電気磁気学II

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 電気磁気学II
科目番号 TE1403 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 情報通信エレクトロニクス工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材 山口昌一郎著「基礎電磁気学 改訂版」電気学会/参考書:小塚洋司著「電気磁気学―その物理像と詳論」森北出版,山口勝也著「詳解 電磁気学例題演習」コロナ社
担当教員 芳野 裕樹

到達目標

電流によって生じる磁気的な物理現象について学び,これらの現象を記述したいくつかの法則について理解し説明できる.また,これらの法則を用いて様々な問題における磁気的な物理現象を数式で説明できる.また,鉄やニッケルなどの磁性体と呼ばれる,磁気的に特別な性質をもつ物質について理解し説明できる.最後に,電界と磁界が時間的に振動しながら空間を伝搬する電磁波について理解し,電磁気学のもっとも大切な”場”の考え方を理解できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1電流の定義,電流密度をいうことができる.導体の抵抗とその温度特性を式で表すことができる.また,これらを用いた応用的な計算問題が解くことができる.オームの法則の微分形と電流連続の式を理解することができる.電流の定義,電流密度をいうことができる.導体の抵抗とその温度特性を式で表し,計算できる.電流連続の式の意味を理解することができる.電流の定義,電流密度をいうことができない.導体の抵抗とその温度特性を表す式を覚えていない.
評価項目2ビオ・サバールの法則やアンペアの法則を用いた,やや複雑な問題を解くことができる.ファラデーの電磁誘導の法則やフレミング右手の法則を用いたやや複雑な問題を解くことができる.電流に作用する力やローレンツ力を数式により説明できる.電磁誘導作用を説明し,誘導起電力の計算ができる.また交流発生器や直流発生器の動作原理について数式により説明できる.ビオ・サバールの法則やアンペアの法則について理解し,説明できる.また,これらの法則を利用して直線状電流や環状ソレノイドに流れる電流が作る磁界などの基本回路について,これらの法則の計算が行うことができる. ファラデーの電磁誘導の法則やフレミング右手の法則,電流に作用する力を説明できる.電磁誘導作用を説明し,誘導起電力の計算ができる.ビオ・サバールの式を覚えていない.アンペアの法則を説明できない.直線状電流や環状ソレノイドに流れる電流が作る磁界の式を計算できない.ファラデーの電磁誘導の法則やフレミング右手の法則について説明できない.電磁誘導作用を説明できない.
評価項目3コイルの電磁気的な性質を示す自己誘導,相互誘導,自己インダクタンスおよび相互インダクタンス等を理解し,各種の場合について計算ができる.また,やや複雑な回路の各種インダクタンスの計算ができる.また,磁界中に蓄えられるエネルギーを計算できる.自己誘導,相互誘導を説明でき,自己インダクタンスおよび相互インダクタンスの定義をいうことができる.また,環状ソレノイドや無限長ソレノイドなどの自己インダクタンス,2組の2線式並行往復導線間の相互インダクタンス等の各種インダクタンスの具体的な計算ができる.また,磁界中に蓄えられるエネルギーについて理解し,説明できる.自己誘導,相互誘導を説明できない.自己インダクタンスおよび相互インダクタンスの定義をいえない.環状ソレノイドや無限長ソレノイドなどの自己インダクタンス,2組の2線式並行往復導線間の相互インダクタンス等の各種インダクタンスの説明ができない.磁界中に蓄えられるエネルギーについて説明できない.
評価項目4磁性体の性質,磁化,磁束密度について数式を用いて説明できる. また,磁性体から構成される磁気回路における磁束や磁気抵抗の計算ができ,磁気回路について説明できる.磁束に関するガウスの法則や磁界,磁束密度の境界条件について数式的に説明できる.磁性体の性質,磁化,磁束密度について定性的に説明できる. また,磁性体から構成される磁気回路における磁束や磁気抵抗の計算ができる.磁束密度の境界条件について説明できる.磁性体の性質,磁化,磁束密度について説明できない. 磁気回路における磁束や磁気抵抗の説明ができない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
3年次で学習した静電界に引続き,4年次では電流が流れたときに生じる磁界について学習する.授業では,電界に対応させながら磁界やその物理的性質について述べ,さらに電界と磁界から構成される電磁波について説明する.電磁気学は5年次で開講される電磁波工学等の基礎科目であり,電気・通信技術習得のための重要な科目の一つとなっている.
授業の進め方・方法:
・まず,現象を理解し,次にそれを表す数式を理解できること,そしてそれらの数式を用いて問題を解けるように繰り返し,問題を解くこと.
・授業は,補助教材として講義要録と課題を配布するので、予習、復習に利用すること.
・電気磁気学は,電気・電子工学の基礎となる科目である.数式の取り扱いも大事であるが,物理現象を式で表したものなので,大元となる物理現象そのものをよく理解するように努めて欲しい.
・質問についてはいつでも教員室で受け付ける他,teamsや電子メール(y_yoshino@kumamoto-nct.ac.jp)での質問もできるので利用されたい.
・講義と授業を合わせ,45時間×2単位相当となるように課題を課す.
注意点:
課題提出による平常点を10%,定期試験,中間試験90%で評価する.課題の提出期限は,その都度指定する.筆記試験と課題を総合して60%以上で合格とする.
本校教育目標との対応:(3),JABEE学習教育目標との対応:C-2(◎).

