到達目標
線形システムの動特性を考慮したモデルベースでのフィードバック系設計システム理論のうち、特に伝達関数に基づく古典制御理論の基礎修得を目標とする。
1.動的システムの数式モデルとして多用される伝達関数モデルと状態空間モデルを理解し,微分方程式からそれらを得ることができる.
2.時間応答、周波数応答などの応答法の基礎を理解し,動特性を解析できる。さらに,システムの安定性解析をそれらの解析法に基づき行える.
3.比例(P)動作を基本とし,制御器構造に微分(D)動作と積分(I)動作を付加したPID制御器の各種設計方法について理解し,例題に適用できる.
4.基本補償器を用いて制御系の周波数特性を補償するループ補償の概念と補償器の設計ができる.
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
制御工学で用いる数学的基礎知識の修得 | ラプラス変換の諸性質を応用して,複合的な時間関数のラプラス変換およびラプラス逆変換を行うことができ,高次の線形微分方程式の解を導出できる。 | ラプラス変換の諸性質を応用して,基本的なステップ信号・ランプ信号などの時間関数のラプラス変換や低次有理関数の逆ラプラス変換が行えるとともに,線形微分方程式の解を導出できる。 | ラプラス変換の定義や諸性質の理解が不十分で,低次関数のラプラス変換・逆ラプラス変換を正確に求めることができず,低次の線形微分方程式の解さえも導出できない。 |
伝達関数に基づくシステムの時間応答とシステムの図的表現 | システムの伝達関数表現を正確に求め,複合的な信号に対して時間応答を調べ,伝達関数の構造(極や零点,システム次数)および係数パラメータと応答の特徴に関する対応関係を説明できる。また,複雑系のブロック線図を正確に表現したり簡単化を行える。 | システムの伝達関数表現を正確に求めることができ,基本的な信号に対する時間応答を求めることができる。また,1次遅れ系や2次遅れ系のパラメータと時間応答との対応関係を説明できる。また数個のサブシステムを含む系のブロック線図表現を正確に描けるほか,その簡単化を行える。 | システムの伝達関数表現を低次の微分方程式表現から正確に求めることができない。また,低次の伝達関数系のステップ応答,ランプ応答などの基本応答を正確に求めることができない。また,数個のサブシステムのブロック線図表現を簡単化できない。 |
周波数応答解析 | 高次システムの周波数応答をベクトル軌跡およびボード線図を用いて正確に解析できる。 | 3次以下の低次システムの周波数応答をベクトル軌跡およびボード線図を用いて正確に解析できる。 | 2次以下のシステムの周波数応答(ベクトル軌跡およびボード線図)を求めることができない。 |
システムの安定性解析と制御系の設計の基礎 | 複雑な系の安定性を時間応答,周波数応答のいずれでも正確に解析し,安定度を分析できる。また,指定された設計仕様を満たす制御系を設計できる。 | 1軸モータ系のPID制御を想定した低次の制御系について,時間応答,周波数応答のいずれでも正確に解析し,安定度を分析できる。また,そのクラスの制御系を設計仕様に従い設計できる。 | 低次の簡素な制御系であるにも関わらず安定性を時間応答,周波数応答のいずれかあるいは両方において正確に解析することができない。安定性を確保した制御系設計ができない。 |
学科の到達目標項目との関係
本科(準学士課程)での学習・教育到達目標 3-2
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本科(準学士課程)での学習・教育到達目標 3-3
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教育方法等
概要:
ラプラス変換を使ったシステムの取扱いから,周波数応答に基づくフィードバック制御系の解析・設計法に至るまで,自動制御に関する基本的なテーマを体系的に解説する.主に古典制御理論として知られる事項について解説することとし,2自由度制御および周波数依存型のモデル化誤差,過渡応答法,周波数応答法などのシステム応答解析とそれに基づく設計理論についても述べる.
授業の進め方・方法:
授業はFlipped Classroom 方式により実施する.すなわち,制御理論に関する理論解説はe-Learningシステムを用いた事前学習によることとし,授業においては協働学習形式での演習課題に取り組み理解を深めていく.
注意点:
授業前の事前学習を怠っていると認められる場合,授業での協働学習への参加を中止させ事前学習を個別に取り組ませる.
