電気磁気学I

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 2019
授業科目 電気磁気学I
科目番号 TE1301 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 情報通信エレクトロニクス工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 山口昌一郎著「基礎電磁気学 改訂版」電気学会
担当教員 芳野 裕樹

到達目標

各種の電気現象が,導体や誘電体にどのように作用するのか,直感的に理解できる.また,それらの物理現象を述べた数式の把握ができる.基本的な問題について,その解を得ることができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
・電荷と電界 ・電気力線と電束 ・クーロンの法則 ・ガウスの法則の積分系電荷,電界,電気力線,電束の概念をすべて説明できる.クーロンの法則をすべて説明でき,点電荷に働く力等をすべて計算できる.ガウスの法則を積分系で表し、これを用いた電界の計算等がすべてできる.電束密度と電気力線の違いをすべて説明できる.電荷,電界,電気力線,電束の概念を説明できる.クーロンの法則を説明でき,点電荷に働く力等を計算できる.ガウスの法則を積分系で表し、これを用いた電界の計算等ができる.電束密度と電気力線の違いを説明できる.電荷,電界,電気力線,電束の概念を説明できない.クーロンの法則を説明できない.点電荷に働く力等を計算できない.ガウスの法則を積分系で表せず、これを用いて電界等を計算することができない.電束密度と電気力線の違いを説明できない.
・電位とベクトルの傾き ・ベクトルの発散とガウスの法則の微分系 ・ベクトルの回転とストークスの定理 ・帯電体による電界電位の定義をすべて言うことができる.電位から電界を求める計算がすべてできる.電位の傾きをベクトルですべて表せる.ベクトルの発散についてすべて理解し,ガウスの法則を微分系で表すことができる.ベクトルの回転とストークスの定理についてすべて理解し.帯電体による電界の強さをすべて求めることができる.電位の定義を言える.電位から電界を求める計算ができる.電位の傾きをベクトルで表すことができる.ベクトルの発散について理解し,ガウスの法則を微分系で表すことができる.ベクトルの回転とストークスの定理について理解し.帯電体による電界の強さを求めることができる。電位の定義を説明できない.電位から電界を求めることができない.電位の傾きをベクトルで表すことができない.ベクトルの発散とは何か説明できず,ガウスの法則を微分系で表すことができない.ベクトルの回転とストークスの定理について理解できない.帯電体による電界の強さを求めることができない.
・静電容量 ・静電エネルギー ・コンデンサ ・電気影像法静電容量および静電エネルギーの概念をすべて説明できる.基本的な構造を持つ平行平板コンデンサ等の静電容量をすべて求めることができる.多数の導体間の静電容量をすべて求めることができる.コンデンサの並列,直列接続についてすべて説明でき,合成静電容量,エネルギーを求めることができる.電気影像法についてすべて理解できる.静電容量および静電エネルギーの概念を説明できる.基本的な構造を持つ平行平板コンデンサ等の静電容量を求めることができる.多数の導体間の静電容量を求めることができる.コンデンサの並列,直列接続について説明でき,合成静電容量,エネルギーを求めることができる.電気影像法について理解できる.静電容量および静電エネルギーの概念を説明できない.基本的な構造を持つ平行平板コンデンサ等の静電容量を求めることができない.多数の導体間の静電容量を求めることができない.コンデンサの並列,直列接続について説明できず,合成静電容量,エネルギーを求めることができない.電気影像法について理解できない.
・導体の性質 ・誘電体と分極 ・誘電体中のエネルギー ・複数の誘電体 ・誘電体による静電容量の変化導体の性質をすべて説明でき,導体表面の電荷密度や電界などを計算できる.誘電体と分極についてすべて説明できる.誘電体における電束密度と電界の関係をすべて説明できる.複数の誘電体境界での電気力線と電界の性質をすべて説明できる.誘電体中のエネルギーについてすべて計算できる.誘電体による静電容量の変化をすべて計算できる.導体の性質を説明でき,導体表面の電荷密度や電界などを計算できる.誘電体と分極について説明できる.誘電体における電束密度と電界の関係を説明できる.複数の誘電体境界での電気力線と電界の性質を説明できる.誘電体中のエネルギーについて計算できる.誘電体による静電容量の変化を計算できる.導体の性質を説明できず,導体表面の電荷密度や電界などを計算できない.誘電体と分極について説明できない.誘電体における電束密度と電界の関係を説明できない.複数の誘電体境界での電気力線と電界の性質を説明できない.誘電体中のエネルギーについて計算できない.誘電体による静電容量の変化を計算できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
電磁気学のうち,静電界に関する基本的な現象の考え方,取り扱いについて述べる.クーロンの法則に始まり,電界,電位を定義し,各種条件下でこれらを求める.電気の基本的な素子である静電容量についてその定義を述べ,具体的な静電容量を求める.真空中だけでなく,誘電体内で電界がどのように変化するのかを述べる.電気の基本となる量である,電流について定義を述べ,オームの法則など基本的な法則を説明する.
授業の進め方・方法:
課題提出による平常点を10%,定期試験,中間試験90%で評価する.課題は,期限までに提出し,課題すべてに解答したものを評価対象とする.課題の提出期限は,その都度指定する.平常と試験を総合して60%以上で合格とする.授業は講義およびグループワークで行う.
注意点:
電気磁気学は,電気・電子工学の基礎となる科目である.数式の取り扱いも大事であるが,物理現象を式で表したものなので,おおもととなる物理現象そのものをよく理解するように努めて欲しい. 新しい概念や取り数式の扱いが多いため,本気で学習しないと理解できません.4年生の電気磁気学で習う磁界と時間変化を有する電磁界の基礎となる部分なので,しっかり勉強し理解すること.授業時間数は90分×30コマとする。この科目では、レポート課題などで30時間の自学自習を課す。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
