信号処理

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 信号処理
科目番号 HI404 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 人間情報システム工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材 佐藤幸雄「信号処理入門」オーム社 森本義廣、村上純「基礎から応用までのラプラス変換・フーリエ解析」日新出版
担当教員 村上 純

到達目標

1.実フーリエ級数展開および複素フーリエ級数展開の意味と計算法を理解し、実際に計算ができる。
2.フーリエ変換について意味と計算法を理解し、実際に計算ができる。
3.フーリエ変換によるサンプリングされた信号の復元について理解でき、その原理を説明することができる。
4.離散フーリエ変換について、その意味と計算法が理解でき、実際に計算することができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
実フーリエ級数展開および複素フーリエ級数展開実フーリエ級数展開および複素フーリエ級数展開の考え方を理解し、与えられた問題に対しては、複雑な積分を含む場合についても、正確な答えを得ることができる。実フーリエ級数展開および複素フーリエ級数展開の考え方が理解でき、与えられた問題に対して、計算を行い、答えを得ることができる。実フーリエ級数展開および複素フーリエ級数展開の考え方が理解できず、与えられた問題に対しては、正しい答えを得ることができない。
フーリエ変換 フーリエ変換の考え方を理解し、与えられた問題に対しては、複雑な積分を含む場合についても、正確な答えを得ることができる。フーリエ変換の考え方が理解でき、与えられた問題に対して、計算を行い、答えを得ることができる。フーリエ変換の考え方が理解できず、与えられた問題に対しては、正しい答えを得ることができない。
フーリエ変換によるサンプリングされた信号の復元フーリエ変換の応用として、サンプリングされた信号の復元の原理を理解し、説明でき、与えられた計算問題の計算を行い、正確な答えを得ることができる。フーリエ変換の応用として、サンプリングされた信号の復元の原理を理解し、与えられた計算問題の計算を行い、答えを得ることができる。フーリエ変換の応用として、サンプリングされた信号の復元の原理が理解できず、与えられた計算問題に対しては、正しい答えを得ることができない。
離散フーリエ変換離散フーリエ変換の考え方を理解し、説明でき、与えられた問題に対しては、複雑な場合についても、正確な答えを得ることができる。 離散フーリエ変換の考え方が理解でき、与えられた問題に対して、計算を行い、答えを得ることができる。 離散フーリエ変換の考え方が理解できず、与えられた問題に対しては、正しい答えを得ることができるない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
 信号処理の入門として、信号の種類やその処理の例から始めて、離散信号を扱うための基本となるフーリエ級数展開、フーリエ変換までを前半で講述する。その際、ベクトル空間の基礎的な考え方が必要となるので、数学的な準備も行う。後半は、フーリエ級数展開とフーリエ変換の応用から始めて、離散信号のフーリエ変換(DFT)、高速フーリエ変換(FFT)まで講述する。
授業の進め方・方法:
 授業は座学を中心に行うが、計算問題の演習、パソコンを用いた演習も行う。授業内容にはベクトル、積分などの数学の基礎知識が必要であるため、これらを十分に復習して受講することが望ましい。自学学習は講義の復習および演習レポート作成の時間に充てるものとする。
 科目の位置付けは、これまで学んできた数学などの科目を基礎として応用に活かす科目であり、5年生での専門科目や卒業研究につながるものと考えられる。
 評価は、定期試験等筆記試験と演習レポートを総合して行い、6割以上の得点で合格とする。演習レポートの提出期限は課題提示と同時に示し、期限に遅れて提出されたレポートの評価点は0点とする。自学学習用に出された課題演習のレポートはレポート点として評価する。
注意点:
 デジタルオーディオなど、実際の社会で利用されている技術を学ぶ科目である。内容には式や計算が多く出てきますが、興味を持って取り組んでほしい。教科書や参考書をよく読み、説明をよく聞くこと、演習課題を自分で解き、理解することが大事である。パソコン演習では、実際の波形を表示させたりすることにより、理解と興味を深める。
 規定授業時数は60時間である。本科目はレポート課題作成等のため放課後・家庭で60時間の自学自習が求められる。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス 信号処理の意味や概念、信号の種類について理解し、この科目の全体の流れについて大まかにつかむ。
2週 信号処理の例1(波形の平滑化) 移動平均による波形の平滑化の考え方が理解でき、実際に処理ができる。
3週 信号処理の例2(雑音圧縮) 同期加算による雑音圧縮の考え方が理解できる。
4週 数学的準備1(信号のベクトルによる表現) 信号のベクトルによる表現について理解し、2次元ベクトルの距離や内積、相関係数の計算ができる。
5週 数学的準備2(正規直交基底) 正規直交基底や射影について理解し、練習問題を解くことができる。
