情報工学実験I

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 情報工学実験I
科目番号 HI308 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 人間情報システム工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 3
教科書/教材 使用教科書:配布プリント。ソフトウェア実験参考書:プログラミング言語、プログラミング演習の教科書等。ハードウェア実験参考書:電気回路,電子回路,計算機工学の教科書等。ヒューマン実験参考書:特になし
担当教員 中野 光臣,藤井 慶,孫 寧平,小山 善文,合志 和洋

到達目標

ソフトウェア実験に関する各授業項目において,提示された要求仕様を満たすプログラムを所定の時間内に解ける.
ハードウェア実験に関する各授業項目において,提示された実験内容を理解し回路設計・製作・測定することができる.
ヒューマン実験に関する各授業項目において,実験内容を理解し実験を行うことができる.
各授業項目において,実験結果を適切な報告書としてまとめることができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
ソフトウェア実験の各授業項目各授業項目において、提示された要求仕様を満たすプログラムを所定の時間内に解け、更に、適切な改良案を考えて実証することができる。 実験結果を適切な報告書としてまとめることができる。各授業項目において、提示された要求仕様を満たすプログラムを作ることができる。 開発したプログラムの正当性を実行結果または報告書の形式で提示することができる。各授業項目において、提示された要求仕様を満たすプログラムを作れない。実験結果を適切な報告書としてまとめることができない。
ハードウェア実験の各授業項目各授業項目において、実験内容を理解し設計・製作・測定することができる。 実験結果を適切な報告書としてまとめることができる。各授業項目において、実験内容を理解し設計・製作・測定することができる。 実験結果を適切な報告書としてまとめることができる。各授業項目において、実験内容を理解し設計・製作・測定することができない。 実験結果を適切な報告書としてまとめることができない。
ヒューマン実験の各授業項目各授業項目において、実験内容を理解し実験を行うことができる。 実験結果を適切な報告書としてまとめることができる。各授業項目において、実験内容を理解し実験を行うことができる。 実験結果を適切な報告書としてまとめることができる。各授業項目において、実験内容を理解し実験を行うことができない。 実験結果を適切な報告書としてまとめることができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
本科目ではソフトウェア,ハードウェア,ヒューマンの3分野のそれぞれについて実験を行う.
1. ソフトウェア実験では,情報処理,プログラミング言語・演習で習得した知識を実践的に活用し,より複雑なアルゴリズムも理解できるようになることを目的とする.
2. ハードウェア実験では,3年生の専門教科として学ぶ電気回路・電子回路・計算機工学に関連して,それらの授業で習得する知識を実験により検証し,より理解を深めることを目的とする.
3. ヒューマン実験では,ヒューマン情報技術に必要となるCG制作技術,人間の聴覚特性,福祉工学技術について理解することを目的とする.
授業の進め方・方法:
クラスを4つの班に分け,班毎に割り振られた授業項目を同時進行で実施する.
1. 各授業項目について,最初に説明時間を設けた後、各自実験を行う.
2. 説明は配布プリント等を基に行う.
3. 実験中は担当教員が適宜巡回し,質問に対応する.
4. 不明な点などについては積極的・自発的に質問させる.
5. 実験終了後,レポートを提出させて評価する.
注意点:
実験の目的は,座学で習った理論を頭で理解するだけでなく実際に自分で動かして理解することである.また,種々の課題を理解し,解き,報告書にまとめるという工学的な問題解決の流れを体得する科目でもある.実験科目は3年から卒業まで継続的に行われるので,3年生の実験においてしっかりと基礎を固めて欲しい.評価は,ソフトウェア実験(35%),ハードウェア実験(35%),ヒューマン系実験(30%)の総合点により算出する.ただし,分野別の評点が分野別満点の60%を下回るものが一つでもあった場合は,不合格とする.本科目は3単位科目であり規定授業時数は90時間である.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンスおよび実験環境整備(1) 実験の基本事項(実験時の注意点・レポート作成時の注意点等)を理解する.また,実験を進めるうえで必要な計算機使用環境を整える.
2週 (ソフト)テクニカル・ライティング 実験でレポートを書く意義を理解できる.引用と転載について理解できる.
文書作成ソフトや作図ツールを用いて整ったレポートを作成できる.
3週 (ソフト)関数(1) 適切な仕様に基づく関数を実装できる.
4週 (ソフト)関数(2) 適切な仕様に基づく関数を実装できる.
