電子回路学I

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 電子回路学I
科目番号 CI1303 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 制御情報システム工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 例題で学ぶはじめての半導体 臼田昭司 技術評論社
担当教員 西村 勇也

到達目標

1. 半導体の特徴、種類、エネルギーバンド構造を理解し、半導体中のキャリアの振る舞いを説明できる。
2. pn接合の動作機構が解析でき、ダイオードの電圧―電流特性式の導出ができる。
3. バイポーラトランジスタの種類、構造と動作原理、静特性などを理解でき、ダイオードの特性式からトランジスタの入力特性、出力特性の直流電圧・電流特性式を導出できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
バンド構造の理解半導体結晶の背景と性質を理解して、"バンド構造"の意味を明確に説明することができる。半導体結晶の背景と性質を理解して、"バンド構造"についての概要を説明することができる。半導体結晶の背景と性質について説明することができない。
pn接合ダイオードの理解pn接合ダイオードのエネルギー帯構造や動作原理について説明することができ、応用回路の動作を説明することができる。pn接合ダイオードのエネルギー帯構造や動作原理について説明することができ、基本的な回路の動作を説明することができる。pn接合ダイオードの構造や特性について説明することができない。
バイポーラトランジスタの理解トランジスタのエネルギー帯構造や動作原理について説明することができ、応用回路の動作を説明することができる。トランジスタのエネルギー帯構造や動作原理について説明することができ、基本的な回路の動作を説明することができる。トランジスタの構造や特性について説明することができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
電子と原子の構造、半導体の共有結晶構造について述べ、半導体中での電子の振る舞いについて概説する。代表的な半導体素子であるダイオード、バイポーラトランジスタ、MOS-FET(電解効果トランジスタ)、アナログIC(集積回路)などの働きと特徴、動作機構、構造について説明し電子回路の基礎であるトランジスタ増幅作用を概説する。
授業の進め方・方法:
中間・定期試験(80%)、授業演習レポート(20%)を総合し、制御情報システム工学技術者が果たすべき役割の理解および電子回路技術に必要なLCR電気部品や、ダイオード、トランジスタなど半導体素子の働き、構造、動作機構の理解の程度を評価し、総合の60%以上で目標達成と見なす。授業演習レポートの提出期限は課題提示の際に示し、期限後に提出されたレポートの評価点は0点とする。
注意点:
本科目は4年次で学習する電子回路の基礎科目であり、専攻科・大学編入試験・就職試験及び各種資格試験に必要不可欠な知識である。予習・復習を十分行うこと。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
2週 電気部品と半導体素子 電子回路の定義を理解し、電子回路に用いる電源と電気部品や半導体素子の動作特性に寄与する電子の振る舞いを説明できる。
3週 電気部品と半導体素子 電子回路の定義を理解し、電子回路に用いる電源と電気部品や半導体素子の動作特性に寄与する電子の振る舞いを説明できる。
4週 電気部品と半導体素子 電子回路の定義を理解し、電子回路に用いる電源と電気部品や半導体素子の動作特性に寄与する電子の振る舞いを説明できる。
5週 原子の構造と共有結晶 電子が本来存在する原子の構造、原子価と化学的性質、閉殻と化学結合の関係を理解し、半導体の共有結晶を説明できる。
6週 原子の構造と共有結晶 電子が本来存在する原子の構造、原子価と化学的性質、閉殻と化学結合の関係を理解し、半導体の共有結晶を説明できる。
7週 原子の構造と共有結晶 電子が本来存在する原子の構造、原子価と化学的性質、閉殻と化学結合の関係を理解し、半導体の共有結晶を説明できる。
8週 原子の構造と共有結晶 電子が本来存在する原子の構造、原子価と化学的性質、閉殻と化学結合の関係を理解し、半導体の共有結晶を説明できる。
2ndQ
9週 中間試験 前期前半に学習した問題を解くことができる。
10週 半導体の性質と種類、キャリア分布 半導体の特徴、その性質が不純物の種類と量により変化することを説明できる。
