電子工学

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 電子工学
科目番号 TE1407 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 情報通信エレクトロニクス工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材 大山英典・葉山清輝著/半導体デバイス工学/森北出版株式会社
担当教員 高倉 健一郎

到達目標

1.半導体の基礎
・電子工学で学ぶべき内容が半導体を中心とした電子デバイスでのキャリアの振る舞いであることを説明できる。
・元素半導体と化合物半導体、真性半導体と不純物半導体の違いを説明できる。また、不純物添加による伝導型の違いを説明できる。
・半導体の移動度、抵抗率の取り扱いができ、キャリアの運動を表現する拡散方程式を使うことができる。
・状態密度及びフェルミ分布関数を用いてエネルギーバンド中のキャリア密度分布を説明できる。
2.ダイオードの特性
・pn接合ダイオードの動作をエネルギーバンドによって説明でき、電流電圧特性及び静電容量の大きさを計算できる。
・ショットキーダイオードの動作をエネルギーバンドを用いて説明でき、電流電圧特性及び静電容量の大きさを計算できる。
・種々のダイオードの動作原理を説明できる。
3.バイポーラデバイスの特性
・バイポーラトランジスタの動作原理についてバンド図を用いて説明できる。
・電流増幅率を計算できる。
・その他のバイポーラデバイス(HBT、サイリスタ)の動作を説明できる。
4.ユニポーラデバイスの特性
・MOS構造で蓄積、空乏及び反転状態についてバンド図を用いて説明できる。
・MOSFETの構造及び動作原理のバイポーラデバイスとの違いを説明できる。
・JFET、MESFET及びHEMTそれぞれの構造及び動作を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
半導体の基礎元素半導体と化合物半導体、真性半導体と不純物半導体の違いを説明できる。また、不純物添加による伝導型の違いを説明できる。 半導体の移動度、抵抗率の取り扱いができる。 状態密度及びフェルミ分布関数を用いてエネルギーバンド中のキャリア密度分布を説明できる。元素半導体と化合物半導体、真性半導体と不純物半導体の違いを説明できる。また、不純物添加による伝導型の違いを説明できる。 半導体の移動度、抵抗率の取り扱いができる。元素半導体と化合物半導体、真性半導体と不純物半導体の違いを説明できない。また、不純物添加による伝導型の違いを説明できない。 半導体の移動度、抵抗率の取り扱いができない。
ダイオードの特性pn接合およびショットキー接合ダイオードの動作をエネルギーバンドによって説明でき、電流電圧特性及び静電容量の大きさを計算できる。pn接合およびショットキー接合ダイオードの動作をエネルギーバンドによって説明できる。pn接合およびショットキー接合ダイオードの動作をエネルギーバンドによって説明できない。
バイポーラデバイスの特性バイポーラトランジスタの動作原理についてバンド図を用いて説明できる。 電流増幅率を計算できる。 その他のバイポーラデバイス(HBT、サイリスタ)の動作を説明できる。バイポーラトランジスタの動作原理についてバンド図を用いて説明できる。バイポーラトランジスタの動作原理についてバンド図を用いて説明できない。
ユニポーラデバイスの特性MOS構造で蓄積、空乏及び反転状態についてバンド図を用いて説明できる。 MOSFETの構造及び動作原理のバイポーラデバイスとの違いを説明できる。 JFET、MESFET及びHEMTそれぞれの構造及び動作を説明できる。MOSFETの構造及び動作原理のバイポーラデバイスとの違いを説明できる。 JFET、MESFET及びHEMTそれぞれの構造及び動作を説明できる。MOSFETの構造及び動作原理のバイポーラデバイスとの違いを説明できない。 JFET、MESFET及びHEMTそれぞれの構造及び動作を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
電子工学の基礎として半導体の基礎的性質を解説する。元素半導体と化合物半導体、真性半導体と不純物半導体のキャリア密度、移動度、抵抗率の取り扱いを説明し、pn接合およびショットキーダイオードの電流電圧特性を説明する。また半導体デバイスの動作原理及びデバイス作製方法について教授する。
授業の進め方・方法:
半導体中の電子の振る舞いに着目して、各種半導体素子の動作原理を解説する。講義では半導体の中での電子の諸性質を解説しながら、デバイスの動作原理が理解できるようにスライドおよび板書を中心として進め、演習問題を解くことで内容の理解を深めていく。
デバイスの動作原理を定性的に説明できるために、電子の取り扱い方を理解してほしい。また、定量解析には、科目の性質上、数学(微分、積分、微分方程式)の基礎を理解していることが求められるため、並行して学んでほしい。
注意点:
規定授業時間数:60、30時間の授業+15時間の自学自習をもって1単位とする。
エレクトロニクス系科目の基礎となる半導体の動作原理を学ぶ科目です。基礎固めをしっかりと行ってください。 

