電気回路学I

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 電気回路学I
科目番号 TE2202 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 情報通信エレクトロニクス工学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 基礎電気回路、基礎電気回路ノートⅠ、基礎電気回路ノートⅡ
担当教員 大石 信弘

到達目標

①三角関数を用いた交流の表示(瞬時形式)について理解し、振幅や位相についての計算ができる。②複素数の計算ができ、正弦波交流の複素数表示についての説明ができる。③記号法により交流回路の計算ができる。④共振回路の共振特性を理解し、共振周波数、反共振周波数を求めることができる。⑤交流電力の電力三角形を理解し、皮相電力、有効電力、無効電力、力率について計算できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
瞬時値の表示三角関数を用いて交流の瞬時値を計算できる。三角関数を用いて交流を瞬時形式で表現することが理解できる。三角関数を用いた交流の表現が理解できない。
フェーザ記号による交流の表現複素数を用いて交流の合成を計算できる。複素数を用いて交流を表現できることが理解できる。複素数で交流が表現できることが理解できない。
記号法による交流回路の計算記号法を用いて交流回路を解くことができる。記号法で交流回路のインピーダンス、アドミタンスが計算できる。記号法による計算を理解できない。
共振回路RLC共振回路の共振特性を理解し、共振周波数を計算することができる。RLC共振回路の共振特性が理解できる。RLC回路が共振することが理解できない。
交流電力交流電力の電力三角形を理解し、皮相電力、有効電力、無効電力、力率について計算できる。交流電力の皮相電力、有効電力、無効電力および力率の関係について理解できる。交流電力が理解できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
各種の専門教科の基礎となる電気回路学について、一般線形回路網ならびにその解析に特有の概念や手法についての理解を深めることを目指す。
授業の進め方・方法:
1年の基礎電気学Ⅰで学んだ直流回路を2年生では交流回路に発展させる。まずは、交流回路を三角関数でどう表現するかを学ぶ。次に交流回路の基本的な3つの素子であるR、L、Cのみで構成された回路の電圧と電流の関係がどうなるかについて学ぶ。複素数を導入することで、交流回路を直流回路と同じような手法(記号法)で解けることを学び、記号法を様々な交流回路に適用し回路を解いていく。さらに、交流回路の代表的な応用例として直列共振、並列共振回路を取り上げ、この回路の共振特性と共振(反共振)周波数について学ぶ。最後に交流電力を取り上げ、直流電力と異なる点について学ぶ。
注意点:
規定授業時間数は60時間である。評価は、中間試験・期末試験等の筆記試験と課題・レポートにより評価する。年間総合評価が60点に満たない場合は、再提出したレポートや再評価試験にて評価する。再評価でも60点に満たない場合は単位を認定しない。
専門科目の基礎となる科目であるとともに、資格試験・大学編入試験・就職試験(専門分野)で取り上げられる内容であるため、取り組みには十分な時間をかける必要がある。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
到達目標、評価法、学習方法・進め方などを理解する。
2週 正弦波交流についての理解を深める 正弦波交流の瞬時値、位相について理解し、交流の和および差の計算を三角関数を用いてできる。
3週 交流の大きさと波形 絶対平均値、実効値について理解し、各種波形についての計算ができる。
4週 回転ベクトルとフェーザ記号 回転ベクトルによって正弦波交流を発生させ、静止ベクトルに発展させる。さらに、静止ベクトルをフェーザ表現に発展させ、正弦波交流がベクトル表示できることを理解できる。
5週 直交座標と極座標の関係 ベクトルの直交座標表示と極座標表示の関係を理解し、それぞれ別の形式に変換できる
6週 複素数とオイラーの公式 フェーザ表現と複素数の指数表示との対応を理解できる。また、オイラーの公式を用いて複素数の指数表示を直交座標表示に変換できる。さらにその逆もできる。
7週 表示形式のまとめ 瞬時形式、ベクトル形式および複素数形式による表示形式がきちんとできる。また、各形式を別の形式に変換できる。
8週 演習 演習問題を解くことで数式の取り扱いになれる
2ndQ
9週 前期中間評価
10週 複素数の四則演算 複素数の和、差、積および商を計算できる。
11週 複素数の幾何学的表示 2つのベクトルの和、差を幾何学的に理解できる。また、ベクトルにjや-jをかける意味について理解できる。
12週 2つの正弦波交流の合成1(瞬時値による計算) 2つの正弦波交流の合成を三角関数によって計算できる
