通信システム工学

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 通信システム工学
科目番号 TE410 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 情報通信エレクトロニクス工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材 プリント使用/副教材:一陸技無線工学A完全マスター(一之瀬 優、情報通信振興会)
担当教員 下塩 義文

到達目標

本科目は,無線技術士の国家試験科目「無線工学A」に関係するものであり,情報通信システムにおけるアナログ信号およびデジタル信号の伝送に関する基本的な原理について理解することを到達目標とする。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1アナログ変調について,被変調波形を数式で表し,描くことができる.また,その周波数スペクトルを求めることができ,その概形を描けること.また,変調・復調回路について回路の動作を説明できる.アナログ変調について,被変調波形を数式で表し,描くことができる.また,その周波数スペクトルを求めることができ,その概形を描けること.また,変調・復調回路の一つについて回路の動作を説明できる.アナログ変調について,被変調波形を描けない.周波数スペクトルの概形を描けない.変調・復調回路を一つも説明できない.
評価項目2標本化定理の意味を説明できる.なぜパルスで波形を伝送できるのかを時間領域と周波数領域で説明できる.また,パルス変調について,被変調波形を描くことができ,その周波数スペクトルの概形を描ける.標本化定理の意味を説明できる.なぜパルスで波形を伝送できるのかを時間領域と周波数領域のいずれかで説明できる.また,PCM変調について,説明できる.標本化定理を時間領域,周波数領域いずれでも説明できない.PCMの原理について説明できない.
評価項目3ベースバンド伝送方式について,使用される符号の特徴を理解し,いかに符号間干渉を起こさずに伝送するかを説明できる.ベースバンド伝送方式について,使用される符号の特徴を知っている.符号間干渉を起こさずに伝送する技術について知っている.ベースバンド伝送方式で使用される符号に必要な要件を一つも知らない.符号間干渉とは何か知らない.
評価項目4 デジタル変調について,各変調波形の波形,周波数スペクトルを描ける.また波形を数式で表現できる.各変調・復調回路の動作を理解し,各部の働きを説明できる.デジタル変調(OFDMを除く)について,各変調波形の波形,周波数スペクトルを描ける.各変調・復調回路の動作を理解し,各部の働きを説明できる.PSKについて,変調波形を描けない.PSK変調・復調回路の動作を一つも知らない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
ラジオ,テレビを初め,携帯電話,衛星通信,無線LANなど様々な情報通信システムの基礎となる,変調・復調の技術について説明する.(1)搬送波の振幅,周波数,位相の変化で変調を行うアナログ変調方式,(2)パルスの振幅,幅,位置,有無を利用するパルス変調方式,(3)デジタル信号をベースバンドで伝送するベースバンド方式,(4)振幅や位相,周波数をデジタル的に変化させるデジタル変調方式等の各種変調方式についてその理論と回路構成について述べる.
授業の進め方・方法:
・基本的には講義を主体とするが,被変調波形や周波数スペクトル図,変調回路各部波形などは,ソフトウェアを用いて計算してもらうことがある.
・三角関数の微分・積分,加法定理,フーリエ級数を理解しておくことが必要であるが,4年生になってから努力すれば十分理解できる程度の数学である.
・定期試験等の筆記試験および宿題によって評価する.
・宿題を20%,定期試験,中間試験,小テストを80%で評価する.筆記試験と宿題の合計が60%以上で目標達成とみなす.宿題は,その都度指定する期限までに提出し,課題すべてに解答したものを評価の対象とする.なお,学年末試験を除く定期試験,中間試験で基準に達しなかった場合,再度試験を実施し,基準に達した場合,その試験を60点として評価する.
注意点:
・教材の提示や連絡はWebclassを通じて行うので,随時確認すること.
・質問は教員室で常時受け付けるほか,Webclassからのメールにも対応する.
