電子回路学I

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 電子回路学I
科目番号 TE1304 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 情報通信エレクトロニクス工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 図でよくわかる電子回路
担当教員 高倉 健一郎

到達目標

この科目で次の事柄ができるように授業を行っていく.
①ダイオード,トランジスタ,FETの動作をキャリア(電子と正孔)の動きで説明できる.
②トランジスタおよびFETの各接地回路の直流回路を理解し,電源や電流の向きを判断できる.
③トランジスタおよびFETを用いた増幅回路を等価回路に直し,動作量を計算できる.
④演算増幅器を用いた回路の動作と使用方法を説明できる.

ルーブリック

評価項目理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1ダイオード,トランジスタ,FETの基本動作ダイオード,トランジスタ,FETの動作をキャリア(電子と正孔)の動きで完全に説明できる.ダイオード,トランジスタ,FETの動作をキャリア(電子と正孔)の動きである程度説明できる.ダイオード,トランジスタ,FETの動作をキャリア(電子と正孔)の動きで殆ど説明できない.
評価項目2トランジスタとFETのバイアス回路トランジスタおよびFETの各接地回路の直流回路を完全に理解し,電源や電流の向きを正確に判断できる.トランジスタおよびFETの各接地回路の直流回路をある程度理解し,電源や電流の向きを判断できる.トランジスタおよびFETの各接地回路の直流回路を理解することが難しく,電源や電流の向きを判断できない.
評価項目3トランジスタおよびFETを用いた増幅回路の等価回路と動作量の計算トランジスタおよびFETを用いた全ての増幅回路について,等価回路を描いて,全ての動作量を正確に計算できる.トランジスタおよびFETを用いた幾つかの増幅回路については,等価回路を描いて,動作量を計算できる.トランジスタおよびFETを用いた殆どの増幅回路について,等価回路を描けなく,動作量を計算できない.
評価項目4演算増幅器を用いた反転増幅、非反転増幅及び比較回路としての利用演算増幅器を用いた反転増幅、非反転増幅及び比較回路としての利用方法を正確に説明できる.演算増幅器を用いた回路のいずれかについて利用方法を正確に説明できる.演算増幅器を用いた反転増幅、非反転増幅及び比較回路としての利用方法を説明できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
電子回路学IとⅡは3年次~4年次を通して電子回路の基本的動作と解析に関することを修得する.3年次では,電子回路の基礎となるトランジスタとFETの動作を中心に理解し,これらを用いた増幅器を等価回路に直し,動作量を解析的に求める技法を修得する.また,演算増幅器を用いた回路の動作を理解し解析する.回路をブラックボックスで考えるのではなく,原理からどのようにして動作しているのかに重点を置く.
授業の進め方・方法:
本科目は教科書に従った講義を中心に進める.授業では問題を解くことで学習した内容を理解し活用する能力を養成する.
授業の成績は,試験(中間試験,定期試験),小テスト・課題を総合して評価する.評価の割合は中間試験と定期試験が70%,小テスト・課題を30%とする.60点以上の評価で目標達成とする.
注意点:
本科目は,第1級陸上無線技術士の国家試験との関連性が深い.関連する基礎科目は電気回路学,電子工学,電子計測である.また,次年度における電子回路Ⅱの基礎科目と位置付けられる.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス,半導体の性質 本授業の概要,学習の進め方,本科目の評価法などの理解できる.
代表的な半導体,半導体の種類,半導体の性質について理解し説明できる.
2週 ダイオードの構造,性質 ダイオードの構造と働き,特性について理解し説明できる.
ダイオードの種類と用法を理解し説明できる.
3週 トランジスタの構造,性質 トランジスタの構造と種類,働きと動作原理について理解し説明できる.
4週 トランジスタの構造,性質 簡単なトランジスタ回路の電圧,電流を計算できる.
5週 電界効果トランジスタの構造,性質 電界効果トランジスタの構造と種類,動作原理について理解し説明できる.
6週 電界効果トランジスタの構造,性質 電界効果トランジスタの働きと動作原理について理解し説明できる.
電界効果トランジスタの特性を理解し説明できる.
7週 集積回路 集積回路の特徴と分類,ディジタルIC回路の動作について理解し説明できる.
8週 中間試験
2ndQ
9週 試験問題回答返却と解説,簡単な増幅回路 トランジスタを使って電気信号を増幅する仕組みを理解し説明できる.
10週 増幅回路の構成 トランジスタを使った増幅回路の構成を理解し説明できる.
増幅回路を直流回路及び交流回路に分けることができる.
11週 増幅回路の動作 出力特性に直流負荷線を引き,動作点を求めることができる.
増幅回路のバイアス電圧を定めることができる.
12週 増幅度の求め方 増幅回路の増幅度を求めることができる.
