応用物理

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 応用物理
科目番号 CI402 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 制御情報システム工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材 小出 昭一郎 著 「物理学(三訂版)」裳華房
担当教員 福田 真

到達目標

1. ベクトル,微分,積分などを用いて古典力学に関わる基本的な量について説明できる
2. 相対性理論の視点から時空について説明ができるようになる
3. 熱力学の基本,特にエントロピーの概念を習得し,熱機関を理解する
4. 古典論と量子論の違いについて基本的事項を理解する

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1古典力学における諸量を微分の概念を用いて理解し,それらを正しく求めることができ,複雑な現象への応用ができる古典力学の基本的な量を計算でき,簡単な現象へ応用できる古典力学の基本的な量を計算できない
評価項目2特殊相対性理論を理解し,ニュートン力学との違いを明確に説明できる特殊相対性理論に関わる基本的な計算ができる特殊相対性理論の基本的な原理が理解できていない
評価項目3熱力学における基本原理,特に第二法則を正しく理解し,複雑な熱的現象の計算ができるようになる熱力学における理想気体の状態方程式やカルノーサイクル等の基本的事項を理解し,諸量を計算できるようになる熱力学における諸量を計算できない
評価項目4解析力学を介して量子論を正しく理解し,古典論との違いを明確に説明でき,それに関する各計算ができるようになる古典力学と量子論の違いについて基本的なことを理解する古典力学と量子論の違いがわからない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
最先端の科学技術を理解するには20世紀に生まれた相対性理論と量子論が必要である.そこでこの授業では古典物理学,相対性理論.熱力学,量子論について,基本的な現象やその応用例を取り上げて授業を行う.
授業の進め方・方法:
講義と演習を組み合わせて行う.講義前日までに予習を行い,次回の講義までに理解を深めるよう努力すること.特に微積分等の数学を用いたアプローチは科学的考察を行う上で非常に重要であり,関連の数学的事項はある程度予備知識として持っていることを前提とした講義を行う.
注意点:
本科目は90分の授業に対して放課後,家庭で90分程度の自学自習が求められる

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ベクトル解析 ベクトルに関する基本的演算を理解する
2週 運動方程式 速度,加速度を理解し,運動方程式を適切な条件下で解くことができる
3週 振動現象 保存力,ポテンシャルと力学的エネルギー保存の法則を理解する
4週 束縛運動 摩擦力の定義とそれを含む問題の解き方を理解する
5週 仕事とエネルギー(1) 保存力とポテンシャルを理解する
6週 仕事とエネルギー(2) 力学的エネルギー保存則とそれを用いた問題が解けるようになる
7週 万有引力と惑星の運動 ケプラーの法則を理解する
8週 ガリレイ変換と回転座標系 加速度系を理解し,コリオリ力を求めることができるようになる
2ndQ
9週 中間試験
10週 運動量と角運動量 運動量と角運動量の定義をおさえ,その保存則を理解する
11週 慣性モーメント 慣性モーメントの求めることができ,その意味を理解する
12週 剛体の運動 質点の力学との違いを理解し,代表的な剛体の問題を解けるようになる
13週 相対性理論(1) ローレンツ変換をもとにして,ニュートン力学との違いを理解する
14週 相対性理論(1) ローレンツ収縮等の相対論の結果を理解する
15週 定期試験
16週 答案返却
後期
3rdQ
1週 温度と状態方程式 温度の定義と理想気体の状態方程式を理解する
2週 熱力学第1法則 力学的エネルギー保存則との違いを理解する
3週 熱容量と比熱 固体の熱容量と比熱を理解し,求めることができるようになる
4週 カルノーサイクル 熱機械の役割とその特徴を理解する
5週 熱力学第2法則 熱的現象の特徴である熱力学第2法則を正しく理解する
6週 エントロピー 熱力学第2法則に必要なエントロピーの概念を理解する
7週 マックスウェルの関係式 熱的ポテンシャルをもとにエントロピーの計算を他の状態量から求める方法を理解する
8週 中間試験
4thQ
9週 解析力学(1) ラグラジアンの定義より,最少作用の原理とニュートンの運動方程式の等価性を理解する
10週 解析力学(2) オイラー・ラグランジュ方程式の具体的な応用を理解する
11週 解析力学(3) ハミルトニアンの定義を確認し,正準方程式を理解する
12週 古典力学の限界 固体の比熱問題や長岡・ラザフォード模型における問題点を理解する
13週 前期量子論 原子模型とボーアの量子論を理解する
14週 量子力学 シュレーディンガー方程式,固有値,波動関数の意味を理解する
15週 定期試験
16週 答案返却

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。2
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。2
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。2
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。2
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。2
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。2
鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。2
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。2
物体に作用する力を図示することができる。2
力の合成と分解をすることができる。2
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。2
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。2
慣性の法則について説明できる。2
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。2
運動方程式を用いた計算ができる。2
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。2
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。2
最大摩擦力に関する計算ができる。2
動摩擦力に関する計算ができる。2
仕事と仕事率に関する計算ができる。2
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。2
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。2
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。2
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。2
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。2
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。2
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。2
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。2
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。2
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。2
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる.2
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。2
力のモーメントを求めることができる。2
角運動量を求めることができる。2
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。2
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。2
重心に関する計算ができる。2
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。2
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。2
原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。2
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。2
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。2
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。2
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。2
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。2
気体の内部エネルギーについて説明できる。2
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。2
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。2
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。2
熱機関の熱効率に関する計算ができる。2
波動波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。2
横波と縦波の違いについて説明できる。2
波の重ね合わせの原理について説明できる。2
波の独立性について説明できる。2
2つの波が干渉するとき、互いに強めあう条件と弱めあう条件について計算できる。2
定常波の特徴(節、腹の振動のようすなど)を説明できる。2
ホイヘンスの原理について説明できる。2
波の反射の法則、屈折の法則、および回折について説明できる。2
弦の長さと弦を伝わる波の速さから、弦の固有振動数を求めることができる。2
気柱の長さと音速から、開管、閉管の固有振動数を求めることができる(開口端補正は考えない)。2
共振、共鳴現象について具体例を挙げることができる。2
一直線上の運動において、ドップラー効果による音の振動数変化を求めることができる。2
自然光と偏光の違いについて説明できる。2
光の反射角、屈折角に関する計算ができる。2
波長の違いによる分散現象によってスペクトルが生じることを説明できる。2
電気導体と不導体の違いについて、自由電子と関連させて説明できる。2
クーロンの法則を説明し、点電荷の間にはたらく静電気力を求めることができる。2
オームの法則から、電圧、電流、抵抗に関する計算ができる。2
抵抗を直列接続、及び並列接続したときの合成抵抗の値を求めることができる。2
ジュール熱や電力を求めることができる。2

評価割合

試験レポート合計
総合評価割合6040100
基礎的能力402060
専門的能力202040
分野横断的能力000