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス |
本講義の学習内容や目標、評価方法について理解する。
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2週 |
フィードバック制御の概念(1)
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自動制御の定義と種類を説明できる。 フィードバック制御の概念と構成要素を説明できる。
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3週 |
フィードバック制御系の概念(2) 制御量の計測と制御誤差信号の生成 |
国際単位系の構成を理解し、SI単位およびSI接頭語を説明できる。 長さ、角度、形状、力、圧力、流量、粘度、温度、湿度、時間、回転数などの計測方法と計測機器を説明できる。
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4週 |
ラプラス変換の基礎(1) |
基本的な関数のラプラス変換と逆ラプラス変換を求めることができる。
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5週 |
ラプラス変換の基礎(2) ラプラス変換の諸性質 |
基本的な関数のラプラス変換と逆ラプラス変換を求めることができる。
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6週 |
ラプラス変換の基礎(3) 逆ラプラス変換 |
基本的な関数のラプラス変換と逆ラプラス変換を求めることができる。 ラプラス変換と逆ラプラス変換を用いて微分方程式を解くことができる。
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7週 |
ラプラス変換の基礎(4) 微分方程式を解く |
ラプラス変換と逆ラプラス変換を用いて微分方程式を解くことができる。
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8週 |
前期中間試験 |
2~7週までの学習内容を理解し説明できる。また、具体的な事例に対して適用して問題を解ける。
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2ndQ |
9週 |
伝達関数とブロック線図 |
伝達関数を説明できる。伝達関数を用いたシステムの入出力表現ができる。ブロック線図を用いて制御系を表現できる。ブロック線図を用いたシステムの表現方法が理解できる。
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10週 |
過渡応答(1) インパルス応答とステップ応答 |
制御系の過渡特性について説明できる。 システムの過渡特性についてステップ応答を用いて説明できる。
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11週 |
過渡応答(2) 1次遅れ系の過渡応答 |
制御系の過渡特性について説明できる。 システムの過渡特性についてステップ応答を用いて説明できる。
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12週 |
過渡応答(3) 2次遅れ系の過渡応答 |
制御系の過渡特性について説明できる。 システムの過渡特性についてステップ応答を用いて説明できる。
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13週 |
制御系の安定性(1) 特性極と安定性の関係 |
制御系の安定性と特性極の関係性を説明できる。特性極から安定性を判別できる。
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14週 |
制御系の安定性(2) 安定判別法(ラウス法) |
ラウス法を用いて制御系の安定・不安定を判別できる。
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15週 |
制御系の安定性(3) 安定判別法(フルビッツ法) |
フルビッツ法を用いて制御系の安定性を判別できる。
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16週 |
前期期末試験
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9から15週までの学習内容を理解し説明できる。また、具体的な事例に対して適用して問題を解ける。
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後期 |
3rdQ |
1週 |
周波数応答法(1) 周波数伝達関数と周波数応答 |
周波数伝達関数に基づいてシステムの周波数応答について説明できる。
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2週 |
周波数応答法(2) ベクトル軌跡 |
システムの周波数応答をベクトル軌跡に基づいて分析し説明できる。
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3週 |
周波数応答(3) ボード線図 |
システムの周波数応答をボード線図に基づいて分析し説明できる。
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4週 |
周波数応答に基づく安定性解析 ナイキスト法 |
制御系の安定性をナイキスト法を用いて判別できる。
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5週 |
周波数応答に基づく安定性解析 ゲイン余裕と位相余裕 |
システムの安定度をゲイン余裕、位相余裕から判定できる。
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6週 |
制御系の定常特性(1) 定常偏差 |
制御システムの定常特性を定常偏差を用いて説明できる。
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7週 |
制御系の定常特性(2) 制御系の型 |
制御システムの定常特性と制御系の型との関係性を説明できる。
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8週 |
後期中間試験 |
後期第1週~7週の学習内容を理解し説明できる。また、具体的な事例に対して適用して問題を解ける。
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4thQ |
9週 |
制御系の設計法(1) 制御系の仕様 |
制御系の設計仕様を与える指標値について説明できる。
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10週 |
制御系の設計法(2) 位相進み補償 |
位相進み補償器をボード線図を用いて設計できる。
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11週 |
制御系の設計法(3) 位相遅れ補償 |
位相遅れ補償器をボード線図を用いて設計できる。
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12週 |
制御系の設計法(4) 位相進み遅れ補償 |
位相進み遅れ補償器をボード線図を用いて設計できる。
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13週 |
制御系の設計法(5) 根軌跡法 |
根軌跡法を用いてフィードバック制御器の設計ができる。
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14週 |
制御系の設計法(6) PID制御系の設計 |
ジーグラニコラスのステップ応答法を用いてPID制御器を設計できる。
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15週 |
制御系の設計法(7) PID制御系の設計演習 |
ジーグラニコラスの限界感度法を用いてPID制御器を設計できる。
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16週 |
後期期末試験 |
後期第9週~第15週の学習内容を理解し、具体的な設計課題
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 電気・電子系分野 | 制御 | 伝達関数を用いたシステムの入出力表現ができる。 | 2 | 前9 |
ブロック線図を用いてシステムを表現することができる。 | 2 | 前9 |
システムの過渡特性について、ステップ応答を用いて説明できる。 | 2 | 前10,前11,前12 |
システムの定常特性について、定常偏差を用いて説明できる。 | 2 | 後6,後7 |
システムの周波数特性について、ボード線図を用いて説明できる。 | 2 | 後3 |
フィードバックシステムの安定判別法について説明できる。 | 2 | 前13,後4,後5 |
評価割合
| 試験 | レポート | 相互評価 | 合計 |
総合評価割合 | 70 | 20 | 10 | 100 |
基礎的能力 | 40 | 10 | 5 | 55 |
専門的能力 | 30 | 10 | 5 | 45 |