2週 電荷
物質の電気的性質
静電誘導
クーロンの法則
電荷及びクーロンの法則を説明でき、点電荷に働く力等を計算できる。
3週 電界
複数個の点電荷による電界
電界、電位、電気力線、電束を説明でき、これらを用いた計算ができる。
4週 電気力線
電気力線の密度と電界の強さ
電束と電束密度
電界、電位、電気力線、電束を説明でき、これらを用いた計算ができる。
5週 ガウスの法則 ガウスの法則を説明でき、電界の計算などに用いることができる。
6週 ガウスの法則 ガウスの法則を説明でき、電界の計算などに用いることができる。
7週 演習 第1週~第6週までの内容を演習によって確認し、内容を理解できる。
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 答案返却 答案を確認し、自分が間違った箇所と理由を理解できる。
10週 電界中で電荷を移動するのに要する仕事
電位
電位差
電位の傾き
電荷及びクーロンの法則を説明でき、点電荷に働く力等を計算できる。
電界、電位、電気力線、電束を説明でき、これらを用いた計算ができる。
ガウスの法則を説明でき、電界の計算などに用いることができる。
11週 電気力線と等電位面
ベクトルの回転
ストークスの定理
電荷及びクーロンの法則を説明でき、点電荷に働く力等を計算できる。
電界、電位、電気力線、電束を説明でき、これらを用いた計算ができる。
ガウスの法則を説明でき、電界の計算などに用いることができる。
12週 静電界の保存性
ラプラスの方程式
ポアソンの方程式
電荷及びクーロンの法則を説明でき、点電荷に働く力等を計算できる。
電界、電位、電気力線、電束を説明でき、これらを用いた計算ができる。
ガウスの法則を説明でき、電界の計算などに用いることができる。
13週 各座標系の勾配
各座標系の回転
各座標系のラプラシアン
電荷及びクーロンの法則を説明でき、点電荷に働く力等を計算できる。
電界、電位、電気力線、電束を説明でき、これらを用いた計算ができる。
ガウスの法則を説明でき、電界の計算などに用いることができる。
14週 演習 第9週~第13週までの内容を演習によって確認し、理解を深める。
15週 前期定期試験
16週 答案返却および解説 答案を確認し、自分が間違った箇所と理由を理解できる。
後期
3rdQ
1週 電気双極子 電荷及びクーロンの法則を説明でき、点電荷に働く力等を計算できる。
電界、電位、電気力線、電束を説明でき、これらを用いた計算ができる。
ガウスの法則を説明でき、電界の計算などに用いることができる。
2週 一様に帯電した電界 電荷及びクーロンの法則を説明でき、点電荷に働く力等を計算できる。
電界、電位、電気力線、電束を説明でき、これらを用いた計算ができる。
ガウスの法則を説明でき、電界の計算などに用いることができる。
3週 導体の電荷分布と電界
導体表面に働く力
導体の性質を説明でき、導体表面の電荷密度や電界などを計算できる。
4週 静電容量
静電容量の計算
静電容量を説明でき、平行平板コンデンサ等の静電容量を計算できる。
5週 電位係数
容量係数
静電容量を説明でき、平行平板コンデンサ等の静電容量を計算できる。
6週 電気影像法 導体の性質を説明でき、導体表面の電荷密度や電界などを計算できる。
誘電体と分極、及び、電束密度を説明できる。
7週 演習 第1週~第6週までの内容を演習によって確認し、内容を理解を深める。
8週 後期中間試験
4thQ
9週 答案返却および解説 答案を確認し、自分が間違った箇所と理由を理解できる。
10週 コンデンサの接続
静電容量に蓄えられるエネルギー
電界に蓄えられるエネルギー密度
平行平板コンデンサの電極間に働く力
静電容量の接続を説明し、その合成静電容量を計算できる。
静電エネルギーを説明できる。
11週 誘電体
誘電体の分極
誘電体中の電界
誘電体と分極、及び、電束密度を説明できる。
12週 誘電体中の電束密度と電界の強さ
誘電体中の電荷完に働く電気力
誘電体と分極、及び、電束密度を説明できる。
13週 2種類の誘電体の境界面におけるDとE
誘電体中に蓄えられるエネルギー
誘電体を満たした平行平板コンデンサの電極間に働く力
誘電体と分極、及び、電束密度を説明できる。
14週 演習 第9週~第13週までの内容を演習によって確認し、内容を理解できる。
15週 後期期末試験
16週 答案返却および解説 答案を確認し、自分が間違った箇所と理由を理解できる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理電気導体と不導体の違いについて、自由電子と関連させて説明できる。3
電場・電位について説明できる。3
クーロンの法則が説明できる。3
クーロンの法則から、点電荷の間にはたらく静電気力を求めることができる。3
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電磁気電荷及びクーロンの法則を説明でき、点電荷に働く力等を計算できる。4前1,前2,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前16,後1,後2,後7,後9
電界、電位、電気力線、電束を説明でき、これらを用いた計算ができる。4前3,前4,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前16,後1,後2,後7,後9,後16
ガウスの法則を説明でき、電界の計算に用いることができる。4前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前16,後1,後2,後7,後9,後16
導体の性質を説明でき、導体表面の電荷密度や電界などを計算できる。4後3,後6,後7,後9
誘電体と分極及び電束密度を説明できる。4後3,後7,後9,後11,後12,後13,後14
静電容量を説明でき、平行平板コンデンサ等の静電容量を計算できる。4後4,後5,後7,後10,後14
コンデンサの直列接続、並列接続を説明し、その合成静電容量を計算できる。4後10,後14
静電エネルギーを説明できる。4後10

評価割合

試験課題合計
総合評価割合9010100
基礎的能力000
専門的能力9010100