電気回路学I

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 2019
授業科目 電気回路学I
科目番号 TE1202 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 情報通信エレクトロニクス工学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 電気回路の基礎(第3版)、基礎電気回路ノートⅠ、基礎電気回路ノートⅡ
担当教員 伊山 義忠

到達目標

①電気回路の基礎としての電圧、電流の関係を理解し、純抵抗負荷の場合について計算と説明ができる。②キルヒホッフの法則について理解し、合成抵抗や分圧・分流の考え方に当てはめて説明できる。③三角関数による交流表示について理解し、振幅や位相についての計算ができる。④複素数の計算ができ、正弦波交流の複素数表示についての説明ができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
電圧・電流の関係電圧・電流についての複数のパラメータの組み合わせからなる発展的問題を解くことができる。また、抵抗の直並列接続からなる回路について、電圧・電流の関係から説明と計算ができる。電圧・電流について、定義式に沿った基本的な問題を解くことができる。また、抵抗の直列接続、並列接続について、電圧・電流の関係から説明と計算ができる。電圧・電流について、基本的な問題を解くことができない。また、抵抗の直列接続について、電圧・電流の関係から説明することができない。
キルヒホッフの法則分圧則や分流則などの基本則をキルヒホッフの法則を用いて説明できる。さらに、2つを超える閉路からなる直流回路についての電流・電圧分布を導くことができる。電圧則と電流則について具体的に説明でき、2つの閉路からなる直流回路についての計算ができる。キルヒホッフの法則についての具体的な説明ができない。
三角関数による交流表示正弦波交流の特性を表す実効値などの計算ができ、その説明ができる。さらに、三角関数表示を用いて、抵抗・リアクタンス素子を組み合わせた回路の電圧・電流特性を計算できる。位相をはじめとする正弦波交流の基本事項について説明ができる。さらに、三角関数表示を用いて、抵抗・リアクタンス素子単体の電圧・電流特性を計算できる。正弦波交流の基本事項についての説明ができない。さらに、三角関数表示を用いて、抵抗・リアクタンス素子単体の電圧・電流特性を計算できない。
複素数を用いた正弦波交流の表示直交形式と極形式による複雑な複素数演算ができ、その位相関係についての説明ができる。また、正弦波と複素数の対応を用いて、回路方程式を解くことができる。直交形式と極形式による複素数演算ができる。また、正弦波と複素数の対応についての説明と関係式の導出ができる。極形式による複素数演算ができない。また、正弦波と複素数の対応についての式を用いた説明ができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
各種の専門教科の基礎となる電気回路学について、一般線形回路網ならびにその解析に特有の概念や手法についての理解を深めることを目指す。
授業の進め方・方法:
まず電気回路の基礎としての電圧、電流の関係を理解できるよう、その概念を十分に説明する。ついで、オームの法則やキルヒホッフの法則についての理解を促す。ここでは、純抵抗負荷の場合についての計算演習を並行して進め、合成抵抗や分圧・分流の考え方理解できるようにする。さらに、交流回路へと授業を進め、三角関数による交流表示やについて三角関数を用いた演算に慣れたうえで、正弦波交流の複素数表示についての理解を深めて行く。
注意点:
規定授業時間数は60時間である。評価は、中間試験・期末試験等の筆記試験、小テスト、レポートで行うが、小テストは課題演習形式として実施する場合もある。レ ポートの提出期限は課題提示と同時に示し、期限に遅れて提出されたレポートの評価点は、遅延に応じて減点する。予習を行ったうえで講義に臨むことが重要であり、また、専門科目の基礎となる教科であるで、取り組みには十分な時間をかける必要がある。なお、筆記試験における欠点者に対しては、到達目標の達成を図るため、必要な補講や再評価テストを実施する。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
到達目標、評価法、学習方法・進め方などを理解する。
2週 オームの法則と直流回路の復習 回路中の電圧・電流の関係についての理解を確認する。
3週 電圧源、電流源、回路方程式についての理解を深める 定電圧源と定電流源の等価変換を理解して計算できる。直流回路において、回路方程式を立ててこの方程式を解くことができる。
4週 抵抗の直並列接続 合成抵抗の考え方をオームの法則より導くことができる
5週 キルヒホッフの法則(1) 電圧則の成り立ちを説明できる。
6週 キルヒホッフの法則(2) 電流側の成り立ちを説明できる。
7週 回路方程式の立て方 基本的な2閉路回路について、回路方程式を立てることができる。
8週 問題演習 問題を解くことにより、回路網計算についての理解を深め、実践力を高める。
2ndQ
9週 前期中間試験
10週 正弦波交流についての理解を深める 正弦波交流の瞬時値、位相について理解し、交流の和および差の計算を三角関数を用いてできる。
11週 正弦波交流のフェーザ表示 正弦波交流の瞬時値及びフェーザ表現を理解し、フェーザを用いて電圧・電流を合成し、その大きさや位相を計算できる。
12週 交流の大きさと波形 絶対平均値、実効値について理解し、各種波形についての計算ができる。
13週 共振回路 共振時の振幅、位相関係を計算により求めることができる。
14週 問題演習 問題を解くことにより、正弦波回路についての理解を深め、実践力を高める。
15週 前期定期試験
16週 答案返却 問題解答を復習し、さらに、必要な補足説明、関連事項について講義を受ける。
後期
3rdQ
1週 複素数による表示法の基礎 指数関数とオイラーの公式に関して理解し、計算をすることができる。
2週 複素数の絶対値と位相 複素数の表示方法について理解し、正弦波交流との関係から説明できる。
3週 共役複素数 共役複素数の性質を理解し、計算をすることができる。
4週 問題演習 直交形式による複素数演算を正確にできる。
5週 指数関数とオイラーの公式 三角関数と指数関数との関係についての理解を深める。
6週 指数関数の回路的利用 指数関数による乗法・除法の利点を会得する。
7週 問題演習 指数関数の位相回転機能についての理解を深める。
8週 後期中間試験
4thQ
9週 正弦波と複素数との対応の基本概念 複素表示の考え方を理解する。
10週 正弦波と複素数との対応の微分方程式への適用 正弦波と複素数との対応を用いて微分方程式を満足する正弦波関数を求める手法を理解する。
11週 問題演習 演習を通じて、正弦波と複素数との対応を用いた手法を習得する。
12週 複素インピーダンスを用いた回路表示 微分・積分形式による回路表示と複素インピーダンスを用いた回路表示との関係を把握する。
13週 複素インピーダンスを用いた回路計算 複素インピーダンスを用いた回路計算手法を理解する。
14週 問題演習 いくつかの代表的な回路について、複素表示を用いた手法で素子間に成り立つ関係を求めることができる。
15週 後期定期試験
16週 答案返却 問題解答と必要な補足説明を行い、次年度に向けた学習についても説明する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学複素数の相等を理解し、その加減乗除の計算ができる。3
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路電荷と電流、電圧を説明できる。3前2
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。3前2
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。2前2
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。2前2
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。3前3
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。2前4
分野別の工学実験・実習能力電気・電子系分野【実験・実習能力】電気・電子系【実験実習】キルヒホッフの法則を適用し、実験結果を考察できる。4
分流・分圧の関係を適用し、実験結果を考察できる。4
ブリッジ回路の平衡条件を適用し、実験結果を考察できる。4
共振について、実験結果を考察できる。4

評価割合

試験小テスト・課題演習レポート合計
総合評価割合85105100
基礎的能力555060
専門的能力205530
分野横断的能力100010