半導体のエネルギー帯構造を理解し、キャリアの振る舞いを説明できる。
11週 半導体の性質と種類、キャリア分布 半導体の特徴、その性質が不純物の種類と量により変化することを説明できる。
半導体のエネルギー帯構造を理解し、キャリアの振る舞いを説明できる。
12週 半導体の性質と種類、キャリア分布 半導体の特徴、その性質が不純物の種類と量により変化することを説明できる。
半導体のエネルギー帯構造を理解し、キャリアの振る舞いを説明できる。
13週 半導体の性質と種類、キャリア分布 半導体の特徴、その性質が不純物の種類と量により変化することを説明できる。
半導体のエネルギー帯構造を理解し、キャリアの振る舞いを説明できる。
14週 pn接合ダイオードの動作 pn接合のエネルギー帯構造やpn接合ダイオードの動作機構を理解し、その電圧―電流特性式を導出できる。
また、降伏現象、静電容量が説明できる。
15週 定期試験 前期後半に学習した問題を解くことができる。
16週 答案返却
後期
3rdQ
1週 pn接合ダイオードの動作 pn接合のエネルギー帯構造やpn接合ダイオードの動作機構を理解し、その電圧―電流特性式を導出できる。
また、降伏現象、静電容量が説明できる。
2週 pn接合ダイオードの動作 pn接合のエネルギー帯構造やpn接合ダイオードの動作機構を理解し、その電圧―電流特性式を導出できる。
また、降伏現象、静電容量が説明できる。
3週 pn接合ダイオードの動作 pn接合のエネルギー帯構造やpn接合ダイオードの動作機構を理解し、その電圧―電流特性式を導出できる。
また、降伏現象、静電容量が説明できる。
4週 バイポーラトランジスタ トランジスタの構造、図記号、形状、電圧印加法、3端子名と働き、電圧印加法と動作原理などを説明できる。
5週 バイポーラトランジスタ トランジスタの構造、図記号、形状、電圧印加法、3端子名と働き、電圧印加法と動作原理などを説明できる。
6週 バイポーラトランジスタ トランジスタの構造、図記号、形状、電圧印加法、3端子名と働き、電圧印加法と動作原理などを説明できる。
7週 バイポーラトランジスタ トランジスタの構造、図記号、形状、電圧印加法、3端子名と働き、電圧印加法と動作原理などを説明できる。
8週 バイポーラトランジスタ静特性の理論解析 ダイオードの直流電圧・電流特性より、ベースーエミッタ、コレクターエミッタ間の直流電圧・電流の静特性式を導出できる。
4thQ
9週 中間試験 後期前半に学習した問題を解くことができる。
10週 バイポーラトランジスタ静特性の理論解析 ダイオードの直流電圧・電流特性より、ベースーエミッタ、コレクターエミッタ間の直流電圧・電流の静特性式を導出できる。
11週 バイポーラトランジスタ静特性の理論解析 ダイオードの直流電圧・電流特性より、ベースーエミッタ、コレクターエミッタ間の直流電圧・電流の静特性式を導出できる。
12週 電界効果トランジスタ ゲート構造、動作原理、各端子の名称と働き、電源電圧の印加法、電流―電圧特性を理解し、説明できる。
13週 電界効果トランジスタ ゲート構造、動作原理、各端子の名称と働き、電源電圧の印加法、電流―電圧特性を理解し、説明できる。
14週 電界効果トランジスタ ゲート構造、動作原理、各端子の名称と働き、電源電圧の印加法、電流―電圧特性を理解し、説明できる。
15週 定期試験 後期後半に学習した問題を解くことができる。
16週 定期試験答案返却

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学整式の加減乗除の計算や、式の展開ができる。3
因数定理等を利用して、4次までの簡単な整式の因数分解ができる。3
分数式の加減乗除の計算ができる。3
実数・絶対値の意味を理解し、絶対値の簡単な計算ができる。3
平方根の基本的な計算ができる(分母の有理化も含む)。3
複素数の相等を理解し、その加減乗除の計算ができる。3
解の公式等を利用して、2次方程式を解くことができる。3
因数定理等を利用して、基本的な高次方程式を解くことができる。3
簡単な連立方程式を解くことができる。3
無理方程式・分数方程式を解くことができる。3
1次不等式や2次不等式を解くことができる。3
恒等式と方程式の違いを区別できる。3
2次関数の性質を理解し、グラフをかくことができ、最大値・最小値を求めることができる。3
分数関数や無理関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3
簡単な場合について、関数の逆関数を求め、そのグラフをかくことができる。3
累乗根の意味を理解し、指数法則を拡張し、計算に利用することができる。3
