計算機工学I

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 平成29年度 (2017年度)
授業科目 計算機工学I
科目番号 TE1203 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 情報通信エレクトロニクス工学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 春日 健「ドリルと演習シリーズ ディジタル回路」 電気書院
担当教員 石橋 孝昭

到達目標

①計算機内部の情報を2進数や16進数で表現・処理できる.
②論理値の概念を理解し,論理式の取り扱いができる.
③論理関数表現(簡単化を含む)とMIL記号による表現との相互変換ができる.
④組合せ回路の設計法を理解し,加算器や比較器などの具体的な回路を自在に設計できる.
⑤順序回路の設計法を理解し,状態遷移表・回路図による表現ができる.
⑥カウンタなどの具体的な順序回路を設計できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
ディジタルの概念 ・2進数 ・16進数 ・負数の表現 ・符号体系ディジタルとアナログの違いについてすべて説明できる. 2進数,16進数,負数の表現,符号体系についてすべて説明し,計算できる.ディジタルとアナログの違いについて説明できる. 2進数,16進数,負数の表現,符号体系について説明し,計算できる.ディジタルとアナログの違いについて説明できない. 2進数,16進数,負数の表現,符号体系について説明できず,計算できない.
正論理と負論理 ・各種論理ゲート ・ブール代数 ・ド・モルガンの定理正論理と負論理についてすべて説明できる. 各種論理ゲートについてすべて説明でき,ブール代数やド・モルガンの定理を用いて論理式を記述できる.正論理と負論理について説明できる. 各種論理ゲートについて説明でき,ブール代数やド・モルガンの定理を用いて論理式を記述できる.正論理と負論理について説明できない. 各種論理ゲートについて説明できず,ブール代数やド・モルガンの定理を用いて論理式を記述できない.
・真理値表 ・論理式 ・カルノー図 ・簡単化 ・エンコーダ等の代表的な組合わせ回路エンコーダ等の代表的な組み合わせ論理回路の機能についてすべて説明でき,真理値表,論理式、カルノー図,簡単化を用いた設計をすべてできる.エンコーダ等の代表的な組み合わせ論理回路の機能について説明でき,真理値表,論理式、カルノー図,簡単化を用いた設計をできる.エンコーダ等の代表的な組み合わせ論理回路の機能について説明できず,真理値表,論理式、カルノー図,簡単化を用いた設計ができない.
・フリップフロップ ・特性方程式 ・状態遷移表 ・代表的な順序回路JKフリップフロップ等の代表的なフリップフロップの動作についてすべて説明できる.カウンタ等の代表的な順序回路を,状態遷移表や特性方程式を用いてすべて設計できる.JKフリップフロップ等の代表的なフリップフロップの動作について説明できる.カウンタ等の代表的な順序回路を,状態遷移表や特性方程式を用いて設計できる.JKフリップフロップ等の代表的なフリップフロップの動作について説明できない.カウンタ等の代表的な順序回路を,状態遷移表や特性方程式を用いて設計できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
計算機のハードウェアに関する知識の入門として計算機内部で使用される論理回路を扱い,組合せ回路と順序回路の設計法および解読法を講義する.
評価は年4回の定期試験と平常点(講義中の課題,実験演習レポート)で評価する.定期試験(80%),平常点(20%)を総合して目標達成とする.
授業の進め方・方法:
講義では,計算機内部における情報の表現法,論理演算,組合せ回路の設計法及び順序回路の設計法を具体的に解説する.更に、理解を深めるための手助けとして講義の間に演習を行う.
注意点:
授業時間数は90分×45とする。この科目では、レポート課題などで45時間の自学自習を課す。本科目は,電気電子・通信・情報・制御の基礎となる科目であり,ディジタル技術者・情報処理技術者の多くの資格試験に関連する科目である.質問は,講義中はもちろん,教員室,電子メールなどでも受け付ける.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 2進数・10進数・16進数 2進数・10進数・16進数を理解できる.
基数変換の計算ができる.
2週 NOT回路 NOT回路の動作を理解できる.
論理回路記号と真理値表を理解できる.
3週 AND回路 AND回路の動作を理解できる.
論理回路への入力回路を作製できる.
4週 OR回路 OR回路の動作を理解できる.
論理回路への出力回路を作製できる.
5週 XOR回路 XOR回路の動作を理解できる.
多入力のXOR回路の入出力関係を理解できる.
6週 NAND回路・NOR回路 NAND回路・NOR回路の動作を理解できる.
正論理と負論理を理解できる.
7週 組合せ回路の設計 組合せ回路を設計できる.
加法標準形と乗法標準形を理解できる.
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 簡単化 ブール代数を用いて簡単化できる.
カルノー図を用いて簡単化できる.
10週 完全系 完全系を理解できる.
