物理I

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 物理I
科目番号 LK2205 科目区分 一般 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 人間情報システム工学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 3
教科書/教材 教科書「総合物理I-力と運動・熱-」,数研出版 /問題集 「リードα 物理基礎・物理」,数研出版
担当教員 工藤 友裕

到達目標

物体の変位,速度,加速度の時間変化を記述できる。
物体に作用する力のつりあいを記述できる。
運動の法則を理解し,仕事とエネルギーの概念を理解し,エネルギー保存法則を用いた計算ができる。
運動量と力積の関係,運動量保存則を理解し,衝突の問題に応用して計算ができる。
等速円運動する物体の速度、加速度、向心力について理解し、計算ができる。
慣性力、遠心力の概念を理解し、それらを用いて問題を解くことができる。
単振動の変位と加速度の関係や復元力のはたらく場合の振動数について理解し、計算ができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
物体の変位,速度,加速度の時間変化を記述できる。速度,加速度を変位ベクトルの時間微分と結びつけて,より一般的な場合にも概念を拡張できる。等加速度運動や投射運動のやや複雑な問題を解く事ができる。物体の変位,速度,加速度を時間の変数としてとらえ,等速度運動や等加速度運動を表す関係式を用いて簡単な問題を解く事ができる。投射運動についての簡単な問題を解く事ができる。物体の変位,速度,加速度を時間の変数としてとらえることができない。等速度運動や等加速度運動を表す関係式を用いて問題を解く事ができない。
物体に作用する力のつりあいを記述できる。力のつり合いおよび,回転しない条件も取り入れたより一般的なつりあいの関係式を導き出すことができる。剛体のつり合いについてのやや複雑な問題や文字式を用いた問題を解く事ができる。力のつり合いにおいて,物体にはたらく種々の力(重力,糸の張力,摩擦力,垂直抗力)などを指摘し,2次元の力のつり合いを記述できる。 剛体が回転しない条件を記述できる。力のつり合いにおいて,物体にはたらく種々の力(重力,糸の張力,摩擦力,垂直抗力)などが指摘できない。2次元の力のつり合いを記述できない。 剛体が回転しない時の条件を記述できない。
運動の法則を理解し,仕事とエネルギーの概念を理解し,エネルギー保存法則を用いた計算ができる。運動の法則と等加速度運動の式より,運動エネルギーの関係を導く事ができる。保存力のする仕事と位置エネルギーの関係を用いて力学的エネルギー保存を導出できる。エネルギーを用いたやや複雑な問題や文字式を用いた問題を解く事ができる。一定加速度の場合について,運動方程式を記述できる。 力のする仕事と力学的エネルギーの変化の関係式を記述できる。一定加速度の場合についても,運動方程式を記述できない。 力のする仕事と力学的エネルギーの変化の関係式を記述できない。
運動量と力積の関係,運動量保存則を理解し,衝突の問題に応用して計算ができる。運動量と力積の関係と作用反作用の関係から運動量保存則を導出でき,衝突,分裂のやや複雑な問題,文字式を用いた問題に応用して計算ができる。運動量と力積の関係をベクトル量の関係式として成分で記述できる。衝突の問題において運動量保存則や反発係数を用いた簡単な計算ができる。運動量と力積の関係をベクトル量の関係式として成分で記述できない。衝突の問題において運動量保存則や反発係数を用いた計算ができない。
等速円運動する物体の速度、加速度、向心力について理解し、計算ができる。等速円運動に関する関係式や中心方向の運動方程式を用いた,より一般的な文字式の問題に解答できる。等速円運動に関する関係式を用いて種々の物理量の簡単な計算ができる。中心方向の運動方程式を記述し,問題を解くことができる。等速円運動に関する関係式を用いて種々の物理量の簡単な計算ができない.中心方向の運動方程式が記述できない。
慣性力、遠心力の概念を理解し、それらを用いて問題を解くことができる。慣性力,遠心力に関し,より一般的な文字式を用いた問題を解くことができる。慣性力,遠心力を用いて力のつり合いの関係を記述でき,問題を解くことができる。慣性力,遠心力を用いて力のつり合いの関係を記述できない。
単振動の変位と加速度の関係や復元力のはたらく場合の振動数について理解し、計算ができる。より一般的な単振動の問題について変位と加速度の関係や、周期などを計算できる。基本的な単振動の問題について変位と加速度の関係や周期を計算できる。 基本的な単振動の問題について変位と加速度の関係を用いて周期を計算できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
初等物理の力学分野を中心に学習を進める。物体の変位,速度,加速度の時間変化について学び,問題演習を行う。物体に作用する力のつりあいについて学び,問題演習を行う。運動の法則,仕事とエネルギーの概念,エネルギー保存法則を用いた計算について学び,問題演習を行う。運動量と力積の関係,運動量保存則,衝突の問題について学び,問題演習を行う。等速円運動,慣性力、単振動について学び,問題演習を行う。
授業の進め方・方法:
プリントおよび教科書に従いスライドを用いた講義を中心に授業を進める。前期は運動の表し方、等加速度運動,運動の法則について、後期は仕事とエネルギー,運量保存,等速円運動,慣性力、単振動について講義を進める。講義の中で、関連する問題の解説を行う。講義の進展に合わせて実験を行う。
注意点:
授業の解説や演習する問題をよく理解し,問題集を自学学習で解き実力をつける必要がある。問題を解くときは文章読解力を要する。必ずノートに図を書き,力の作図,未知数の導入,関係式の作成など手順を省略せずに取り組む必要がある。
年間総合評価が60点に満たない場合は、再提出したレポートや再評価試験にて評価する。再評価でも60点に満たない場合は単位を認定しない。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス,プリント配布
物理の単位と次元
SI単位と単位の基準について説明できる。基本的な物理量について単位とその次元の関係を説明できる。
2週 物理の単位と次元 有効数字を考慮した計算ができる。
3週 ベクトル量 ベクトル量についてその概念や取り扱い方,合成,成分表示などが理解できる。演習問題を解く事ができる。
4週 運動の表し方
変位,速度
変位,速度,加速度の関係を用いて,物体の運動を記述することを確認する。等速運動,等加速度運動の性質を理解し公式を用いて計算ができる。
5週 運動の表し方
加速度
変位,速度,加速度の関係を用いて,物体の運動を記述することを確認する。等速運動,等加速度運動の性質を理解し公式を用いて計算ができる。
6週 落体の運動
自由落下,鉛直投げ上げ
落体の運動について公式を用いて計算ができる。
7週 落体の運動
水平投射,斜方投射
落体の運動について公式を用いて計算ができる。
8週 運動の法則
力とそのはたらき,力のつりあい
力のつり合いについて,説明できる。
2ndQ
