概要:
電気回路は制御工学を学習する上での基礎科目の一つであり、本科目(電気回路Ⅰ)では直流及び交流の電気回路に関係する基本的な知識と緒法則を理解し、電気回路を計算する手法(手順)を習得できるようにする。
授業の進め方・方法:
次の3点に留意して授業を行う:(1) 電気回路で用いる電気諸量や基本法則の考え方や物理的意味をしっかり理解させる; (2) 電気回路に慣れ、その計算(回路中の電圧や電流などを求めること)ができるように、授業及び課題で多くの演習を取り入れる; (3) 授業では電気回路の具体例や応用例を紹介し、電気回路を身近なものとして捉えられるようにする。
評価は,前期中間,前期期末,後期中間,後期期末の四半期毎に評価し,その内訳は定期試験と課題(小テストを含む)がそれぞれ80%と20%である.四半期の評価の平均点をもって学年成績とし,学年成績が60%以上の得点率で目標達成とする.なお,課題の未提出や小テストを受験しなかった場合は,原則として課題の評価は0点とする.なお、各期の試験においてクラス平均点によっては、再試験をすることがある。
注意点:
授業では、分からない事や理解できないことはそのままにしないで、躊躇なく質問すること。疑問に思うことや質問することは、理解を深めることに繋がります。質問や要望などは、授業中はもちろん、メール(tmatsu@kumamoto-nct.ac.jp)やteamsで受け付けます。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス 電気回路の基礎(直流回路と電気諸量) |
直流回路の電気諸量(電流、電圧、抵抗、電力)の定義と働きを説明できる。
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2週 |
直流回路の基本法則と回路計算Ⅰ(オームの法則) |
オームの法則を用いて基本的な直流回路の計算(回路中の電圧、電流、電力を求めること)ができる。
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3週 |
直流回路の基本法則と回路計算Ⅱ(キルヒホッフの法則) |
キルヒホッフの法則を用いて直流回路の回路方程式を立て、回路中の電流や電圧を求める手順を説明できる。
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4週 |
ホイートストンブリッジ |
ホイートストンブリッジの枝電流を求め、ブリッジの平衡条件を導くことができる。
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5週 |
直流回路の基本法則と回路計算Ⅱ(等価回路) |
直列回路や並列回路の等価回路を求め、直流回路の計算ができる。
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6週 |
電源(内部抵抗と電圧電源・電流電源) |
電源の内部抵抗を理解し、電圧電源と電流電源の等価変換ができる。
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7週 |
直流回路総合演習 |
これまでに学習した内容を使って、電気回路の学習上重要な直流回路の計算ができる。
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8週 |
前期中間試験 |
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2ndQ |
9週 |
中間試験の返却と解説 直流回路と交流回路 |
直流回路と交流回路についてインターネットで調べ、それぞれの違いや応用例を挙げることができる。
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10週 |
正弦波交流信号(電圧・電流)とその数式(瞬時値)表現 |
交流回路の定常解として正弦波信号(電圧と電流)を理解し、正弦波交流信号を数式(瞬時値)で表現でき、振幅(実効値)と周波数(角周波数)の意味を説明できる。
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11週 |
回路素子(抵抗、コンデンサ、インダクタンス)とその働き |
交流回路における回路素子(抵抗、コンデンサ、インダクタンス)の働きを電流と電圧の関係から定量的に説明できる。
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12週 |
正弦波交流信号(電圧・電流)の複素表示 |
正弦波交流信号(電圧・電流)の複素表示を理解し、瞬時値との対応を明らかにするとともに、種々の正弦波交流の複素表示ができる。
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13週 |
回路素子(抵抗、コンデンサ、インダクタンス)のインピーダンス |
インピーダンスの定義を理解し、回路素子(抵抗、コンデンサ、インダクタンス)のインピーダンスを数式で表し、その物理的意味を答えることができる。
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14週 |
交流回路総合演習 |
抵抗、コンデンサ、インダクタンスからなる基本的な交流回路の複素表示を用いた計算ができる。
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15週 |
前期定期試験 |
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16週 |
定期試験の返却と解説 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
交流回路の計算とその交流特性Ⅰ(RL回路) |
RとLから成る交流回路の計算ができ、ベクトル図など交流特性を調べることができる。
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2週 |
交流回路の計算とその交流特性Ⅱ(RC回路) |
RとCから成る交流回路の計算ができ、ベクトル図など交流特性を調べることができる。
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3週 |
交流回路の計算とその交流特性Ⅲ(RLC回路) |
R、C、Lから成る交流回路の計算ができ、ベクトル図など交流特性を調べることができる。
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4週 |
