工業物理概論

科目基礎情報

学校 佐世保工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 工業物理概論
科目番号 0065 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電気電子工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 前期:2 後期:2
教科書/教材 自作スライド、自作ビデオ教材【参考図書】前期: 熱・統計力学の考え方(砂川重信著)
担当教員 三橋 和彦

到達目標

1.熱機関の基礎となる各種サイクルについて,p-V線図とT-s線図を用いて説明できる。【前期】(A-1) (A-4)
2.気体の状態方程式を用いることができる。準静的過程を説明できる。【前期】(A-1) (A-4)
3.熱力学の第一、二法則を簡単な系にあてはめることができる。熱機関の熱効率を求めることができる。【前期・後期】(A-1) (A-4)
4.エントロピーやその変化を見積もることができる。【前期】(A-1) (A-4)
5.実用的な各種熱機関の状態図を描き説明できる。【後期】(A-1) (A-4)
6.静流体の圧力を計算できる。【後期】(A-1) (A-4)
7.理想的な流体に連続の式を適用できる。【後期】(A-1) (A-4)
8.オイラーの方程式の物理的意味を説明できる。【後期】(A-1) (A-4)
9.ベルヌーイの定理を簡単な系に適用できる。【後期】(A-1) (A-4)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 (到達目標1,2,3)状態方程式を用いることができる。準静的過程を説明できる。熱力学の第一、二法則を簡単な系にあてはめることができる。熱機関の熱効率を求めることができる。状態方程式を用いることができ、準静的過程をほとんど説明できる。熱力学の第一、二法則を簡単な系にあてはめることができ、熱機関の熱効率をほとんど求めることができる。状態方程式を用いることができない。準静的過程を説明できない。熱力学の第一、二法則を簡単な系にあてはめることができない。熱機関の熱効率を求めることができない。
評価項目2 (到達目標4,5)エントロピーやその変化を見積もることができる。熱機関の基礎となる各種サイクルについて,p-V線図とT-s線図を用いて説明できる。エントロピーやその変化を見積もることが、ほとんどできる。熱機関の基礎となる各種サイクルについて,p-V線図とT-s線図を用いてほとんど説明できる。エントロピーやその変化を見積もることができない。熱機関の基礎となる各種サイクルについて,p-V線図とT-s線図を用いて説明できない。
評価項目3 (到達目標6,7,8,9)水力学の基礎となるアルキメデスの原理やベルヌーイの定理を用いて、基礎的な計算を行うことができる。水力学の基礎となるアルキメデスの原理やベルヌーイの定理を用いて、基礎的な計算をほとんど行うことができる。水力学の基礎となるアルキメデスの原理やベルヌーイの定理を用いて、基礎的な計算を行うことができない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 A-1 説明 閉じる
JABEE c 説明 閉じる

