応用電子回路

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 応用電子回路
科目番号 HI405 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 人間情報システム工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材 清水賢資,鴻田五郎「パルス回路の考え方」オーム社、自作プリント
担当教員 三好 正純

到達目標

パルス波形の特徴を理解し代表的な波形の取扱いができるとともに,線形回路における過渡現象とダイオード・トランジスタを用いたスイッチング回路やマルチバイブレータなど基本的な電子回路の動作を説明できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
・パルス波形の特徴と取扱い ・線形回路網の回路方程式と微分方程式 ・RC回路網の微分方程式と解の性質 ・RC回路・RL回路のパルス応答 ・微分回路と積分回路パルス波形の特徴を理解し,任意の波形の取扱いができる. 複数の閉路をもつ線形回路網の回路方程式を微分方程式で表現できる. 線形1階常微分方程式の解の性質を十分に理解し活用できる. RC(RL)回路に代表的なパルス電圧を入力したときの応答波形を見積もり関数化できる. 微分・積分回路の特徴を定量的に説明できる.パルス波形の特徴を理解し,代表的な波形の取扱いができる. 線形回路網の回路方程式を微分方程式で表現できる. 線形1階常微分方程式の解の性質を理解し利用できる. RC(RL)回路に代表的なパルス電圧を入力したときの応答波形を見積もることができる. 微分・積分回路の特徴を説明できる.パルス波形の特徴説明と代表的な波形の取扱いができない. 線形回路網の回路方程式を微分方程式で表現できない. 線形1階常微分方程式の解の性質を利用できない. RC(RL)回路に代表的なパルス電圧を入力したときの応答波形を見積もることができない. 微分・積分回路の特徴を説明できない.
・ラプラス変換と微分方程式 ・RLC回路網の微分方程式と解の性質ラプラス変換の基本的性質を十分に理解し,連立微分方程式の解法にも利用できる. 線形2階常微分方程式の解の性質を理解し,制動について定量的な説明できる.ラプラス変換の基本的性質を理解し,微分方程式の解法に利用できる. 線形2階常微分方程式の解の性質を理解し,制動について説明できる.ラプラス変換の基本的性質を理解不足で微分方程式の解法に利用できない. 線形2階常微分方程式の解の性質を理解できず,制動について説明できない.
・ダイオードの静特性とスイッチング特性 ・トランジスタの静特性とスイッチング特性 ・MOSFETのパルス応答pn接合ダイオードの静特性をスイッチ回路で近似し応用することができ、スイッチングにおける順方向・逆方向回復特性を定量的に説明できる. バイポーラトランジスタの静特性をキャリア動作として理解し,ターンオン時とターンオフ時のスイッチング特性を定量的に説明できる. MOSFETの種類と静特性をキャリア動作として理解し,スイッチ回路におけるターンオン時とターンオフ時の各パルス応答を定量的に説明できる.pn接合ダイオードの静特性をスイッチ回路で近似することができ、スイッチングにおける順方向・逆方向回復特性を説明できる. バイポーラトランジスタの静特性を理解し,ターンオン時とターンオフ時のスイッチング特性を説明できる. MOSFETの種類と静特性を理解し,スイッチ回路におけるターンオン時とターンオフ時の各パルス応答を説明できる.pn接合ダイオードの静特性をスイッチ回路で近似することができない.また、スイッチングにおける順方向・逆方向回復特性を説明できない. バイポーラトランジスタの静特性の理解不足で,ターンオン時とターンオフ時のスイッチング特性を説明できない. MOSFETの種類と静特性,およびスイッチ回路におけるターンオン時とターンオフ時の各パルス応答を説明できない.
・マルチバイブレータ ・波形操作回路双安定・単安定・無安定の各種マルチバイブレータの仕組みを十分に理解し,それらの動作を定量的に説明できる. パルス波形を振幅軸上に操作する各種回路について,動作原理を説明し簡単な回路設計に応用できる.双安定・単安定・無安定の各種マルチバイブレータの仕組みを理解し,それらの動作を説明できる. パルス波形を振幅軸上に操作する各種回路について,動作原理を理解し説明できる.双安定・単安定・無安定の各種マルチバイブレータの仕組みと動作を説明できない. パルス波形を振幅軸上に操作する各種回路について,動作原理を説明できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
 コンピュータインターフェース等で用いられるパルス回路を取り上げ,パルス波形や種々の回路応答を過渡現象の立場から理解する.過渡現象の解析では回路方程式(微分方程式)と,その解法も理解する.また、マルチバイブレータや波形操作回路など代表的な回路について動作のしくみを理解し,回路設計の基礎を学ぶ.
授業の進め方・方法:
授業は考え方に重点を置き,内容と方法はつぎのとおりである.
1.RC,RL,RLC回路のパルス応答について回路方程式とその解を導出する.
