概要:
本科目は、電磁気学や電気回路への導入科目として位置付けられ、磁気(磁界や磁束密度)に関する基礎的な知識や物理的な考え方を習得する.磁気に関する法則(クーロンの法則,アンペアンの右ねじの法則,ビオ・サバールの法則,フレミングの右手の法則,ファラデーの電磁誘導の法則)について学習し,電流と磁気(つまり磁界や磁束密度)との関係を理解する.また,磁気で用いる物理量(磁界の強さ,磁束密度,インダクタンス)の意味を理解するとともに,その使い方に慣れる.
授業の進め方・方法:
本科目は教科書に従った講義を中心に進めるが,磁気についての簡単な実演や実験を並行して行う.授業では演習問題を数多く取り入れ,問題を解くことで学習した内容を理解し活用する能力を養成する.また,磁気や電気の基本的語句(量)に対して英語による表記ができるようにする.
授業の成績は,試験(中間試験,定期試験),小テスト・課題,実験(レポートを含む)を総合して評価する.評価の割合は中間試験と定期試験が70%,小テスト・課題・実験を30%とする.60点以上の評価で目標達成とする.各試験の評価が6割に満たない学生に対しては,追試験やレポートを課すことがある.
注意点:
本科目は,電磁気学や電気回路など専門科目の基礎となる特に重要な科目であり,学習内容が定着するように努めること.
質問は,随時受け付ける.
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
・ガイダンス ・基礎電気学Ⅰの復習 |
・科目の概要と授業方針そして成績評価について確認する. ・1年次に学習した基本的電気量(電荷,電流,電圧,抵抗)について復習し,その物理的意味を理解している。
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2週 |
・磁化現象 ・磁気に関するクーロンの法則 |
・磁化を実際に確かめ、その物理的意味を説明できる。 ・クーロンの法則を用いて電荷間に働く力を磁気に関するクーロンの法則を用いて磁極間に働く力を計算することができる.
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3週 |
・磁界の強さと磁力線 |
・磁極間に働く力から磁界の強さを定義し,磁界の強さが計算できる. ・磁力線の性質を説明できる. ・磁極間の磁力線を描写できる.
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4週 |
・磁束と磁束密度 |
・磁束の定義を説明できる. ・磁束から磁束密度を定義し,磁界の強さと磁束密度の関係を説明できる.
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5週 |
・電流による磁界の演示 ・アンペアの右ねじの法則 |
・電流により磁界を発生をする方法を説明できる. ・アンペアの右ねじの法則を説明することができる.
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6週 |
・アンペアの右ねじの法則を用いた磁界の強さを求める計算 |
・アンペアの右ねじの法則を用いて,導体に流れる電流が作る磁界の強さを求めることができる.
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7週 |
・ビオ・サバール法則とそれを用いた磁界の強さを求める計算 ・各種コイルの磁界 |
・円形コイル,無限長コイル,環状コイルが作る磁界の強さを計算でき,その磁力線の様子を描くことができる.
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8週 |
前期中間試験 |
前期第1週から7週までで学習した内容を確認する.
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2ndQ |
9週 |
・前期中間試験問題の返却 ・フレミングの左手の法則の実演 |
・前期中間試験の解説 ・磁界中に置かれた導体に電流が流れた時、導体に力が働くことを具体的に説明できる。
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10週 |
・フレミングの左手の法則 |
・フレミングの法則を用いて,磁界,電流,電磁力の関係を説明できる。 ・磁石間に置かれた導体に電流が流れた時の電磁力を計算できる.
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11週 |
・平行電流間に働く力 |
・フレミングの法則を用いて,平行電流間に働く力を説明できる.
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12週 |
・コイルに働くトルク |
・磁界中のコイルに働く(電磁力に基づく)トルクを計算できる.
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13週 |
・直流電動機 |
・直流機(モーター)の原理と構造を説明できる。
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14週 |
・磁気の応用技術に関する調査 |
・磁気の応用技術例を調べ,磁界の働きを説明できる.
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15週 |
前期定期試験 |
前期第9週から14週までで学習した内容を確認する.
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16週 |
・前期定期試験問題の返却 ・磁気記録に関する調査と発表 |
・前期定期試験の解説 ・磁性体のヒステリシス特性の工学的応用として磁気記録について説明できる.
