信号伝送工学

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 信号伝送工学
科目番号 TE1404 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 情報通信エレクトロニクス工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材 初めての応用数学(小阪敏文・吉本定伸著、近代科学社)、基礎からの交流理論(小郷寛原著、小亀英己・石亀篤司著(電気学会)、オーム社)、及び、配布プリント
担当教員 小田川 裕之

到達目標

(1)基本的な周期波形のフーリエ級数展開ができる。
(2)基本的なパルス波形のフーリエ変換ができる。
(3)周波数スペクトルについて説明できる。
(4)過渡現象の基本的な問題が解くことができる。
(5)分布定数回路の基本的な問題を解くことができる。
(6)差動シリアル伝送の特徴について説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
基本的な周期波形の複素フーリエ級数展開ができる方形波および三角波の実フーリエ級数展開、及び、複素フーリエ級数展開を短時間でできる。方形波および三角波の実フーリエ級数展開、及び、複素フーリエ級数展開をができる。実フーリエ級数展開、及び、複素フーリエ級数展開の公式を覚えている。
基本的な周期波形のフーリエ変換ができる方形波および三角波パルスのフーリエ変換を短時間でできる。方形波および三角波パルスのフーリエ変換ができる。フーリエ変換の公式を覚えている。
周波数スペクトルについて説明できる実フーリエ係数、複素フーリエ係数、フーリエ変換と振幅・位相スペクトル、及び、電力の関係が説明できる。振幅スペクトル、位相スペクトルの意味を説明でき、基本的な波形についてそれらを求めることができる。周波数スペクトルに関して用語を知っている。
過渡現象の基本的な問題を解くことができる過渡現象の基本的な問題を解くことができ、回路の周波数特性と関連づけて説明できる。 過渡現象の基本的な問題を解くことができる。過渡現象の基本的な問題の解き方を覚えている。
分布定数回路の基本的な問題を解くことができる分布定数回路の基本的な問題(線路が縦続接続された問題を含む)を、線路の基本方程式を用いて解くことができる。 分布定数回路の基本的な問題を、線路の基本方程式を用いて解くことができる。分布定数回路の基本的な問題の解き方を覚えている。
差動シリアル伝送の特徴について説明できる差動シリアル伝送の長所と短所、及び、差動マイクロストリップ線路や、TDR、アイパターンなどパルス伝送の基本事項について説明できる。更に、周波数特性と波形歪について説明できる。差動シリアル伝送の長所と短所、及び、差動マイクロストリップ線路や、TDR、アイパターンなどパルス伝送の基本事項について説明できる。差動シリアル伝送の長所と短所、及び、差動マイクロストリップ線路や、TDR、アイパターンなどパルス伝送の基本事項について用語を知っている。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
本科目では情報通信のための信号伝送技術について説明する。特に、信号処理の基本となるフーリエ解析、過渡現象、分布定数線路について基礎的な事項を学ぶ。また、近年重要となっている高速パルスの差動伝送技術についても学ぶ。
授業の進め方・方法:
質問を受付ながら板書による説明と問題演習によって進める。適宜レポート等の課題を課す。
注意点:
フーリエ解析、過渡現象、及び、分布定数回路は電気回路学の基本事項であるため、暗記に頼らず理解する必要がある。また、近年の差動シリアル伝送は、高速通信の基本であるので理解が必要である。
30時間の授業+15時間の自学自習をもって1単位とする。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 科目の概要と評価方法、及び、実フーリエ級数の公式 科目の概要と評価方法について理解する。また、実フーリエ級数の公式について理解し、説明できる。
2週 実フーリエ級数、実フーリエ係数の意味 任意の周期関数が正弦波の和で構成できることを理解し、フーリエ級数、及び実フーリエ係数の意味を説明できる。
3週 実フーリエ級数の例題 簡単な周期関数の実フーリエ級数を求めることができる。