9週 中間試験 中間試験により、これまでの達成度が評価される。正答例を元に振り返り、問題を解くことができるようになる。
10週 等加速度運動の実験
運動の法則
運動の第2法則
運動方程式について理解し,演習問題を解くことができる。
11週 運動の法則
摩擦を受ける運動
加速度の実験
摩擦を受ける運動について理解し,演習問題が解く事ができる。
加速度を求める実験により,運動の法則を理解し、問題を解く事ができる。
12週 液体や気体から受ける力
剛体にはたらく力のつりあい
アルキメデスの原理を理解し、問題を解く事ができる。
力のモーメントの計算ができる。
13週 剛体にはたらく力のつり合い 力のつり合いの条件について,式を立てる事ができ,問題を解く事ができる。
14週 問題演習
重心を求める課題
剛体に関する問題を解く事ができる。
厚紙を利用した,平面図形の重心を求める課題を通じ,重心について理解し、問題を解くことができる。
15週 定期試験 定期試験にて前期後半の学習内容定着の達成度を測る。
16週 鉛直面内での回転の実験
仕事,仕事率の計算ができる。運動エネルギーについて計算ができる。
後期
3rdQ
1週 仕事と力学的エネルギー
問題演習
仕事,仕事率の計算ができる。運動エネルギーについて計算ができる。
2週 位置エネルギー,保存力,力学的エネルギー保存 位置エネルギーについて計算ができる。力学的エネルギー保存の関係式を作ることができる。
3週 問題演習 力学的エネルギー保存の問題を解く事ができる。
4週 運動量の保存
運動量と力積
運動量と力積について理解し,計算ができる。
運動量・力積の関係を使った問題を解く事ができる。
5週 運動量保存則 運動量保存則について理解し,問題を解く事ができる。
6週 運動量保存則問題演習 運動量の問題を解く事ができる。
7週 反発係数 反発係数の定義について理解し,運動量保存則と合わせた計算ができる。
8週 問題演習 力学的エネルギー,運動量保存,等速円運動について問題を解く事ができる。
4thQ
9週 中間試験
中間試験で後期前半の達成度を測る。正答例を元に振り返り、問題を解くことができるようになる。
10週 等速円運動 等速円運動の半径,速度,角速度,周期,回転数,加速度,向心力について理解し、問題を解くことができる。
11週 等速円運動 等速円運動の運動方程式について理解し、問題を解くことができる。
12週 慣性力,遠心力
慣性力の意味を理解し,問題を解く事ができる。遠心力について理解し,問題を解く事ができる。
13週 単振動 円運動と単振動の関係を理解し、変位、速度、加速度について時間的変化を記述できる。また、復元力の式から周期などを計算できる。
14週 問題演習 慣性力,遠心力,単振動についての問題を解く事ができる。
15週 定期試験 定期試験により後期後半の到達度を測る
16週 答案返却
定期試験について正答例を元に振り返り、解答できなかった問題を解くことができる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。3前4,前5
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。3前4
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。3前5
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。2前3
平均の速度、平均の加速度を計算することができる。3前5
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3前6
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3前7
物体に作用する力を図示することができる。3前8
力の合成と分解をすることができる。3前8
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。3前8
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。3前8
質点にはたらく力のつりあいの問題を解くことができる。3前8
慣性の法則について説明できる。3前10
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。3前10
運動方程式を用いた計算ができる。2前10,前11
運動の法則について説明できる。3前10,前11
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。3前13
最大摩擦力に関する計算ができる。3前13
動摩擦力に関する計算ができる。3前11
仕事と仕事率に関する計算ができる。3前16,後3
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。3後1,後3
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。2後2,後3
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。3後2,後3
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。2後2,後3,後8
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。3後4
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。3後4,後6
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3後5,後6,後7,後8
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。2後10,後11,後14
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。2後13,後14
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。3後10,後11,後12,後14
力のモーメントを求めることができる。3前12
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。3前13
重心に関する計算ができる。3前14
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。2前11
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。1後2
物理実験物理実験測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。2前16
安全を確保して、実験を行うことができる。2前16
実験報告書を決められた形式で作成できる。2前10
有効数字を考慮して、データを集計することができる。2前1,前2
力学に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。2前16

評価割合

試験、小テスト実験・課題提出合計
総合評価割合7030100
基礎的能力603090
専門的能力10010
分野横断的能力000