指数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3
指数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3
対数の意味を理解し、対数を利用した計算ができる。3
対数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3
対数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3
角を弧度法で表現することができる。3
三角関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3
加法定理および加法定理から導出される公式等を使うことができる。3
三角関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3
三角比を理解し、簡単な場合について、三角比を求めることができる。3
一般角の三角関数の値を求めることができる。3
2点間の距離を求めることができる。3
内分点の座標を求めることができる。3
2つの直線の平行・垂直条件を利用して、直線の方程式を求めることができる。3
簡単な場合について、円の方程式を求めることができる。3
放物線、楕円、双曲線の図形的な性質の違いを区別できる。3
簡単な場合について、不等式の表す領域を求めたり領域を不等式で表すことができる。3
積の法則と和の法則を利用して、簡単な事象の場合の数を数えることができる。3
簡単な場合について、順列と組合せの計算ができる。3
不定形を含むいろいろな数列の極限を求めることができる。3
無限等比級数等の簡単な級数の収束・発散を調べ、その和を求めることができる。3
ベクトルの定義を理解し、ベクトルの基本的な計算(和・差・定数倍)ができ、大きさを求めることができる。3
平面および空間ベクトルの成分表示ができ、成分表示を利用して簡単な計算ができる。3
平面および空間ベクトルの内積を求めることができる。3
問題を解くために、ベクトルの平行・垂直条件を利用することができる。3
空間内の直線・平面・球の方程式を求めることができる(必要に応じてベクトル方程式も扱う)。3
行列の定義を理解し、行列の和・差・スカラーとの積、行列の積を求めることができる。3
逆行列の定義を理解し、2次の正方行列の逆行列を求めることができる。3
行列式の定義および性質を理解し、基本的な行列式の値を求めることができる。3
線形変換の定義を理解し、線形変換を表す行列を求めることができる。3
合成変換や逆変換を表す行列を求めることができる。3
平面内の回転に対応する線形変換を表す行列を求めることができる。3
簡単な場合について、関数の極限を求めることができる。3
微分係数の意味や、導関数の定義を理解し、導関数を求めることができる。3
積・商の導関数の公式を用いて、導関数を求めることがができる。3
合成関数の導関数を求めることができる。3
三角関数・指数関数・対数関数の導関数を求めることができる。3
逆三角関数を理解し、逆三角関数の導関数を求めることができる。3
関数の増減表を書いて、極値を求め、グラフの概形をかくことができる。2
極値を利用して、関数の最大値・最小値を求めることができる。3
簡単な場合について、関数の接線の方程式を求めることができる。3
2次の導関数を利用して、グラフの凹凸を調べることができる。3
関数の媒介変数表示を理解し、媒介変数を利用して、その導関数を求めることができる。3
不定積分の定義を理解し、簡単な不定積分を求めることができる。3
置換積分および部分積分を用いて、不定積分や定積分を求めることができる。3
定積分の定義と微積分の基本定理を理解し、簡単な定積分を求めることができる。3
分数関数・無理関数・三角関数・指数関数・対数関数の不定積分・定積分を求めることができる。3
簡単な場合について、曲線で囲まれた図形の面積を定積分で求めることができる。3
簡単な場合について、曲線の長さを定積分で求めることができる。3
簡単な場合について、立体の体積を定積分で求めることができる。3
2変数関数の定義域を理解し、不等式やグラフで表すことができる。3
合成関数の偏微分法を利用して、偏導関数を求めることができる。2
簡単な関数について、2次までの偏導関数を求めることができる。2
偏導関数を用いて、基本的な2変数関数の極値を求めることができる。2
2重積分の定義を理解し、簡単な2重積分を累次積分に直して求めることができる。3
極座標に変換することによって2重積分を求めることができる。3
2重積分を用いて、簡単な立体の体積を求めることができる。3
