工業物理概論

科目基礎情報

学校 佐世保工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 工業物理概論
科目番号 0069 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電気電子工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 前期:2 後期:2
教科書/教材 自作スライド、自作プリント、自作ビデオ教材(自学用参考図書「熱・統計力学の考え方」砂川重信著(岩波書店))
担当教員 三橋 和彦

到達目標

1.熱機関の基礎となる各種サイクルについて,pV線図とTS線図を用いて説明できる。【前期】(A-1) (A-4)
2.気体の状態方程式を用いることができる。準静的過程を説明できる。【前期】(A-1) (A-4)
3.熱力学の第1,2法則を簡単な系にあてはめることができる。熱機関の熱効率を求めることができる。【前期・後期】(A-1) (A-4)
4.エントロピーやその変化を見積もることができる。【前期・後期】(A-1) (A-4)
5.実用的な各種熱機関の状態図を描き説明できる。【後期】(A-1) (A-4)
6.静流体の圧力を計算できる。【後期】(A-1) (A-4)
7.理想的な流体に連続の式を適用できる。【後期】(A-1) (A-4)
8.オイラーの方程式の物理的意味を説明できる。【後期】(A-1) (A-4)
9.ベルヌーイの定理を簡単な系に適用できる。【後期】(A-1) (A-4)
10. 弦の振動と波動方程式に関する簡単な計算をできる。【後期】(A-1) (A-4)
11. 幾何光学と波の重ね合わせに関する簡単な計算ができる。【後期】(A-1) (A-4)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 (到達目標1,2,3,4,5)熱力学第1,2法則と状態方程式に基づいて気体の準静的過程を説明できる。熱力学の第1、2法則を様々な系に適用でき、一般的な熱機関の熱効率を求めることができる。エントロピーに関する計算ができる。実用的な熱機関の仕組みを,pV線図とTS平面上で説明し、熱効率を導出できる。気体の準静的変化について説明できる。熱力学の第1,2法則を簡単な系に適用でき,カルノー機関の熱効率を求めることができる。エントロピーに関する計算ができる。実用的な熱機関の仕組みを,pV線図とTS平面上で説明し,熱効率を示せる。気体の準静的変化について説明できない。熱力学の第1,2法則を簡単な系に適用でき,カルノー機関の熱効率を求めることができない。エントロピーに関する計算ができない。実用的な熱機関の仕組みを,pV線図とTS平面上で説明できず,熱効率も示せない。
評価項目2 (到達目標6,7,8,9)水力学の基礎となるアルキメデスの原理やベルヌーイの定理を用いて,基礎的な計算を行うことができる。水力学の基礎となるアルキメデスの原理やベルヌーイの定理を用いて,基礎的な計算をほとんど行うことができる。水力学の基礎となるアルキメデスの原理やベルヌーイの定理を用いて,基礎的な計算を行うことができない。
評価項目3 (到達目標10,11)弦の振動から波動方程式を導出できる。境界条件を波動方程式に適用して解を求めることができる。光の幾何光学的,波動光学性質に関する計算ができる。弦の振動から波動方程式の導出過程をトレースできる。波動方程式の解を確かめることができる。光の性質に関する計算ができる。弦の振動から波動方程式の導出過程をトレースできない。波動方程式の解を確かめることができない。光の性質に関する計算ができんない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 A-1 説明 閉じる
JABEE c 説明 閉じる

