計算機工学II

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 計算機工学II
科目番号 CI1304 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 制御情報システム工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 プリント
担当教員 嶋田 泰幸

到達目標

1. 計算機における2進数の乗除の仕組みを理解する
2. 計算機における2進数の浮動小数点数の加減乗除の仕組みを理解する
3. 仕様を満たす順序回路を設計できる
4. 資料を基にディジタルICを用いた回路を設計できるようになる
5. プログラム内蔵方式のコンピュータの動作原理や,アセンブリ言語と機械語の関係について理解する
6. 実在するマイクロコンピュータについて、アセンブリ言語やC言語を用いて周辺機器を操作するプログラムを作成する

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1計算機における2進数の乗除の仕組みについて、適切な例を挙げて計算の過程を解説できる。計算機における2進数の乗除の仕組みについて、計算問題を解くことができる。計算機における2進数の乗除の仕組みについて、計算問題を解くことができない。
評価項目2計算機における2進数の浮動小数点数の加減乗除の仕組みについて、適切な例を挙げて計算の過程を解説できる。計算機における2進数の浮動小数点数の加減乗除の仕組みについて、計算問題を解くことができる。計算機における2進数の浮動小数点数の加減乗除の仕組みについて、計算問題を解くことができない。
評価項目3仕様から状態遷移図、状態遷移表を作成し、順序回路を設計できる。示された状態遷移図、状態遷移表から順序回路を設計できる。状態遷移図や状態遷移表を示しても順序回路を設計できない。
評価項目4資料を基にディジタルICを用いた回路設計ができ、自在に拡張することができる。資料を基にディジタルICを用いた回路設計ができる。資料を見てもディジタルICを用いた回路設計ができない。
評価項目5プログラム内蔵方式のコンピュータの動作原理や、アセンブリ言語と機械語の関係について説明することができ、アセンブリ言語で記述された複雑なプログラムを正確に解析できる。プログラム内蔵方式のコンピュータの動作原理や、アセンブリ言語と機械語の関係について説明することができ、アセンブリ言語で記述された基本的なプログラムを正確に解析できる。プログラム内蔵方式のコンピュータの動作原理や,アセンブリ言語と機械語の関係について説明できない。
評価項目6実在するマイクロコンピュータについて、任意の周辺機器を操作するプログラムを作成できる。実在するマイクロコンピュータについて、サンプルプログラムと同じ周辺機器を操作するプログラムを作成できる。実在するマイクロコンピュータについて、周辺機器を操作するプログラムを作成できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
コンピュータ(計算機)の仕組みを理解し、活用するための技術を培う科目である。計算機における2進数の乗除、2進数の浮動小数点数の加減乗除を計算する仕組みについて解説し、それらの仕組みを実現するための論理回路や順序回路を設計する技術を培う。また、モデルコンピュータのシミュレータを用いてアセンブリ言語と機械語の対応付けを理解することで、RTLレベル(レジスタ転送レベル)の動作を解説し、モジュール内部の解説から計算機の解説へと発展する。最終的には実在するマイクロコンピュータの周辺機器を操作するプログラムをアセンブリ言語やC言語を用いて作成することに取り組む。
授業の進め方・方法:
授業中の冒頭に要点について講義を行い、大半を演習時間とする。事前に資料を確認し、予習しておくことが望ましい。
各単元が終了するごとにクイズを実施し,その評価を成績に反映する.
注意点:
規定授業時数: 60時間