微分方程式の意味を理解し、簡単な変数分離形の微分方程式を解くことができる。3
簡単な1階線形微分方程式を解くことができる。3
定数係数2階斉次線形微分方程式を解くことができる。3
独立試行の確率、余事象の確率、確率の加法定理、排反事象の確率を理解し、簡単な場合について、確率を求めることができる。3
条件付き確率、確率の乗法定理、独立事象の確率を理解し、簡単な場合について確率を求めることができる。3
1次元のデータを整理して、平均・分散・標準偏差を求めることができる。3
2次元のデータを整理して散布図を作成し、相関係数・回帰直線を求めることができる。3
簡単な1変数関数の局所的な1次近似式を求めることができる。3
1変数関数のテイラー展開を理解し、基本的な関数のマクローリン展開を求めることができる。3
オイラーの公式を用いて、複素数変数の指数関数の簡単な計算ができる。3
自然科学化学(一般)化学(一般)代表的な金属やプラスチックなど有機材料について、その性質、用途、また、その再利用など生活とのかかわりについて説明できる。3
物質が原子からできていることを説明できる。3
単体と化合物がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。3
同素体がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。3
純物質と混合物の区別が説明できる。3
物質を構成する分子・原子が常に運動していることが説明できる。3
原子の構造(原子核・陽子・中性子・電子)や原子番号、質量数を説明できる。3
同位体について説明できる。3
放射性同位体とその代表的な用途について説明できる。3
原子の電子配置について電子殻を用い書き表すことができる。3
価電子の働きについて説明できる。3
原子のイオン化について説明できる。3
原子番号から価電子の数を見積もることができ、価電子から原子の性質について考えることができる。3
元素の性質を周期表(周期と族)と周期律から考えることができる。3
イオン結合について説明できる。3
イオン結合性物質の性質を説明できる。3
イオン性結晶がどのようなものか説明できる。3
共有結合について説明できる。3
構造式や電子式により分子を書き表すことができる。3
自由電子と金属結合がどのようなものか説明できる。3
金属の性質を説明できる。3
原子の相対質量が説明できる。3
天然に存在する原子が同位体の混合物であり、その相対質量の平均値として原子量を用いることを説明できる。2
アボガドロ定数を理解し、物質量(mol)を用い物質の量を表すことができる。2
分子量・式量がどのような意味をもつか説明できる。2
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電子回路ダイオードの特徴を説明できる。4
バイポーラトランジスタの特徴と等価回路を説明できる。3
利得、周波数帯域、入力・出力インピーダンス等の増幅回路の基礎事項を説明できる。4
トランジスタ増幅器のバイアス供給方法を説明できる。4
演算増幅器の特性を説明できる。4
演算増幅器を用いた基本的な回路の動作を説明できる。4
電子工学電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。4
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。4
原子の構造を説明できる。4
パウリの排他律を理解し、原子の電子配置を説明できる。4
結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。4
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。4
真性半導体と不純物半導体を説明できる。4
半導体のエネルギーバンド図を説明できる。4
pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。4
バイポーラトランジスタの構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてバイポーラトランジスタの静特性を説明できる。4
電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。4

評価割合

試験レポート相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80200000100
基礎的能力80200000100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000