電子回路学II

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 電子回路学II
科目番号 CI405 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 制御情報システム工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材 坂本康正「電子回路 基礎から応用まで」共立出版株式会社
担当教員 西村 勇也

到達目標

1.交流信号と直流バイアスを重ね合わせるために定電圧電源や各種回路定数などが適切に接続できる。
2.増幅回路構造より抽出される電圧―電流の関係を解析処理し、回路各部の電圧電流値、抵抗値などを算出できる。
3.トランジスタの直流電圧―電流特性曲線から、交流信号の増幅作用を理解し、入出力波形を予測できる。
4.CR結合増幅回路などの基本動作機構、入出力特性を理解し、直流設計に必要な基礎知識を修得できる。
5.CR結合増幅回路などのhパラメータを理解し、等価回路から増幅度が算出できる。
6.負帰還増幅回路のhパラメータを理解し、等価回路から増幅度が算出できる。
7. バイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタの種類、構造と動作原理、静特性、等価回路などを理解できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
トランジスタの増幅回路(負荷線による解法)負荷線を用いたトランジスタの各種増幅回路の詳細な動作を解析することができる。負荷線を用いたトランジスタの各種増幅回路の動作を説明することができる。負荷線を用いたトランジスタの各種増幅回路の動作を説明することができない。
トランジスタの増幅回路(等価回路による解法)等価回路を用いたトランジスタの各種増幅回路の詳細な動作を解析することができる。等価回路を用いたトランジスタの各種増幅回路の動作を説明することができる。等価回路を用いたトランジスタの各種増幅回路の動作を説明することができない。
電界効果トランジスタの増幅回路(伝達特性による解法)伝達特性を用いた電界効果トランジスタの各種増幅回路の詳細な動作を解析することができる。伝達特性を用いた電界効果トランジスタの各種増幅回路の動作を説明することができる。伝達特性を用いた電界効果トランジスタの各種増幅回路の動作を説明することができない。
電界効果トランジスタの増幅回路(等価回路による解法)等価回路を用いた電界効果トランジスタの各種増幅回路の詳細な動作を解析することができる。等価回路を用いた電界効果トランジスタの各種増幅回路の動作を説明することができる。等価回路を用いた電界効果トランジスタの各種増幅回路の動作を説明することができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
最先端の高性能な電子・情報・通信機器には、増幅回路などの電子回路が組み込まれている。まず、増幅回路を実現するためのトランジスタの働きや増幅回路構造について述べ、増幅作用がいかに行われるかについて述べる。そして、各種の基本的、実用的な増幅回路の動作機構、入出力動作特性、直流設計などについて述べる。さらに、差動増幅回路、オペレーショナルICなどを利用した各種電子回路について、できる限り最新の技術内容を紹介する。
授業の進め方・方法:
中間・定期試験(80%)、自学学習用の電子回路演習問題の評価(20%)を総合し、CR結合増幅回路や差動増幅回路の動作解析と所望の仕様を実現できる直流設計手法、オペレーショナルICを用いた各種実用電子回路の動作機構に対する授業目標の達成の程度を評価し総合の60%以上で合格とする。演習レポートの提出期限は課題提示の際に示し、期限後に提出されたレポートの評価点は0点とする。
注意点:
3年次の「電子回路学」で学んだ電子素子の理解のもとに、本科目はあらゆる電子・情報機器の重要な基本構成要素である電子回路の実設計、製作する上での実用知識の基礎を取り扱っており、内容の修得は大変、有用である。