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス 授業内容や心得、評価方法について理解する。前年度に学習した論理回路設計、順序回路設計の理解度を確認する。
2週 有限オートマトン 仕様を基に順序回路を設計できる。
3週 有限オートマトンの応用 オートマトンの応用例として暗号検出回路を設計できる
4週 論理回路・順序回路の動作解析 論理回路や順序回路のタイミングチャートを作成できる。
5週 回路の動作解析 エッジトリガやマスタースレーブなど、入力と出力の変化のタイミングに関する工夫の仕組みを考慮してタイミングチャートを作成できる。
6週 2進数の乗算 2進数の乗算アルゴリズムを説明できる。
7週 2進数の除算 2進数の除算アルゴリズムを説明できる。
8週 前期中間のまとめ 前期中間までに学習した内容を実践できる。
2ndQ
9週 2進数の浮動小数点形式 任意の10進数実数と2進数の浮動小数点数の相互変換ができる。
10週 浮動小数点形式の加減乗除 2進数の浮動小数点数の加減乗除ができる。
11週 ディジタルICを用いた回路製作実習 説明書を読んでICトレーナー上に回路を製作できる。
12週 ディジタルICの種類と特性 ディジタルICについて概要とTTLの特性を説明できる。
13週 CMOSの特性とインタフェース CMOSの特性や、TTLとCMOSを混在して利用する場合に気をつけるべき点を説明できる。
14週 前期総合演習 前期で学んだ事項に関する演習を完遂できる.
15週 前期まとめ 前期で学んだ事項に関するクイズが解ける.
16週
後期
3rdQ
1週 計算機内部の命令実行の仕組み モデルコンピュータシミュレータを利用して命令実行のプロセスを解析できる。
2週 命令の語長とプログラムのトレース モデルコンピュータシミュレータを利用して命令実行のプロセスを解析できる。
3週 比較命令と分岐命令 モデルコンピュータシミュレータを利用して命令実行のプロセスを解析できる。。
4週 繰り返し処理 モデルコンピュータシミュレータを利用して命令実行のプロセスを解析できる。
5週 指標レジスタを用いたメモリアクセス モデルコンピュータシミュレータを利用して命令実行のプロセスを解析できる。
6週 サブルーチンとリターン モデルコンピュータシミュレータを利用して命令実行のプロセスを解析できる。
7週 後期中間まとめ 後期中間までに学習した内容を実践できる。
8週 マイクロコンピュータの基礎(仕様) 講義で使用するマイクロコンピュータ(マイコン)の仕様を確認し特徴を理解する。
4thQ
9週 マイクロコンピュータの基礎(ディジタルI/O) マイコンのI/Oポートの出力を利用してLEDの点滅やスイッチの読み取りを行う
10週 マイクロコンピュータの基礎(ディジタルI/O) マイコンのI/Oポートの構造について解説を行い、レジスタに書き込んだ値と出力ピンの電圧変化の関係を理解する。
11週 マイクロコンピュータの基礎(ディジタルI/O) スイッチとLEDを組み合わせて、任意の点灯パターンをスイッチで切り替える仕組みを構築する。
12週 マイクロコンピュータの基礎(D/Aコンバータ) マイコンのD/Aコンバータを利用して任意のアナログ電圧を出力する
13週 マイクロコンピュータの基礎(A/Dコンバータ) マイコンのA/Dコンバータを利用してアナログ電圧を読み取る。
14週 マイクロコンピュータの基礎(演習) サンプルプログラムを改造し、独自のプログラムを作成する。
15週 後期期末まとめ 後期で学んだ事項に関するクイズが解ける.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学情報系分野計算機工学整数・小数をコンピュータのメモリ上でディジタル表現する方法を説明できる。3
基数が異なる数の間で相互に変換できる。3
基本的な論理演算を行うことができる。3
基本的な論理演算を組合わせて、論理関数を論理式として表現できる。3
論理式の簡単化の概念を説明できる。3
論理ゲートを用いて論理式を組合せ論理回路として表現することができる。3
与えられた組合せ論理回路の機能を説明することができる。3
組合せ論理回路を設計することができる。3
フリップフロップなどの順序回路の基本素子について、その動作と特性を説明することができる。3
レジスタやカウンタなどの基本的な順序回路の動作について説明できる。3
与えられた順序回路の機能を説明することができる。3
順序回路を設計することができる。3
コンピュータを構成する基本的な要素の役割とこれらの間でのデータの流れを説明できる。2
プロセッサを実現するために考案された主要な技術を説明できる。2
メモリシステムを実現するために考案された主要な技術を説明できる。2
入出力を実現するために考案された主要な技術を説明できる。2
コンピュータアーキテクチャにおけるトレードオフについて説明できる。2
ハードウェア記述言語など標準的な手法を用いてハードウェアの設計、検証を行うことができる。2
分野別の工学実験・実習能力電気・電子系分野【実験・実習能力】電気・電子系【実験実習】論理回路の動作について実験結果を考察できる。3前6,前7
ディジタルICの使用方法を習得する。3前6,前7

評価割合

クイズレポート/演習合計
総合評価割合6040100
基礎的能力000
専門的能力6040100
分野横断的能力000