線形システムの動特性を考慮したモデルベースでのフィードバック系設計システム理論のうち、特に伝達関数に基づく古典制御理論の基礎修得を目標とする。
1.動的システムの数式モデルとして多用される伝達関数モデルと状態空間モデルを理解し,微分方程式からそれらを得ることができる.
2.時間応答、周波数応答などの応答法の基礎を理解し,動特性を解析できる。さらに,システムの安定性解析をそれらの解析法に基づき行える.
3.比例(P)動作を基本とし,制御器構造に微分(D)動作と積分(I)動作を付加したPID制御器の各種設計方法について理解し,例題に適用できる.
4.基本補償器を用いて制御系の周波数特性を補償するループ補償の概念と補償器の設計ができる.
概要:
ラプラス変換を使ったシステムの取扱いから,周波数応答に基づくフィードバック制御系の解析・設計法に至るまで,自動制御に関する基本的なテーマを体系的に解説する.主に古典制御理論として知られる事項について解説することとし,2自由度制御および周波数依存型のモデル化誤差,過渡応答法,周波数応答法などのシステム応答解析とそれに基づく設計理論についても述べる.
授業の進め方・方法:
授業はFlipped Classroom 方式により実施する.すなわち,制御理論に関する理論解説はe-Learningシステムを用いた事前学習によることとし,授業においては協働学習形式での演習課題に取り組み理解を深めていく.
注意点:
授業前の事前学習を怠っていると認められる場合,授業での協働学習への参加を中止させ事前学習を個別に取り組ませる.
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス |
本講義の学習内容や目標、評価方法について理解する。
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2週 |
フィードバック制御の概念(1)
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自動制御の定義と種類を説明できる。 フィードバック制御の概念と構成要素を説明できる。
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3週 |
フィードバック制御系の概念(2) 制御量の計測と制御誤差信号の生成 |
国際単位系の構成を理解し、SI単位およびSI接頭語を説明できる。 長さ、角度、形状、力、圧力、流量、粘度、温度、湿度、時間、回転数などの計測方法と計測機器を説明できる。
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4週 |
ラプラス変換の基礎(1) |
基本的な関数のラプラス変換と逆ラプラス変換を求めることができる。
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5週 |
ラプラス変換の基礎(2) ラプラス変換の諸性質 |
基本的な関数のラプラス変換と逆ラプラス変換を求めることができる。
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6週 |
ラプラス変換の基礎(3) 逆ラプラス変換 |
基本的な関数のラプラス変換と逆ラプラス変換を求めることができる。 ラプラス変換と逆ラプラス変換を用いて微分方程式を解くことができる。
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7週 |
ラプラス変換の基礎(4) 微分方程式を解く |
ラプラス変換と逆ラプラス変換を用いて微分方程式を解くことができる。
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8週 |
前期中間試験 |
2~7週までの学習内容を理解し説明できる。また、具体的な事例に対して適用して問題を解ける。
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2ndQ |
9週 |
前期中間試験答案返却 伝達関数とブロック線図 |
伝達関数を説明できる。伝達関数を用いたシステムの入出力表現ができる。ブロック線図を用いて制御系を表現できる。ブロック線図を用いたシステムの表現方法が理解できる。
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10週 |
過渡応答(1) インパルス応答とステップ応答 |
制御系の過渡特性について説明できる。 システムの過渡特性についてステップ応答を用いて説明できる。
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11週 |
過渡応答(2) 1次遅れ系の過渡応答 |
制御系の過渡特性について説明できる。 システムの過渡特性についてステップ応答を用いて説明できる。
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12週 |
過渡応答(3) 2次遅れ系の過渡応答 |
制御系の過渡特性について説明できる。 システムの過渡特性についてステップ応答を用いて説明できる。
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13週 |
制御系の安定性(1) 特性極と安定性の関係 |
制御系の安定性と特性極の関係性を説明できる。特性極から安定性を判別できる。
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14週 |
制御系の安定性(2) 安定判別法(ラウス法) |
ラウス法を用いて制御系の安定・不安定を判別できる。
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15週 |
制御系の安定性(3) 安定判別法(フルビッツ法) |
フルビッツ法を用いて制御系の安定性を判別できる。
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16週 |
前期期末試験
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9から15週までの学習内容を理解し説明できる。また、具体的な事例に対して適用して問題を解ける。
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後期 |
3rdQ |
1週 |
前期期末試験答案返却 周波数応答法(1) 周波数伝達関数と周波数応答 |
周波数伝達関数に基づいてシステムの周波数応答について説明できる。
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2週 |
周波数応答法(2) ベクトル軌跡 |
システムの周波数応答をベクトル軌跡に基づいて分析し説明できる。
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3週 |
