数学III

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 数学III
科目番号 0074 科目区分 一般 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 6
開設学科 共通教育科(八代) 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 6
教科書/教材 高専テキストシリーズ 線形代数 森北出版 および 高専テキストシリーズ 微分積分2 森北出版
担当教員 小鉢 暢夫,久保田 智,東田 洋次

到達目標

[4H]
1.行列と線形変換に関する基本的な性質の問題が解ける。
  (項目)行列/逆行列/連立2元1次方程式/線形変換/合成変換/逆変換/直交変換
2.平面上の曲線のいろいろな表し方(媒介変数・極座標)とさまざまな微分積分法について学び、これらに関する基本的な問題を取り扱うことができる。
  (項目)媒介変数表示/極方程式/接線の方程式/曲線で囲まれる図形の面積/曲線の長さ
3.定積分の値を数値計算によって近似的に求めることができる。基本的な広義積分の値を求めることができる。また、マクローリンの定理について学び、基本的な関数のマクローリン展開を
求めることができる。
  (項目)数値計算/広義積分/高次導関数/べき級数/マクローリン展開
4.簡単な1階および2階の微分方程式を解くことができる。
  (項目)変数分離形/線形微分方程式/斉次2階線形微分方程式/非斉次2階線形微分方程式
[2H]
1.基本的な2次関数の2次までの偏導関数を計算することができる。さらに、極値を求めることができる。また、陰関数の定理を用いて基本的な問題を解くことができる。
  (項目)2変数関数/偏導関数/合成関数の偏導関数/接平面/2変数関数の極致/極致判定/陰関数の微分法
2.簡単な条件付きの2変数関数の極値を求めることができる。また、簡単な重積分の計算ができる。更に、基本的な立体図形の体積を重積分を用いて求めることができる。
  (項目)条件付き極値問題/2重積分/変数変換/2重積分の応用
3.簡単な行列について、行列式の計算ができる。また、逆行列を求めたり、連立1次方程式を解くことができる。
  (項目)行列式/行列式の性質/行列式の応用/基本変形/連立1次方程式/逆行列
4. ベクトルの1次従属・1次独立を学び、行列の階数を求めることができる。正則でない係数行列をもつ1次連立方程式を解くことができる。また、簡単な行列について、固有値と固有ベクトルを求め、対角行列に変換することができる。
  (項目)従属と独立/行列の階数/連立1次方程式/固有値と固有ベクトル/対角化/対称行列

