生物科学-HI

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 平成28年度 (2016年度)
授業科目 生物科学-HI
科目番号 0020 科目区分 一般 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 共通教育科(熊本) 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材 「理工系のための 生物学」,坂本順司 著,裳華房
担当教員 井越 敬司

到達目標

1. 生物の分類法や生命の起源と進化について説明できる。
2. 生命の特質,細胞の構造と機能について説明できる。
3. 生物を構成する物質とその働きについて説明できる。
4. エレクトロニクスと生体の関連について説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1生物の分類を通じて,あらゆる学問は物事を分類し整理することから始まることを理解している。論理的思考の第一歩には分析があることを理解している。生物の分類として,界・門・綱・目・科・属・種に分かれることを説明でき,学名は属と種を表記することを理解している。人類起源のイブ仮説を説明できる。生物がどのように分類されているかを理解していない。学名は何を表すかを説明できない。イブ仮説がわからない。
評価項目2エレクトニクスはトランジスタからなり,生物は細胞からなること,細胞内の小器官の間の情報交換で細胞は生きてる状態を作り出せることを理解している。生物は細胞からなり,細胞は細胞膜と細胞内の小器官から構成されていることを理解している。それぞれの小器官の名称と機能を説明できる。細胞膜の特徴や細胞小器官の名称と機能を説明できない。
評価項目3生物を構成する3大要素の炭水化物・タンパク質・脂質はわずかな分子構造の違いに過ぎないことを理解している。そのわずかな違いに大きな意味があることを理解している。生物は炭水化物・タンパク質・脂質の3大要素よりなっており,それぞれの特徴を説明できる。炭水化物とは何か,タンパク質とは何か,脂質とは何かを説明できない。それぞれどのような例があるのかを説明できない。
評価項目4人工知能なども神経の情報処理を基本としていることを理解している。イオンチャネルや受容体の特徴を良く理解している。神経細胞や筋肉細胞の特徴である電気現象がタンパク質のイオンチャネルや神経伝達物質によってなりたち,それによって生じた活動電位により生体情報信号処理がされることを理解している。神経や筋肉で起こる電気現象が説明できない。

学科の到達目標項目との関係

本科(準学士課程)での学習・教育到達目標 3-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
電子・情報系技術者に必要とされる知識について触れ,生物学の歴史,生物の特質や生物科学の方法,生命の起源と進化,生物の分類法,細胞の構造と分裂,生物を構成する物質とはたらきについて学ぶ。
授業の進め方・方法:
電子情報系の知識と異なる生物の授業であり,専門用語が頻繁に出てくるのでまずテキストを読み,その上で板書して説明をくわえていくという二重構造の進め方をする。その理解を補助として必要に応じて動画を用いる。授業内容は生物を基本とするがエレクトロニクスとの関連,情報処理との関連にも触れる。
注意点:
予習でも,復習でも良いので,授業内容を繰り返して専門用語を記憶にとどめて欲しい。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス,生物と生物学の歴史(1) 生物構成元素の誕生と星の爆発,銀河系・太陽系・地球の誕生,地球での生命誕生
2週 生物と生物学の歴史(2) 生物の歴史と進化,ヒトの進化と遺伝
3週 生物と生物学の歴史(3) 生物学の誕生,分類学と博物学,動物学と植物学,解剖学と生理学,アリストテレス
4週 生物と生物学の歴史(4) 中世・近代・現代にいたる生物学,産業革命と実験生物学,化学と生化学,細菌学
5週 生命物質(1) 糖質(炭水化物),分類と特徴
6週 生命物質(2) 脂質,分類と特徴
7週 生命物質(3) タンパク質、分類と特徴
8週 生命物質(4) 核酸,分類と特徴
2ndQ
9週 中間試験
10週 細胞(1) 生体膜,構造と成分
11週 細胞(2) 細胞小器官,核と核小体・小胞体・リボソーム・ゴルジ体・リソソーム
12週 細胞(3) 細胞小器官,ミトコンドリアと葉緑体
13週 細胞(4) 細胞骨格,微小管と微小繊維と中間系フィラメント,細胞外マトリックス
14週 細胞分裂 体細胞分裂と減数分裂
15週 定期試験
16週 答案返却
後期
3rdQ
1週 代謝(1) 酵素,分類と特徴
2週 代謝(2) エネルギー代謝,解糖系
3週 代謝(3) エネルギー代謝,クエン酸回路
4週 代謝(4) 光合成,人工光合成(半導体を使った光合成)
5週 代謝(5) 生体エネルギー,自由エネルギー変化,酵素反応速度論
6週 遺伝(1) 染色体と遺伝,DNA複製機構,遺伝制御機構
7週 遺伝(2) mRNA合成と転写,転写調節と転写制御
8週 中間試験
4thQ
9週 遺伝(3) タンパク合成と翻訳,翻訳制御機構
10週 遺伝(4) 転写調節,転写後制御機構
11週 動物性器官(1) 生体の階層性,器官・組織の種類
12週 動物性器官(2) 神経系、神経の分類,細胞の静止膜電位,神経の活動電位パルス
13週 動物性器官(3) 神経系,シナプス伝達,神経筋伝達(筋収縮機構)
14週 動物性器官(4) 感覚系(聴覚・味覚・嗅覚・触覚・視覚)、化学受容と電磁気受容
15週 定期試験
16週 答案返却

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。2
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。2
単糖と多糖の生物機能を説明できる。2
単糖の化学構造を説明でき、各種の異性体について説明できる。2
グリコシド結合を説明できる。2
多糖の例を説明できる。2
脂質の機能を複数あげることができる。2
トリアシルグリセロールの構造を説明できる。脂肪酸の構造を説明できる。2
リン脂質が作るミセル、脂質二重層について説明でき、生体膜の化学的性質を説明できる。2
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。2
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。2
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。2
タンパク質の高次構造について説明できる。2
ヌクレオチドの構造を説明できる。2
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。2
DNAの半保存的複製を説明できる。2
RNAの種類と働きを列記できる。2
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。2
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。2
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。2
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。2
解糖系の概要を説明できる。2
クエン酸回路の概要を説明できる。2
酸化的リン酸化過程におけるATPの合成を説明できる。2
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。2
各種の光合成色素の働きを説明できる。2
光化学反応の仕組みを理解し、その概要を説明できる。2
炭酸固定の過程を説明できる。2

評価割合

試験小テスト合計
総合評価割合8020100
基礎的能力201030
専門的能力601070
分野横断的能力000