電子通信工学実験I

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 電子通信工学実験I
科目番号 TE1307 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 4
開設学科 情報通信エレクトロニクス工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 4
教科書/教材 電子通信工学実験Ⅰ
担当教員 本木 実,大石 信弘,葉山 清輝,小田川 裕之

到達目標

電気・電子系分野の知識を講義と連動した実験実習を通して理解するとともに、模範に沿って確実に実験を遂行し、データを整理し考察ができることを基本的な目標とする。
具体的には主に次の三つである。
1.報告書をきちんと作れる能力を養う(吟味・考察、プレゼン)
2.基本的な実験装置を取扱う能力を養う(機材と測定法および機材選定法)
3.基本的な理論を理解しながら実際に測定する力を身につける

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
実験への参加 原理を理解した上で実験機器を適切に扱って率先して実験を遂行できる原理を理解し、実験機器を適切に扱って実験を遂行できる実験に参加できない
PBL(課題解決型学習)自ら問題設定を行い、決められた期間内に、計画通りの成果物の制作を行う事ができる自ら問題設定を行い、決められた期間内に一定の成果物の制作を行う事ができる問題設定ができず、成果物の作成ができない
実験内容の発表各実験項目を聴講者にわかりやすくまとめた発表を行うことができ、質疑応答に対しても適切な回答を行うことができる各実験項目をまとめ、実験内容を理解しているとみとめられる発表ができる実験内容の発表ができない
レポート制作実験内容を過不足なく記載し、妥当な考察を行う事ができる。 体裁を満たした技術レポートを作成できる最低限の体裁を満たした技術レポートの作成ができる体裁を満たした技術レポートが作成できない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
基礎的な実験を通して、電気計測の方法および電気回路、電子回路等で学ぶ様々な法則や各素子の特性の理解を深める。また、専門科目で学習した知識を応用し、基本的な電子回路の製作を行う。
授業の進め方・方法:
講義で習う理論を実際に自分で確認すること、およびPBLにて製品開発の経験を培うことが重要である。最初の説明をよく聞き、安全にかつ積極的に対応していくことが大切である。
注意点:
実験ノートのグラフ、計算、有効数値などをチェックするとともに、吟味・考察、まとめ、研究事項が適切に行われているかを評価する。PBLにおいては、仕様書等書類と出来上がった作品を評価する一方、グループの構成員による相互評価も行う。また、ローテーション実験、PBL実験双方とも発表会を行い、発表会の評価も対象とする。ローテーション実験では、レポート80%、実施20%とし、PBLでは、書類および相互評価、プレゼン等を総合的に評価する。この科目の全体的な評価は、ローテーション実験を60%、PBLを40%の重みを付けた平均点とし、総合して60点以上なければ単位を認定しない。レポート・仕様書の提出期限に遅れたものは1週間につき20点減点、PBLは欠席1日で10点減点とする。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス・実験機材の取り扱い 実験室や実験機材の取り扱い方を理解できる。
2週 ベクトル軌跡 LR 直列、CR 直列回路のベクトル軌跡を測定し、インピーダンスおよびアドミタンスのベクトル軌跡を描くことができる。
3週 ダイオード ダイオードの静特性を測定できる。
4週 圧電素子 圧電素子の動作を理解し、応用回路の動作を説明できる。
5週 加速度センサ 加速度センサの動作を理解し、基本回路の動作を説明できる。
6週 電界・電位 線状電荷により生じる静電界の様子を電気力線によって描くことができる。また等電位線と電気力線の関係を説明できる。
7週 トランジスタの静特性 トランジスタの静特性を測定できる。
8週 PCによる自動計測 PCを介して、直流電源を制御し、回路の特性をPCに取り込むことができる。
2ndQ
9週 交流電力・力率 交流回路の電圧,電流,電力および力率の測定ができる。
10週 トランジスタ低周波増幅器の設計と製作(1) トランジスタ低周波増幅器の 決められた性能を実現するために、素子の選定および回路定数を決定でき、実際に回路基板上に回路を構成できる。
11週 トランジスタ低周波増幅器の設計と製作(2) 同上
12週 トランジスタ低周波増幅器の設計と製作(3) 同上
13週 トランジスタ低周波増幅器の設計と製作(4) 同上
14週 ブリッジ応用 ブリッジ回路とセンサを組み合わせることで、わずかな抵抗の変化を検出できるブリッジ回路の特性を理解し説明できる。
15週 FETの静特性 FETの動作を理解し、応用回路の動作を説明できる。
16週
後期
3rdQ
1週 オペアンプの基本的な回路 オペアンプを用いた簡単な加算や減算などの演算回路を構成しレポートにまとめることができる。
2週 テブナンの定理 電気回路の基本的な法則であるテブナンの定理を理解し、説明できる。
3週 発表会(1) 実験に関する項目をまとめることができる。
4週 発表会(2) 実験に関する項目を発表できる。
5週 電子回路の設計と製作(1) コスト、消費電力などの制約条件を様々な角度から検討し、たくさんの解の中から1つに絞り問題を解決することができる。
6週 電子回路の設計と製作(2) 同上
7週 電子回路の設計と製作(3) 同上
8週 電子回路の設計と製作(4) 同上
4thQ
9週 電子回路の設計と製作(5) 同上
10週 電子回路の設計と製作(6) 同上
11週 電子回路の設計と製作(7) 同上
12週 電子回路の設計と製作(8) 同上
13週 発表会(3) 実験に関する項目を発表できる。
14週 電子情報通信技術の収集と分析(1) 電子情報通信技術に関する最新技術を収集し、分析できる。
15週 電子情報通信技術の収集と分析(2) 同上
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理実験物理実験測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。3前1
安全を確保して、実験を行うことができる。3前1
実験報告書を決められた形式で作成できる。3前1
有効数字を考慮して、データを集計することができる。3前1
電磁気に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3前6
電子・原子に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3前6