直列共振回路 |
RLC直列回路の計算から、共振特性(共振周波数、良好度など)を求めることができる。
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5週 |
並列共振回路 |
RLC並列回路の計算から、共振特性(共振周波数、良好度など)を求めることができる。
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6週 |
ブリッジ回路 |
交流のブリッジ回路の平衡条件を導くことができる。
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7週 |
相互誘導回路 |
相互誘導回路の等価回路が表示ができ、1次側及び2次側の電流を計算できる。
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8週 |
後期中間試験 |
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4thQ |
9週 |
中間試験の返却と解説 交流回路の応用 |
交流回路の応用についてインターネットで調べ、身近な利用例を挙げることができる。
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10週 |
交流回路の電力と複素電力 |
交流回路の有効電力、無効電力、皮相電力の意味を説明できる。また、複素電力として有効電力、無効電力、皮相電力を計算することができる。
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11週 |
交流電力の計算Ⅰ(複素電力、力率) |
基本的な交流回路の複素電力を求め、力率などその交流回路の電力に関する考察ができる。
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12週 |
交流電力の計算Ⅱ(複素電力と力率) |
交流回路の複素電力から、整合負荷の条件導出と最大供給電力を求めることができる。
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13週 |
線形回路網Ⅰ(回路方程式の定式化) |
線形回路網の解析法として回路方程式による計算手順を説明できる。
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14週 |
線形回路網Ⅱ(重ねの理とテブナンの定理) |
線形回路網で成立する重ねの理とテブナンの定理を説明でき、利用例を示すことができる。
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15週 |
後期定期試験 |
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16週 |
定期試験の返却と解説 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 電気・電子系分野 | 電気回路 | 電荷と電流、電圧を説明できる。 | 3 | 前1,前6,前9,後9,後10 |
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。 | 3 | 前2,前4,前5,前6,前7 |
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。 | 3 | 前3,前5,前7 |
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。 | 3 | 前2,前3,前4,前5,前6,前7 |
ブリッジ回路を計算し、平衡条件を求められる。 | 3 | 前4,前7 |
電力量と電力を説明し、これらを計算できる。 | 3 | 前1,前5,前6,前7 |
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。 | 4 | 前9,前10,前11,前12,前13,前14,後9 |
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。 | 4 | 前9,前10,前11,前12,前13,前14,後10 |
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。 | 4 | 前12,前13,前14,後1,後2,後3,後4,後5 |
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。 | 4 | 前11,前12,前13,前14,後1,後2,後3,後4,後5 |
瞬時値を用いて、交流回路の計算ができる。 | 4 | 前11,前13,前14,後10 |
フェーザ表示を用いて、交流回路の計算ができる。 | 4 | 前12,前13,前14,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後10,後11,後12 |
インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。 | 4 | 前12,前13,前14,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後11,後12 |
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。 | 3 | 前13,前14,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後13 |
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。 | 3 | 前13,前14,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後11,後12,後14 |
直列共振回路と並列共振回路の計算ができる。 | 4 | 後3,後4,後5 |
交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。 | 4 | 後10,後11,後12 |
重ねの理を用いて、回路の計算ができる。 | 3 | 前3,後13,後14 |
網目電流法を用いて回路の計算ができる。 | 3 | 前3,後13,後14 |
節点電位法を用いて回路の計算ができる。 | 3 | 前3,後13,後14 |
テブナンの定理を回路の計算に用いることができる。 | 3 | 前6,後13,後14 |