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 [4H]行列と線形変換に関する基本的な性質の問題が解ける。 [2H]基本的な2次関数の2次までの偏導関数を計算することができる。さらに、極値を求めることができる。また、陰関数の定理を用いて基本的な問題を解くことができる。到達目標の項目に関する問題に対して8割以上を正答することができる。到達目標の項目に関する問題に対して6割以上を正答することができる。到達目標の項目に関する問題に対して6割未満の正答しかない。
評価項目2 平面上の曲線のいろいろな表し方(媒介変数・極座標)とさまざまな微分積分法について学び、これらに関する基本的な問題を取り扱うことができる。 [2H]簡単な条件付きの2変数関数の極値を求めることができる。また、簡単な重積分の計算ができる。更に、基本的な立体図形の体積を重積分を用いて求めることができる。到達目標の項目に関する問題に対して8割以上を正答することができる。到達目標の項目に関する問題に対して6割以上を正答することができる。到達目標の項目に関する問題に対して6割未満の正答しかない。
評価項目3 3.定積分の値を数値計算によって近似的に求めることができる。基本的な広義積分の値を求めることができる。また、マクローリンの定理について学び、基本的な関数のマクローリン展開を 求めることができる。 [2H]簡単な行列について、行列式の計算ができる。また、逆行列を求めたり、連立1次方程式を解くことができる。到達目標の項目に関する問題に対して8割以上を正答することができる。到達目標の項目に関する問題に対して6割以上を正答することができる。到達目標の項目に関する問題に対して6割未満の正答しかない。
簡単な1階および2階の微分方程式を解くことができる。 [2H] ベクトルの1次従属・1次独立を学び、行列の階数を求めることができる。正則でない係数行列をもつ1次連立方程式を解くことができる。また、簡単な行列について、固有値と固有ベクトルを求め、対角行列に変換することができる。到達目標の項目に関する問題に対して8割以上を正答することができる。到達目標の項目に関する問題に対して6割以上を正答することができる。到達目標の項目に関する問題に対して6割未満の正答しかない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
[4H]本科目では、数学Ⅱ(微積分)で学んだ微分積分の基礎を踏まえ、微分積分の応用と微分方程式、および数学Ⅱ(ベクトル)で学んだベクトルの延長である行列と1次変換を取り扱う。
[2H]本科目では、数学Ⅱ(微積分)で学んだ微分積分の基礎を踏まえ、2変数の微分法(偏微分)と積分法(重積分)についてと、数学Ⅲ(4H)で学んだ行列の継続である行列式と行列の応用を取り扱う。
授業の進め方・方法:
(授業方針)本講義は教科書を中心に進め、次の達成目標に関する解説と演習を行う。また、適宜授業内容を確認するための試験を実施する。[行列式の4H]の前半の微分積分と微分方程式、および後半の行列と1次変換における基本的な知識の修得と簡単な計算ができるようになることを目標とする。[2H]の前半は2変数の微分法と積分法、および後半の行列と行列式における基本的な知識の修得と簡単な計算ができるようになることを目標とする。
(評価方法)4回の定期試験の成績(80%)と、適宜実施する試験の成績(20%)によって目標項目の達成度を評価する。評価の低い学生に対しては、再評価を行うこともある。
注意点:
(学習方法)講義で取扱った授業内容は、教科書や問題集等を解くことにより復習を行う。また、次回の講義に該当する箇所について、教科書を一読し予習してくる。
(連絡事項)基本問題を何回も正確に解くことが大切です。また、講義や演習に関する質問は、数学科全員で対応しています。放課後を利用し気軽に声をかけてください。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 [4H]行列/行列の和・差、実数倍
[2H]2変数関数
□行列の定義に関する問題
□行列の和差及び実数倍に関する計算問題
□2変数関数の定義域及びグラフの形状に関する問題
2週 [4H]行列の積
[2H]偏導関数
□行列の積に関する計算問題
□正方行列の累乗に関する計算問題
□転置行列に関する問題
□2変数関数の偏導関数を求める問題
□2変数関数の第2次偏導関数を求める問題
3週 [4H]逆行列/連立2元1次方程式
[2H]合成関数の導関数・偏導関数
□正方行列の逆行列の定義に関する問題
□2次正方行列の逆行列を求める問題
□2元連立1次方程式を解く問題
□合成関数の偏微分法を利用する問題
4週 [4H]線形変換とその表現行列
[2H]接平面
□線形変換の定義に関する問題
□線形変換による像に関する問題
□2変数関数が表す曲面上の点における接平面を求める問題
5週 [4H]いろいろな線形変換
[2H]全微分と近似/2変数関数の極値
□直線や点に関する対称変換の表現行列に関する問題
□原点のまわりに回転にする変換の表現
行列に関する問題
□全微分と近似に関する問題
6週 [4H]合成変換と逆行列
[2H]極値判定
□合成変換の表現行列を求める問題
□逆変換の表現行列を求める問題
□2変数関数の極値を求める問題
7週 [4H]直交行列と直交変換
[2H]陰関数の微分方法
□直交行列に関する問題
□f(x,y)=0から定まる陰関数の導関数を求める問題
8週 (前期中間試験) 評価項目1
2ndQ
9週 [4H]曲線の媒介変数表示
[2H]条件付き極値問題
□媒介変数表示で表される曲線に関する問題
□ある条件のもとでの2変数関数の極値を求める問題
10週 [4H]媒介変数表示と微分法
[2H]2重積分
□媒介変数表示で表される曲線上の接線を求める問題
□2重積分の定義に関する問題
□2重積分を累次積分によりその値を計算する問題
11週 [4H]媒介変数と積分法
[2H]2重積分
□媒介変数表示で表される曲線と直線で囲まれる図形の面積を求める問題
□媒介変数表示で表される曲線の線分の長さを求める問題
□積分順序の変更を行う問題
12週 [4H]媒介変数と積分法
[2H]変数変換
□曲線の長さを求める問題
□一般の変数変換を用いて2重積分の値を求める問題
13週 [4H]極座標と極方程式
[2H]変数変換
□極座標と直交座標に関する問題
□極方程式で表される曲線に関する問題
□極座標変換を用いて2重積分を求める問題
14週 [4H]極方程式と積分法
[2H]2重積分の応用
□極方程式で表される曲線と直線によって囲まれる図形の面積を求める問題
□極方程式で表される曲線の線分の長さを求める問題
□2重積分を用いて立体の体積を求める問題
15週 [4H]数値積分/広義積分
[2H]2重積分の応用
□数値計算(台形公式)に関する問題
□広義積分に関する問題
□2重積分を用いて平面図形の重心を求める問題
16週 (前期末試験) 評価項目2
後期
3rdQ
1週 [4H]高次導関数
[2H]3次正方行列の行列式
□高次導関数を求める問題
□2次及び3次の行列式の値を求める問題
□クラメルの公式による連立方程式を解く問題
2週 [4H]べき級数
[2H]n次正方行列の行列式
□収束半径を求める問題
□順列の符号を求める問題
3週 [4H]テイラーの定理とテイラー展開
[2H]行列式の性質
□べき級数展開に関する問題
□行列式の性質を用いて4次正方行列式の値を求める問題
4週 [4H]テイラーの定理とテイラー展開
[2H]行列の積の行列式/行列式の展開
□べき級数展開に関する問題
□行列の積の行列式に関する問題


