レイノルズ数の計算ができ、流れの状態(層流・乱流)の判断ができる。4
流れの物質収支の計算ができる。4
流れのエネルギー収支やエネルギー損失の計算ができる。4
流体輸送の動力の計算ができる。4
蒸留の原理について理解できる。4
単蒸留、精留・蒸留装置について理解できる。4
蒸留についての計算ができる(ラウールの法則、マッケーブシール法等)。4
基本的な抽出の目的や方法を理解し、抽出率など関係する計算ができる。4
吸着や膜分離の原理・目的・方法を理解できる。4
バッチ式と連続式反応装置について特徴や用途を理解できる。4

評価割合

試験発表相互評価態度演習・課題その他合計
総合評価割合70000300100
基礎的能力0000000
専門的能力70000300100
分野横断的能力0000000