情報数学

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 情報数学
科目番号 HI1503 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 人間情報システム工学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材 寺田・中村他 「情報数学の基礎」 サイエンス社 、村上・日野・山本・石田 「統計ソフトRによる多次元データ処理入門」 日新出版、その他プリント配布
担当教員 山本 直樹

到達目標

1. 整数論の基礎を学習し、暗号との関連を理解し説明できる。
2. グラフ理論の基礎を学習し、ネットワークとの関連を理解し説明できる。
3. 待ち行列理論の基礎を学習し、情報ネットワークとの関連を理解し説明できる。
4. 多変量解析法の基礎を学習し、データマイニングとの関連を理解し説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
整数論・不定方程式、合同式、行列表現された合同式を正しく解くことができる。 ・mod Nの一次変換およびRSA暗号方式による暗号化・複号化が正しくできる。 ・フェルマーの小定理、暗号化方式をすべて説明できる。・不定方程式、合同式、行列表現された合同式を解くことができる。 ・mod Nの一次変換およびRSA暗号方式による暗号化・複号化できる。 ・フェルマーの小定理、暗号化方式を説明できる。・不定方程式、合同式、行列表現された合同式を解くことができない。 ・mod Nの一次変換およびRSA暗号方式による暗号化・複号化ができない。 ・フェルマーの小定理、暗号化方式を一部分しか説明できない。
グラフ理論・グラフおよび木の種類と性質をすべて説明できる。 ・隣接行列、グラフの可到達性、最小全域木を正しく求めることができる。 ・ダイクストラ法をすべて説明でき、最短経路問題を正しく解くことができる。・グラフおよび木の種類と性質を説明できる。 ・隣接行列、グラフの可到達性、最小全域木を求めることができる。 ・ダイクストラ法を説明でき、最短経路問題を解くことができる。・グラフおよび木の種類と性質を一部分しか説明できない。 ・隣接行列、グラフの可到達性、最小全域木を求めることができない。 ・ダイクストラ法を一部分しか説明できず、最短経路問題を解くことができない。
待ち行列理論・トラフィック量、呼量をすべて説明でき、これらを用いた計算が正しくできる。 ・待ち行列モデル、確率過程の基礎についてすべて説明でき、待時式モデルの性能評価が正しくできる。・トラフィック量、呼量を説明でき、これらを用いた計算ができる。 ・待ち行列モデル、確率過程の基礎について説明でき、待時式モデルの性能評価ができる。・トラフィック量、呼量を一部しか説明できず、これらを用いた計算ができない。 ・待ち行列モデル、確率過程の基礎について一部しか説明できず、待時式モデルの性能評価ができない。
多変量解析法・主成分分析の基礎についてすべて説明でき、2変量および3変量以上のデータの計算がR言語を利用して正しくできる。 ・主成分分析を利用したデータ分析の流れをすべて説明でき、小規模なデータ分析が的確にできる。・主成分分析の基礎について説明でき、2変量および3変量以上のデータの計算がR言語を利用してできる。 ・主成分分析を利用したデータ分析の流れを説明でき、小規模なデータ分析ができる。・主成分分析の基礎について一部分しか説明できず、2変量および3変量以上のデータの計算がR言語を利用してできない。 ・主成分分析を利用したデータ分析の流れを一部分しか説明できず、小規模なデータ分析もできない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
この授業では、ネットワークに関する理論の基礎およびデータに関する理論の基礎について実施していく。暗号、ネットワーク、データマイニングなどの実際の情報技術と関連付けながら、整数論、グラフ理論、待ち行列理論、多変量解析法などの基礎を学習する。
授業の進め方・方法:
本授業においては、内容の理解促進のために演習課題を課すが、放課後や家庭などでよく自学自習に取り組んで欲しい。多変量解析法によるデータマイニングでは、Rと呼ばれる計算ソフトを利用する。Rはフリーソフトであり、自宅のPCにインストールすれば、自宅で課題に取り組むことができる。Rの使い方に関してはインターネット上に多くアップされているので各自参考にすることができる。
注意点:
本科目は2単位科目であり、規定授業時数は60時間である。授業以外に30時間の自学自習時間が求められます。
評価は、評価割合にあるように、基本的には各学期で試験70%、レポート30%で行う。ただし、都合により試験が実施できない場合は、レポート、小テストなどで評価する。
年間総合評価が60点に満たない場合は、再提出したレポートや再評価試験にて評価する。再評価でも60点に満たない場合は単位を認定しない。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス、整数論(1) 整数の基本性質、ユークリッドの互除法、不定方程式
整数の基本性質、ユークリッドの互除法が理解でき、不定方程式を解くことができる。
2週 整数論(2) 合同式
合同式の定義が理解でき、同値律などの性質を証明できる。
