計算機工学I

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 計算機工学I
科目番号 TE2203 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 情報通信エレクトロニクス工学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 浜辺 隆二「論理回路入門」森北出版
担当教員 入江 博樹

到達目標

①計算機内部の情報を2進数や16進数で表現・処理できる.
②論理値の概念を理解し,論理式の取り扱いができる.
③論理関数表現(簡単化を含む)とMIL記号による表現との相互変換ができる.
④組合せ回路の設計法を理解し,加算器や比較器などの具体的な回路を自在に設計できる.
⑤順序回路の設計法を理解し,状態遷移表・回路図による表現ができる.
⑥カウンタなどの具体的な順序回路を設計できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
・ディジタルの概念 ・2進数 ・16進数 ・負数の表現 ・符号体系ディジタルとアナログの違いについてすべて説明できる.2進数,16進数,負数の表現,符号体系についてすべて説明し,計算できる.ディジタルとアナログの違いについて説明できる.2進数,16進数,負数の表現,符号体系について説明し,計算できる.ディジタルとアナログの違いについて説明できない. 2進数,16進数,負数の表現,符号体系について説明できず,計算できない.
・正論理と負論理 ・各種論理ゲート ・ブール代数 ・ド・モルガンの定理正論理と負論理についてすべて説明できる. 各種論理ゲートについてすべて説明でき,ブール代数やド・モルガンの定理を用いて論理式を記述できる.正論理と負論理について説明できる. 各種論理ゲートについて説明でき,ブール代数やド・モルガンの定理を用いて論理式を記述できる.正論理と負論理について説明できない. 各種論理ゲートについて説明できず,ブール代数やド・モルガンの定理を用いて論理式を記述できない.
・真理値表 ・論理式 ・カルノー図 ・簡単化 ・エンコーダ等の代表的な組合わせ回路エンコーダ等の代表的な組み合わせ論理回路の機能についてすべて説明でき,真理値表,論理式,カルノー図,簡単化を用いた設計をすべてできる.エンコーダ等の代表的な組み合わせ論理回路の機能について説明でき,真理値表,論理式,カルノー図,簡単化を用いた設計をできる.エンコーダ等の代表的な組み合わせ論理回路の機能について説明できず,真理値表,論理式,カルノー図,簡単化を用いた設計ができない.
・フリップフロップ ・特性方程式 ・状態遷移表 ・代表的な順序回路JKフリップフロップ等の代表的なフリップフロップの動作についてすべて説明できる.カウンタ等の代表的な順序回路を,状態遷移表や特性方程式を用いてすべて設計できる.JKフリップフロップ等の代表的なフリップフロップの動作について説明できる.カウンタ等の代表的な順序回路を,状態遷移表や特性方程式を用いて設計できる.JKフリップフロップ等の代表的なフリップフロップの動作について説明できない.カウンタ等の代表的な順序回路を,状態遷移表や特性方程式を用いて設計できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
計算機のハードウェアに関する知識の入門として計算機内部で使用される論理回路を扱い,組合せ回路と順序回路の設計法および解読法を講義する.評価は年4回の定期試験(70%)の他に,年8回の小テスト(15分程度)(30%)を実施して,学生の理解度を測っている.小テストに類似した問題を定期試験でも出題している.
授業の進め方・方法:
講義では,計算機内部における情報の表現法,論理演算,組合せ回路の設計法及び順序回路の設計法を具体的に解説する.更に,理解を深めるための手助けとして講義の間に演習を行う.
注意点:
本科目は,電気電子・通信・情報・制御の基礎となる科目であり,ディジタル技術者・情報処理技術者の多くの資格試験に関連する科目である.質問は,講義中は勿論,教員室,電子メールなどでも受け付ける.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
2進数,10進数,16進数
本授業の概要,学習の進め方,本科目の評価法などの理解できる.2進数,10進数,16進数を理解できる.基数変換の計算ができる.