2.ダイオード・トランジスタのパルス応答を理解し問題点と対策を考える.
3.マルチバイブレータの動作原理を理解し,回路設計における注意点を考える.
4.波形操作回路について理解し,簡単な回路設計を行う.
注意点:
本科目は,パルス回路の基本的事項を扱う.関連する科目は電子工学,電気回路および電子回路であり,これらの科目の講義内容について十分に復習して受講することが望まれる.また,授業では暗記ではなく理解に努め,自学学習において練習問題で各自理解の程度を確認し不明な点は早めに質問してください.なお,規定授業時数は60時間で,課題や練習問題で理解を深めるために放課後・家庭で30時間程度の自学学習が求められます.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス,パルス波形の特徴と取扱い(1) 授業の内容・位置づけ,達成目標,評価方法,履修上の注意点などを理解する.
パルス波形の特徴を理解し,ステップや方形パルスなど代表的波形の単位ステップ関数での取扱いができる.
2週 パルス波形の特徴と取扱い(2) 単一パルスと周期パルスの特徴を理解し代表的なパルス波形の表現と取扱いができる.
3週 線形回路網の回路方程式と微分方程式 線形回路網の基本的取扱いができ,回路方程式を微分方程式で表現できる.
4週 RC回路網の微分方程式と解の性質(1) 線形1階常微分方程式の解の性質を理解し利用できる.
5週 RC回路網の微分方程式と解の性質(2) 同上
6週 RC回路・RL回路のパルス応答(1) RC回路やRL回路に代表的なパルス電圧を入力したときの応答波形を見積もることができる.
7週 RC回路・RL回路のパルス応答(2) 同上
8週 中間試験
学習のまとめと習熟度確認
2ndQ
9週 微分回路と積分回路 RC回路と微分・積分回路との関係を理解し説明できる.
10週 ラプラス変換と微分方程式(1) ラプラス変換の基本的性質を理解し,微分方程式の解法に利用できる.
11週 ラプラス変換と微分方程式(2) 同上
12週 ラプラス変換と微分方程式(3) 同上
13週 ラプラス変換と微分方程式(4) 同上
14週 RLC回路網の微分方程式と解の性質(1) 線形2階常微分方程式の解の性質を理解し,制動について説明できる.
15週 RLC回路網の微分方程式と解の性質(2) 同上
16週 答案返却 達成度評価
後期
3rdQ
1週 ダイオードの静特性とスイッチング特性(1) pn接合ダイオードの静特性を近似した等価回路を利用できる.また,スイッチング特性として順方向・逆方向の各回復特性を説明できる.
2週 ダイオードの静特性とスイッチング特性(2) 同上
3週 ダイオードの静特性とスイッチング特性(3) 同上
4週 トランジスタの静特性とスイッチング特性(1) バイポーラトランジスタの静特性を理解し,ターンオン時とターンオフ時のスイッチング特性を説明できる.
5週 トランジスタの静特性とスイッチング特性(2) 同上
6週 MOSFETのパルス応答(1) MOSFETの種類と静特性を理解し,スイッチ回路におけるターンオン時とターンオフ時の各パルス応答を説明できる.
7週 MOSFETのパルス応答(2) 同上
8週 中間試験 学習のまとめと習熟度確認
4thQ
9週 マルチバイブレータ(1) 双安定・単安定・無安定の各種マルチバイブレータの仕組みを理解し,それらの動作を説明できる.
10週 マルチバイブレータ(2) 同上
11週 マルチバイブレータ(3) 同上
12週 マルチバイブレータ(4) 同上
13週 マルチバイブレータ(5) 同上
14週 波形操作回路(1) パルス波形を振幅軸上に操作する各種回路について,動作原理を理解し,基本的な回路設計ができる.
15週 波形操作回路(2) 同上
16週 答案返却 達成度評価

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。3前3
網目電流法や節点電位法を用いて交流回路の計算ができる。3前3
重ねの理やテブナンの定理等を説明し、これらを交流回路の計算に用いることができる。3前3
RL直列回路やRC直列回路等の単エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。3前4,前5,前6,前7
RLC直列回路等の複エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。2前14,前15
電子回路ダイオードの特徴を説明できる。2後1,後2,後3
バイポーラトランジスタの特徴と等価回路を説明できる。2後4,後5
FETの特徴と等価回路を説明できる。2後6,後7
演算増幅器の特性を説明できる。3
反転増幅器や非反転増幅器等の回路を説明できる。3
電子工学pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。2
バイポーラトランジスタの構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてバイポーラトランジスタの静特性を説明できる。2
電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。2

評価割合

試験合計
総合評価割合100100
基礎的能力00
専門的能力100100
分野横断的能力00