3週 整数論(3) 一次合同式
一次合同式の解の存在する定理およびその解法が理解でき、一次合同式を解くことができる。
4週 整数論(4) フェルマーの小定理
フェルマーの小定理およびオイラーの関数が理解でき、この定理を利用した計算ができる。
5週 整数論(5) Nを法とする行列
この行列の定義および逆行列の計算方法を理解でき、逆行列が計算できる。
6週 整数論(6) 暗号方式、mod Nの一次変換
暗号方式を説明できる。mod Nの一次変換を理解でき、平文の暗号化に利用できる。
7週 整数論(7) RSA暗号
RSA暗号の作成方法を理解でき、平文の暗号化が出来る。RSA暗号の解読方法を理解でき、暗号文を解読できる。
8週 前期中間試験 整数論に関する試験を実施することにより、これらの範囲の内容について説明および計算ができる。
2ndQ
9週 グラフ理論(1) グラフの定義、同形、特別なグラフ グラフの定義、グラフの同形、グラフの種類について理解できる。グラフが定義でき、同形なグラフや制限グラフを求めることができる。
10週 グラフ理論(2) 2部グラフ、次数、グラフの連結、グラフの行列表現 グラフの定義、次数、グラフの連結、隣接行列について理解できる。グラフの次数、小道、閉路、隣接行列を求めることができる。
11週 グラフ理論(3) 頂点間の歩道数、頂点の可到達性 隣接行列を用いて頂点間の歩道の数を求めることができる。隣接行列を用いて頂点の可到達性を調べることができる。
12週 グラフ理論(4) 木、全域木 木の性質およびその種類を理解できる。全域木について理解でき、最小全域木を求めることができる。
13週 グラフ理論(5) 最短路問題、例題の実施 ダイクストラ法を理解でき、最短路問題を解くことができる。グラフ理論に関する例題を実施することにより、これまでの範囲の内容をより理解できる。
14週 グラフ理論(6) 例題の解説 グラフ理論(5)で実施された例題の解説を行い、理解できていなかったところを把握し、適切な解答を理解できる。
15週 前期期末試験
16週 答案返却 試験の結果から理解していなかったところを把握し、適切な解答を理解できる。
後期
3rdQ
1週 待ち行列理論(1) 呼量の概念 トラフィック量、呼量の定義について理解でき、それらを計算することができる。
2週 待ち行列理論(2) 呼量の測定、データの到着のモデル化 同時動作法の原理について理解でき、呼量を計算できる。ランダムにデータが到着する確率的なモデルを理解でき、データの到着に関する確率を計算することができる。
3週 待ち行列理論(3) データのサービスのモデル化 データがランダムな時間でサービスされる確率的なモデルを理解でき、データのサービスに関する確率を計算することができる。
4週 待ち行列理論(4) 待時式システム インターネットに代表される待時式システムの確率的なモデルを理解でき、このシステムの性能を評価するための遅延時間を計算できる。
5週 待ち行列理論(5) 待時式システム(2) このシステムの遅延確率および遅延時間をグラフを利用して計算する方法を理解でき、グラフを用いて遅延確率および遅延時間が計算できる。
6週 待ち行列理論(6) 例題の実施および解説 待ち行列理論に関する例題を実施することにより、これまでの範囲の内容をより理解できる。
7週 後期中間試験 待ち行列理論に関する試験を実施することにより、これらの範囲の内容について説明および計算ができる。
8週 多変量解析法(1) 主成分分析の概要 主成分分析の概要について理解できる。データマイニングツールの1つであるRを利用して、分散共分散行列の固有値および固有行列が計算ができる。
4thQ
9週 多変量解析法(2) 2変量データの主成分分析 2変量データの主成分分析について理解でき、Rを利用して主成分係数、寄与率、主成分得点などを計算できる。
10週 多変量解析法(3) 固有値分解、特異値分解の概要 固有値分解および特異値分解の概要について理解でき、これらをRを利用して計算できる。
11週 多変量解析法(4) 標準化されたデータの主成分分析 標準化されたデータの主成分分析について理解でき、Rを利用して主成分係数、寄与率、主成分得点などを計算できる。
12週 多変量解析法(5) データ分析(主成分の解釈、データの分類) 主成分分析によるデータ分析の流れを理解でき、Rを利用して、小規模なデータに主成分分析を適用して得られた計算結果からデータの解釈ができる。
13週 多変量解析法(6) 主成分分析の補足および例題の実施 主成分の計算に分散共分散行列や相関行列を用いる理由について理解できる。主成分分析に関する例題を実施することにより、これまでの範囲の内容をより理解できる。
14週 多変量解析法(7) 主成分分析のまとめ 合成変量の分散および分散共分散行列の固有値問題を導出できる。自分で探してきたデータに主成分分析を適用し、主成分の計算および解釈、主成分得点を用いた結果の視覚化ができる。
15週 後期期末試験
16週 答案返却 試験の結果から理解していなかったところを把握し、適切な解答を理解できる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学情報系分野情報数学・情報理論集合の間の関係(関数)に関する基本的な概念を説明できる。4前10

評価割合

試験レポート合計
総合評価割合7030100
基礎的能力000
専門的能力7030100
分野横断的能力000