音響工学

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 平成28年度 (2016年度)
授業科目 音響工学
科目番号 0013 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 制御情報システム工学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材 前期:プリント使用   後期:プリント使用
担当教員 中島 栄俊,西村 勇也

到達目標

1.音声・音響信号の表現方法について理解することができる
2.音声・音響信号の基本的な変換が理解でき、そのシミュレーションを行うことができる
3.信号解析の基礎である時間周波数変換が理解でき、必要に応じてそれらを使うことができる
4.逆フィルタ、適応フィルタ等、各種ディジタルフィルタを使い、音(音場)を制御できる
5.音響信号を測定・解析し、その特徴を捉えることができる
6.波動方程式による音響理論を理解することができる
7.一次元および二次元の波動の速度を求めることができる
8.一次元および二次元の波動のエネルギーを求めることができる
9.音波について理解し、音波伝搬の理論を理解することができる
10.定在波と固有振動を理解し、一次元及び二次元の固有振動を解くことができる

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
音声・音響信号のAD変換、量子化音声・音響信号のAD変換、量子化等の基礎について理解できる。また音声信号の特徴を理解し説明することができる。PCM,ΔΣ変換など各種サンプリング手法とその特徴、ならびにその等価回路を理解することができる音声・音響信号のAD変換、量子化等の基礎について理解できる。またサンプリング手法による量子化誤差の違いについて理解することができる。音声・音響信号のAD変換、量子化等の基礎について理解できない。PCM,ΔΣ変換など各種サンプリング手法とその特徴、ならびにその等価回路を理解することができない。
多次元空間ベクトル音響信号を多次元空間ベクトルと捉えることができる。N次元空間における直交変換を理解し、信号のベクトル射影について理解できる。また同ベクトル射影が最小二乗解となることを理解できる。FFT等の直交変換をPC上でプログラミングできる。N次元空間における直交変換を理解し、信号のベクトル射影について理解できる。FFT等の直交変換をPC上でプログラミングできる。N次元空間における直交変換を理解し、信号のベクトル射影について理解できない。
LMS適応フィルタ無響室内において、TSP信号によりインパルス応答を測定し、同期加算によりその精度を上げることができる。LMS適応フィルタを用いて伝達関数をリアルタイムに測定・推定することができる。コンピュータ上でTSP信号を用いたインパルス応答測定シミュレーションを行うことができる。また同期加算によりその精度を上げることができる。コンピュータシミュレーションによりLMS適応フィルタを用いた伝達関数を推定することができる。TSP信号を作成できない。LMSを用いた適応フィルタを理解できない。
波動方程式波動方程式による音響理論を理解することができる波動方程式による音響理論の基礎を理解することができる波動方程式による音響理論の基礎を理解することができない
音波の伝搬音波伝搬の理論を理解することができる音波伝搬の基礎理論を理解することができる音波伝搬の基礎理論を理解することができない
定在波と固有振動定在波と固有振動を理解し、一次元及び二次元の固有振動を解くことができる定在波と固有振動を理解し、一次元の固有振動を解くことができる定在波と固有振動を理解し、一次元の固有振動を解くことができない

学科の到達目標項目との関係

本科(準学士課程)での学習・教育到達目標 3-1 説明 閉じる
本科(準学士課程)での学習・教育到達目標 3-2 説明 閉じる
本科(準学士課程)での学習・教育到達目標 3-3 説明 閉じる

