微生物工学Ⅱ

科目基礎情報

学校 北九州工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 微生物工学Ⅱ
科目番号 0173 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 生産デザイン工学科(物質化学コース) 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 「微生物学 (基礎生物学テキストシリーズ 4)」 青木 健次 (化学同人)
担当教員 前田 憲成,前田 良輔

到達目標

目的・到達目標:本授業では、微生物を工学的に活用するために、微生物に関する基礎知識および微生物機能を学ぶことを目的とする。微生物は産業上有用な酵素や抗生物質などの生産、発酵食品の製造、環境汚染物質の分解などに利用されている。微生物の産業利用と応用研究を理解するために、微生物の種類と分類、機能発現の仕組みについて学習する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1微生物の分類(真核原、ウイルス等) を具体例を挙げて生物学的に理解できる。微生物の分類(真核原、ウイルス等) が生物学的に理解できる。微生物の分類(真核原、ウイルス等) が生物学的に理解できない。
評価項目2微生物の代謝活動を化学反応の全体として化学的に理解できる。微生物の代謝活動を化学的に理解できる。微生物の代謝活動を化学的に理解できない。
評価項目3産業利用における代謝を生物学的に具体例をいくつか挙げて理解できる。産業利用における代謝を生物学的に理解できる。産業利用における代謝を生物学的に理解できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 B① 専門分野における工学の基礎を理解できる。
学習・教育到達度目標 B② 自主的・継続的な学習を通じて、専門工学の基礎科目に関する問題を解くことができる。
専攻科課程教育目標、JABEE学習教育到達目標 SB② 自主的・継続的な学習を通じて、専門工学の基礎科目に関する問題を解決できる。

教育方法等

概要:
本授業では、微生物の産業利用を理解できるように,有用微生物についての基礎知識学ぶことを目的とする。 微生物は産業上有用な酵素や抗生物質どの生産、 発酵食品の製造などに利用されている。また、近年、環境浄化のために、さまざな有害物質を微生物によって分解する試みなどもある。これらの産業や研究を理解するための基礎となる微生物の種類と同定法、代謝について学習する。
授業の進め方・方法:
本授業は,「微生物学 (基礎生物学テキストシリーズ 4)」 青木 健次 (化学同人)の内容に基づいて,実施する.授業は,教室にて板書をしながら説明する形式で進める.
注意点:

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 微生物の遺伝と遺伝子工学応用1
遺伝子組み換え技術
週ごとの到達目標:
PCR、制限酵素、クローニングなど
2週 微生物の遺伝と遺伝子工学応用2
塩基配列決定法
サンガー法、次世代シーケンサー
3週 微生物の代謝1
炭水化物,脂肪酸、アミノ酸、核酸、窒素の代謝
同化、異化、ATP合成など
4週 微生物の代謝2
代謝調節
ラクトースオペロン、転写減衰
5週 微生物の代謝3
酵素の働きと活性調節
触媒活性、フィードバック調節
6週 微生物の応用1
発酵の基礎
アルコール発酵、有機酸発酵など

7週 微生物の応用2
代謝工学による発酵制御
変異株の分離、スクリーニング
8週 中間試験
4thQ
9週 微生物生態と物質循環1
生物間相互作用
共生の仕組み
10週 微生物生態と物質循環2
炭素のサイクル
炭素の物質循環
11週 微生物生態と物質循環3
その他の元素のサイクル
窒素、硫黄などの物質循環
12週 微生物を活用した環境保全1

環境汚染物質の特徴とバイオレメディエーション
環境汚染物質分解における微生物の役割
13週 微生物を活用した環境保全2
活性汚泥法等による物質代謝
排水処理、窒素除去、リン除去
14週 微生物を活用した環境保全3
下水汚泥の資源化
嫌気消化、バイオエネルギー生成
15週 微生物を活用した環境保全3
芳香族化合物などの分解
分解経路、分解遺伝子
16週 後期定期試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野基礎生物原核生物と真核生物の違いについて説明できる。4
核、ミトコンドリア、葉緑体、細胞膜、細胞壁、液胞の構造と働きについて説明できる。4
葉緑体とミトコンドリアの進化の説について説明できる。4
代謝、異化、同化という語を理解しており、生命活動のエネルギーの通貨としてのATPの役割について説明できる。4
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。4
光合成及び呼吸の大まかな過程を説明でき、2つの過程の関係を説明できる。4
DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。4
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。4
染色体の構造と遺伝情報の分配について説明できる。4
細胞周期について説明できる。4
分化について説明できる。4
ゲノムと遺伝子の関係について説明できる。4
細胞膜を通しての物質輸送による細胞の恒常性について説明できる。4
フィードバック制御による体内の恒常性の仕組みを説明できる。4
情報伝達物質とその受容体の働きを説明できる。4
免疫系による生体防御のしくみを説明できる。4
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。4
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。4
単糖と多糖の生物機能を説明できる。4
単糖の化学構造を説明でき、各種の異性体について説明できる。4
グリコシド結合を説明できる。4
多糖の例を説明できる。4
脂質の機能を複数あげることができる。4
トリアシルグリセロールの構造を説明できる。脂肪酸の構造を説明できる。4
リン脂質が作るミセル、脂質二重層について説明でき、生体膜の化学的性質を説明できる。4
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。4
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。4
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。4
タンパク質の高次構造について説明できる。4
ヌクレオチドの構造を説明できる。4
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。4
DNAの半保存的複製を説明できる。4
RNAの種類と働きを列記できる。4
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。4
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。4
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。4
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。4
解糖系の概要を説明できる。4
クエン酸回路の概要を説明できる。4
酸化的リン酸化過程におけるATPの合成を説明できる。4
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。4
各種の光合成色素の働きを説明できる。4
光化学反応の仕組みを理解し、その概要を説明できる。4
炭酸固定の過程を説明できる。4
生物工学原核微生物の種類と特徴について説明できる。4
真核微生物(カビ、酵母)の種類と特徴について説明できる。4
微生物の増殖(増殖曲線)について説明できる。4
微生物の育種方法について説明できる。4
微生物の培養方法について説明でき、安全対策についても説明できる。4
アルコール発酵について説明でき、その醸造への利用について説明できる。4
食品加工と微生物の関係について説明できる。4
抗生物質や生理活性物質の例を挙げ、微生物を用いたそれらの生産方法について説明できる。4
微生物を用いた廃水処理・バイオレメディエーションについて説明できる。4

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000200100
基礎的能力0000000
専門的能力80000200100
分野横断的能力0000000