13週 2つの正弦波交流の合成2(ベクトルよる計算) 2つの正弦波交流の合成をベクトルを用いて計算できる
14週 複素インピーダンス 交流回路の電流と電圧の比として複素インピーダンスを導入し、複素数として計算することができる
15週 前期定期試験
16週 答案返却 問題解答を復習し、さらに、必要な補足説明、関連事項について講義を受ける。
後期
3rdQ
1週 記号法1(Rのみの回路) Rのみの回路について記号法による計算ができる
2週 記号法2(Lのみの回路) Lのみの回路について記号法による計算ができる
3週 記号法3(Cのみの回路) Cのみの回路について記号法による計算ができる
4週 記号法4(直列回路) RL直列回路、RC直列回路およびRLC直列回路を記号法を用いて解くことができる
5週 記号法5(並列回路) RL並列回路、RC並列回路およびLC並列回路を記号法を用いて解くことができる
6週 記号法6(直並列回路) 様々な素子で構成される直並列回路のインピーダンス、アドミタンスを計算できる。また、各部の電流、電圧を計算できる。
7週 演習1 たくさんの演習問題を解くことで、記号法の計算になれる
8週 演習2 たくさんの演習問題を解くことで、記号法の計算になれる
4thQ
9週 後期中間試験
10週 直列共振回路 RLC直列共振回路の共振特性について理解し、共振周波数を求めることができる。また、回路のQについて理解できる
11週 並列共振回路 RLC並列共振回路の共振特性について理解し、共振周波数を求めることができる
12週 演習 たくさんの演習問題を解くことで、記号法の計算になれる
13週 交流電力 皮相電力、有効電力、無効電力、力率について理解し、それぞれの関係を電力三角形で表すことができる
14週 複素交流電力 交流電力を複素数を用いて表すことで、計算が容易になり、皮相電力、有効電力、無効電力の関係性も明瞭になることを理解する
15週 後期定期試験
16週 答案返却 問題解答と必要な補足説明を行い、次年度に向けた学習についても説明する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学複素数の相等を理解し、その加減乗除の計算ができる。3前6,前7,前10,前11
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路電荷と電流、電圧を説明できる。4前2
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。4前2
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。4前2
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。4前2
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。3前2,前3
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。3前3,前5
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。3前4
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。3後1,後2
瞬時値を用いて、交流回路の計算ができる。3前2,前3,前12,後1,後2,後3,後4,後5,後6
フェーザ表示を用いて、交流回路の計算ができる。3前4,前13,後1,後2,後3,後4,後5,後6
インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。3前14,後3,後4,後5,後6
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。4前2,後9,後10
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。4前2,後9,後10
直列共振回路と並列共振回路の計算ができる。4前8,後12,後14
相互誘導を説明し、相互誘導回路の計算ができる。3後1
理想変成器を説明できる。3後5
交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。3前11
重ねの理を用いて、回路の計算ができる。3後9,後10
網目電流法を用いて回路の計算ができる。3後9,後10
節点電位法を用いて回路の計算ができる。3後9,後10
テブナンの定理を回路の計算に用いることができる。3後9,後10
分野別の工学実験・実習能力電気・電子系分野【実験・実習能力】電気・電子系【実験実習】共振について、実験結果を考察できる。4後12,後14

評価割合

試験課題・レポート合計
総合評価割合8020100
基礎的能力501060
専門的能力20525
分野横断的能力10515