数学III(線形代数)

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 数学III(線形代数)
科目番号 LK1308 科目区分 一般 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 情報通信エレクトロニクス工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 「新訂 線形代数」大日本図書、「線形代数問題集」大日本図書
担当教員 石田 明男,菊池 耕士

到達目標

1.行列…・行列に関する和、差、スカラー倍や行列と行列の積、逆行列を計算できる。・行列を用いて連立1次方程式を解くことができる。
2.行列式…・行列式を求めることができ、連立1次方程式の解法などの様々な行列に関する計算ができる。
3.線形変換…・線形変換を理解し、図形の線形変換などができる。
4.固有値とその応用… ・固有値、固有ベクトルを求めることができる。・固有値、固有ベクトルを応用して、行列の対角化やその応用ができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1・行列の和、スカラー倍や行列と行列の積、正則行列の意味を理解し、応用ができる。 ・行列の階数について理解し、応用ができる。 ・行列を用いて連立1次方程式を解く解法を応用することができる。・行列の和、スカラー倍や行列と行列の積、逆行列の計算ができる。 ・行列の階数を求めることができる。 ・行列を用いて連立1次方程式を解くことができる。・行列の和、スカラー倍や行列と行列の積、逆行列の計算ができない。 ・行列の階数を求めることができない。 ・行列を用いて連立1次方程式を解くことができない。
評価項目2・行列式の定義、性質を理解し、応用することができる。 ・行列式を用いた逆行列の計算、連立1次方程式の解法を応用することができる。 ・行列式の図形への応用に関して理解し、応用できる。・行列式の定義、性質を理解し、計算することができる。 ・行列式を用いて、逆行列、連立1次方程式の解を求めることができる。 ・行列式を図形へ応用できる。・行列式を計算することができない。 ・行列式を用いて、逆行列、連立1次方程式の解を求めることができない。 ・行列式を図形へ応用できない。
評価項目3・線形変換の定義、基本性質について理解し、応用ができる。 ・合成変換、逆変換、回転を表す線形変換、直交変換について理解し、応用ができる。・線形変換の定義について理解し、線形変換に関する計算ができる。 ・合成変換、逆変換、回転を表す線形変換、直交変換に関する計算ができる。・線形変換に関する計算ができない。 ・合成変換、逆変換、回転を表す線形変換、直交変換に関する計算ができない。
評価項目4・固有値、固有ベクトルの定義を理解し、応用することができる。 ・固有値、固有ベクトルを応用して、行列の対角化の応用や2次形式に関する応用ができる。・固有値、固有ベクトルを求めることができる。 ・行列の対角化ができる。 ・2次形式の標準形を求めることができる。・固有値、固有ベクトルを求めることができない。 ・行列の対角化ができない。 ・2次形式の標準形を求めることができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
2年次までに開講した数学I、数学IIの履修を前提としている。また理系科目に不可欠な基礎教科である。
行列と行列式の基本的な性質を調べ、それらの性質の連立1次方程式や固有値問題などへの応用を学習する。このことにより線形代数の基礎をなすベクトル空間と線形写像についての理解を図る。微分積分とともに行列や行列式を含む線形代数の考え方は、工学系の専門科目の内容とも深く関わってくる基礎的概念の一つである。
授業の進め方・方法:
基本的に以下のような演習主体の授業とする。
(1)前回の内容の小テスト
(2)授業プリントを用いた授業内容の解説
(3)授業プリントの問を用いた問題演習及びレポート提出
問題を解いてみてわからないところは、学生同士の教え合いや担当者へ質問することにより、自ら積極的に解決してもらう。
また、授業中に参考資料を提示し、自ら学びを深め、その内容について定期試験で問うことがある。
注意点:
数学IIIのうち線形代数については、定期試験及び小テスト(80%)と授業レポート(20%)で評価する。
なお、到達目標を達成できなかった学生に対しては、再学習を課し、その後、再度到達度を確認するための試験を実施することがある。
数学IIIは、微分積分と線形代数を単位時間数に対応して2:1で評価し、60%以上で目標達成とする。