2週 2進数,10進数,16進数の加減算 2進数,10進数,16進数の加減算ができる.補数計算ができる.
3週 集合論とベン図,真理値表 ベン図や真理値表を用いて,集合論の公式等の証明ができる.
4週 ブール代数,NOT回路,OR回路,AND回路,NAND回路,NOR回路 ブール代数を理解できる.ベン図で論理式を表現できる.NOT回路,OR回路,AND回路,NAND回路,NOR回路の動作を理解できる.論理式と回路記号と真理値表を理解できる.
5週 論理関数の標準形と真理値表 論理関数の標準形と真理値表を理解できる.
6週 標準形と真理値表 加法標準形と乗法標準形を理解し,真理値表から論理関数を導出できる.
7週 論理関数の展開定理,排他的論理和 論理関数の展開定理および排他的論理和を理解し,真理値表や論理関数から論理式を排他的論理和で表示できる.
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 試験問題回答返却と解説,論理式の簡単化 ブール代数を用いて論理式を簡単化できる.
10週 カルノー図による簡単化 論理式や真理値表からカルノー図を用いて論理式を簡単化できる.
11週 冗長項を含むカルノー図による簡単化 冗長項のある真理値表からカルノー図を用いて論理式を簡単化できる.
12週 組合せ回路と回路構成 組合せ回路とその構成を理解できる.
13週 加算器と減算器 半加算器と全加算器を理解でき,各真理値表を描いて論理式の簡単化を行い,論理回路を描ける.
補数を用いた2 進数の引き算を理解できる.
14週 コンパレータ,エンコーダ,デコーダ,マルチプレクサ,デマルチプレクサ コンパレータ(比較器),エンコーダ,デコーダ,マルチプレクサ,デマルチプレクサの各動作を理解でき,回路図を描ける.
15週 前期定期試験
16週 試験問題回答返却と解説
後期
3rdQ
1週 順序回路,状態遷移図,状態遷移表,フリップフロップ 順序回路(3進カウンタの例)を状態遷移図や状態遷移表を用いて動作を理解できる.フリップフロップの動作を理解できる.
2週 SR-FFとT-FF,状態遷移表,特性方程式 SR-FF(T-FF)の状態遷移表とカルノー図から特性方程式を導出して,論理回路図を求めことができる.
3週 JK-FFとD-FF,状態遷移表,特性方程式 JK-FF(D-FF)の状態遷移表とカルノー図から特性方程式を導出して,論理回路図を求めことができる.
4週 順序回路の設計1 RS-FFを用いて3進カウンタを設計できる.
5週 順序回路の設計2 T-FFを用いて3進カウンタを設計できる.
6週 順序回路の設計3 特定の入力列を検出する順序回路を設計できる.
7週 順序回路の設計4 特定の入力列を検出する順序回路を設計できる.
8週 後期中間試験
4thQ
9週 試験問題回答返却と解説,レジスタ,シフトレジスタ レジスタ,シフトレジスタを理解し,これを利用した回路を描ける.
10週 非同期式,同期式カウンタ 非同期式,同期式カウンタを理解し,これを利用した回路を描ける.
11週 リング発振器 リング発振器を理解し,これを利用した回路を作製できる.
12週 分周器 分周器の動作を理解し,これを利用した回路を描ける.
13週 BCD カウンタ BCD カウンタの動作を理解し,これを利用した回路を描ける.
14週 7セグメントLEDデコーダ 7セグメントLEDデコーダの動作を理解し,これを利用した回路を描ける.
15週 後期定期試験
16週 試験問題回答返却と解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎情報リテラシー情報リテラシー論理演算と進数変換の仕組みを用いて基本的な演算ができる。2前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前10,前11,前12,前13,前14,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後10,後11,後12,後13,後14
専門的能力分野別の工学実験・実習能力電気・電子系分野【実験・実習能力】電気・電子系【実験実習】論理回路の動作について実験結果を考察できる。2前9,前16,後9,後16
ディジタルICの使用方法を習得する。2前9,前16,後9,後16

評価割合

定期試験小テスト合計
総合評価割合7030100
基礎的能力502070
専門的能力201030