生物科学(CI)

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 平成29年度 (2017年度)
授業科目 生物科学(CI)
科目番号 LK403i 科目区分 一般 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 共通教育科(熊本) 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材 なし
担当教員 井越 敬司

到達目標

1.人体の構成(個体,器官,組織,細胞)とその働きについて専門用語を用い説明できる.
2. 死後生物である食品を構成している成分(生体成分)の種類とその役割について説明ができる.
3. 食品成分の消化吸収および代謝について,エネルギーの獲得と生体構築成分の確保の視点から説明できる.
4. 食と疾病において,食成分が疾病発症とどのように関わっているかについて,食成分の生体内代謝の視点から説明できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1人体の構成(個体,器官,組織,細胞)とその働きについて専門用語を用い説明できる.人体の構成(個体,器官,組織,細胞)専門用語を用い説明できる.人体の構成(個体,器官,組織,細胞)とその働きについて説明できない.
評価項目2死後生物である食品を構成している成分(生体成分)の種類とその役割について説明ができる.食(死後生物)を構成している食成分(生体成分)の種類について説明ができる.死後生物である食品を構成している成分(生体成分)の種類とその役割について説明ができない.
評価項目3食品成分の消化吸収および代謝について,エネルギーの獲得と生体構築成分の確保の視点から説明できる.食品成分の消化吸収および代謝について説明できる.食品成分の消化吸収および代謝について,エネルギーの獲得と生体構築成分の確保の視点から説明できない.
評価項目4食と疾病において,食成分が疾病発症とどのように関わっているかについて,食成分の生体内代謝の視点から説明できる.食と疾病において,食成分と疾病について説明できる.食と疾病において,食成分と疾病について説明できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
生物は大きく3種類に分類される.すなわち,植物,動物そして微生物であるが,その他に「死後生物」と呼ばれる生物があり,これは食品を指す.食品は一般に生きていた生物を殺し,はじめて食用となるので,このような食品はいわば「死後生物」と云え,生体の機能の多くを保持している.本講義では生物科学分野の一つ,食品生物科学(フーズバイオサイエンス)についての基本的な知識を学ぶ.すなわち,ヒトの構成(個体,器官,組織,細胞)とその働き,特に食の消化化に関わる消化器官や食成分の消化についてまず述べる.次いで,食品の一次,二次および三次機能について概説し,健康に関わる機能性食品について説明する.さらに,食成分がどのようして消化・吸収,そして代謝されるかについて口述し,また食が関わる疾病とその発症メカズムとその発症予防食品について説明する.
授業の進め方・方法:
ヒトは食べることにより,生きていく上で必要なエネルギーと生体構築成分を取得し,生命現象を維持している.本授業では食およびその成分がどのようにして消化,代謝そして疾病に関わるかについて生化学的視点から口述する.また,理解を深めるため,適宜視聴覚を使用する.さらに生体物質の性質等の理解に簡単な実験を行う.
注意点:
ノートをとることや授業の説明を聞くことも大事だが,日常生活している身の回りに起きる現象に疑問に思うこと,そして何故そのようなことが起きたのか(原因と結果)について感じることが重要で,その原因と結果を専門用語で説明できるように心がけて欲しい.そのためには復習を忘れないでいただきたい.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス:生物科学と食品生物科学 生物のもつ特質について説明ができる。
2週 人体の構成(個体,器官,組織,細胞) 人体の構成(個体,器官,組織,細胞)について説明できる.
3週 人体の構成(個体,器官,組織,細胞)と機能 人体の構成(個体,器官,組織,細胞)の働きについて説明できる.
4週 人体の構造:消化器官の構造と消化液のはたらき 人体の消化器官とその役割を消化の視点から説明できる.
5週 生きるための物質:食品成分と栄養素と消化 食品五大成分とその役割およびその消化について説明できる.
6週 生体の応答:食成分による消化液の調節 食(生体)成分による消化液(胃液、膵液)の分泌調節を内分泌成分(ホルモン)から説明できる.
7週 食品機能 食品の三つの機能,一次,二次および三次機能について説明できる.
8週 機能性食品 機能性食品について説明できる
2ndQ
9週 (前期中間試験またはレポート)にて,前期途中の達成度を測る。 中間試験にて6割以上の達成率がある。
10週 生きるための物質:糖質の種類とその機能 食(生体)成分の一つ糖質の種類と構造について説明できる。