6週 数学的準備3(ベクトル空間から関数空間へ) ベクトル空間から関数空間への拡張について理解し、関数空間での距離や内積、相関係数、正規直交関数系についての練習問題を解くことができる。
7週 相関関数(関数の類似性、相互相関関数と自己相関関数) 相互相関関数と自己相関関数を用いて波形の類似性を調べる方法について理解し、実際に計算を行うことができる。
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 答案返却
実フーリエ級数展開1(周期2πの関数のフーリエ級数展開)
周期2πの関数のフーリエ級数展開の意味と計算方法を理解し、実際に計算することができる。
10週 実フーリエ級数展開2(フーリエ余弦級数と正弦級数) フーリエ余弦級数と正弦級数について理解し、実際に計算することができる。
11週 実フーリエ級数展開3(フーリエ級数の収束定理) フーリエ級数の収束定理について理解し、説明することができる。
12週 実フーリエ級数展開4(任意の周期関数のフーリエ級数展開) 任意の周期関数のフーリエ級数展開についての練習問題を解くことができる。
13週 複素フーリエ級数展開1(複素フーリエ級数展開の考え方、実フーリエ級数展開との関係) 複素フーリエ級数展開の考え方、実フーリエ級数展開との関係を理解し、説明することができる。
14週 複素フーリエ級数展開2(複素フーリエ級数展開の計算) 複素フーリエ級数展開の計算法を理解し、実際に練習問題を解くことができる。
15週 前期定期試験
16週 答案返却
フーリエ級数展開の性質
フーリエ級数展開の性質について理解し、実際の計算に応用することができる。
後期
3rdQ
1週 フーリエ変換1(複素フーリエ級数展開からフーリエ変換へ) 複素フーリエ級数展開からフーリエ変換が導出される原理について理解できる。
2週 フーリエ変換2(フーリエ変換の定義とフーリエ積分定理) フーリエ変換の定義とフーリエ積分定理について理解でき、定義に基づいて練習問題の計算ができる。
3週 フーリエ変換3(フーリエ余弦変換とフーリエ正弦変換) フーリエ余弦変換とフーリエ正弦変換について理解し、実際に練習問題の計算ができる。
4週 フーリエ変換の性質1(線形性、相似性) フーリエ変換の性質(線形性、相似性)について理解し、実際に練習問題が解ける。
5週 フーリエ変換の性質2(平行移動) フーリエ変換の性質(平行移動)について理解し、実際に練習問題が解ける。
6週 フーリエ変換の性質3(対称性、微分、積分) フーリエ変換の性質(対称性、微分、積分)について理解し、実際に練習問題が解ける。
7週 畳み込み積分1(連続信号の畳み込み) 連続信号の畳み込みについて理解し、練習問題を解くことができる。
8週 後期中間試験
4thQ
9週 答案返却
畳み込み積分2(離散信号の畳み込み)
離散信号の畳み込みについて理解し、練習問題を解くことができる。
10週 フーリエ級数展開とフーリエ変換の応用 フーリエ級数展開とフーリエ変換の電気回路への応用について理解でき、練習問題を解くことができる。
11週 サンプリングされた信号の復元(復元の原理、標本化定理、折り返し歪み) サンプリングされた信号の復元の原理および標本化定理と折り返し歪みについて理解し、説明できるとともに、練習問題を解くことができる。
12週 離散フーリエ変換(定義式の導出、行列表示、対称性) 離散フーリエ変換の定義の導出について理解でき、説明できる。回転因子を用いた行列による計算法と対称性の性質を理解し、練習問題を解くことができる。
13週 高速フーリエ変換1(アルゴリズム、バタフライ演算、ビットリバース) 高速フーリエ変換のアルゴリズムについて理解し、説明することができる。
14週 高速フーリエ変換2(エクセルによる計算) エクセルあるいはRを用いて、実際に高速フーリエ変換の計算を行うことができる。
15週 後期定期試験
16週 答案返却

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学ベクトルの定義を理解し、ベクトルの基本的な計算(和・差・定数倍)ができ、大きさを求めることができる。3
平面および空間ベクトルの成分表示ができ、成分表示を利用して簡単な計算ができる。3
平面および空間ベクトルの内積を求めることができる。3
不定積分の定義を理解し、簡単な不定積分を求めることができる。3
置換積分および部分積分を用いて、不定積分や定積分を求めることができる。3
定積分の定義と微積分の基本定理を理解し、簡単な定積分を求めることができる。3
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。3
情報系分野その他の学習内容少なくとも一つの具体的なコンピュータシステムについて、起動・終了やファイル操作など、基本的操作が行える。3
少なくとも一つの具体的なオフィススイート等を使って、文書作成や図表作成ができ、報告書やプレゼンテーション資料を作成できる。3
少なくとも一つのメールツールとWebブラウザを使って、メールの送受信とWebブラウジングを行うことができる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合70000030100
基礎的能力4000001555
専門的能力2000001030
分野横断的能力100000515