5週 [4H]マクローリン展開と関数の近似
[2H]行列式の展開/行列の応用
□マクローリン展開に関する問題
□余因子による逆行列を求める問題
6週 [4H]マクローリン展開と関数の近似
[2H]行列式の応用
□オイラーの公式に関する問題
□行列式を用いて平行四辺形の面積や平行六面体の体積を求める問題
7週 [4H]微分方程式
[2H]基本変形による連立1次方程式の解法
□微分方程式の意味に関する問題
□基本変形による連立1次方程式を解く問題
8週 (後期中間試験) 評価項目3
4thQ
9週 [4H]変数分離形
[2H]基本変形による逆行列の計算
□変数分離形の微分方程式を解く問題
□基本変形による逆行列を解く問題
10週 [4H]線形微分方程式
[2H]行列の階数
□1階線形微分方程式を解く問題
□行列の階数を求める問題
11週 [4H]線形微分方程式
[2H]行列の階数と連立1次方程式
□1階線形微分方程式を解く問題
□係数行列が正則でない連立方程式の解を求める問題
12週 [4H]斉次2階線形微分方程式
[2H]ベクトルの線形独立と線形従属
□定数係数斉次2階線形微分方程式を解く問題
□線形独立と線形従属に関する問題
13週 [4H]非斉次2階線形微分方程式
[2H]固有値と固有ベクトル
□定数係数2階線形微分方程式を解く問題
□固有値と固有ベクトルに関する問題
14週 [4H]非斉次2階線形微分方程式
[2H]行列の対角化
□定数係数2階線形微分方程式を解く問題
□対角化に関する問題
15週 [4H]2階線形微分方程式の応用
[2H]対称行列の対角化
□運動方程式F=maに関する問題
□対称行列の直行行列による対角化に関する問題
16週 (後期末試験) 評価項目4

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学行列の定義を理解し、行列の和・差・スカラーとの積、行列の積を求めることができる。3前1
逆行列の定義を理解し、2次の正方行列の逆行列を求めることができる。3前3
行列式の定義および性質を理解し、基本的な行列式の値を求めることができる。3後1
線形変換の定義を理解し、線形変換を表す行列を求めることができる。3前4
合成変換や逆変換を表す行列を求めることができる。3前6
平面内の回転に対応する線形変換を表す行列を求めることができる。3前5
関数の媒介変数表示を理解し、媒介変数を利用して、その導関数を求めることができる。3前9,前10
2変数関数の定義域を理解し、不等式やグラフで表すことができる。3前1
合成関数の偏微分法を利用して、偏導関数を求めることができる。3前3
簡単な関数について、2次までの偏導関数を求めることができる。3前2
偏導関数を用いて、基本的な2変数関数の極値を求めることができる。3前6
2重積分の定義を理解し、簡単な2重積分を累次積分に直して求めることができる。3前10
極座標に変換することによって2重積分を求めることができる。3前13
2重積分を用いて、簡単な立体の体積を求めることができる。3前14
微分方程式の意味を理解し、簡単な変数分離形の微分方程式を解くことができる。3後7
簡単な1階線形微分方程式を解くことができる。3後11
定数係数2階斉次線形微分方程式を解くことができる。3後12
1変数関数のテイラー展開を理解し、基本的な関数のマクローリン展開を求めることができる。3後5
オイラーの公式を用いて、複素数変数の指数関数の簡単な計算ができる。3後6

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力80000020100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000