11週 生きるための物質:糖質の消化・吸収とエネルギー生産 糖質が消化・吸収され化学的エネルギーATPに変換されるプロセスを説明できる.
12週 生体の恒常性の維持:血糖とその調節 吸収された糖質・血糖がホルモンにより調節されることを説明できる.
13週 生体の恒常性の破綻:疾病(糖尿病)の誘発 血糖値の調節の不具合が疾病(糖尿病)を誘発すること,またその方法によってその誘発を未然に防げるか説明できる.
14週 生体防御:食物繊維とその機能 消化できない糖質、食物繊維の働きを食物繊維の有する性質から説明できる.
15週 定期試験 6割以上の達成率がある。
16週 答案返却 解答の説明
後期
3rdQ
1週 生体防御:オリゴ糖とその機能 オリゴ糖の機能と役割について腸内細菌と関連付けて説明できる.
2週 生体防御:腸内細菌と健康 オリゴ糖の機能と役割について腸内細菌と関連付けて説明できる.
3週 最新の腸内細菌研究 腸内細菌と健康の関係における最近の成果を説明できる。
4週 生きるための物質:脂質の種類とその機能およびその構造 中性脂肪と脂肪酸の構造とそのはたらきについて説明できる。
5週 生きるための物質:2脂質の種類とその機能およびその構造 リン脂質とコレステロールの構造とそのはたらきについて膜構造の視点から説明できる。
6週 生体の恒常性の維持:脂質の消化・吸収と代謝調節 脂質がどのように消化・吸収され、各組織細胞にどのようにして運搬され、供給されるかについて説明できる.
7週 生体の恒常性の破綻:疾病(動脈硬化)の誘発 脂質代謝の異常が動脈硬化等の疾病にどのように関わるかについて説明できる.
8週 生体の恒常性の回復:疾病予防(動脈硬化の予防) 動脈硬化予防としてどのような方法があるのか、説明できる。
4thQ
9週 後期中間試験により途中の達成度を測る。 6割以上の達成率がある。
10週 生きるための物質:タンパク質の種類とそのはたらき 生体に含まれるタンパク質の種類と構造およびはたらきについて説明ができる。
11週 生きるための物質:タンパク質の消化 ヒトは何故タンパク質を食べるのか、またタンパク質をどのように消化して、吸収するかについて説明できる。
12週 生体の恒常性の維持,疾病予防:血圧調節と高血圧予防 血圧調節のメカニズムと高血圧予防食品について説明できる.
13週 生体の恒常性の破綻と疾病:アレルギー アレルギーの発症メカニズムとその予防食品について説明できる
14週 生体の恒常性の回復:疾病予防(アレルギー予防) と予防食品 アレルギー予防食品のアレルギー予防のメカニズムについて説明できる
15週 定期試験 6割以上の達成率がある。
16週 答案返却 解答の説明

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。2
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。2
単糖と多糖の生物機能を説明できる。2
単糖の化学構造を説明でき、各種の異性体について説明できる。2
グリコシド結合を説明できる。2
多糖の例を説明できる。2
脂質の機能を複数あげることができる。2
トリアシルグリセロールの構造を説明できる。脂肪酸の構造を説明できる。2
リン脂質が作るミセル、脂質二重層について説明でき、生体膜の化学的性質を説明できる。2
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。2
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。2
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。2
タンパク質の高次構造について説明できる。2
ヌクレオチドの構造を説明できる。2
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。2
DNAの半保存的複製を説明できる。2
RNAの種類と働きを列記できる。2
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。2
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。2
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。2
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。2
解糖系の概要を説明できる。2
クエン酸回路の概要を説明できる。2
酸化的リン酸化過程におけるATPの合成を説明できる。2
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。2
各種の光合成色素の働きを説明できる。2
光化学反応の仕組みを理解し、その概要を説明できる。2
炭酸固定の過程を説明できる。2

評価割合

試験課題レポート受講態度合計
総合評価割合751510100
基礎的能力3551050
専門的能力155020
分野横断的能力255030