5週 (ソフト)音信号処理(1) 音の三要素(音量、音高、音色)と周期波形の振幅・周波数との関係を理解できる.プログラムで複数の音色・音量・音高の波形を生成し、楽曲の旋律を生成するプログラムを実装できる.
6週 (ソフト)音信号処理(2) 音の三要素(音量、音高、音色)と周期波形の振幅・周波数との関係を理解できる.プログラムで複数の音色・音量・音高の波形を生成し、楽曲の旋律を生成するプログラムを実装できる.
7週 (ソフト)Androidアプリケーションの開発(1) Androidタブレットの各種センサ値を利用したアプリケーションを実装できる。
8週 (ソフト)Androidアプリケーションの開発(2) Androidタブレットの各種センサ値を利用したアプリケーションを実装できる。
2ndQ
9週 (ソフト)GUIアプリケーション開発(1) GUIの基本的なコンポーネントを用いたアプリケーションを実装できる.
10週 (ソフト)GUIアプリケーション開発(2) GUIの基本的なコンポーネントを用いたアプリケーションを実装できる.
11週 (ソフト)GUIアプリケーション開発(3) CUIアプリケーションをGUIアプリケーション化できる.
12週 (ハード)回路製作・測定の基礎(1) 実験書の回路図に従い,実験機材を用いて回路の製作および測定することができる。各実験機材の使用方法を理解し測定できる.
13週 (ハード)回路製作・測定の基礎(2) 直流回路を組み立て,キルヒホッフの法則に基づく現象を測定できる.
14週 (ハード)単相交流の電力・力率の測定 交流回路における電力,力率を測定し現象を説明できる.
15週 報告書の作成 各実験の報告書を適切にまとめられる。
16週 報告書の作成 各実験の報告書を適切にまとめられる。
後期
3rdQ
1週 (ハード)トランジスタの静特性・増幅器の設計,製作(1) トランジスタの静特性を測定することができる.
2週 (ハード)トランジスタの静特性・増幅器の設計,製作(2) トランジスタ増幅回路の設計,製作ができる.
3週 (ハード)トランジスタの静特性・増幅器の設計,製作(3) トランジスタ増幅回路の入出力特性・周波数特性を測定できる.
4週 (ハード)OPアンプ OPアンプの入出力特性・周波数特性を測定できる.
5週 (ハード)論理回路(1) 論理式を簡単化し,組み合わせ回路を実装できる.
6週 (ハード)論理回路(2) 論理式を簡単化し,組み合わせ回路を実装できる.
7週 (ハード)論理回路(3) 順序回路を設計,実装できる.
8週 (ヒューマン)音響 測定器具を用いて音の物理的な音響特性を測定できる。また音源方向に関する人の耳の知覚特性を測定できる。
4thQ
9週 (ヒューマン)福祉 高齢者・身体障害者の身体特性を体感する装置を用い、移動する際の健常者との違いを説明できる。
10週 (ヒューマン)ナチュラルユーザインタフェース(1) Leap Motionセンサを用い、人の指の座標をリアルタイムに取得するプログラムを実装できる。
11週 (ヒューマン)ナチュラルユーザインタフェース(2) Leap Motionセンサを用い、人の指の座標をリアルタイムに取得するプログラムを実装できる。
12週 (ヒューマン)画像処理とコンピュータビジョンの基礎(1) Processing言語を用いて静止画の色変換,座標変換を行うことができる.
13週 (ヒューマン)画像処理とコンピュータビジョンの基礎(2) Processing言語を用いて動画像をリアルタイムに取得することができる.
14週 (ヒューマン)画像処理とコンピュータビジョンの基礎(3) Processing言語を用いて動画像から特定の色領域をリアルタイムに抽出することができる.
15週 報告書の作成 各実験の報告書を適切にまとめられる。
16週 報告書の作成 各実験の報告書を適切にまとめられる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学情報系分野プログラミング与えられた問題に対して、それを解決するためのソースプログラムを記述できる。3
ソフトウェア生成に必要なツールを使い、ソースプログラムをロードモジュールに変換して実行できる。3
ソフトウェア開発に利用する標準的なツールの種類と機能を説明できる。3
計算機工学基本的な論理演算を行うことができる。4
基本的な論理演算を組合わせて、論理関数を論理式として表現できる。4
論理式の簡単化の概念を説明できる。4
論理ゲートを用いて論理式を組合せ論理回路として表現することができる。4
与えられた組合せ論理回路の機能を説明することができる。4
組合せ論理回路を設計することができる。4
フリップフロップなどの順序回路の基本素子について、その動作と特性を説明することができる。3
レジスタやカウンタなどの基本的な順序回路の動作について説明できる。3
与えられた順序回路の機能を説明することができる。3
順序回路を設計することができる。3
その他の学習内容オームの法則、キルヒホッフの法則を利用し、直流回路の計算を行うことができる。3
トランジスタなど、ディジタルシステムで利用される半導体素子の基本的な特徴について説明できる。3

評価割合

報告書遂行速度合計
総合評価割合8020100
ソフトウェア実験遂行能力27835
ハードウェア実験遂行能力28735
ヒューマン実験遂行能力25530