・ 本科目は1単位当たり,15時間の講義と30時間の自学自習(課題レポート等)から構成される.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 シラバスの説明,評価方法,科目の概要説明,無線通信の歴史,電波の周波数帯,電波の型式の概要 評価方法を理解する.電波の周波数帯,電波の型式等の概要を理解できる.
2週 信号と周波数スペクトル 周波数スペクトルについて理解し,計算ができる.
3週 アナログ変調(AM)の波形,数式表現,周波数スペクトル,変調指数とその測定法 AM変調の仕組みについて理解する.また,数式で解析できる.変調指数の測定について理解し,説明できる.
4週 アナログ変調(AM)の変調回路 AM変調回路の動作を理解し,説明できる.
5週 アナログ変調(AM)の復調回路 AM復調回路の動作を理解し,説明できる.
6週 スーパーヘテロダイン受信機の仕組みと各部の働き.混変調と相互変調.影像周波数妨害. スーパーヘテロダイン受信機の仕組みを理解し,各部の働きを説明できる.
7週 アナログ変調(FM)の波形,数式表現,周波数スペクトル,変調指数の測定法 FM変調の仕組みについて理解する.また,数式で解析できる.変調指数の測定について理解する.
8週 中間試験 中間試験までの内容について理解できていること
2ndQ
9週 アナログ変調(PM)の原理.直接FM,間接FM PM変調の仕組みについて理解する.
10週 FMステレオ放送の原理 FMステレオ放送の原理を説明できる.
11週 アナログ変調(FM)の変調回路と直接FM,間接FM FM変調回路の動作を理解し,説明できる.
12週 アナログ変調(FM)の復調回路(PLL方式,Quadrature方式等) FM復調回路の動作を理解し,説明できる.
13週 多重化方式(FDM,TDM) 多重化方式について理解し,説明できる
14週 標本化定理,エリアジング 標本化定理について,アナログ信号をデジタル信号で送れることを時間領域,周波数領域で説明できる.
15週 PCM通信方式(量子化,量子化,誤差,符号化) PCM通信方式の量子化,符号化の仕組みについて理解し,説明できる.
16週 定期試験 定期試験までの内容について理解できていること
後期
3rdQ
1週 PCM通信方式(AD変換器,S/N) PCM通信方式のAD変換器,S/Nについて理解し,説明できる.
2週 ベースバンド伝送方式(符号について) 各種符号についてその特徴を説明できる
3週 ベースバンド伝送方式(符号間干渉,アイパターン) 符号間干渉を起こさないための技術について理解し,説明できる
4週 ASK変調方式 ASK変調方式の波形を描き,周波数スペクトルを求めることができる.
5週 FSK変調方式 FSK変調方式の波形を描き,周波数スペクトルを説明することができる.
6週 BPSK変調方式 BPSK変調方式について,式で表し,周波数スペクトルを説明できる.
7週 BPSK変調・復調回路 BPSKの変調,復調回路を理解し,説明できる.
8週 中間試験 中間試験までの内容について理解できていること
4thQ
9週 QPSK変調方式 QPSK変調方式について,式で表し,周波数スペクトルを説明できる.
10週 QPSK変調回路 QPSKの変調回路を理解し,説明できる.
11週 QPSK復調回路 QPSKの復調回路を理解し,説明できる.
12週 QAM,OPSK,GMSK変調方式 各変調方式について理解し,説明できる.
13週 CDMA変調方式 CDMA変調方式について,その仕組みを理解し,説明できる.
14週 OFDM変調方式(特徴,SFN,ガードインターバルなど) OFDM変調方式の特徴や使用されている技術について,その仕組みを理解し,説明できる.
15週 OFDM変調方式 OFDM変調方式について,その変調方式を理解し,説明できる.
16週 定期試験 定期試験までの内容について理解できていること

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野計測オシロスコープを用いた波形観測(振幅、周期、周波数)の方法を説明できる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオ宿題合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力0000000
専門的能力80000020100
分野横断的能力0000000