オペレーティングシステム

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 オペレーティングシステム
科目番号 HI409 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 人間情報システム工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材 古市栄治,「オペレーティングシステム入門[新版]」,日本理工出版会
担当教員 大隈 千春

到達目標

オペレーティングシステム(OS)の一つであるUNIXと呼ばれるOSを対象として,その使い方の学習を通して「UNIXシステム・UNIXコマンド」の利用ができ,「プロセス制御とスケジューリング」,「割り込み制御」,「仮想記憶システム」などのメモリ管理,「入出力とファイル制御」といったデバイス管理の仕組みが理解でき,システムにおけるOSの機能や役割を理解できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
UNIXシステム・UNIXコマンドUNIXのファイルシステム,パス,モードなどについて説明でき,ファイルを適切に保護することができる. 主要なUNIXコマンドを十分に使いこなすことができる.UNIXのファイルシステム,パス,モードなどについて説明でき,ファイルを保護について理解できる. 主要なUNIXコマンドについてその利用と動作について説明できる.UNIXシステムの利用が十分にできない.
プロセス制御とスケジューリングプロセスの状態とその状態遷移,プロセス制御のために必要な排他制御と同期の仕組みについて説明がよくできる. プロセスのスケジューリングについてタイミングチャート等を用いて,その挙動をよく説明できる.プロセスの状態とその状態遷移,プロセス制御のために必要な排他制御と同期の仕組みについて説明ができる. プロセスのスケジューリングについてその挙動を説明できる.プロセスの状態や遷移を説明できない. プロセスのスケジューリング手法について説明できない.
割り込み制御割り込みの種類,割り込み制御の流れについて説明でき,割込発生時のタイミングチャートを書くことができる.割り込みの種類,割り込み制御の流れについて説明できる.割り込みの種類,割り込み制御の流れについて説明できない.
仮想記憶システム主記憶,仮想記憶の仕組みやスワップやページングについて理解し,説明でき,実アドレスの計算ができる.主記憶,仮想記憶の仕組みやスワップやページングについて理解し,説明できる.主記憶,仮想記憶の仕組みやスワップやページングを理解できない.
入出力とファイル制御入出力制御の仕組み,ファイルシステムの構造について説明できる.ファイルシステムの効率的なアクセス手法を説明でき,利用できる.入出力制御の仕組み,ファイルシステムの構造について説明できる.ファイルシステムの効率的なアクセス手法を説明できる.入出力制御の仕組み,ファイルシステムの構造について説明できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
オペレーティングシステム(OS)はコンピュータを動かす上で最も基本的で必要不可欠なソフトウェアである.ハードウェア系科目「コンピュータアーキテクチャ」とソフトウェア系科目「データ構造とアルゴリズム」等を関連付ける基礎となる科目であり,5年次選択科目「システムプログラミング」に繋がる科目である.
授業の進め方・方法:
プログラミング等の学習環境として利用してきたUNIXなどのOSについて,そのコマンドの利用なども含めて実技学習も行う.「プロセス制御とスケジューリング」,「割り込み制御」,「仮想記憶システム」などのメモリ管理,「入出力とファイル制御」といったデバイス管理の仕組みを学び,システムにおけるOSの機能や役割を学習する.必要に応じて,参考書やwebページも利用して学習を進める.
注意点:
本科目は2単位科目であり,規定授業時数は60時間である.
また,本科目は90分の授業に対して放課後・家庭で90分程度の自学自習が求められる.
実技学習は難しい内容ではないが,授業時間中に終わらない場合は放課後等に各自進め,報告書の提出を含め滞りなく取り組んで欲しい.
筆記試験は前期と後期の期末試験のみ行う.前期中間評価はその時点までの課題レポートで評価し,以降はその時点までの評価対象(課題レポート・筆記試験)に基づいて評価を行う.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 オペレーティングシステムの概要(1)
オペレーティングシステムの概念や役割を説明できる.
2週 オペレーティングシステムの概要(2)
前週に同じ
3週 オペレーティングシステムの概要(3) 前週に同じ
4週 UNIXシステム・UNIXコマンド(1) UNIXのファイルシステム,パス,モードなどについて説明でき,適切にファイルを保護することができる.また,主要なUNIXコマンドについてその利用ができ,動作を説明できる.
5週 UNIXシステム・UNIXコマンド(2) 前週に同じ
6週 UNIXシステム・UNIXコマンド(課題演習) UNIXシステムのコマンドと同様の挙動を持つプログラムを作成できる
7週 UNIXシステム・UNIXコマンド(課題演習) 前週に同じ
8週 UNIXシステム・システムコール(4) システムコールについて学び,動作を説明できる.
2ndQ
9週 UNIXシステム・システムコール(5) 前週に同じ
10週 UNIXシステム・システムコール(課題演習) システムコールを利用したプログラムを作成できる
11週 UNIXシステム・システムコール(課題演習) 前週に同じ
12週 プロセスの制御(1) プロセスの状態とその状態遷移,デッドロックの問題など,プロセス制御のために必要な排他制御と同期の仕組みについて説明できる.プロセスの生成,UNIXのプロセスの生成などについて理解できる.
13週 プロセスの制御(2) 前週に同じ
14週 プロセスの制御(3) 前週に同じ
15週 前期期末試験
16週 前期期末試験の答案返却・解説・まとめ
後期
3rdQ
1週 プロセスのスケジューリング(1) 並行プロセスの動機,プロセスのスケジューリングについて説明できる.UNIXのスケジューリングやプロセスの優先度の調整を行うことができる.
2週 プロセスのスケジューリング(2) 前週に同じ
3週 プロセスのスケジューリング(3) 前週に同じ
4週 割り込み制御(1) 割り込みの種類,割り込み制御の流れについて説明できる.
5週 割り込み制御(2) 前週に同じ
6週 割り込み制御(3) 前週に同じ
7週 課題演習 スケジューリングや割り込み処理に関係する内容に関係する課題を解くことができる.
8週 仮想記憶システム(1) 主記憶,仮想記憶の仕組みやスワップやページングについて理解し,説明できる.
4thQ
9週 仮想記憶システム(2) 前週に同じ
10週 仮想記憶システム(3) 前週に同じ
11週 仮想記憶システム(4) 前週に同じ
12週 入出力とファイルの制御(1) 入出力制御の仕組み,ファイルシステムの構造について説明でき,ファイルシステムの効率的なアクセス手法を説明できる.
13週 入出力とファイルの制御(2) 前週に同じ
14週 入出力とファイルの制御(3) 前週に同じ
15週 後期期末試験
16週 後期期末試験の答案返却・解説・まとめ