教育方法等

概要:
(前期) 4年次の一般物理で網羅できない工学上重要となる熱力学について教授する。
(後期) 電気エネルギーを生み出すための発電機を動かす原動機の原理に繋がる熱サイクルや水力学について教授する。
授業の進め方・方法:
中間および定期試験の平均点(各100点満点)を70%、課題を30%で総合評価する。なお平均操作において小数点以下は切捨処理とする。
前期および後期の評価の平均が60点以上を合格とする。なおこの場合も平均操作において小数点以下は切捨処理とする。
事前・事後学習:この科目は学修単位科目のため、事前・事後学習としてレポートやオンラインテストを実施することもある。
注意点:
授業の進度や内容など必要に応じて自己学習のための課題を出題する。中間、定期試験の範囲に含まれるので、必ず自力で 解答し提出すること。試験ごとにノートを回収、点検する。また追試験を受験するにはノートやレポート提出が期限内に提出されている必要がある。この授業は、電気主任技術者認定のために必要な科目である。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 熱平衡状態の解説 熱平衡状態と熱力学的変数について説明できる。
2週 熱力学第一法則:仕事と熱とエネルギーの解説 第一法則を仕事、熱、エネルギーの概念を用いて説明できる
3週 準静的過程における熱力学第一法則の解説 水の蒸発と加熱蒸気について、p-V線図およびT-S線図を用いて説明できる。
4週 第一法則の適用例:比熱と理想気体の解説 比熱の式を導出できる。理想気体の熱力学的状態を計算できる
5週 第一法則とカルノー・サイクルの解説 カルノー・サイクルの動作を第一法則とPV平面上で説明できる
6週 熱の移動と熱力学第二法則の解説 第二法則が必要な理由を説明できる。第二法則の内容を説明できる
7週 熱力学的絶対温度の解説 第二法則から物質によらない温度スケールが決まることを理解できる
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 第二法則の定式化とエントロピーの解説 第二法則をエントロピーを用いた表式で表すことができる。
10週 第二法則の適用例:カルノー・サイクルの解説 TS平面においてカルノー・サイクルの動作を説明できる。
11週 第二法則の適用例:断熱・等温・等圧過程の解説 第二法則を用いて断熱・等温・等圧過程に成り立つ式を導出できる。
12週 熱力学的諸関数とマクスウェルの関係式の解説 自由エネルギーとエンタルピーの式を書き意味を説明できる
13週 物質の相転移現象と熱力学の解説 クラペイロンークラウジウスの式を用いて気液変化の計算ができる
14週 不可逆過程とエントロピー増大の法則の解説 孤立系の不可逆過程ではエントロピーが増大することを説明できる。
15週 原子力工学に関する実務経験者による特別講義 原子力工学の基本原理を説明できる。
16週 前期定期試験
後期
3rdQ
1週 完全ガスと蒸気(水の蒸発と乾き度) 完全ガスの基本的な性質を説明できる。水と蒸発、蒸気の基本的な性質、乾き度について説明できる。
2週 水の蒸発とT-S線図 蒸気プラントの基礎となるランキンサイクルについて、p-V線図およびT-S線図を用いて説明できる。
3週 ランキンサイクルと蒸気プラント 準静的過程において熱力学第一法則を用いることができる
4週 オットーサイクルとガソリンエンジン ガソリンエンジンの基礎となるオットーサイクルについて、p-V線図およびT-S線図を用いて説明できる。
5週 熱機関の熱効率、計算演習(章末問題) 熱機関の熱効率について説明でき、基本的な熱サイクルの熱効率が計算できる。
6週 水力学の概要、流体の基本的な性質 圧力の概念を説明でき、基本的な圧力に関する計算ができる。
7週 静水力学: 浮力とアルキメデスの原理 浮力とアルキメデスの原理について説明できる。浮力およびアルキメデスの原理に関する基本的な計算ができる。
8週 後期中間試験
4thQ
9週 動水力学: 連続の式 管内を移動する流体において、流速、流量、連続の式を説明できる。
10週 動水力学: ベルヌーイの定理 ベルヌーイの定理、位置水頭、速度水頭、圧力水頭について説明できる。
11週 損失のある流れ、計算演習(章末問題) 損失の影響を考慮したベルヌーイの定理を説明できる。連続の式とベルヌーイの定理を用いて、基本的な計算ができる。
12週 層流と乱流、レイノルズ数 層流と乱流、レイノルズ数、流体抵抗(抗力)、抗力係数について説明できる。
13週 流体抵抗、計算演習(章末問題) レイノズル数や抗力係数についての基本的な計算ができる。
14週 水力発電システムの概要 水力発電システムの概要について、図を用いて説明できる。
15週 水力発電システムの計算演習 水力発電システムについて、発電量や必要な出力を得るための流量など、基本的な内容の計算ができる。
16週 後期期末試験

評価割合

試験課題(レポート)合計
総合評価割合7030100
基礎的能力000
専門的能力7030100
分野横断的能力000