時間最適化と空間最適化を理解できる.
11週 冗長項を用いた簡単化 冗長項を用いて簡単化できる.
クワイン・マクラスキー法で簡単化できる.
12週 加算器 半加算器と全加算器を理解できる.
8ビット加算器を設計できる.
13週 減算器 補数を用いた2 進数の引き算を理解できる.
減算器を設計できる.
14週 比較器・コンパレータ 比較器を理解できる.
比較器を利用した回路を作製できる.
15週 前期実技試験 ロジックICを用いた電子回路の実装ができる.
16週 答案返却および解説
後期
3rdQ
1週 エンコーダ・デコーダ エンコーダとデコーダの動作を理解できる.
エンコーダとデコーダを利用した回路を作製できる.
2週 マルチプレクサ・デマルチプレクサ マルチプレクサとデマルチプレクサを理解できる.
多重通信の回路を設計できる.
3週 フリップフロップ フリップフロップを理解できる.
フリップフロップを作製できる.
4週 順序回路の設計 順序回路の設計ができる.
簡単な順序回路を作製できる.
5週 レジスタ・シフトレジスタ レジスタ・シフトレジスタを理解できる.
レジスタ・シフトレジスタを利用した回路を作製できる.
6週 リング発振器 リング発振器を理解できる.
リング発振器を利用した回路を作製できる.
7週 ジョンソンカウンタ ジョンソンカウンタを理解できる.
ジョンソンカウンタを利用した回路を作製できる.
8週 後期中間試験
4thQ
9週 ワイヤードOR ワイヤードORを理解できる.
ワイヤードORを利用した回路を作製できる.
10週 非同期式カウンタ 非同期式カウンタを理解できる.
非同期式カウンタを利用した回路を作製できる.
11週 同期式カウンタ 同期式カウンタを理解できる.
同期式カウンタを利用した回路を作製できる.
12週 分周器 分周器を理解できる.
分周器を利用した回路を作製できる.
13週 BCD カウンタ BCD カウンタを理解できる.
BCD カウンタを利用した回路を作製できる.
14週 7セグメントLEDデコーダ 7セグメントLEDデコーダを理解できる.
7セグメントLEDデコーダを利用した回路を作製できる.
15週 後期実技試験 ロジックICを用いた電子回路の実装ができる.
16週 答案返却および解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野情報整数、小数を2進数、10進数、16進数で表現できる。2前1
基数が異なる数の間で相互に変換できる。2前1
基本的な論理演算を行うことができる。2前2,前3,前4,前5,前6
基本的な論理演算を組み合わせて任意の論理関数を論理式として表現できる。2前7,前9,前10,前11,前13,前14,後1,後2
MIL記号またはJIS記号を使って図示された組み合わせ論理回路を論理式で表現できる。2前2,前3,前4,前5,前6
論理式から真理値表を作ることができる。2前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後1,後2
論理式をMIL記号またはJIS記号を使って図示できる。2前2,前3,前4,前5,前6
情報系分野計算機工学整数・小数を2進数、10進数、16進数で表現できる。2前1
整数・小数をコンピュータのメモリ上でディジタル表現する方法を説明できる。2前1
基数が異なる数の間で相互に変換できる。2前1
基本的な論理演算を行うことができる。2前2,前3,前4,前5,前6
基本的な論理演算を組合わせて、論理関数を論理式として表現できる。2前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後1,後2
論理式の簡単化の概念を説明できる。2前9,前11
論理ゲートを用いて論理式を組合せ論理回路として表現することができる。2前5,前7,前10,前11,前12,前13,前14,後1,後2
与えられた組合せ論理回路の機能を説明することができる。2前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後1,後2
組合せ論理回路を設計することができる。2前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後1,後2,後14
フリップフロップなどの順序回路の基本素子について、その動作と特性を説明することができる。2後3
レジスタやカウンタなどの基本的な順序回路の動作について説明できる。2後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14
与えられた順序回路の機能を説明することができる。2後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14
順序回路を設計することができる。2後4,後5,後6,後10,後11,後12
情報数学・情報理論集合に関する基本的な概念を理解し、集合演算を実行できる。2前2,前3,前4,前5,前6
集合の間の関係(関数)に関する基本的な概念を説明できる。2前2,前3,前4,前5,前6
ブール代数に関する基本的な概念を説明できる。2前2,前3,前4,前5,前6
コンピュータ上での数値の表現方法が誤差に関係することを説明できる。1前1
コンピュータ上で数値計算を行う際に発生する誤差の影響を説明できる。1前1

評価割合

筆記試験実技試験課題合計
総合評価割合602020100
基礎的能力40101060
専門的能力20101040