この科目では、調査活動やレポート作成などで年間に30時間の自学自習を課す。自学学習がスムーズに進められるように、授業時間ごとに授業で教える内容の演習課題を出題し、原則としてレポートを翌週の授業時間までに提出する。また、授業中に演習課題を説明し一部は取り組ませることもある。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
2週 増幅回路の直流バイアス ベースブリーダ形ベースバイアス法を理解し、バイアス温度安定化を解析できる。
3週 増幅回路の直流バイアス ベースブリーダ形ベースバイアス法を理解し、バイアス温度安定化を解析できる。
4週 増幅回路の直流バイアス ベースブリーダ形ベースバイアス法を理解し、バイアス温度安定化を解析できる。
5週 負荷線と交流動作量 静特性と負荷線との関係を解析でき、入出力直流特性理論と増幅利得など交流動作量の関係を算出できる。
6週 負荷線と交流動作量 静特性と負荷線との関係を解析でき、入出力直流特性理論と増幅利得など交流動作量の関係を算出できる。
7週 負荷線と交流動作量 静特性と負荷線との関係を解析でき、入出力直流特性理論と増幅利得など交流動作量の関係を算出できる。
8週 動作解析と直流設計 最大無歪み動作点の設計を理解し、所望の設計仕様を得るため各回路定数値を算出でき、電圧利得との関係が導出できる。
2ndQ
9週 動作解析と直流設計 最大無歪み動作点の設計を理解し、所望の設計仕様を得るため各回路定数値を算出でき、電圧利得との関係が導出できる。
10週 中間試験 前期前半に学習した問題を解くことができる。
11週 直接結合増幅回路 直接結合増幅回路やエミッタホロア回路の特徴と回路動作を理解し、直流設計を行うことができ、電圧利得が算出できる。
12週 直接結合増幅回路 直接結合増幅回路やエミッタホロア回路の特徴と回路動作を理解し、直流設計を行うことができ、電圧利得が算出できる。
13週 hパラメータによる等価回路 hパラメータによる等価回路を作成し、電圧利得が算出できる。
14週 hパラメータによる等価回路 hパラメータによる等価回路を作成し、電圧利得が算出できる。
15週 定期試験 前期後半に学習した問題を解くことができる。
16週 答案返却
後期
3rdQ
1週 負帰還増幅回路 負帰還増幅の原理と働き、特徴が説明でき、電圧利得、帰還率を算出でき、各種負帰還増幅回路例の動作解析ができる。
2週 負帰還増幅回路 負帰還増幅の原理と働き、特徴が説明でき、電圧利得、帰還率を算出でき、各種負帰還増幅回路例の動作解析ができる。
3週 負帰還増幅回路 負帰還増幅の原理と働き、特徴が説明でき、電圧利得、帰還率を算出でき、各種負帰還増幅回路例の動作解析ができる。
4週 負帰還増幅回路 負帰還増幅の原理と働き、特徴が説明でき、電圧利得、帰還率を算出でき、各種負帰還増幅回路例の動作解析ができる。
5週 負帰還増幅回路 hパラメータによる等価回路を作成し、電圧利得が算出できる。
6週 負帰還増幅回路 hパラメータによる等価回路を作成し、電圧利得が算出できる。
7週 トランジスタの周波数特性回路 周波数特性による異なるhパラメータが作成でき、電圧利得が計算できる。
8週 トランジスタの周波数特性回路 周波数特性による異なるhパラメータが作成でき、電圧利得が計算できる。
4thQ
9週 トランジスタの周波数特性回路 周波数特性による異なるhパラメータが作成でき、電圧利得が計算できる。
10週 中間試験 後期後半に学習した問題を解くことができる。
11週 電界効果トランジスタの増幅回路 接合型FETおよびMOS-FET増幅回路の特徴、回路構造、動作機構について理解し説明できる。
12週 電界効果トランジスタの増幅回路 接合型FETおよびMOS-FET増幅回路の特徴、回路構造、動作機構について理解し説明できる。
13週 電界効果トランジスタの増幅回路 接合型FETおよびMOS-FET増幅回路の特徴、回路構造、動作機構について理解し説明できる。
14週 電界効果トランジスタの増幅回路 接合型FETおよびMOS-FET増幅回路の特徴、回路構造、動作機構について理解し説明できる。
15週 定期試験 後期後半に学習した問題を解くことができる。
16週 定期試験答案返却