増幅度をデシベル表示することができる.
13週 トランジスタの等価回路とその利用 hパラメータによるトランジスタの等価回路を書くことができる.
14週 トランジスタの等価回路とその利用 等価回路による増幅度や入出力インピーダンスを求めることができる.
15週 定期試験
16週 試験問題回答返却と解説,トランジスタの直流(バイアス)回路 トランジスタの直流(バイアス)回路を説明し,バイパスコンデンサの役割を説明できる.
後期
3rdQ
1週 増幅回路の特性変化(周波数による影響) 増幅回路の増幅度が低下する低域遮断周波数について,原因を理解し説明できる.
2週 増幅回路の特性変化(出力波形のひずみ) 増幅回路の増幅度が低下する高域遮断周波数について,原因を理解し説明できる.
出力波形のひずみの原因及びひずみ率について理解し説明できる.
3週 負帰還増幅回路 負帰還増幅回路の動作と特長を理解し説明できる.
4週 エミッタ抵抗による負帰還 エミッタ抵抗による負帰還について理解し説明できる.
5週 2段増幅回路の負帰還 2段増幅回路の負帰還について理解し説明できる.
6週 エミッタホロワ エミッタホロワ回路の動作と特長,用途を理解し説明できる.
7週 直接結合増幅回路 直接結合増幅回路のを理解し,増幅度を計算できる.
8週 中間試験
4thQ
9週 試験問題回答返却と解説,差動増幅回路の動作 差動増幅回路について,動作を理解し説明できる.
10週 差動増幅回路の動作 差動増幅回路について,動作を理解し説明できる.
11週 差動増幅回路の増幅度 差動増幅回路の増幅度を計算できる.
12週 演算増幅器の動作 演算増幅器について基本的な動作を理解し説明できる.
13週 演算増幅回路 演算増幅器を使った反転,非反転増幅回路について理解し説明できる.
14週 比較回路 演算増幅器を使った比較回路について理解し説明できる.
15週 定期試験
16週 試験問題回答返却と解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。4前5,前6,前7,前8
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。4前5,前6,前7,前8
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。4前5,前6,前7,前8
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。3後1,後5
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。3後1
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。3前13
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。3前13
瞬時値を用いて、交流回路の計算ができる。3前13,後4
フェーザ表示を用いて、交流回路の計算ができる。3前13
インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。3前13
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。4前13,後2,後3
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。4前13
電磁気コンデンサの直列接続、並列接続を説明し、その合成静電容量を計算できる。3後7
電子回路ダイオードの特徴を説明できる。4前2
バイポーラトランジスタの特徴と等価回路を説明できる。4前3
FETの特徴と等価回路を説明できる。4前14
利得、周波数帯域、入力・出力インピーダンス等の増幅回路の基礎事項を説明できる。4後1,後2,後3
トランジスタ増幅器のバイアス供給方法を説明できる。4前5,前6,前7,前8
演算増幅器の特性を説明できる。4後12
演算増幅器を用いた基本的な回路の動作を説明できる。4後13
電子工学電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。3前2
原子の構造を説明できる。3前2
真性半導体と不純物半導体を説明できる。3前2
pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。3前2
バイポーラトランジスタの構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてバイポーラトランジスタの静特性を説明できる。3前3
電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。3前14
分野別の工学実験・実習能力電気・電子系分野(実験・実習能力)電気・電子系分野(実験・実習能力)増幅回路等(トランジスタ、オペアンプ)の動作に関する実験結果を考察できる。4後13,後14
ダイオードの電気的特性の測定法を習得し、その実験結果を考察できる。4前2
トランジスタの電気的特性の測定法を習得し、その実験結果を考察できる。4前3

評価割合

試験小テスト課題合計
総合評価割合702010100
基礎的能力4010555
専門的能力205530
分野横断的能力105015