概要:
電子回路学IとⅡは3年次~4年次を通して電子回路の基本的動作と解析に関することを修得する.3年次では,電子回路の基礎となるトランジスタとFETの動作を中心に理解し,これらを用いた増幅器を等価回路に直し,動作量を解析的に求める技法を修得する.また,演算増幅器を用いた回路の動作を理解し解析する.回路をブラックボックスで考えるのではなく,原理からどのようにして動作しているのかに重点を置く.
授業の進め方・方法:
本科目は教科書に従った講義を中心に進める.授業では問題を解くことで学習した内容を理解し活用する能力を養成する.
授業の成績は,試験(中間試験,定期試験),小テスト・課題を総合して評価する.評価の割合は中間試験と定期試験が70%,小テスト・課題を30%とする.60点以上の評価で目標達成とする.
注意点:
本科目は,第1級陸上無線技術士の国家試験との関連性が深い.関連する基礎科目は電気回路学,電子工学,電子計測である.また,次年度における電子回路Ⅱの基礎科目と位置付けられる.
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス,半導体の性質 |
本授業の概要,学習の進め方,本科目の評価法などの理解できる. 代表的な半導体,半導体の種類,半導体の性質について理解し説明できる.
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2週 |
ダイオードの構造,性質 |
ダイオードの構造と働き,特性について理解し説明できる. ダイオードの種類と用法を理解し説明できる.
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3週 |
トランジスタの構造,性質 |
トランジスタの構造と種類,働きと動作原理について理解し説明できる.
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4週 |
トランジスタの構造,性質 |
簡単なトランジスタ回路の電圧,電流を計算できる.
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5週 |
電界効果トランジスタの構造,性質 |
電界効果トランジスタの構造と種類,動作原理について理解し説明できる.
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6週 |
電界効果トランジスタの構造,性質 |
電界効果トランジスタの働きと動作原理について理解し説明できる. 電界効果トランジスタの特性を理解し説明できる.
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7週 |
集積回路 |
集積回路の特徴と分類,ディジタルIC回路の動作について理解し説明できる.
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8週 |
中間試験 |
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2ndQ |
9週 |
試験問題回答返却と解説,簡単な増幅回路 |
トランジスタを使って電気信号を増幅する仕組みを理解し説明できる.
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10週 |
増幅回路の構成 |
トランジスタを使った増幅回路の構成を理解し説明できる. 増幅回路を直流回路及び交流回路に分けることができる.
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11週 |
増幅回路の動作 |
出力特性に直流負荷線を引き,動作点を求めることができる. 増幅回路のバイアス電圧を定めることができる.
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12週 |
増幅度の求め方 |
増幅回路の増幅度を求めることができる. 増幅度をデシベル表示することができる.
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13週 |
トランジスタの等価回路とその利用 |
hパラメータによるトランジスタの等価回路を書くことができる.
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14週 |
トランジスタの等価回路とその利用 |
等価回路による増幅度や入出力インピーダンスを求めることができる.
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15週 |
定期試験 |
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16週 |
試験問題回答返却と解説,トランジスタの直流(バイアス)回路 |
トランジスタの直流(バイアス)回路を説明し,バイパスコンデンサの役割を説明できる.
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後期 |
3rdQ |
1週 |
増幅回路の特性変化(周波数による影響) |
増幅回路の増幅度が低下する低域遮断周波数について,原因を理解し説明できる.
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2週 |
増幅回路の特性変化(出力波形のひずみ) |
増幅回路の増幅度が低下する高域遮断周波数について,原因を理解し説明できる. 出力波形のひずみの原因及びひずみ率について理解し説明できる.
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3週 |
負帰還増幅回路 |
負帰還増幅回路の動作と特長を理解し説明できる.
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4週 |
エミッタ抵抗による負帰還 |
エミッタ抵抗による負帰還について理解し説明できる.
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5週 |
2段増幅回路の負帰還 |
2段増幅回路の負帰還について理解し説明できる.
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6週 |
エミッタホロワ |
エミッタホロワ回路の動作と特長,用途を理解し説明できる.
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7週 |
直接結合増幅回路 |
直接結合増幅回路のを理解し,増幅度を計算できる.
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8週 |
中間試験 |
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4thQ |
9週 |
試験問題回答返却と解説,差動増幅回路の動作 |
差動増幅回路について,動作を理解し説明できる.
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10週 |
差動増幅回路の増幅度 |
差動増幅回路のバイアスを求めることができ,増幅度を計算できる.
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11週 |
演算増幅器の動作 |
演算増幅器について基本的な動作を理解し説明できる.
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12週 |
演算増幅回路 |
演算増幅器を使った反転,非反転増幅回路について理解し説明できる.
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13週 |
比較回路 |
演算増幅器を使った比較回路について理解し説明できる.
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14週 |
積分器と微分器 |
演算増幅器を使った積分器と微分器について理解し説明できる.
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15週 |
定期試験 |
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16週 |
試験問題回答返却と解説 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 電気・電子系分野 | 電気回路 | オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。 | 4 | 前5,前6,前7,前8 |
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。 | 4 | 前5,前6,前7,前8 |
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。 | 4 | 前5,前6,前7,前8 |
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。 | 3 | 後1,後5 |
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。 | 3 | 後1 |
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。 | 3 | 前13 |
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。 | 3 | 前13 |
瞬時値を用いて、交流回路の計算ができる。 | 3 | 前13,後4 |
フェーザ表示を用いて、交流回路の計算ができる。 | 3 | 前13 |
インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。 | 3 | 前13 |
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。 | 4 | 前13,後2,後3 |
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。 | 4 | 前13 |
電磁気 | コンデンサの直列接続、並列接続を説明し、その合成静電容量を計算できる。 | 3 | 後7 |
電子回路 | ダイオードの特徴を説明できる。 | 4 | 前2 |
バイポーラトランジスタの特徴と等価回路を説明できる。 | 4 | 前3 |
FETの特徴と等価回路を説明できる。 | 4 | 前14 |
利得、周波数帯域、入力・出力インピーダンス等の増幅回路の基礎事項を説明できる。 | 4 | 後1,後2,後3 |
トランジスタ増幅器のバイアス供給方法を説明できる。 | 4 | 前5,前6,前7,前8 |
演算増幅器の特性を説明できる。 | 4 | 後12 |
演算増幅器を用いた基本的な回路の動作を説明できる。 | 4 | 後13 |
電子工学 | 電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。 | 3 | 前2 |
原子の構造を説明できる。 | 3 | 前2 |
真性半導体と不純物半導体を説明できる。 | 3 | 前2 |
pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。 | 3 | 前2 |
バイポーラトランジスタの構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてバイポーラトランジスタの静特性を説明できる。 | 3 | 前3 |
電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。 | 3 | 前14 |
情報系分野 | その他の学習内容 | オームの法則、キルヒホッフの法則を利用し、直流回路の計算を行うことができる。 | 2 | |
トランジスタなど、ディジタルシステムで利用される半導体素子の基本的な特徴について説明できる。 | 1 | |
分野別の工学実験・実習能力 | 電気・電子系分野【実験・実習能力】 | 電気・電子系【実験実習】 | ダイオードの電気的特性の測定法を習得し、その実験結果を考察できる。 | 4 | 前2 |
トランジスタの電気的特性の測定法を習得し、その実験結果を考察できる。 | 4 | 前3 |
増幅回路等(トランジスタ、オペアンプ)の動作に関する実験結果を考察できる。 | 4 | 後13,後14 |