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学情報系分野プログラミング主要な言語処理プロセッサの種類と特徴を説明できる。2前8
ソフトウェア開発に利用する標準的なツールの種類と機能を説明できる。2
ソフトウェアソフトウェアを中心としたシステム開発のプロセスを説明できる。3
計算機工学整数・小数をコンピュータのメモリ上でディジタル表現する方法を説明できる。3
基数が異なる数の間で相互に変換できる。3
プロセッサを実現するために考案された主要な技術を説明できる。2
メモリシステムを実現するために考案された主要な技術を説明できる。4後8,後9,後10,後11
入出力を実現するために考案された主要な技術を説明できる。2後12,後13,後14,後15
コンピュータシステムネットワークコンピューティングや組込みシステムなど、実用に供せられているコンピュータシステムの利用形態について説明できる。4
デュアルシステムやマルチプロセッサシステムなど、コンピュータシステムの信頼性や機能を向上させるための代表的なシステム構成について説明できる。4
集中処理システムについて、それぞれの特徴と代表的な例を説明できる。4
分散処理システムについて、特徴と代表的な例を説明できる。4
システム設計には、要求される機能をハードウェアとソフトウェアでどのように実現するかなどの要求の振り分けやシステム構成の決定が含まれることを説明できる。2
システムプログラムコンピュータシステムにおけるオペレーティングシステムの位置づけを説明できる。4前1,前2,前3
プロセス管理やスケジューリングなどCPUの仮想化について説明できる。4前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11
排他制御の基本的な考え方について説明できる。4
記憶管理の基本的な考え方について説明できる。4
その他の学習内容コンピュータウィルスやフィッシングなど、コンピュータを扱っている際に遭遇しうる代表的な脅威について説明できる。3
コンピュータを扱っている際に遭遇しうる脅威に対する対策例について説明できる。2

評価割合

試験演習合計
総合評価割合7030100
基礎的能力302050
専門的能力401050