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学整式の加減乗除の計算や、式の展開ができる。3
因数定理等を利用して、4次までの簡単な整式の因数分解ができる。2
分数式の加減乗除の計算ができる。3
実数・絶対値の意味を理解し、絶対値の簡単な計算ができる。3
平方根の基本的な計算ができる(分母の有理化も含む)。3
複素数の相等を理解し、その加減乗除の計算ができる。3
解の公式等を利用して、2次方程式を解くことができる。3
因数定理等を利用して、基本的な高次方程式を解くことができる。3
簡単な連立方程式を解くことができる。3
無理方程式・分数方程式を解くことができる。3
1次不等式や2次不等式を解くことができる。3
恒等式と方程式の違いを区別できる。2
2次関数の性質を理解し、グラフをかくことができ、最大値・最小値を求めることができる。3
分数関数や無理関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3
簡単な場合について、関数の逆関数を求め、そのグラフをかくことができる。3
累乗根の意味を理解し、指数法則を拡張し、計算に利用することができる。3
指数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3
指数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3
対数の意味を理解し、対数を利用した計算ができる。3
対数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3
対数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3
角を弧度法で表現することができる。3
三角関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3
加法定理および加法定理から導出される公式等を使うことができる。3
三角関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3
三角比を理解し、簡単な場合について、三角比を求めることができる。3
一般角の三角関数の値を求めることができる。3
2点間の距離を求めることができる。3
内分点の座標を求めることができる。3
2つの直線の平行・垂直条件を利用して、直線の方程式を求めることができる。3
簡単な場合について、円の方程式を求めることができる。3
放物線、楕円、双曲線の図形的な性質の違いを区別できる。3
簡単な場合について、不等式の表す領域を求めたり領域を不等式で表すことができる。3
積の法則と和の法則を利用して、簡単な事象の場合の数を数えることができる。3
簡単な場合について、順列と組合せの計算ができる。3
不定形を含むいろいろな数列の極限を求めることができる。1
無限等比級数等の簡単な級数の収束・発散を調べ、その和を求めることができる。3
ベクトルの定義を理解し、ベクトルの基本的な計算(和・差・定数倍)ができ、大きさを求めることができる。3
平面および空間ベクトルの成分表示ができ、成分表示を利用して簡単な計算ができる。3
平面および空間ベクトルの内積を求めることができる。3
問題を解くために、ベクトルの平行・垂直条件を利用することができる。3
空間内の直線・平面・球の方程式を求めることができる(必要に応じてベクトル方程式も扱う)。3
行列の定義を理解し、行列の和・差・スカラーとの積、行列の積を求めることができる。3
逆行列の定義を理解し、2次の正方行列の逆行列を求めることができる。3
行列式の定義および性質を理解し、基本的な行列式の値を求めることができる。3
線形変換の定義を理解し、線形変換を表す行列を求めることができる。3
合成変換や逆変換を表す行列を求めることができる。3
平面内の回転に対応する線形変換を表す行列を求めることができる。3
簡単な場合について、関数の極限を求めることができる。3
微分係数の意味や、導関数の定義を理解し、導関数を求めることができる。3
積・商の導関数の公式を用いて、導関数を求めることがができる。3
合成関数の導関数を求めることができる。3
三角関数・指数関数・対数関数の導関数を求めることができる。3
逆三角関数を理解し、逆三角関数の導関数を求めることができる。3
関数の増減表を書いて、極値を求め、グラフの概形をかくことができる。2
極値を利用して、関数の最大値・最小値を求めることができる。2
簡単な場合について、関数の接線の方程式を求めることができる。3
2次の導関数を利用して、グラフの凹凸を調べることができる。3
関数の媒介変数表示を理解し、媒介変数を利用して、その導関数を求めることができる。2
不定積分の定義を理解し、簡単な不定積分を求めることができる。3
置換積分および部分積分を用いて、不定積分や定積分を求めることができる。3
定積分の定義と微積分の基本定理を理解し、簡単な定積分を求めることができる。3
分数関数・無理関数・三角関数・指数関数・対数関数の不定積分・定積分を求めることができる。3
2変数関数の定義域を理解し、不等式やグラフで表すことができる。3
合成関数の偏微分法を利用して、偏導関数を求めることができる。2
簡単な関数について、2次までの偏導関数を求めることができる。2
偏導関数を用いて、基本的な2変数関数の極値を求めることができる。2
2重積分の定義を理解し、簡単な2重積分を累次積分に直して求めることができる。1
極座標に変換することによって2重積分を求めることができる。1
2重積分を用いて、簡単な立体の体積を求めることができる。1
微分方程式の意味を理解し、簡単な変数分離形の微分方程式を解くことができる。3
簡単な1階線形微分方程式を解くことができる。3
定数係数2階斉次線形微分方程式を解くことができる。3
1次元のデータを整理して、平均・分散・標準偏差を求めることができる。3
2次元のデータを整理して散布図を作成し、相関係数・回帰直線を求めることができる。3
簡単な1変数関数の局所的な1次近似式を求めることができる。2
1変数関数のテイラー展開を理解し、基本的な関数のマクローリン展開を求めることができる。2
オイラーの公式を用いて、複素数変数の指数関数の簡単な計算ができる。3
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路電荷と電流、電圧を説明できる。4
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。4
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。4
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。4
ブリッジ回路を計算し、平衡条件を求められる。2
電力量と電力を説明し、これらを計算できる。2
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。4
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。4
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。4
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。4
瞬時値を用いて、交流回路の計算ができる。4
フェーザ表示を用いて、交流回路の計算ができる。4
インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。4
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。4
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。4
直列共振回路と並列共振回路の計算ができる。4
相互誘導を説明し、相互誘導回路の計算ができる。4
理想変成器を説明できる。4
交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。4
RL直列回路やRC直列回路等の単エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。2
RLC直列回路等の複エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。2
重ねの理を用いて、回路の計算ができる。4
網目電流法を用いて回路の計算ができる。4
節点電位法を用いて回路の計算ができる。4
テブナンの定理を回路の計算に用いることができる。4
電子回路ダイオードの特徴を説明できる。4
バイポーラトランジスタの特徴と等価回路を説明できる。4
FETの特徴と等価回路を説明できる。4
利得、周波数帯域、入力・出力インピーダンス等の増幅回路の基礎事項を説明できる。4
トランジスタ増幅器のバイアス供給方法を説明できる。4
演算増幅器の特性を説明できる。4
演算増幅器を用いた基本的な回路の動作を説明できる。4
発振回路の特性、動作原理を説明できる。4
変調・復調回路の特性、動作原理を説明できる。4
電子工学電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。4
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。4
原子の構造を説明できる。4
パウリの排他律を理解し、原子の電子配置を説明できる。4
結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。4
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。4
真性半導体と不純物半導体を説明できる。4
半導体のエネルギーバンド図を説明できる。4
pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。4
バイポーラトランジスタの構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてバイポーラトランジスタの静特性を説明できる。4
電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。4

評価割合

試験レポート相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80200000100
基礎的能力80200000100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000