4週 複素フーリエ級数の公式、複素フーリエ級数と実フーリエ級数の関係 複素フーリエ級数の公式を理解し、オイラーの公式で関係付けられることを説明できる。
5週 複素フーリエ級数の例題、振幅スペクトルと位相スペクトル 簡単な周期関数の複素フーリエ係数を求め、振幅スペクトル、位相スペクトルを図示することができる。
6週 フーリエ級数におけるパーシバルの公式 フーリエ級数におけるパーシバルの公式、スペクトルと電力の関係について理解し、基本的な問題が解ける。
7週 周期波と単一パルスの周波数スペクトルの関係とフーリエ変換の公式 周期波の周期を無限大にすることでフーリエ変換の公式を導出する。周期と線スペクトルの間隔、連続スペクトルについて理解し、説明できる。
8週 フーリエ変換の例題と周波数スペクトル 簡単な周期関数のフーリエ変換を求め、振幅スペクトル、位相スペクトルを図示することができる。
2ndQ
9週 前期中間試験 中間試験までの内容を確認する。
10週 答案返却と解説(解説) 試験までの内容について理解を確実にする。
11週 フーリエ変換におけるパーシバルの公式 フーリエ変換におけるパーシバルの公式、周波数スペクトルと電力の関係について理解し、基本的な問題が解ける。
12週 過渡現象の基礎とRL直列回路 過渡現象とは何か理解し、説明できる。また、RL直列回路の微分方程式による解法を理解し、基本的な問題が解ける。
13週 RC直列回路 RC直列回路の微分方程式による解法を理解し、基本的な問題が解ける。また、周波数特性との関係から応答を波形を理解し、説明できる。
14週 RLC直列回路 RLC直列回路の微分方程式による解法を理解し、基本的な問題が解ける。
15週 ラプラス変換による解法 ラプラス変換による解法の概要を、RL直列回路、及び、RC直列回路を例に理解し、基本的な問題が解ける。
16週 期末試験の答案返却と解説(解説) 試験までの内容について理解を確実にする。
後期
3rdQ
1週 分布定数回路の概要と微小区間等価回路(解説) 微小区間等価回路の意味を理解し、説明できる。
2週 基本方程式、及び、線路定数の導出(解説) 導出の過程を理解し、説明できる。
3週 線路定数の意味(解説) 線路定数の意味を理解し、説明できる。
4週 端子条件を与えた場合の電圧、電流(解説) 基本方程式の使い方を理解し、基本的な問題が解ける。
5週 基本的な分布定数回路の問題例(演習) 基本的な問題の解き方を理解し、問題が解ける。
6週 反射係数(解説) 反射係数の意味と導出法を理解し、説明できる。
7週 分布定数回路の縦続接続(解説) 縦続接続された分布定数回路の問題の解き方を理解し、基本的な問題が解ける。
8週 分布定数回路の復習(演習) 基本的な問題が解けるようになる。
4thQ
9週 後期中間試験 中間試験までの内容を確認する。
10週 差動伝送とその特徴(解説) コモンモードノイズの除去など差動伝送の特長について理解し、説明できる。
11週 シリアル伝送とその特徴(解説) シリアル伝送の特徴について理解し、説明できる。
12週 差動マイクロストリップ線路(解説) 差動マイクロストリップ線路と差動インピーダンスについて理解し、基本的な問題が解ける。
13週 TDR(解説) TDRについて理解し、説明できる。
14週 アイパターン(解説) アイパターンについて理解し、説明できる。
15週 回路・線路の周波数特性と波形歪み(解説) 速度分散と波形歪み、及び、高周波特性とプリエンファシス回路の必要性を理解し、説明できる。
16週 期末試験の答案返却と解説(解説) 試験までの内容について理解を確実にする。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路RL直列回路やRC直列回路等の単エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。3前12,前13,前15,前16
RLC直列回路等の複エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。3前14,前16

評価割合

前期中間試験および課題前期期末試験および課題後期中間試験および課題後期期末試験および課題合計
総合評価割合25252525100
基礎的能力00000
専門的能力25252525100
分野横断的能力00000