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後期 |
3rdQ |
1週 |
・磁性体と透磁率 ・強磁性体,常磁性体,反磁性体
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・磁化と磁性体について,磁界を用いてそれぞれ説明できる. ・透磁率及び比透磁率を説明できる. ・強磁性体,常磁性体,反磁性体の違いを比透磁率から説明できる。
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2週 |
・磁化曲線,ヒステリシス曲線 ・磁気回路
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・磁化曲線を理解し,磁性体のヒステリシス特性を説明することができる. ・磁気回路を用いて,磁束,起磁力,磁気抵抗の関係を説明できる.
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3週 |
・電磁誘導 ・ファラデーの法則とレンツの法則 |
・電磁誘導の現象を具体的に説明することができる。 ・ファラデーの法則を定量的に説明することができ,また誘導起電力の計算ができる.
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4週 |
・フレミングの右手の法則 |
・フレミングの右手の法則を用いて磁界中の導体の運動による誘導起電力を求めることができる
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5週 |
・電磁誘導に関する演習 |
・電磁誘導に関する基本的演習問題が解ける. ・磁界を運動する導体に誘導起電力が生じる現象を定性的に説明することができる.
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6週 |
・直流発電機 |
・直流発電機の動作原理を説明できる.
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7週 |
・水力発電,火力発電,原子力発電の主要設備の調査 |
・発電の主要設備であるタービンの原理を説明できる. ・水力発電,火力発電,原子力発電について調査し、その概要を説明できる.
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8週 |
後期中間試験 |
後期第1週から7週までで学習した内容を確認する.
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4thQ |
9週 |
・後期中間試験問題の返却 ・コイルの作成と評価 |
・後期中間試験の解説 ・コイルを実際に作成し、インダクタンスの構造と働きを具体的に説明できる.
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10週 |
・自己インダクタンス ・環状コイルと無限長コイル |
・コイルの自己インダクタンスの定義を説明できる. ・環状コイルと無限長コイルの自己インダクタンスを計算できる.
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11週 |
・相互誘導と相互インダクタンス ・変圧器 |
・相互誘導の現象を定性的に説明できる. ・変圧器の構造(1次コイルと2次コイル)及び動作原理を説明できる.
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12週 |
・磁気エネルギー |
・自己インダクタンスLのコイルに電流Iが流れたときにコイル蓄えられるエネルギーを求めることができる.
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13週 |
・電波と電波に関する諸量 |
・電波として平面波を説明できる. ・電波の周波数,波長、伝送電力を説明できる.
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14週 |
・GPSによる位置表示の実験 |
・電波の応用例としてGPSの仕組みを説明することができる.
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15週 |
後期定期試験 |
後期第9週から14週までで学習した内容を確認する.
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16週 |
・後期定期試験問題の返却 ・電波の利用に関する調査
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・後期定期試験の解説 ・電波の応用技術及び利用例を調査することができる.
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 数学 | 数学 | 数学 | 複素数の相等を理解し、その加減乗除の計算ができる。 | 2 | |
自然科学 | 物理 | 熱 | エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。 | 2 | |
電気 | オームの法則から、電圧、電流、抵抗に関する計算ができる。 | 3 | |
抵抗を直列接続、及び並列接続したときの合成抵抗の値を求めることができる。 | 3 | |
ジュール熱や電力を求めることができる。 | 3 | |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 電気・電子系分野 | 電磁気 | 磁性体と磁化及び磁束密度を説明できる。 | 2 | |
電流が作る磁界をビオ・サバールの法則を用いて計算できる。 | 2 | |
電流が作る磁界をアンペールの法則を用いて計算できる。 | 2 | |
磁界中の電流に作用する力を説明できる。 | 2 | |
ローレンツ力を説明できる。 | 2 | |
磁気エネルギーを説明できる。 | 2 | |
電磁誘導を説明でき、誘導起電力を計算できる。 | 2 | |
自己誘導と相互誘導を説明できる。 | 2 | |
自己インダクタンス及び相互インダクタンスを求めることができる。 | 2 | |
電力 | 直流機の原理と構造を説明できる。 | 2 | 前5,前13 |
変圧器の原理、構造、特性を説明でき、その等価回路を説明できる。 | 3 | |
電力品質の定義およびその維持に必要な手段について知っている。 | 4 | |
電力システムの経済的運用について説明できる。 | 4 | |
水力発電の原理について理解し、水力発電の主要設備を説明できる。 | 4 | |
火力発電の原理について理解し、火力発電の主要設備を説明できる。 | 4 | |
原子力発電の原理について理解し、原子力発電の主要設備を説明できる。 | 4 | |
その他の新エネルギー・再生可能エネルギーを用いた発電の概要を説明できる。 | 4 | |
電気エネルギーの発生・輸送・利用と環境問題との関わりについて説明できる。 | 4 | |