教育方法等

概要:
本講義ではマルチメディア分野の観点から人と人、人とコンピュータ間の快適なインターフェースを構築する音声・音響技術についての基礎的な解説を行う。急速に発展するマルチメディア分野における音声・音響技術では携帯電話やMP3等に代表されるマルチメディア符号化技術、ハウリングキャンエラー、バーチャルリアリティ等で核となる音場制御、バイノーラルシミュレーション、カーナビ等で用いられる音声認識、雑音除去技術が重要とされるが、それらの基礎となる諸変換、特徴抽出、およびフィルタリングに関して解説する.
また、音波伝搬の基礎となる波動方程式を解説し、日常の音響現象を理論的に解析する手法を解説する。
授業の進め方・方法:
前期:スライドを用いた講義を行い、必要に応じてPCを用いたシミュレーションを実施する。また、課題として、シミュレーション結果の提出を求める。
後期:自作プリント及びスライドを用いた講義を行う。
注意点:
本科目は4年次選択科目「信号処理」と関連があり、同科目を受講しておくことが望ましい。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス・音声・音響信号の表現(1) 本授業のガイダンスを行う。音声・音響信号のAD変換、量子化等の基礎について理解できる。また音声信号の特徴を理解し説明することができる。
2週 音声・音響信号の表現(1) 同上
3週 音声・音響信号の表現(2) 同上
4週 音声・音響符号化(1) PCM,ΔΣ変換など各種サンプリング手法とその特徴、ならびにその等価回路を理解することができる
5週 音声・音響符号化(2) 同上
6週 音声・音響符号化(3) 同上
7週 直交変換と時間周波数変換(1) 音響信号を多次元空間ベクトルと捉えることができる。
N次元空間における直交変換を理解し、信号のベクトル射影について理解できる。また同ベクトル射影が最小二乗解となることを理解できる。
8週 直交変換と時間周波数変換(2) 同上
2ndQ
9週 窓関数 窓関数の使い方について説明できる。
窓関数とそのスペクトルの特徴について説明できる。また、窓関数による信号の歪みについて説明できる。
10週 線形システムと逆フィルタ、適応フィルタ(1) 音響システムにおける線形システムを理解できる。
逆フィルタの安定性について理解できる。
最小二乗法による安定した逆フィルタを求めることができる。
適応フィルタについて理解できる
11週 線形システムと逆フィルタ、適応フィルタ(2) 同上
12週 線形システムと逆フィルタ、適応フィルタ(3) 同上
13週 音響測定(インパルス応答測定、適応フィルタによる伝達特性の推定、逆フィルタの性能評価)(1) 無響室内において、インパルス応答を測定し、同期加算によりその精度を上げることができる。適応フィルタを用いて伝達関数を測定することができる。
14週 音響測定(インパルス応答測定、適応フィルタによる伝達特性の推定、逆フィルタの性能評価)(2) 同上
15週 音響測定(インパルス応答測定、適応フィルタによる伝達特性の推定、逆フィルタの性能評価)(3) 同上
16週 定期試験答案返却
後期
3rdQ
1週 ガイダンス・波動方程式 力学的波動の縦波、横浪を理解し音波伝搬理論を理解できる。
2週 波動方程式 力学的波動の縦波、横浪を理解し音波伝搬理論を理解できる。
3週 波動方程式 力学的波動の縦波、横浪を理解し音波伝搬理論を理解できる。
4週 波動方程式 各種媒体を伝わる波動の速さを理解できる。
5週 波動方程式 各種媒体を伝わる波動の速さを理解できる。
6週 波動方程式 各種媒体を伝わる力学的波動のエネルギーを理解できる。
7週 波動方程式 各種媒体を伝わる力学的波動のエネルギーを理解できる。
8週 波動方程式 各種媒体を伝わる力学的波動のエネルギーを理解できる。
4thQ
9週 音波の伝搬 音波の性質、特に可聴音周波数帯域の伝搬(屈折・回析など)を理解できる。
10週 音波の伝搬 音波の性質、特に可聴音周波数帯域の伝搬(屈折・回析など)を理解できる。
11週 音波の伝搬 音波の性質、特に可聴音周波数帯域の伝搬(屈折・回析など)を理解できる。
12週 定在波と固有振動 定在波と固有振動を理解でき、一次元・二次元・円形膜における音波伝搬の様子を理解できる。
13週 定在波と固有振動 定在波と固有振動を理解でき、一次元・二次元・円形膜における音波伝搬の様子を理解できる。
14週 定在波と固有振動 定在波と固有振動を理解でき、一次元・二次元・円形膜における音波伝搬の様子を理解できる。
15週 定在波と固有振動 定在波と固有振動を理解でき、一次元・二次元・円形膜における音波伝搬の様子を理解できる。
16週 定期試験返却

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学情報系分野プログラミングプログラミング言語は計算モデルによって分類されることを説明できる。2
主要な計算モデルを説明できる。2
要求仕様に従って、標準的な手法により実行効率を考慮したプログラムを設計できる。2

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオ課題・レポート合計
総合評価割合70000030100
基礎的能力0000000
専門的能力70000030100
分野横断的能力0000000