周波数応答(3) ボード線図 |
システムの周波数応答をボード線図に基づいて分析し説明できる。
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4週 |
周波数応答に基づく安定性解析 ナイキスト法 |
制御系の安定性をナイキスト法を用いて判別できる。
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5週 |
周波数応答に基づく安定性解析 ゲイン余裕と位相余裕 |
システムの安定度をゲイン余裕、位相余裕から判定できる。
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6週 |
制御系の定常特性(1) 定常偏差 |
制御システムの定常特性を定常偏差を用いて説明できる。
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7週 |
制御系の定常特性(2) 制御系の型 |
制御システムの定常特性と制御系の型との関係性を説明できる。
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8週 |
後期中間試験 |
後期第1週~7週の学習内容を理解し説明できる。また、具体的な事例に対して適用して問題を解ける。
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4thQ |
9週 |
後期中間試験答案返却 制御系の設計法(1) 制御系の仕様 |
制御系の設計仕様を与える指標値について説明できる。
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10週 |
制御系の設計法(2) 位相進み補償 |
位相進み補償器をボード線図を用いて設計できる。
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11週 |
制御系の設計法(3) 位相遅れ補償 |
位相遅れ補償器をボード線図を用いて設計できる。
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12週 |
制御系の設計法(4) 位相進み遅れ補償 |
位相進み遅れ補償器をボード線図を用いて設計できる。
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13週 |
制御系の設計法(5) 根軌跡法 |
根軌跡法を用いてフィードバック制御器の設計ができる。
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14週 |
制御系の設計法(6) PID制御系の設計 |
ジーグラニコラスのステップ応答法を用いてPID制御器を設計できる。
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15週 |
制御系の設計法(7) PID制御系の設計演習 |
ジーグラニコラスの限界感度法を用いてPID制御器を設計できる。
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16週 |
後期期末試験 |
後期第9週~第15週の学習内容を理解し、具体的な設計課題
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 電気・電子系分野 | 電気回路 | 電荷と電流、電圧を説明できる。 | 3 | |
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。 | 3 | |
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。 | 3 | |
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。 | 3 | |
ブリッジ回路を計算し、平衡条件を求められる。 | 3 | |
電力量と電力を説明し、これらを計算できる。 | 3 | |
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。 | 2 | |
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。 | 2 | |
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。 | 1 | |
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。 | 3 | |
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。 | 3 | |
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。 | 3 | |
直列共振回路と並列共振回路の計算ができる。 | 2 | |
相互誘導を説明し、相互誘導回路の計算ができる。 | 2 | |
理想変成器を説明できる。 | 2 | |
交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。 | 1 | |
RL直列回路やRC直列回路等の単エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。 | 2 | |
RLC直列回路等の複エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。 | 2 | |
計測 | 計測方法の分類(偏位法/零位法、直接測定/間接測定、アナログ計測/ディジタル計測)を説明できる。 | 1 | |
SI単位系における基本単位と組立単位について説明できる。 | 2 | |
指示計器について、その動作原理を理解し、電圧・電流測定に使用する方法を説明できる。 | 1 | |
A/D変換を用いたディジタル計器の原理について説明できる。 | 1 | |
電圧降下法による抵抗測定の原理を説明できる。 | 3 | |
ブリッジ回路を用いたインピーダンスの測定原理を説明できる。 | 3 | |
有効電力、無効電力、力率の測定原理とその方法を説明できる。 | 1 | |
電力量の測定原理を説明できる。 | 1 | |
制御 | 伝達関数を用いたシステムの入出力表現ができる。 | 2 | 前9 |
ブロック線図を用いてシステムを表現することができる。 | 2 | 前9 |
システムの過渡特性について、ステップ応答を用いて説明できる。 | 2 | 前10,前11,前12 |
システムの定常特性について、定常偏差を用いて説明できる。 | 2 | 後6,後7 |
システムの周波数特性について、ボード線図を用いて説明できる。 | 2 | 後3 |
フィードバックシステムの安定判別法について説明できる。 | 2 | 前13,後4,後5 |