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス 授業の内容を理解することができる.
2週 電流,抵抗とオームの法則,導体の抵抗と抵抗率
抵抗の温度係数,コンタクタンスと導電率
電流の定義,電流密度をいうことができる.導体の抵抗を式で表すことができる.
導体の抵抗の温度特性を式で表すことができる.
3週 ジュールの法則,オームの法則の微分形と電流連続の式 オームの法則の微分形と電流連続の式を理解することができる.
4週 磁気現象,アンペアの右ねじの法則,ビオ・サバールの法則 電流とその電流によって作られる磁界の関係を表すビオ・サバールの法則やアンペアの法則について理解し,説明できる.
5週 無限長線状電流による磁界,円形電流による磁界,無限長ソレノイドの中心軸上の磁界 直線状電流や環状ソレノイドに流れる電流が作る磁界を計算し,これらの具体的な計算ができる.
6週 アンペアの法則,アンペア周回積分の法則(積分形) アンペアの法則について理解し,説明できる.
7週 週 磁界中の電流(運動電荷)の受ける力,平等磁界中に置かれた電流の流れている長方形コイルに働くトルク,ループ電流の磁気双極子モーメント 磁界中の電流の受ける力,トルク,磁気双極子モーメントについて理解し,説明あるいは具体的な計算ができる.
8週 中間試験 学習した内容について,基本的な法則を理解しているか,また法則等を用いた計算ができる.
2ndQ
9週 平行導線の電流間に働く電磁力 平行導線の電流間に働く電磁力について,理解し,具体的な計算ができる.
10週 電流の単位,ホール効果 ホール効果について理解し,説明できる.
11週 電磁力による仕事 電磁力による仕事のメカニズムについて,例題を用いて説明できる.
12週 ファラデーの法則,交流の発生 ファラデーの電磁誘導の法則について理解し,交流発生器の動作原理について説明できる.
13週 磁界中を運動する導体に生じる起電力,電気・機械エネルギー変換 磁界中の導体に作用する力,磁界を切ることによる起電力,電磁エネルギーと機械エネルギーの変換について理解し.説明できる.
14週 渦電流 渦電流について理解し,説明できる.
15週 前期末試験
16週 答案返却および解説 返却された答案の正否、また試験内容の趣旨について理解できる.
後期
3rdQ
1週 自己インダクタンス,相互
インダクタンス
コイルの電磁気的な性質を示す自己誘導,相互誘導を説明でき,自己インダクタンスおよび相互インダクタンスの定義をいうことができる.
2週 インダクタンスの計算例,環状ソレノイドの自己インダクタンス,無限長ソレノイドの自己インダクタンス,有限長円筒ソレノイドの自己インダクタンス 環状ソレノイドや無限長ソレノイドなどの自己インダクタンスの具体的な計算ができる.
3週 2本の平行往復導線間の自己インダクタンス 2本の平行往復導線間の相互インダクタンスの具体的な計算ができる.
4週 細長い円筒ソレノイドとその外側にまかれたコイルとの間の相互インダクタンス 細長い円筒ソレノイドとその外側にまかれたコイルとの間の相互インダクタンスの具体的な計算ができる.
5週 2組の2線式平行往復導線間の相互インダクタンス 2組の2線式並行往復導線間の相互インダクタンスの具体的な計算ができる.また,磁界中に蓄えられるエネルギーについて理解し,説明できる.
6週 磁界に蓄えられるエネルギー 2組の2線式並行往復導線間の相互インダクタンスの具体的な計算ができる.また,磁界中に蓄えられるエネルギーについて理解し,説明できる.
7週 磁化率と透磁率,磁化曲線 鉄やニッケルに代表される磁性体の性質,磁化率,透磁率,磁化曲線を理解し,説明ができる.
8週 中間試験 学習した内容について,基本的な法則を理解しているか,また法則等を用いた計算ができる.
4thQ
9週 ヒステリシス環線,磁化に要するエネルギー,ヒステリシス損失 ヒステリシス環線,磁化に要するエネルギー,ヒステリシス損失について理解し,説明できる.
10週 磁気回路におけるオームの法則,磁気回路と電気回路との相違点, 磁気回路における磁束や磁気抵抗の計算を行い,磁気回路の取り扱いについて説明できる.
11週 エアギャップを持つ磁気回路,飽和特性を持つ鉄心とエアギャップとからなる磁気回路 磁気回路における磁束や磁気抵抗の計算を行い,磁気回路の取り扱いについて説明できる.
12週 磁束についてのガウスの法則,境界面におけるBとH 磁束に関するガウスの法則や磁界,磁束密度の境界条件について説明できる.
13週 棒状磁性体の磁化,永久磁石 棒状磁性体の磁化および永久磁石について理解し,説明できる.
14週 変位電流,Maxwellの方程式,Maxwellの方程式の解(波動方程式) 物質中の電磁界を規定する基本法則であるマクスウェルの方程式について理解し,説明できる.
15週 後期末試験
16週 答案返却および解説 返却された答案の正否、また試験内容の趣旨について理解できる.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電磁気磁性体と磁化及び磁束密度を説明できる。4
電流が作る磁界をビオ・サバールの法則を用いて計算できる。4
電流が作る磁界をアンペールの法則を用いて計算できる。4
磁界中の電流に作用する力を説明できる。4
ローレンツ力を説明できる。4
磁気エネルギーを説明できる。4
電磁誘導を説明でき、誘導起電力を計算できる。4
自己誘導と相互誘導を説明できる。4
自己インダクタンス及び相互インダクタンスを求めることができる。4

評価割合

試験課題合計
総合評価割合901000100
専門的能力901000100
00000