教育方法等

概要:
(前期) 4年次の一般物理で網羅できない工学上重要となる熱力学について教授する。
(後期) 電気エネルギーを生み出すための発電機を動かす原動機の原理に繋がる熱機関や水力学について教授する。
また、弦の振動モデルから一般的な波動方程式を導く過程を示し、光に関する工学的手法の基本を教授する。
授業の進め方・方法:
中間および定期試験の平均点(各100点満点)を70%、課題を30%で総合評価する。なお平均操作において小数点以下は切捨処理とする。
前期および後期の評価の平均が60点以上を合格とする。なおこの場合も平均操作において小数点以下は切捨処理とする。
事前・事後学習:この科目は学修単位科目のため、事前・事後学習としてレポートやオンラインテストを実施することもある。
注意点:
授業の進度や内容など必要に応じて自己学習のための課題を出題する。中間、定期試験の範囲に含まれるので、必ず自力で 解答し提出すること。試験ごとにに自己学習の記録をレポートとして点検する。また追試験を受験するにはノートやレポート提出が期限内に提出されている必要がある。この授業は、電気主任技術者認定のために必要な科目である。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 熱力学の基礎(1):熱平衡状態の解説 熱平衡状態と熱力学的変数について説明できる。
2週 熱力学の基礎(2):熱力学第一法則の解説 第一法則を仕事、熱、エネルギーの概念を用いて説明できる
3週 熱力学の基礎(3):準静的過程における熱力学第一法則の適用に関する解説 準静的過程を第一法則に適用して、簡単な熱力学過程で成り立つ式を導出できる。
4週 熱力学の基礎(4):第一法則の適用例(比熱と理想気体)の解説 比熱の式を導出できる。理想気体の熱力学的状態を計算できる
5週 熱力学の基礎(5):第一法則とカルノー機関の解説 カルノー機関の動作を第一法則とPV平面上で説明できる
6週 熱力学の基礎(6):熱の移動と熱力学第二法則の解説 第二法則が必要な理由を説明できる。第二法則の内容を説明できる
7週 熱力学の基礎(7):熱力学的絶対温度の解説 第二法則から物質によらない温度スケールが決まることを理解できる
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 熱力学の基礎(8):第二法則の定式化とエントロピーの解説 第二法則をエントロピーを用いた表式で表すことができる。
10週 熱力学の基礎(9):第二法則の適用例:カルノー機関の解説 TS平面においてカルノー機関の動作を説明できる。
11週 熱力学の基礎(10):第二法則の適用例:断熱・等温・等圧過程の解説 第二法則を用いて断熱・等温・等圧過程に成り立つ式を導出できる。
12週 熱力学の基礎(11):熱力学的諸関数とマクスウェルの関係式の解説 自由エネルギーとエンタルピーの式を書き意味を説明できる
13週 熱力学の基礎(12):物質の相転移現象と熱力学の解説 クラペイロンークラウジウスの式を用いて気液変化の計算ができる
14週 熱力学の基礎(13):不可逆過程とエントロピー増大の法則の解説 孤立系の不可逆過程ではエントロピーが増大することを説明できる。
15週 熱力学の基礎(14):原子力工学に関する実務経験者による特別講義 原子力工学の基本原理を説明できる。
16週 前期定期試験
後期
3rdQ
1週 実用的な熱機関(1):オットー機関の解説 熱機関の熱効率について説明できる。オットー機関の概要を説明し、熱効率を計算できる。
2週 実用的な熱機関(2):ディーゼル機関の解説 ディーゼル機関の概要を説明し、熱効率を計算できる。
3週 実用的な熱機関(3):ブレイトン機関の解説 ブレイトン機関の概要を説明し、熱効率を計算できる。
4週 実用的な熱機関(4):ランキン機関(その1)の解説 水-水蒸気間の相転移を含む熱力学の基本的性質について説明できる。ランキン機関の概要を説明できる。
5週 実用的な熱機関(4):ランキン機関(その2)の解説 ランキン機関の状態図(pV平面およびTS平面)を説明し、熱効率を計算できる。
6週 流体力学の基礎(1):流体の基本的な性質、静流体の圧力の解説 静流体の圧力を計算できる。
7週 流体力学の基礎(2):大気の圧力モデルの解説 大気の圧力モデルを説明できる。大気の圧力に関する計算をトレースし、その結果の意味を説明できる。
8週 後期中間試験
4thQ
9週 流体力学の基礎(3):流れる流体の式(連続の式、オイラーの運動方程式)の解説 流体に関する基本概念(用語等)を説明できる。連続の式とオイラーの運動方程式に関する部分的な計算をできる。
10週 流体力学の基礎(4):流れる流体の式(ベルヌーイの定理)の解説 ベルヌーイの定理を式を交えて説明し、その導出過程をトレースできる。
11週 流体力学の基礎(5):連続の式、ベルヌーイの定理の適用に関する解説 連続の式とベルヌーイの定理を用いた基本的な計算ができる。
12週 波の性質(1):弦の振動と波動方程式の解説 弦の微小部分に関する運動方程式を書ける。波動方程式の導出過程をトレースできる。
13週 波の性質(2):波動方程式の解と光の性質に関する解説 波動方程式の解を変数分離と境界条件の適用によって求めることができる。光の性質を説明できる。
14週 波の性質(3):幾何光学の基礎(レンズの公式等)に関する解説 レンズの公式を適用したり光の位相差を計算できる。
15週 総合復習
16週 後期期末試験

評価割合

試験課題(レポート)合計
総合評価割合7030100
基礎的能力000
専門的能力7030100
分野横断的能力000