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 半導体の種類(1) 元素半導体と化合物半導体の種類を説明できる。
2週 半導体の種類(2) 真性半導体のキャリア生成機構を説明できる。
3週 半導体の種類(3) 不純物添加によるキャリア生成機構を説明し、伝導型の違いを説明できる。
4週 電気的性質(1) エネルギー帯構造の概念を理解し説明できる。
5週 電気的性質(2) 同上
6週 電気的性質(3) 半導体のキャリア密度を、分布関数ならびにフェルミ・ディラック分布関数を利用して導出できることを理解し、結果式を利用して導出できる。
7週 電気的性質(4) 同上
8週 中間試験
2ndQ
9週 電気的性質(4) キャリアの移動度、ドリフト電流、抵抗率を説明し、計算できる。
10週 電気的性質(5) 同上
11週 電気的性質(6) 同上
12週 電気的性質(7) キャリアの拡散電流を説明し、計算できる。
13週 電気的性質(8) キャリアの再結合過程を説明できる。再結合電流を説明し、計算できる。
14週 電気的性質(9) キャリア寿命について説明することができる。
15週 前期定期試験
16週 定期試験答案返却
後期
3rdQ
1週 pn接合(1) pn接合ダイオードの動作をエネルギーバンドによって説明できる。
2週 pn接合(2) pn接合ダイオードを流れる電流を計算できる。
3週 pn接合(3) pn接合ダイオードの静電容量を計算できる。
4週 pn接合(4) ダイオードの降伏現象を説明できる。
5週 ショットキーダイオード(1) ショットキーダイオードの動作を説明できる。
6週 ショットキーダイオード(2) ショットキーダイオードを流れる電流、静電容量を計算できる。
7週 種々のダイオード 種々のダイオードの動作原理を説明できる。
8週 中間試験
4thQ
9週 バイポーラトランジスタ(1) バイポーラトランジスタの動作原理についてバンド図を用いて説明できる。
10週 バイポーラトランジスタ(2) 同電流増幅率を計算できる。
11週 バイポーラトランジスタ(3) バイポーラデバイス(HBT、サイリスタ)の動作を説明できる。
12週 ユニポーラトランジスタ(1) MOS構造で蓄積、空乏及び反転状態についてバンド図を用いて説明できる。
13週 ユニポーラトランジスタ(2) MOSFETの構造及び動作原理のバイポーラデバイスとの違いを説明できる。
14週 ユニポーラトランジスタ(3) JFET、MESFET及びHEMTそれぞれの構造及び動作を説明できる。
15週 後期定期試験
16週 定期試験答案返却

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電子工学電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。4
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。4
原子の構造を説明できる。4
パウリの排他律を理解し、原子の電子配置を説明できる。4
結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。4
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。4
真性半導体と不純物半導体を説明できる。4
半導体のエネルギーバンド図を説明できる。4
pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。4
バイポーラトランジスタの構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてバイポーラトランジスタの静特性を説明できる。4
電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。4
電力半導体電力変換装置の原理と働きについて説明できる。4前16

評価割合

試験レポート合計
総合評価割合6040100
基礎的能力201030
専門的能力302050
分野横断的能力101020