年間総合評価が60点に満たない場合は、再提出したレポートや再評価試験にて再評価することがある。再評価でも60点に満たない場合は単位を認定しない。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 行列の定義、行列の和・差,数との積 行列の定義を理解できる。
行列の和,差,数との積の計算ができる。
2週 行列の積(1) 行列と行列の積の定義を理解し、計算ができる。
3週 行列の積(2) 行列の積についての演算法則を理解できる。
正方行列の累乗の定義について理解し、計算ができる。
4週 転置行列、逆行列 転置行列の定義及び性質を理解し、転置行列を求めることができる。
対称行列、交代行列の定義を理解できる。
逆行列の定義を理解し、2次の正方行列の逆行列を求めることができる。
5週 逆行列 逆行列の定義を理解し,求めることができる。
6週 連立1次方程式と行列 連立1次方程式の行列を用いた表現を理解できる。
行基本変形を理解し、ガウスの消去法により連立1次方程式を解くことができる。
7週 逆行列と連立1次方程式 行基本変形を用いてn次正方行列の逆行列を求めることができる。
逆行列を用いて連立1次方程式を解くことができる。
8週 行列の階数 行列の階数の定義を理解し、行列の階数を求めることができる。
連立1次方程式と階数の関係、解の自由度について理解できる。
2ndQ
9週 まとめや確認試験 確認試験・振り返り
10週 行列式の定義 行列式の定義を理解し,定義に従って行列式を計算できる。
サラスの方法を用いて3次の行列式を計算できる。
11週 行列式の性質(1) 行列式の性質を用いて高次の行列式が計算できる。
12週 行列式の性質(2)、行列の積の行列式 転置行列の行列式、行列の積の行列式について理解し、計算ができる。
13週 行列式の展開 小行列式と余因子を理解し、行列式をある行や列に関して展開できる。
14週 行列式と逆行列 余因子行列を用いて逆行列を求めることができる。
15週 定期試験 定期試験
16週 答案返却 答案返却・振り返り
後期
3rdQ
1週 連立1次方程式と行列式 連立1次方程式の行列式を用いた解法(クラメルの公式)により連立1次方程式が解ける。
2週 n次元ベクトルの線形独立 n次元ベクトルの線形独立と行列式の関係が理解できる。
3週 行列式の図形的意味 行列式と平行四辺形の面積、平行六面体の体積との関係を理解し、計算できる。
4週 線形変換 線形変換の定義を理解し、表現行列や線形変換による像を求めることができる。
5週 線形変換の基本性質 線形変換の基本性質を理解し、性質を用いてベクトルや図形の像を求めることができる。
6週 合成変換と逆変換 合成変換を理解し、表現行列を求めることができる。
逆変換を理解し、ベクトルや図形に応用できる。
7週 回転を表す線形変換 平面内の回転を表す線形変換を求めることや変換による像を求めることができる。
8週 直交行列と直交変換 直交行列と直交変換について理解できる。
4thQ
9週 まとめや確認試験 確認試験・振り返り
10週 固有値,固有ベクトル 固有値,固有ベクトルの定義を理解できる。
固有多項式により固有値を求めることができる。
11週 固有値,固有ベクトルの計算 固有多項式により求めた固有値に対して、固有ベクトルを求めることができる。
12週 行列の対角化、対角化可能の条件 固有値、固有ベクトルから対角化行列を求め、行列の対角化ができる。
対角化可能かどうか判定ができる。
13週 対称行列の直交行列による対角化 対称行列を直交行列により対角化できる。
シュミットの直交化法により線形独立なベクトルを直交化できる。
14週 対角化の応用 2次形式を対角化を用いて標準形に変換できる。
行列の累乗を対角化を用いて求めることができる。
15週 定期試験 定期試験
16週 答案返却 答案返却

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学行列の定義を理解し、行列の和・差・スカラーとの積、行列の積を求めることができる。2前1,前2,前3
逆行列の定義を理解し、2次の正方行列の逆行列を求めることができる。2前4,前5
行列式の定義および性質を理解し、基本的な行列式の値を求めることができる。2前10,前11,前12,前13
線形変換の定義を理解し、線形変換を表す行列を求めることができる。2後4,後5
合成変換や逆変換を表す行列を求めることができる。2後6
平面内の回転に対応する線形変換を表す行列を求めることができる。2後7

評価割合

試験、小テスト授業レポート合計
総合評価割合80200100
基礎的能力80200100
専門的能力0000
分野横断的能力0000