工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。2前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前14,前15,後1,後2
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。2前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前14,前15,後1,後2
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。2前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前14,前15,後1,後2
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。2前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前14,前15,後1,後2
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。2前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前14,前15,後1,後2
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。2後13
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。2後13
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。2前1
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。2前1
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。2前1
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。2前1
技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史情報技術の進展が社会に及ぼす影響、個人情報保護法、著作権などの法律について説明できる。2前1
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野計測計測方法の分類(偏位法/零位法、直接測定/間接測定、アナログ計測/ディジタル計測)を説明できる。2後4
精度と誤差を理解し、有効数字・誤差の伝搬を考慮した計測値の処理が行える。2後4
電圧降下法による抵抗測定の原理を説明できる。2後4
ブリッジ回路を用いたインピーダンスの測定原理を説明できる。2後4
有効電力、無効電力、力率の測定原理とその方法を説明できる。3後4
電力量の測定原理を説明できる。3後4
分野別の工学実験・実習能力電気・電子系分野【実験・実習能力】電気・電子系【実験実習】電圧・電流・電力などの電気諸量の測定が実践できる。3後4
抵抗・インピーダンスの測定が実践できる。3後4
オシロスコープを用いて実際の波形観測が実施できる。3後4
電気・電子系の実験を安全に行うための基本知識を習得する。3後4
ブリッジ回路の平衡条件を適用し、実験結果を考察できる。4後4
重ねの理を適用し、実験結果を考察できる。4後4
インピーダンスの周波数特性を考慮し、実験結果を考察できる。4後4
増幅回路等(トランジスタ、オペアンプ)の動作に関する実験結果を考察できる。4前13,後1
ダイオードの電気的特性の測定法を習得し、その実験結果を考察できる。4前3
トランジスタの電気的特性の測定法を習得し、その実験結果を考察できる。4前13
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能日本語と特定の外国語の文章を読み、その内容を把握できる。3後13
他者とコミュニケーションをとるために日本語や特定の外国語で正しい文章を記述できる。2後13
他者が話す日本語や特定の外国語の内容を把握できる。2後13
日本語や特定の外国語で、会話の目標を理解して会話を成立させることができる。2後13
円滑なコミュニケーションのために図表を用意できる。2後13
円滑なコミュニケーションのための態度をとることができる(相づち、繰り返し、ボディーランゲージなど)。2後13
書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。3後4
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。3後4
目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。3後4
あるべき姿と現状との差異(課題)を認識するための情報収集ができる2後4
複数の情報を整理・構造化できる。2後4
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。2後13
グループワーク、ワークショップ等による課題解決への論理的・合理的な思考方法としてブレインストーミングやKJ法、PCM法等の発想法、計画立案手法など任意の方法を用いることができる。2後13
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。2後13
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。2後13
事実をもとに論理や考察を展開できる。2後13
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。2後13
総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力工学的な課題を論理的・合理的な方法で明確化できる。2後13
公衆の健康、安全、文化、社会、環境への影響などの多様な観点から課題解決のために配慮すべきことを認識している。2後13
要求に適合したシステム、構成要素、工程等の設計に取り組むことができる。2後13
課題や要求に対する設計解を提示するための一連のプロセス(課題認識・構想・設計・製作・評価など)を実践できる。2後14
提案する設計解が要求を満たすものであるか評価しなければならないことを把握している。2後14
経済的、環境的、社会的、倫理的、健康と安全、製造可能性、持続可能性等に配慮して解決策を提案できる。2後14

評価割合

レポート合計
総合評価割合100100
ローテーション実験5555
ローテーション実験発表55
PBL実験4040