通信システム工学

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 通信システム工学
科目番号 TE1405 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 情報通信エレクトロニクス工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材 通信システム工学(アナログ・ディジタル変復調技術)下塩、西山、理工図書
担当教員 西山 英治

到達目標

本科目は,無線技術士の国家試験科目「無線工学A」に関係するものであり,情報通信システムにおけるアナログ信号およびデジタル信号の伝送に関する基本的な原理について理解することを到達目標とする。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1アナログ変調について,被変調波形を数式で表し,描くことができる.また,その周波数スペクトルを求めることができ,その概形を描けること.また,変調・復調回路について回路の動作を説明できる.アナログ変調について,被変調波形を数式で表し,描くことができる.また,その周波数スペクトルを求めることができ,その概形を描けること.また,変調・復調回路の一つについて回路の動作を説明できる.アナログ変調について,被変調波形を描けない.周波数スペクトルの概形を描けない.変調・復調回路を一つも説明できない.
評価項目2標本化定理の意味を説明できる.なぜパルスで波形を伝送できるのかを時間領域と周波数領域で説明できる.また,パルス変調について,被変調波形を描くことができ,その周波数スペクトルの概形を描ける.標本化定理の意味を説明できる.なぜパルスで波形を伝送できるのかを時間領域と周波数領域のいずれかで説明できる.また,PCM変調について,説明できる.標本化定理を時間領域,周波数領域いずれでも説明できない.PCMの原理について説明できない.
評価項目3ベースバンド伝送方式について,使用される符号の特徴を理解し,いかに符号間干渉を起こさずに伝送するかを説明できる.ベースバンド伝送方式について,使用される符号の特徴を知っている.符号間干渉を起こさずに伝送する技術について理解できる。ベースバンド伝送方式で使用される符号に必要な要件を一つも知らない.符号間干渉とは何か知らない.
評価項目4 デジタル変調について,各変調波形の波形,周波数スペクトルを描ける.また波形を数式で表現できる.各変調・復調回路の動作を理解し,各部の働きを説明できる.デジタル変調(OFDMを除く)について,各変調波形の波形,周波数スペクトルを描ける.各変調・復調回路の動作を理解し,各部の働きを説明できる.PSKについて,変調波形を描けない.PSK変調・復調回路の動作を一つも知らない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
ラジオ,テレビを初め,携帯電話,衛星通信,無線LANなど様々な情報通信システムの基礎となる,変調・復調の技術について説明する.(1)搬送波の振幅,周波数,位相の変化で変調を行うアナログ変調方式,(2)パルスの振幅,幅,位置,有無を利用するパルス変調方式,(3)デジタル信号をベースバンドで伝送するベースバンド方式,(4)振幅や位相,周波数をデジタル的に変化させるデジタル変調方式等の各種変調方式についてその理論と回路構成について述べる.
※実務との関係
この科目は企業で電子通信機器の運用や修理を担当していた教員が、その経験を活かし、電子回路の設計手法や通信工学について講義形式で授業を行うものである。
また、通信技術者などに必要な最低限の電力工学にいても講義する。
授業の進め方・方法:
・基本的には講義を主体とするが,被変調波形や周波数スペクトル図,変調回路各部波形などは,ソフトウェアを用いて計算してもらうことがある.
・三角関数の微分・積分,加法定理,フーリエ級数を理解しておくことが必要であるが,4年生になってから努力すれば十分理解できる程度の数学である.
・定期試験等の筆記試験および宿題によって評価する.
・定期試験が60%以上で目標達成とみなす.宿題は,その都度指定する期限までに提出し,課題すべてに解答したものを評価の対象とする.なお,学年末試験を除く定期試験,中間試験で基準に達しなかった場合,再度試験を実施し,基準に達した場合,その試験を60点として評価する.
注意点:
・教材の提示や連絡はWebclassを通じて行うので,随時確認すること.
・質問は教員室で常時受け付けるほか,Webclassからのメールにも対応する.
・ 本科目は1単位当たり,15時間の講義と30時間の自学自習(課題レポート等)から構成される.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 シラバスの説明,評価方法,科目の概要説明 評価方法を理解する.電波の周波数帯,電波の型式等の概要を理解できる。
2週 信号と周波数スペクトル 周波数スペクトルについて理解し,計算ができる。
3週 A級B級C級増幅器 各種増幅器についてその原理を理解できる。
4週 PLL発振器 発振器の主流であるPLLについて理解できる。
5週 AM変調 AM変調回路の動作を理解し,その数式表現、変調波形、変調指数を説明できる。
6週 FM変調 FM変調回路の動作を理解し,その数式表現、変調波形、変調指数を説明できる。
7週 アナログ多重放送 スーパーヘテロダイン受信機の仕組みを理解し,各部の働きを説明できる。
8週 中間試験 中間試験までの内容について理解できている。
2ndQ
9週 送信機 受信機に必要なユニットについて説明できる。
10週 受信 受信機に必要なユニットについて説明できる。
11週 スーパーヘテロダイン受信機 スーパーヘテロダイン受信機の仕組みを理解し,各部の働きを説明できる.
12週 相互変調 混信のひとつである相互変調について理解できる。
13週 ダイパーシティ伝送方式 各種ダイパーシティ伝送方式について理解できる。
14週 雑音指数 受信機内部の雑音である雑音指数や等価雑音係数について説明できる。
15週 総合演習1 前期講義内容の補足説明であり、これを理解できる。
16週 定期試験 定期試験までの内容について理解できている。
後期
3rdQ
1週 PCM PCM通信方式のAD変換器,S/Nについて理解し,説明できる。
2週 各種伝送方式 各種伝送方式の長所短所について理解できる。
3週 PSK PSKについて理解できる。
4週 QAM ASK変調方式の波形を描き,周波数スペクトルを求めることができる.
5週 符号間距離 各種通信方式の符号間距離について理解できる。
6週 逆特性等化器 フェージングに有効な逆特性等化器について理解できる。
7週 送信機の特性測定 送信機に必要な特性測定方法について理解できる。
8週 中間試験 中間試験までの内容について理解できていること
4thQ
9週 受信機の特性測定 受信機に必要な特性測定方法について理解できる。
10週 CDMA(直接拡散) CDMA(直接拡散)変調方式について,その仕組みを理解し,説明できる。
11週 CDMA(周波数ホッピング) CDMA(周波数ホッピング)変調方式について,その仕組みを理解し,説明できる.
12週 OFDM変調方式 OFDM変調方式について,その仕組みを理解し,説明できる.
13週 無線中継方式 各種無線中継方式について理解できる。
14週 通信電力 通信機に必要な電力を電力知識を理解できる。
15週 発電および送配電 通信技術者として知っておくべき最低限の発電および送配電を理解できる。
16週 定期試験 定期試験までの内容について理解できていること

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオ宿題合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力0000000
専門的能力10000000100
分野横断的能力0000000